最終更新: 2020年12月6日

Lillies and Remainsがミニアルバム『LOST』を2014年2月にリリースする。本作はベーシストのNARA MINORUが在籍した最後のアルバムとなった。

前作では見られなかったメタルの要素や匠なコーラスワーク、『LOST』に込められた意味について、ボーカルのKENTに聞いた。

アーティスト:KENT(Vo/Gt) インタビュアー:yabori

-前回のシングル「I Survive」や今作の「This City」ではメタリックでヘビーなサウンドに向かおうとしていますが、これには何か心境の変化があったのでしょうか。
僕は元々メタルがルーツにあるので、これまでもメタル的なフレーズを頻繁に曲に入れていたのですが、今回はエンジニアさんとの作業で自然とそういうサウンド(音色)になったという感じです。あまり意図していません。

-今回のEPは『LOST』というタイトルですが、自分の立ち位置を見失う事、方向性の模索がテーマだそうですね。どうしてこのようなタイトルにしたのでしょうか。
全曲の歌詞を見返した時に、そういう世界観のものが多かったからです。色んな音楽を聞き過ぎて、僕自身が少しLOSTしたということも暗に意味しています。

-「This City」の歌詞では都会になじめない人は自分に合った場所(地元)に帰れと歌っているそうですが、何がきっかけでこういう内容を歌おうと思ったのか教えてください。
地方出身の人が都会になじめずに地方に帰りたいという話をたてつづけに4,5件聞いたので、そういうテーマにしたのだと思います。都会はなにかと目まぐるしいです。でも僕は都会が好きです。

-今回のEPでは「You Stand Alone」という曲や他の曲でもAloneという歌詞が出てくることから、都会で暮らす事の孤独について歌っているのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。
stand alone という言葉は『自立』の意味の方が強いです。都会での生活についてももちろんですが、過去の事に影響されて無為に過ごしている人について書きました。

-Lillies and Remainsはほとんどの楽曲を英語で歌っていますね。どうして英詞で歌うのでしょうか。
20歳頃まで日本の音楽を殆ど聞いていなかったので、曲を作って歌をのせようと思うと英語の方が自然だったからです。もう今では全く拘りはないので、今後日本語の曲も出来るかもしれません。

-今作には「Peak Experience」がextended ver.で収録されていますが、どうしてこの楽曲をもう一度入れようと思ったのか教えてください。
この曲のメロディーラインが個人的に気に入っていて、前回収録時はすごく短かったので、ちゃんと1曲分の尺で作り直したかったからです。

-Lillies and Remains の楽曲はコーラスをとても大切にされていると思います。「Peak Experience」のextended ver.でもコーラスが新たに入っていますが、どうしてこの楽曲にコーラスを加えようと思ったのでしょうか。
今回のpeak experienceは以前プロデュースしてもらったmetalmouseにも協力してもらったのですが、コーラスは彼のアイデアです。

-先日『バックコーラスの歌姫たち』というドキュメンタリー映画を見て、改めてコーラスの大切さに気付かされました。あなた方は自身の楽曲にコーラスを入れる事についてどう考えているのでしょうか。
シンセサイザーを含めて色々な楽器がありますが、やっぱり人間の声が一番良いなぁと思います。僕がコーラスをたくさん入れるのは、ブライアン・ウィルソンが好きだからだと思います。

-Lillies and Remains は以前収録したものを新たに録り直して収録する事が多いと思います。特に前作の「Human Intellect #2」は素晴らしい出来だと思ったのですが、どうして楽曲をアップデートしていくのか教えてください。
個人的にリリーズの曲で「Human Intellect #2」はすごく好きなので嬉しいです。どんな曲でも時間が経つに連れて、修正したりアップデートしたくなる箇所が次々に出てくるんです。作曲される方は皆そうかなと思います。

-次のアルバムも予定されているようですね。どのような作品に仕上がるのか展望について教えてください。
次はコンセプトはあまり作らず、単純にシングルクラスの良い曲を集めたアルバムにしたいと思います。統一感よりも楽曲1曲毎のクオリティーに拘りたいです。

-Lillies and Remains は周りのバンドとコラボする姿勢が面白いと思います。特にTHE NOVEMBERSやPLASTICZOOMSと精力的に活動されていますが、彼らと共感する部分について教えてください。
影響受けた音楽にも共感しますし、音楽以外にちゃんとルックスにも拘っている所にももちろん共感しています。やはりカッコいい人にロックをやってもらいたいなと思います。あと世代が同じなので、単純に凄く仲が良いです。

-ポストパンクはもともとイギリスの社会不安な情勢のもとで生まれた音楽だと思います。それを今、この日本で鳴らす事にどのような意味を感じているのでしょうか。
音楽的にポスト・パンクとかニューウェーブが好きなだけで、音楽の社会的な役割には正直あまり期待していません。でもこういう音楽を聞く人が増えてくれたら、もちろん嬉しいです。

LOST
LOST

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