最終更新: 2020年5月16日


京都からHAPPYやHomecomingsら、神戸からはThe fin.を始めとして去年あたりから続々と台頭してきた関西のインディーロック、中でもギターロックバンド。そろそろシーンがあると断言出来るのではと思っていた矢先に今度は大阪の4人組NINGENCLUBからもアルバムが届いた。2008年の活動開始から2011年には「台湾のナンバーガール」と称される透明雑誌の来日大阪公演の主催を務めたり、大部分の楽曲を手掛ける岸田剛(G,Vo)はソロプロジェクトPOST MODERN TEAM(5/7にアルバム全国発売)、TalkingCity1994、大阪リバティーンズなどでの活動もあり、関西を中心にフットワーク軽く、着実にキャリアを積んできた。

本作は3年ぶりとなるフルアルバムであり、Teenage Fanclubやその影響化にあるホフディランや初期スーパーカーなどを思わせる、へなちょこでキュートなパワーポップチューンが並ぶ全11曲。どれもが2~3分台のコンパクトなものであるが、高BPMでめまぐるしく進んでいくようなものではなく、普遍的で煌びやかなメロディをシンプルに際立たせる作りだ。サウンド面でのTFCからの影響、ジャケットでの『レッドツェッペリンⅢ』オマージュは見て取れるが、驚いたのが最終曲の「Sunny Day Real Escape」である。字面だけ見るとアメリカのエモバンドSunny Day Real Estateがよぎってしまうが、歌詞に注目すると「愛と笑いの夜」や「恋におちたら」などサニーデイ・サービスの曲名・歌詞がふんだんに散りばめられているニクイ仕掛けだ。

倦怠感を持ったゆるい声やビートと、極めてロジカルに構築された楽曲の仕掛けが同居していることで、時代を超越するタイムレスなポップミュージックとなっている本作。冒頭記したバンドたちよりも少しキャリアは長いだけに、器用さとフットワークの軽さで今後の関西インディーロックシーンを牽引していくポテンシャルが感じられる。

【Writer】峯大貴(@mine_cism)