最終更新: 2016年9月26日

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神戸発のオルタナフォークロックを鳴らすプププランドが、Yogee New Wavesやnever young beachの作品を生み出した東京のHMCスタジオで新作アルバムを作り上げた。日々の平熱な体温で作られた『Wake Up & The Light My Fire』に込められた 情熱の全貌を、メンバー全員インタビューで迫る!

アーティスト:西村竜哉(Vo./Gt.)、吉川淳人(Gt.)、田中隆之介(Ba.)、谷朋彦(Dr.) インタビュアー:桃井かおる子

-今作をリリースする前、ドラムのトミーさん(富田貴之)が脱退し、谷君の加入が発表されましたが、当時のバンドの状況はどのようなものだったのでしょうか。
吉川:前のアルバムを作ってからほどんと新曲ができてなくて。トミーさんの脱退の話もあって曲作りどころではなかったんですよ。
西村:自然と今の状況やったら新曲を作るのは難しいなって雰囲気はありましたね。
吉川:でも去年の12月31日に谷さんがドラムとして新たに加入して、1月から曲作りを始めたんですよ。1月の時点で曲はないけど、レコーディングは始めようって話になって。夏には出したいなって事で急きょスタジオに入って曲作りを始めて、最初は不安もあったんですよ。3~4ヵ月前にはレコーディングに入るのに曲がほとんどなかったけど、間に合わせることができたのは自分たちの自信になりました。

-アルバムタイトル『Wake Up & The Light My Fire』にはどのような意味が込められているのでしょうか。
西村:このアルバムの最後に「ウェイクアップ・アンド・ザ・ライトマイファイヤー」っていう曲があるんですけど、それがすごくスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「Dance To The Music」みたいな前向きな曲に仕上がって。そういう曲って今までなかったんですよ。メンバーも変わったし、バンドの気分的にも行くぜって感じだったんでこのタイトルにしました。

-前作と比べて今作はとても男らしいアルバムになったと思うのですが、今回はどのようなコンセプトでこのアルバムを作ったのでしょうか。
吉川:今までは竜哉(西村竜哉)が持ってきた弾き語りを聴いてバンドで肉付けしていくんですけど、前のドラマーのトミーさんがいた時は竜哉が持ってきたものを良くしようとしていたんですけど、谷さんはこういうのもあるんじゃないかってバンドアレンジの提案をしてくれて。たなりゅーさん(田中隆之介)もそれに合わせて弾いてくれて、色んなリズムが出て来たんで色んな曲ができるようになったと思います。
谷:「夏」という曲では色んなやり方を試しましたね。レゲエ風にアレンジもしたし。
西村:谷さんが入ってこんな曲もできるんやって事が一番大きいですね。

-そうなんですね。谷君は普段どのような音楽を聴いているんですか?
谷:レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)やレイジ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)が好きなんですけど、僕がプププランドに入ったタイミングで竜哉もそういう音楽を聴いていたんですよ。
西村:今までレッチリは全然聴いてなかったんですけど、偶然そういう音楽にハマるタイミングがあって。そういうマッチョ系リズムの音楽を聴いていましたね。
谷:その延長線上に今回のアルバムがあるから、男らしいって思われたんだと思います。

-アルバムタイトルと同様、ジャケットのイラストもインパクト大ですが、どんな気持ちでこのイラストを描いたのでしょうか。
西村:このジャケットはザ・ビートルズの『Revolver』からの影響もあるんですけど、他にも色んなものから影響を受けていて。どっかのタイミングで自分のハートに火を付けてくれた人たちについて描いていて。ザ・リバティーンズやザ・ストロークスとか音楽的にも影響を与えてくれた人たちだけでなく、マザー・テレサみたいに単純に自分が好きな人もイラストに描きましたね。

-今作のジャケットはメンバー4人の顔がセンターに来ていますよね。自分の顔をジャケットに載せる時は自信作って話をよく聞くのですが、今作への手ごたえはいかがでしょうか。
吉川:確かに今作は自分たちの自信になりましたね。みんな今回のアルバムに関してやりたかった事は全てできたと思います。

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-それでは今回の作品はHMCスタジオでレコーディングしたそうですが、いかがでしたか。またどうして東京でレコーディングしたいと思ったのでしょうか。
西村:踊ってばかりの国をやっていた佐藤謙介さんと知り合いやったんですけど、東京のHMCスタジオでドラムテックをやってるんですよ。しかもそのスタジオは東京の好きなバンドがレコーディングしていた場所だったんで、そこでやってみようと思いました。好きなバンドもレコーディングしているし、自分たちの音にも合うんだろうなと思ったんですよ。

