最終更新: 2020年5月16日


アーティスト:イノクチタカヒロ(Vo.G ) 、三浦章宏( G.Cho ) 、伊藤コウスケ(B.Cho)、川越俊輔(Dr.Cho)  インタビュアー:Miyaco

―2007年にこの4人になって、「バンドでやって行こう」っていうスイッチが入ったのはいつ頃ですか?
伊藤:スイッチは入ってないです。ずっとそのままきた感じ。SEXY STONES RECORDSから声が掛かって、「やった!」って言って東京へ行きました。夢とかなかったんです、サッカー選手とか野球選手とか。バンドが一番面白かったからずっとやってた。

―声が掛かったから上京した、っていう感じなんですね。東京に行って生活も変わったと思うんですけど、日々感じることは何か変わったりしましたか?
イノクチ:あー生活するのが厳しいなー、くらいですかね(笑)。

―歌詞に影響が出た、とかは?
イノクチ:まぁ、自然と出てるんだろうとは思う。すごく意識してるっていうことはなく。
三浦:バンドでやってることは大分に居た頃と何も変わってないです。曲を作って、ライブをして、っていうのをずっと同じようにやってる。

―前作の『THREE MINUTES GOLD』というアルバムがすごく好きでよく聴いてるんですけど、その作品について、前回のBELONGの取材で「手応えがある」と話されていましたよね。ツアーに出て、その曲たちを実際にお客さんの前で演奏した時の手応えはどうでした?
イノクチ:うん、結構感じたかな。ちょっとずつ分かってくれる人が増えたかなって。俺らを知ってもらえるきっかけになったのかなって思ってます。

―反応は良かったんですね。具体的にはどんな反応がありました?
伊藤:単純にお客さんが増えましたね。嬉しかったです。

―『THREE MINUTES GOLD』はそれまでの作品よりもぐっと前進したのかなっていう印象があったんですが、そこから今回の新譜を作るにあたって、引き継いでいる部分って何かありますか?
イノクチ:前作からそのまま続いてる感じじゃないですね。前回の続きをやろうって思って作ったわけでもないし、なんとなく新しいフィーリングがあったと思う。

―凄くいい作品だったし、そのツアーも良い反応が得られて。それを超えなくちゃ!っていう気持ちはなかったですか?
イノクチ:それももちろんありましたけど。でもなんか今回は、勢いでやっちゃったというか。今年のリリースはこれだけっていうつもりはないんで、まずは一発ハッタリかますか!っていう感じですかね。

―今回は初めて合宿で曲作りをされたと聞きましたが、やってみてどうでした?
イノクチ:すごい良かった。自然が多くて。
川越:やっぱり一緒に寝泊りするといいですよね。絆が固くなります。あと料理が上手くなった。
三浦:みんなでカレー作ったりして楽しかった。山奥なんで水が美味いんですよ。

―なるほど、生活の部分で絆も深めながら曲作りをしていって。音楽的には、「こういうのが作りたい」みたいなイメージはあったんですか?
イノクチ:いや、毎回、結果そうなったっていうことばっかりなんで、俺ら。最初は計画があって、こういう風に作ろうって言うけど…
川越:そういう風になったためしがない(笑)。
イノクチ:やっていくうちにどんどん変化して。

―そうなんですね。今回のシングルを聴かせてもらった時に、一発録りの瞬発力のようなものもバッチリ収録されてるなって感じたんですけど、レコーディングは順調でしたか?
イノクチ:そうですね、瞬殺で終わりました。勢いのある曲だけバッと録ってとりあえず出そうよ、っていう感じで。

―早く出したかったということ?
イノクチ:そう。最初は3月頃に出そうっていう話もあったんですけど、なんか衝動に駆られて(笑)。

―早く届けたい気持ちになったんですね。その気持ちはどこから来たんでしょう?
川越:やっぱりいい曲ができると自分達が興奮するし、それで衝動に駆られて、出しちゃおうって。
イノクチ:森がそう言ってた。

―森の声が聞こえたんだ(笑)。そのシングルに収録されている4曲それぞれについて教えてください。『田舎のカーボーイ』という曲は、主人公が凄く試されているなと思うんですけど、これは何をテーマに歌った曲ですか?
イノクチ:田舎者が頑張ってズッコケてるっていう歌です。

―もしかすると、イノクチさん自身やバンドそのものの姿が重なっているのかなと思いました。
イノクチ:あぁ、それもあると思います。

―「打ちのめされても立っていられるか」「明日がなくても笑っていられるか」っていう歌詞が生まれた背景には何があるんだろう、って。
イノクチ:どうなんですかね、俺の生活?(笑)ギリギリ男なんで、そういう状況に立たされることが多いんです(笑)。自分で自分を上げていかないと沈んで行っちゃうから、これはポジティブな歌ですね。

