最終更新: 2019年1月1日



バンドのキャリア史上、最も長い約8分の大作となったHAPPYのシングル『WOWWOW』。実はバンドのキャリアと同じく約6年の歳月をかけて生み出され、いくつもバージョンのある楽曲でもある。この曲を聴く事は、彼らの6年間の集大成に触れられると言っても過言ではない。では彼らはどのような試行錯誤を経て、この作品に辿り着いたのか。過去の貴重なデモ音源も聴かせてもらいながら、3回に渡り『WOWWOW』の秘密に迫る。一回目の内容はこちら。二回目は物販にて先行販売中のスペシャルZINEに掲載。
アーティスト:Alec(Gt&Vo)、Ric(Syn&Vo) インタビュアー:yabori 撮影:Syu
-ではこのシングルのベースになった10曲を教えてもらっていい?
Alec:10曲で順番も考えてきました。
Ric:(スマホを取り出して)こういう感じになってます。
-(リストを見て)古い時代のバンドだけでなく、最近のバンドも入っているのがHAPPYらしいよな。じゃあ1曲目のYES「Sweetness」はどういう部分が今回のシングルにつながってるん?
Ric:まずこの10曲のプレイリストは直接影響を受けたというか、制作した時期によく聴いていた曲も含まれていて。YESはコーラスの感じに影響受けました。


-じゃあ2曲目のドアーズ「Rider on the Storm」は?この頃のドアーズって自分たちのルーツミュージックに回帰していた頃やね。
Alec:影響を受けたのはキーボードの感じやんな?
Ric:そうやな。この曲も制作中によく聴いてて。全体の雰囲気として参考にしましたね。
-3曲目はアルト・ジェイの「3WW」っていうのは意外やったな。しかもちょっと前に出したアルバム『リラクサー』の曲やからこのリストの中ではかなり新しい曲っていう。
Ric:最新アルバムの中でもこの曲が特に好きで。落とす所はしっかり落として、無音の所もいくつかあるしな。
Alec:音の抜き感がすごく良かったですね。
-そしてヴェルヴェッツ(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)の「毛皮のヴィーナス」なんやけど、これはやっぱりそう来たかって感じやね。
Alec:ヴェルヴェッツの1st『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』が音楽とアートの融合っていうのを一番感じます。ホンマに名盤過ぎるし、ロックのバイブルだと思います。
Ric:楽曲のバラエティもあって、統一感もあるっていう理想的な一枚ですね。
-このアルバムはとにかくバランスがすごいよな。当時、ヴェルヴェッツのパトロンだったアンディ・ウォーホルの思い付きで突然、シンガーのニコを放り込まれた訳やから、ルー・リード的には「え!?マジっすか?」って感じだったんじゃないかな(笑)。計算でこれはできんよな。そして次はピンク・フロイドの『狂気』の中の曲やんな?
Ric:これはアルバムを通してどサイケやな。
Alec:やっぱり僕ら好きやったんや、ピンク・フロイドって思いましたね。