-「東京トワイライト」もその東京でレコーディングしていた時期にできたのでしょうか。
田中:あの曲は3月くらいにできたんですけど、今まで東京遠征してきた思い出をツアーの往復の車内で考えてました。僕が車を運転していた時にみんな寝ていたんでずっと詩と曲を考えてたんですよ。

-「東京トワイライト」は、今作の中で最もロックでありながらとてもポップで、今までのプププランドにはない新しい一面が感じられる曲になっていると思います。この曲はどのようにして作られたのでしょうか。
吉川:最初はたなりゅーさんがこの曲を作って竜哉が歌う予定だったんですけど、歌おうとしても難しくて曲とボーカルが合わなかったんですよ。それだったらたなりゅーさんが歌ったらええんちゃうって事で歌ってもらったんですよ。
田中:こんなにがっつりと歌ったのは初めてでしたね。歌いたいっていうのはなかったんですけど、曲を書いてみたいとは思ってて。他にも何曲か作った曲があるんですけど、今回収録しているのは「東京トワイライト」と「いつでも夢を」の2曲ですね。

-竜哉君は隆之介君が書く曲との違いはどのような所にあると思いますか?
西村:詩は全く違いますし、どっちも内容は抽象的なんですけど、僕の歌詞よりもピントを絞っている感じがしますね。
田中:思ってる事は多分一緒なんですよね。“踊ろう”とか(笑)。
西村:それとたなりゅーさんの曲はコード数も多いし、メロディーも起伏があるから歌うのが難しいんですよ。でも自分にはできない曲なので面白いですね。

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-今回は今までの作品よりも演奏に力強さと竜哉君のボーカルに芯の強さを感じましたが、アルバムを作る上でこれまでよりも意識的に取り組んだ事はありますか?
西村:上手くなろうとはずっと思ってましたね。
吉川:竜哉は今回のレコーディングの時にすごくプレッシャーを感じてましたよ。先に楽器の音を録って最後にボーカルを入れるんですけど、歌入れまでずっと緊張してたよな。
西村:僕はレコーディングが苦手でいつも時間かかってたんですよ。今回のアルバムではやっと短くなりましたけど(笑)。それと今回のアルバムではディレクターの方がいて、スピッツのアルバムをずっと担当している竹内修さんという方に参加してもらってるんですよ。
吉川:竹内さんは曲についてどうこう言うのではなくて、アドバイスをくれるんですよ。例えばボーカルだったらこのテイクが良いかどうかっていうのは今まで自分たちが選んでたんですけど、これが良いって竹内さんが選んでくれたので自信を持ってできましたね。

-音の重なりや声の重なりなど、ハーモニーのメリハリがハッキリしたアルバムだと思います。音作りに関してはどのような事に意識したのでしょうか。
西村:ドラムの音に関しては前回とは全然違う音になっていますね。アルバムの録り方自体、前回とはまったく違うやり方をしていて。今回のアルバムはまずドラムが音の土台の部分を支えていて、その上に他の音が乗っているっていう作り方なんですよ。前回はドラムが奥にあってその手前に他の音があるっていう感じだったんで、良くも悪くも音が軽かったんですよね。
吉川:前のアルバムだったらそういう作り方の方が好きだったんですけど、男らしい音楽を聞いてたんでドラムの音を前面に出したいって思ってて。
谷:自分たちのイメージを伝えて、佐藤さんがそれに合わせたチューニングをしてくれましたね。今までチューニングをしっかりやってこなかったんで、すごく良い経験になりましたね。
吉川:何と言っても今回はとにかくレコーディングがスムーズだったんですよ。リズム隊の音録りの時は1~2回で良いテイクがでてきたり、「東京トワイライト」に関しては曲が7分あるのに一回でOKだったんでチームワークもできてきたんかなと思いましたね。レコーディング中の雰囲気もめっちゃ良くて。