―「なりたいものになりたい」っていうフレーズは、『ハロルド』という曲にも出てきますよね。こういう言葉を使う時、イノクチさんの中にはどんな映像とか人物像が浮かんでいるんですか?
イノクチ:人物像と言うより、たぶん自分のテーマ。自己実現っていうことだと思うんですけど。自分が憧れたものになりたいですね。

―この曲の紹介でUKサウンドっていう言葉が出ていましたけど、具体的に意識したアーティストが居たら教えてください。
伊藤:アーティストというか、俺らずっと8ビートでやってたんですけど、どうやら世の中四つ打ちが流行ってるらしい、と。
イノクチ:「ちょっとやってみるか!」ってノリで(笑)。
伊藤:なんちゃってディスコビート(笑)。俺達なりの。
三浦:意外にできちゃったっていう。

―試しにやってみたら良かった?
伊藤:うん、まぁ実際、そういう音楽も好きなんで。上手くできるようになったというか、自分達の色をなんとなくわかってきたというか。

―今までは敢えてしていなかったっていうのもありますか?
伊藤:いや、技術的にできなかった。今も下手ですけど(笑)。
イノクチ:そういうのをやっても、どうあがいても、自分達にしかならないっていうのもあるし。何をやってもいいのかなっていうか、何をやってもhotspringになってしまう。

―なるほど、そういう変化があったんですね。そういう部分も感じながら聴いていくと、今後もhotspringを聴く楽しみが増えそうです。2曲目の『シュガーK』はライブで活き活きしそうな曲だなと思いました。メンバーそれぞれのソロもあったりして。ライブで演奏されることを意識して作った部分もありますか?
伊藤:そうですね、でもどの曲もライブは意識してますね。
イノクチ:これはノリ一発でソッコーでできた、曲の長さと同じくらいの時間でできた曲。やってみたら「1曲できたじゃん!」って。

―へぇ、そんな感じで!個人的には3曲目の『ギャグのセンス』が凄く好きなんですけど。解り易くてシンプルというか。
イノクチ:これも瞬殺でできましたね。
伊藤:最近パンクの曲作ってねぇなと思って、やってみたらできた(笑)。

―じゃぁ全体的に、意識して作っていったというよりもできちゃった感じなんですね。
イノクチ:そうですね、たぶんその時はみんなノリがパンクだったんだと思う。

―最後の『Qeema~ホリングのテーマ~』はインストですけど、やっぱりシングルでもインストが入るんですね。
イノクチ:これは、俺が知らないうちにできてた(笑)。
全員:(爆笑)

―どういうことですか?
伊藤:別に用意してたインストがあったんですよ。それを録ろうと思ってたんですけど、マネージャーに聞かせたら「いいけど、曲を並べた時に雰囲気が合わん」っていう話になって。一旦「じゃぁ(インストは)入れなくてもいいんじゃない?」ってことになったんですけど。その日の夜中、マネージャーから電話がかかってきて「もう一曲作ってくれんかな」って言われて。レコーディングの前々日の夜中ですよ。だから次の日に作るしかなくて(笑)。とりあえず作ったんですね。で、3人で合わせて良かったらやってみようって言って。で、良かったんで収録されました。

―イノクチさんが蚊帳の外ですけど(笑)。
イノクチ:俺バイトしてました(笑)。

―じゃぁレコーディングの現場で聴いたんですか?
イノクチ:そう。「あ、いいじゃん」って(笑)。

―そうだったんですね(笑)。私の中で「hotspring=インストがかっこいい」っていうのがあるんです。今までのどの作品にもインストが収録されてますけど、これは何か意図や想いがあってのことなんですか?
伊藤:単純に、インストの音楽が好きなんで。
イノクチ:自分が好きなバンドの音源にインストが入ってるとちょっと嬉しいから。
三浦:自分達の好きなバンドもやってたりするから、そういう影響もあると思う。

―それは例えば?
イノクチ:THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかザ・ルースターズとかも、だいたい1曲くらいは入ってたり。
伊藤:BLANKEY JET CITYとか。
イノクチ:60年代のバンドも、初期の頃は、A面の最後に1曲くらい入ってたりして。俺はそういうのが好きで。別に何てことないけど、あるとちょっと嬉しいっていうか。

―歌詞を乗せて表現するのと、インストで表現するのとでは何か違いがありますか?
イノクチ:まぁノリでしょ、インストは。雰囲気のかっこよさ。

―初対面でこんなことを言うのは畏れ多いんですけど、歌詞にはイノクチさんの人柄というか、うだつの上がらない感じがでてるのかなって思うんです。
イノクチ:あー、よく言われます(笑)。出てるんでしょうね、良くも悪くも。『THREE MINUTES GOLD』の歌詞は、死ぬ歌ばっかりだなって後から気付いて(笑)。

―確かに。歌詞の主人公がみんなギリギリで。だけど、それがかっこよくみえてしまうのがロックですよね。このシングルの制作中に何か苦労したことはありました?
川越:俺、金縛りにあったんですよ!
全員:(爆笑)
川越:合宿中に金縛りにあったんです。動けなくなって、それで「うおおお!」って言ったら伊藤が「うるせえ!黙っとけ!」って言ってくれて。「はぁ~!助かった~伊藤!ありがとう!」って。ビビりました、相ッ当ビビりました。

―そうだったんですか(笑)。合宿中で良かったですね、助けてくれる人が居てくれて。
川越:そうですね!1人だったらヤバかった。メンバーが居て良かったなって初めて思いました。
全員:(爆笑)

―それで絆が深まったっていうこと?
川越:そうそうそう!