-俺は初期のピンク・フロイドは好きやけど、この時期のものはあんまり分からんから、どういう部分が良かったか教えて欲しい。
Ric:最初、僕らもシド・バレットがいる頃のピンク・フロイドが好きだったんですよ。
Alec:1stアルバム(『夜明けの口笛吹き』)ばっかり聴いていたんですけど、このアルバム(『狂気』)は最初、中学の時に聴いたんですけど、良さが分からなくて。そんな時にどこかの記事で“このアルバムは20年後に絶対に聴いてみろ”って書いてあって、騙されたと思ってもう一回聴いてみたら、本当にぶっ飛んで。ほとんどのサイケバンドがこのアルバムから影響を受けとるなと思いましたね。
Ric:日本でもオリコンの売り上げランキング2位に入ったアルバムだったらしくて。このアルバムが当時、初登場2位をとれるんだっていう驚きがありましたね。
-このアルバムって驚異的なロングセラーだったらしくて、今でもじわじわ売れてるんらしいで。
Alec:このアルバムは時代を選ばないというか、今でも新しい音楽みたいに聴こえますね。アルバムが発売されたのが1973年なんですけど、当時、こんなに革新的な事をしてたんやっていう。
Ric:モジュラーシンセのリズムを多用しているんですけど、この時代にこんな事ができたんやっていう驚きがありました。
-次はビートルズ『リボルバー』の「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」やな。
Alec:この曲は歌詞で影響を受けましたね。ジョン・レノンが『チベット死者の書』っていう本に影響を受けてて。死後の世界やマントラが出てきて、一生をかけても語りつくせない本だと言われていて。そこに影響を受けたっていう意味でリストに入れました。
-次はグレイトフル・デッドの「Morning Dew」でライブバージョンやな。このバンドってめっちゃライブ音源多いらしいな。ファンが録音しても大丈夫っていうのを聞いたことがあるんやけど。
Alec:ライブで公式の録音コーナーもあったらしいですよ(笑)。
Ric:Apple Musicでもライブ音源ばっかりやな。この曲はボブが「WOWWOW」に合うんじゃないかって持ってきて。その時にChewとSyuは違うって言ってたんですけど(笑)。二人がその曲よりもこっちやろって言ってたのがさっきも出てきたヴェルヴェッツの「毛皮のヴィーナス」で。
Alec:「WOWWOW」がどっちの路線にいくかっていう分岐点だったんですよ。ボブはもっとグレイトフル・デッドみたいな楽器の使い方をしたら良いんじゃないかって言ってて、一方でChewとSyuはアート寄りにする方が良んじゃないかって言ってて。
-俺がさっき聴かせてもらった昔の「WOWWOW」はまさに「毛皮のヴィーナス」やったけどな。結局、どっちの路線を取る事にしたん?
Ric:その話は水掛け論に終わったんですけど、両方の意見を聞きつつ曲を詰めていきました。
Alec:どっちの方が良いかっていう事はあんまり深く考え過ぎないようにしました。もちろんどちらの曲も聴いたんですけど、結局は僕らの音楽だっていうのに落ちついた。
-なるほど。この曲がけっこうキーになった訳やな。次の曲は知らんのやけど、どういうバンドなんかな?
Alec:Weird Bloomっていうビートルズみたいなローマのバンドで、「Guardian of the Men」っていう曲ですね。最近出てきたバンドなんですよ。これは曲に影響を与えたわけではないんですけど、制作時期によく聴いていましたね。全体的にこの中に「WOWWOW」を入れても合うようなプレイリストを考えたんですよ。
Ric:憶測ですけど、彼らもサイケや60~70年代の音楽を聴いて作っているんだろうなって思いますね。
Ric:自分たちとルーツが似ているんだと思います。
-次のアーティストも知らんかったな。これはどういうバンド?
Alec:Uniっていうショーン・レノンがプロデュースしているニューヨークのバンドで。ただただ好きっていう理由で入れました。
Ric:「What’s The Problem?」は自然と刷り込まれるくらいめっちゃ聴いてたな。この曲は全く意識したわけではないんですけど、聴いてた回数が回数なんで(笑)。
Alec:有りそうでなかったというか、聴いていて新鮮だと思いましたね。アップグレードされたグラムロックっていう感じで。
Ric:MVもよく見ていたんですけど、グラムロックが進化したらこんな感じなんかなっていうのが伝わってきて。


