最終更新: 2020年5月9日

THE NOVEMBERS(ザ・ノーベンバーズ)にとっての最初のフルアルバムである『picnic』。

この作品でロックシーンにTHE NOVEMBERSという存在の足跡を残した。

『picnic』レビュー

突き立てる牙はまるでアイスピックのように細く鋭い。そして真っ直ぐと常識と事実を突き刺す。

この頃のTHE NOVEMBERSの代表曲となっていた「こわれる」や「白痴」はその鋭利な刃先を痛い程感じることができる。

“感性が剥がれている 生活だけが残る”「こわれる」の歌詞より

響き渡るノイジーなサウンド。人間の正気と狂気。生活。道徳の存在を無視した光景に理屈を超えた高揚を覚える瞬間。

喰らいつくように小林祐介の声と楽器たちが叫び倒す。

殺伐とした空気を携えたまま展開されていく中で「アマレット」や「アイラブユー」では、威嚇するように牙を剥くサウンドとは対照的に、優しさと憂いを含んだように一音一音零れ落ちていくように鳴り響く。

まるで白い世界に溶ける愛のように。そして、その二つの姿を同時に見せてくれる「picnic」はこのアルバム名を飾るにふさわしく、彼らの姿が最大限に映されていた。

他のオルタナティブロックバンドに比べ、彼らはティーンエイジから引き継いだ現実と道理への風刺、性別や理性の範疇を超えた綺麗なものへの憧憬が頭一つ飛びぬけていた。

各パートの担い合うメロディーラインや、マイナートーンに乗せる心から直接吐き出された声のようなシャウトとファルセット。

表舞台を堂々と流動するベースとドラムが曲の輪郭を先導していき、そこに人間の不安定な部分をなぞるようなギターとボーカル。

文学的で知的な姿と突き刺したい皮肉が歌詞と音楽に込められていた。

そして、4人それぞれから放たれている殺気のようなものが『picnic』には色濃く反映されている。

当事者でありながら客観的。第三者の刺客。正常とされるものへの牽制と主張が具現化された『picnic』は根源的存在であり、今のTHE NOVEMBERSの礎となっている。それが根を張り、大きくなっていく。(ライター:pikumin 2020年5月7日更新)

リリース

1stアルバム『Picnic』


発売日:2008年6月4日(水)
収録曲:
01.こわれる
02.Arlequin
03.chernobyl
04.アマレット
05.ewe
06.僕らの悲鳴
07.ガムシロップ
08.アイラブユー
09.白痴
10.picnic

最新アルバム『At The Beginning』

『At The Beginning』 Album Cover
発売日:2020年5月発売
価格:¥3,080(税込)
品番:MERZ-0209
収録曲:
1. Rainbow
2. 薔薇と子供
3. 理解者
4. Dead Heaven
5. 消失点
6. 楽園
7. New York
8. Hamletmachine
9. 開け放たれた窓

ライブDVD『美しい日』

THE NOVEMBERS 11th Anniversary FILM『美しい日』
フォーマット:2DVD
Disc1:11th Anniversary & 6th Album Release Live “Hallelujah” at Shinkiba STUDIO COAST(110min)
Disc2:11th Anniversary Documentary(64min)
レーベル:MERZ
品番:MERZ-0107
発売日:2017年4月22日(土)
価格:5,500円(本体価格)

プロフィール

THE-NOVEMBERS/ANGELS

“2005年結成のオルタナティブロックバンド。2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。様々な国内フェスティバルに出演。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、 2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL」 のRED MARQUEEに出演。海外ミュージシャン来日公演の出演も多く、TELEVISION,NO AGE,Mystery Jets,Wild Nothing,Thee Oh Sees,Dot Hacker,ASTROBRIGHT,YUCK等とも共演。

小林祐介(Vo/Gt)はソロプロジェクト「Pale im Pelz」や 、CHARA,yukihiro(L‘Arc~en~Ciel),Die(DIR EN GREY)のサポート、浅井健一と有松益男(Back Drop Bomb)とのROMEO`s bloodでも活動。ケンゴマツモト(Gt)は、園子温のポエトリーリーディングセッションや映画「ラブ&ピース」にも出演。高松浩史(Ba)はLillies and Remainsのサポート、吉木諒祐(Dr)はYEN TOWN BANDやトクマルシューゴ率いるGellersのサポートなども行う。

2015年10月にはBlankey Jet CityやGLAYなどのプロデュースを手掛けた土屋昌巳を迎え、5th EP「Elegance」をリリース。
2016年は結成11周年ということで精力的な活動を行い、Boris,Klan Aileen,MONO,ROTH BART BARON,ART-SCHOOL,polly,Burgh,acid android,石野卓球,The Birthday等錚々たるアーティストを次々に自主企画「首」に迎える。2016年9月に6枚目のアルバム「Hallelujah」をMAGNIPH/HOSTESSからの日本人第一弾作品としてリリース。11周年の11月11日新木場スタジオコーストワンマン公演を実施し過去最高の動員を記録。2017年FUJI ROCK FESTIVAL WHITE STAGE出演。

2018年2月には、イギリスの伝説的シューゲイザー・バンドRIDEの日本ツアーのサポート・アクトを務める。同年5月、新作EP『TODAY』をリリース。”

引用元:THE NOVEMBERS公式HP

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