―(笑)。販売がライブ会場限定になってる理由は何かありますか?
イノクチ:超急いでたから。流通に乗せると時間がかかるじゃないですか。

―なるほど、それもさっきも言われてた、早く届けたいっていうことなんですね。今回、紙ジャケっていうのもいいですね。なんかちょっと味があるって言うか。
イノクチ:そうですね、出来上がったのをみるとやっぱりかっこいいなと思いましたね。昔のパンクバンドの7インチみたいな、ちょっと有難味があるっていうか。

―うん、愛着が湧きますよね。今回のシングルに詰まってるものって何でしょう?
イノクチ:今のバンドの勢いを感じてくれたら良いですね。

―何かしらの想いを込めてるって言うよりは、バンドの勢いを。
イノクチ:そうですね。それでそのまま、急いで次に向かえればいいな、と。あんまり考えすぎても仕方がないっていう、今のhotspringはそういうモードですかね。勢い。

―「勢い」っていう言葉が何度も出てきてますけど、それが2015年のテーマなんですね。このシングルの曲たちは既にライブで披露されてるんですか?
伊藤:そうですね、『Qeema~ホリングのテーマ~』以外は。今日(2015.1.11)初めてそれもやってみようかなって思ってます。

―じゃぁそのリアクションも楽しみですね。会場限定販売だと、お客さんが音源を聴いてからライブに遊びに来るっていう感じにはならないと思うんですけど。今回はどういうツアーになりそうですか?
イノクチ:そうですよね。まぁ、はちゃめちゃパーティーツアーになれば。このCDと一緒で、ハッタリかまして、ノリと勢いで。

―その勢いがライブでも発揮されるといいですよね。いろんな場所にライブをしに行かないと手に入れられない人も居るから、是非全国たくさん回ってくれることを願ってます。さっきリハーサルを見させてもらった時に、「照明は全部生(白い照明)だけで」って言われてましたよね。それにちょっと驚いて。
イノクチ:あんまり好きじゃないんですよ、サイケデリックな色が。俺は白だけでいいかな。シンプルでいいじゃないですか。

―照明を凝って演出するバンドもかなり多いじゃないですか。照明さんにいろいろと細かく注文したり。白い照明だけでやりたがるバンドって珍しいなと思って。
イノクチ:そうですよね。まぁでも俺らはシンプルなものが好きなんだと思います。

―あぁそうか、音もそうですもんね、シンプルなものがね。
イノクチ:そうですね、あんまりごちゃごちゃしてない方が。

―その照明でhotspringのライブがどう見えるかなっていう部分にも注目して見てみようと思います。それから、HPを見させてもらったら年末にもまた合宿をされていて、2月にもレコーディングの予定があるとのことですけど、そのレコーディングについて今教えてもらえることってありますか?
伊藤:俺は何も聞いてないっす、そのことは(笑)。

―「やります」っていうことだけ?
川越:全くもって何も決まってない、やるだけです!

―でも曲はあるんですよね。どんな作品になりそう、とか?
イノクチ:ヘビー。ヘビーなアルバム。まだ分からんけど、たぶんこのシングルとは違うものになると思う。
伊藤:まだまとめる作業に入ってないんでこれからです。

―リリース時期もまだ未定ですか?
イノクチ:そうですね、でも早いうちに出したいですね。

―わかりました、じゃぁ今後の情報を楽しみにしてますね。最後に、2015年始まったばかりということで、みなさんの今年の目標を教えてください。
イノクチ:今年はたくさんリリースしたいです。
伊藤:俺はもうちょっと身長を伸ばしたいです。
三浦:俺はストレートパーマをかけたいです。
全員:(笑)
川越:俺はもう金縛りにあわないことです。
全員:(爆笑)

―全然音楽的な目標じゃないんですけど(笑)。
川越:まぁでも、全部(音楽に)繋がってると思いますよ。
伊藤:おー、まとめたなぁ!
イノクチ:かっこいい~!全部金縛りと連鎖しとるん?
川越:連鎖しとる。不安がなくなるもん。

―金縛りがないと順調ってことなんですね、上手くいくように祈ってます(笑)。

『田舎のカーボーイ』

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