最終更新: 2020年6月10日

東京・渋谷の喧騒を潜りぬけ、辿りついたのはライブハウスが密集する道玄坂。その一角にあるduo MUSIC EXCHANGEでは、今夜、特別なパーティーが行われる。

80’s・EBMやダンサブルなニューウェイヴが流れる場内に、スモークにまどろむ青い光に照らされたステージ。

徐々に賑わい始める会場で黒いアイテムを身に着けたファッショナブルな人たちが多く見受けられるのは、やはり出演メンバーたちのファッションセンスに感化されたものと思われる。

そして、この3バンドが集まると思うと、黒いものを身に着けて観に行こうと不意に考えてしまうのだ。

BODYとは

テキスト:pikumin 撮影:創-sou-

それほどに影響力がある3バンド。そして彼らが一堂を会すイベント”BODY”。

思いのままに踊れる楽しいパーティーはもちろん、出演者たちが互いが仲間として、ライバルとして今を見せ合う場でもある。

2月7日、約1年ぶりの開催となる”BODY”は、まさしく彼らが何かに化ける最中に開催された。

PLASTICZOOMSは”これからの自分たちにとって重要なものを込めた”としてシングル『MINDS』をリリース。

数少ないライブの中でも主催イベントや様々なアーティストとコラボなど毎度新しい試みに挑むLillies and Remains。

そして、THE NOVEMBERSは自身初のベストアルバムをリリースして新たな旅へスタートを飾った。

それぞれが新たな道を打ち出しながら進む最中に開催された今夜の”BODY”。

果たして彼らは一生に一度しかないこの夜に、何を見せてくれるのだろうか?

PLASTICZOOMSとLillies and RemainsとTHE NOVEMBERSの3バンドが全身全霊で挑む”BODY”を各バンドごとにレポートし、盛大なパーティーの様子をじっくりお届けしようと思う。

PLASTICZOOMSライブレポート


場内の照明が落ちた瞬間、警報のように鳴り響く爆音のSE。その中を堂々とした姿勢で限りない情熱を引っ提げ、ステージに登場したのはPLASTICZOOMSだった。

赤いロングのアウター、赤いタートルネックシャツ、赤いパーカーにスウェットと、各メンバーそれぞれ、真っ黒の中に赤いアイテムをひとつ取り入れる今回の衣装。

それだけでなく、全員が統一したファッションだった以前に比べ、モードだったり、またはスポーティーだったりと、それぞれジャンルの違うファッションなのも興味深い。

殻を破って突き進む彼らの姿勢、思想がこだわりのある衣装にまで反映されているかのように感じ取れるのは、ファッションアイコン的存在であるPLASTICZOOMSならではだろうか。

「踊れ!」という合図と共に小刻みに身体を揺らし踊るSho Asakawa(Vo.)が、観客の心に火をつける。

緑青赤を繰り返す照明とサイレンのようなシンセの上昇音を合図にスタートを飾る「Frontal Attack」が始まった。

キメの音に合わせて振りかざす手、シャウトを合図に開放される魅惑的なグルーヴ。ステージ上に存在する人と音楽、すべてが共に息を吸い、共に息を吐くように一体化していく姿を目の当たりにし、観客も徐々に引き込まれてゆき、身体を大きく揺らしはじめた。

「楽しむ準備はできてますか?」そう投げかけたあと、一息つく間も与えず「The Future」、「Quite Cleary」と、

昨年発売されたセルフタイトルアルバム『PLASTICZOOMS』の曲順に沿って、エネルギーに満ち溢れたパワーナンバーを立て続けに披露。

ヘヴィーな重低音と飛び道具のようなギターとシンセサウンドがステージを駆け巡る中、音楽を、そして自分をぶつけるように、マイクスタンドを大きく振りかざすSho。

その姿に感化された観客は彼に続けと言わんばかりに続々と手を上げて応える。

そして確実に、心に灯った火を激しく燃え上がらせたのは、ライブではお馴染みの「TO CUT A LONG STORY SHORT」。

大の見せ場であるJun Yokoe(Ba.)のベースソロでは人々は見入り、ブレイク明けと同時に場内は活気に満ち、歓喜は大きく踊り始めた。

「めちゃくちゃ久しぶりのBODYですね。」場内が熱い空気に満ちたところでMCを挟み、昨年再録された「Pink Snow」を紹介する。

なんといっても、今夜のBODYでは音源でもコーラスで参加しているTHE NOVEMBERSの小林祐介とLillies and RemainsのKENT(Vo.&Gt.)が実際に「Pink Snow」を歌うというのだ。

登場するなりKENTが「ヘーイ!」と言うと場内に笑いが起きたり、とてもリラックスした空気に包まれる。

BODYを繋ぐフロントマン3人の共演、そして新・Pink Snowというビッグイベントが始まる。

PV同様のピンクカラーに染まる景色の中、小林もギターを弾き、しんしんと降る雪のようなきらめきを降らせるようなコーラスサウンドに心がじんわりと温まっていくよう。

前「Pink Snow」よりも角が丸くなりマイルドになったのは、互いを見つめ呼吸を合わせるような密接したバンドアンサンブルが活きているからだろう。

また、小林とKENTのコーラスが入ったことでより幻想的で、儚い世界が広がっている。

「Pink Snow,Pink Snow…」とそれぞれ異なったキーで重ねる三重奏を何度も繰り返していくところはとてもあたたかい孤独や冷たさを孕んだ印象があったPink Snowがとても心穏やかな、優しい曲へ変化しており、この曲が本来持つ広い世界を更に拡大して実現させていた。


続けて、会場限定シングルとして発売した「Minds」を披露。前半での激しく勢いの良い雰囲気とは一変、Shoはしっかりとマイクを握りしめ、ひとつひとつの言葉を大切に伝えるように歌う。

打ち込み音とバンドアンサンブルを絶妙に交えながら、ひとつずつ確実に盛り上げを重ねていく展開にPLASTICZOOMSの新しい姿を強く映しているようだった。

そんな彼らの心の内と信念を見せたあとは、ラストスパートをかけるようなアップテンポな曲を連続で披露する。

Tom Takanashi(Gt.)のエッジの効いたギターサウンドが活きるダンスナンバー「VEILED EYES」、魅惑的な低音ボイスから腹の底からひねり出したシャウトと静と動が共存する「CRACK」。

EBMを強く感じるエレクトロサウンドとロックなメロディが掛け合わさってムーディーな空気を作り出す「SMOKE MOTION」と続き、会場のボルテージがぐんぐん上がっていった。

最後を飾る「RAVEN」で、最後まで衰えないアグレッシブなサウンドアプローチとドラマチックなメロディで、限りないエネルギーを全て解き放つように怒涛の展開を見せる。

PLASTICZOOMSの今と、尽きることのない情熱と野心を、その声と音に宿す圧巻のパフォーマンス。

「二度と同じ時は訪れないから、今夜を精一杯楽しんで」そう伝えるように、熱い視線を最後まで観客に向けながら、彼らはステージを去った。まだパーティーは、始まったばかり。

THE NOVEMBERSライブレポート

Lillies and Remainsライブレポート

PLASTICZOOMセットリスト

2018/02/07 BODY@渋谷DUO MUSICEXCHANGE

  • FRONTAL ATTACK
  • THE FUTURE
  • QUITE CLEARY
  • TO CUT A LONG STORY SHORT
  • PINK SNOW
  • MINDS
  • VEILED EYES
  • CRACK
  • SMOKE MOTION
  • RAVEN