最終更新: 2020年6月22日

先週4月11日、東京・恵比寿LOQUIDROOMにてHosstesClub主催“CLOUD NOTHINGS JAPAN TOUR 2017”が開催された。

アメリカを代表するグランジロック・バンド、CLOUD NOTHINGSが約3年ぶりに来日。

スペシャルゲストとして、今若手バンドの中で注目を浴びているKlan Aileenを迎えて爆音の夜となった。

2014年発表の『Here and Nowhere Else』以来、3年ぶりとなるニューアルバム『life without sound』をリリースしたCLOUD NOTHINGS。

新たな作品を引っ提げての今回の来日公演。ライブハウスには大勢の観客が、期待の眼差しでステージを見つめて開演を待っていた。

Klan Aileenライブレポート

テキスト:pikumin 撮影:古溪一道(Kazumichi Kokei)

たくさんの拍手で迎えられるKlan Aileen。「On Your Mark」から彼らの演奏がスタートした。

ギターとドラムの二人構成とは思えない膨らみと強さを持つパワーサウンドを1曲目から全開で、観客に挑む。「Astroride」、

「ante」と攻めきっている中、不穏な空気を漂わせる「死の集まり」が始まり、ノスタルジーな歌い上げから一転、Klan Aileenの本性が現れた。

土煙を大きくあげて街が一つ崩壊するほどの衝撃がライブハウスを包み、一瞬にして観客の空気が変わった。Klan Aileenに魅了された瞬間だった。

日本人離れしたダウナーに伸びる歌声、獣のような荒々しく激しいギター、とてつもなく野太い芯を持たせるドラミング。

双方が重さを出すことでミッドからロウにかけてのサウンドが強力となっていて二つの楽器でもバンドサウンドとして成立している上、会場内を轟音で埋め尽くしきっている。

支持が高いナンバーである「Happy Memories」でその勢いをさらに加速させていく。「残り3曲をやって終わります」という言葉と共に始まる「離れて」、「Fog」、「Night seeing」とムーディーさと疾走感を併せ持つメロディが続けてやってくる。

夜闇に獰猛な月が現れてサイレンが響くように爆音で突き進んでいった。身体をしならせ限界まで絞り出される轟音に魅せられ、彼らから目が離せなくなっていた。

「僕らは前座です」そう松山亮はMCで話していたが、ただの前座ではない。

“俺たちがKlan Aileenだ”という強烈な印象を叩きつけ、豪快な音の波を浴びる楽しさを知らせ、次のCLOUD NOTHINGSに繋げた怒涛の30分であった。

CLOUD NOTHINGSライブレポート

そして転換中から観客はそわそわしていた。これから起こる出来事を楽しみに同行者と話す人。ステージを真っ直ぐに見つめて待っている人。

そして待ちに待った瞬間を迎える。 場内が再び暗くなった途端に歓声があがり、人影が見えるとその声は大きくなっていった。

いよいよ、待望のCLOUD NOTHINGSのステージが始まるのだ。

最新作『Life Without Sound』からディラン・バルディの味の滲み出るようなボーカルが気持ちが良い「Up To The Surface」で爽やかな幕開けとなった。

染み渡るようなCLOUD NOTHINGSの世界が広がる。そして次からは彼らの持ちうる限りの魅力をアップテンポなナンバーで全開に示していった。

キャッチーで軽快な「Modern Act」と続く中、以前からの人気のナンバー「Psychic Trauma」で観客のボルテージはぐいぐい上がっていく。

音楽に身体を揺らし、全身でCLOUD NOTHINGSの音を楽しんでいた。

これでもかというくらい彼らの存在を突きつけたまま迎える「Darkened Rings」は脳まで踊っているようなハイな感覚になる程の引き込み方をする。

“これぞグランジロックだ”そう彼らは捻くれのないストレートなロックサウンドで主張していた。

「Enter Entirely」は救いのようなローファイミュージックで、乾いたグランジロックが身体に馴染むように広がっていく。

ニューアルバムのいろんな面を堪能できる時間となった。

その後も新譜と既存曲を挟みあいながら進むと同時にCLOUD NOTHINGSと観客の一体感がどんどん増してゆく。

一つ一つの叫びあがる姿に共鳴してフロアからは支持する腕がまっすぐと伸びていく光景が広がっていった。

炸裂する疾走感あるビートを携えた彼らの音楽はプラスに重ねていくだけでなく引き算を加えて高みを見せてくれる。

それがCLOUD NOTHINGSの強みであり魅力だ。重低音からスタートする「Pattern Walks」はマシンガンで撃ち抜くようなリズムパートたちの威力に圧倒されながらも芯のある爆音に心の奥底から高揚を覚える。

ディストーショナルなシャウトが繰り出される度に、あらゆるところから歓声や感嘆の声が上がった。

ラストスパートを飾るのは聴かせるように紡がれる歌と伝えるために存在する音楽である「Internal World」はオレンジの照明に照らされて夕日の中で彼らは歌い上げているようだった。

そして、今回のアルバムの中でもコアになっているであろう「Realize My Fate」和太鼓のような強いドラムが支えとなり、

マッドなサウンドが地下道から叫び放たれているように会場を包み込んだ。

これが私達の待っていたCLOUD NOTHINGSであった。

MCなしノンストップの1時間。男女合わさった心からの歓声が沸きあがり本公演が終了した。

セットリスト

Hostess Club Presents Cloud Nothings
2017/4/11(火)東京・恵比寿Liquidroom

Klan Aileen

On Your Mark
Astroride
ante
死の集まり
Happy Memories
離れて
Fog
Night seeing

Cloud Nothings

1. Up to the Surface
2. Modern Act
3. Psychic Trauma
4. Darkened Rings
5. Enter Entirely
6. I’m Not Part of Me
7. Sight Unseen
8. Strange Year
9. Stay Useless
10. Things Are Right With You
11. Pattern Walks
12. Internal World
13. Realize My Fate

リリース

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