-そうなんですね。良い雰囲気でレコーディングする為に何か意識した事はありましたか?
吉川:前まではみんなの意思を汲み取ってやっていたんですよ。こういうフレーズが欲しいんちゃうかなって感じで。でも今回は分からんかったら直接聞くようにして。今は谷さんが入ってまとめ役をやってくれてて。意見をぶつけても最終的にはまとめてくれるから、みんな言いやすかったんちゃうかな。
田中:前までは音がいっぱいあって色んな所に配置されてた感じなんですけど、今は上手い事混ざってるんですよ。だからコミュニケーションはしっかり取れてたんちゃうかなと思いますね。
西村:僕も楽曲に違和感があればすぐに言うようになりましたね。今までは違和感があっても放っておくことがあったんですけど、今回は妥協せずに作れましたね。
谷:竜哉は感覚的な言葉をよく使うんですけど、それまではあいつ何言ってるんだろうって感じだったと思うんですよ。いくつかバンドを経験してきてボーカルはそういうタイプが多いから、こっちからこういうフレーズの方が近い?ってアプローチしたらみんなにも分かりやすくなるんですよね。だから今回は言葉の意味を汲み取る事を心がけましたね。

-東京で得た経験で一番大きいと思ったものはどのような事でしょうか。
西村:東京のHMCスタジオで今までレコーディングしたものを聴かせてもらったんですけど、やっぱり東京の音楽は僕らと違ってキラキラしてるなと思ったんですよ。でも自分たちの作ったアルバムを聴いて、神戸の田舎の方で作った曲も東京にはない、いなたさがあってこれはこれで良いなと思いました。
吉川:今まで東京に憧れがあったんですけど、神戸でしかできない土臭さみたいな部分も改めて好きだなと思いましたね。

-それではプププランドはバンドとしてこれからどうなっていきたいと思いますか?
吉川:自分たちが良いと思える音楽を作って、ずっとバンドを続けたいですね。アルバムを作って売って、また次のアルバムを作りたいですね。
田中:それができる環境づくりをしたいですね。
谷:それが一番難しいと思うんですけど、頑張っていきたいですね。
西村:僕はバンドとしてかっこよくなりたいですね。あ、これはヤバいなと思えるような存在になりたい。
吉川:そうなる為には自分たちが良いと思ったものを最後まで貫かなあかんと思いますね。

-このアルバムをどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
谷:聴く人は特に限定していないんですけど、色んな人に聴いて欲しいですね。
吉川:このアルバムのジャケットは僕らのイラストが載っているんで目が合った人に聴いてもらいたいですね。でも人間だったらみんなに聴いて欲しいですね。
西村:前回のインタビューの時はフラストレーションが溜まっている人に聴いて欲しいと思っていたんですけど、今回はう~ん・・・。改めてこのアルバムを聴いてみて平熱よりも少し下のような温度感なんじゃないかと思ってて。色んな人の生活に寄り添うアルバムになったんじゃないかと思います。だからまとめると・・・。みんなに聴いて欲しいですね(笑)。前作は焦燥感のある歌詞が多かったと思うんですけど、今作はきゅっとなってる感じ。
吉川:前作の方が深く考えて意味を持たせようと思ってたんですけど、今回はそういう所を聴いて欲しい訳ではなくて。生活していてこういうほっこりする瞬間ってあるよねって曲が多いと思います。

-最後に言い残した事はありませんか?
田中:あっ!自分らのバンドは心のメンチだけは常に切ってます。

-心のメンチ?
田中:東京のバンドみたいに優等生にはなれないんですよ。片田舎のヤンキーみたいな。
西村:そうそう。(BELONGのLUCKY TAPES表紙号を見ながら) LUCKY TAPESがかっこいいブレザーを着てるとしたら、こっちは学ランみたいな(笑)。
田中:神戸の片田舎のバンドだけど、どのバンドにも負けたくないっていつも思うんですよね。
西村:その気持ちはいつもある。
田中:例えばオリンピックに出てる選手も心のメンチをすごく切っているじゃないですか。体操の内村選手とか。

-体操の白井君とかもね(笑)。
西村:『ガンバ!Fly high』って大好きな漫画があるんですけど、内村選手はそれに憧れて体操をやってるらしいんですよ。サッカーでいう所の『キャプテン翼』みたいな。
田中:そうなんや。それは初めて聞いたわ。
西村:中学の頃は部活で試合の時に絶対に負けたくないわと思って心のメンチを切ってましたけど、最近になって改めてそういうの大事やなと思いました。対バンの時とか。
田中:うん。やっぱりどのバンドにも負けたくないよな。

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【ツアー】
10/01(土)@神戸 太陽と虎
10/07(金)@仙台 FLYING SON
10/12(火)@松山 サロンキティ
10/23(日)@東京 TSUTAYA O-nest
10/28(金)@名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
11/11(金)@新潟 CLUB RIVEST
11/19(土)@広島 4.14
11/20(日)@福岡 HEART BEAT
11/25(金)@心斎橋 Music Club JANUS

【Release】
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『Wake Up & The Light My Fire』
2016.9.28.