-じゃあ最後がドアーズの「The End」っていう決めにいった感満載のチョイスの理由は(笑)?
Alec:このプレイリストの最後と言ったらこれしかないでしょ(笑)。具体的にどこに影響を受けたのかは分からないんですけど、これも聴きまくった曲なんでどこかしら絶対に影響を受けている部分があると思います。
-新曲に通じるのは長くても飽きないっていう部分なんじゃない?
Alec:それもあるかもしれないですね。
Ric:僕がこのバンドに入って初めてこの感じでいきたいって思ったのがこの曲だったんですよ。当時、まだChewが入る前でひたすらドープでダークな曲ばっかりやっていて。その頃からいつ聴いてもかっこいいなと思える曲ですね。
-なるほど。まとめると「WOWWOW」って60年代っぽさもありながら、新しさもあるっていうのはこのリストがよく表していると思うし、全ての曲がサイケに通ずるっていう。ドアーズの「Rider on the Storm」がサイケかどうかは微妙なところやけどね。
Alec:僕らの中ではデリックですね(笑)。最初、「WOWWOW」のイメージは砂漠だったんですけど、いざ完成すると森っぽさも出てきた感じはありますね。そこが「Rider on the Storm」に近いですね。砂漠つながりで!
Ric:僕らは新しい音楽を探りつつ、同時に昔の音楽も並行して聴いているんですよ。
-それがこの曲にモロに出とるよね。前作の『Stone Free』は古い時代の音から始まって、どんどん新しくなるけど、「WOWWOW」は1曲でその両方を表現できたんじゃない?
Alec:確かに。今の僕らのモードが出せた曲だと思いますね。この曲はシングルなんですけど、約8分もあるんでこの1曲だけでちょっとしたEPみたいに聴けなくもないと思います。今思えばリリースするタイミングも絶妙だと思います。この曲を作った当時はまさかこういう形の曲になるとは誰も思ってなかったんですよ。当時の僕らがこの完全版聞いたらどう思うかな。
-それでは最後にこのシングルをどんな人に聴いて欲しい?
Alec:前から僕らの音楽を聴いてくれた人たちにも聴いて欲しいし、この曲で僕らの事を知って欲しいとも思います。そこから新しい所にどんどん広がっていって欲しいと思う。それは『Stone Free』の時と同じです。
-じゃあ『Stone Free』の時とは違って、もっとこういう人に聴いて欲しいなっていう部分は?
Ric:何回も聴いて欲しいっていう気持ちがありますね。一回聴いて好きになる人と、分からんかったっていう人がいると思うんですけど、1時間後でも1週間後でも10年後でも聴く度に良さが分かっていく曲だと思うんですよ。
-一回聴いても分からんかったらピンク・フロイドのように20年後に聴いて欲しいと(笑)。
Alec:それいいっすね(笑)。
Ric:聴けば聴くほど良さが分かる曲だと思うんですよ。
Alec:何回か聴かないと何をやっているか分からないかもしれないですね。ミックスを含めてこんなことをやったんやっていう聴くたびに驚きがあると思う。
Ric:一回聴いてその時は何も思わなくても、いつか聴くように取っておいて欲しいですね。

【Release】

『WOWWOW Special ZINE』
※物販先行販売
発売日:2018年3月20日(火)
フォーマット:A3特殊紙印刷
価格:500円
発売元:BELONG×HAPPY
発売先:
2018年3月30日(金)@東京・新宿MARZ
2018年4月1日(日)以降 BELONGのWeb Storeにて販売

『Unplugged in My Room』
※100部限定発売
発売日:2018年4月27日(金)
フォーマット:カセット
価格:後日発表
収録予定曲:
01. Run Run Run (Acoustic)
02. Stone Free (Acoustic)
03. Mellow Fellow (Acoustic)
04. Come With Me (Acoustic)
05. Swinging Singer Star (Acoustic)
【Release】

『WOWWOW』
発売日:NOW ON SALE
フォーマット:CD
価格:¥1,080(税込)
収録曲:
1.WOWWOW
2.WOWWOW(Instrumental)
※WOWWOW(Instrumental)はCDのみ収録
【Live】
『WOWWOW』リリースツアー
2018年3月30日(金)@東京・新宿MARZ(BELONG物販有)