最終更新: 2020年6月20日

ロサンゼルスを拠点として活動するWild Nothing(ワイルド・ナッシング)が、自身4枚目のアルバムとなる『INDIGO』をリリースするという知らせが届いた。

Wild Nothingとは

Wild Noghing
ジャック・テイタムによるソロプロジェクトとしてはじまり、始動してからも間もなく自身のデモ音源がインディー界隈で話題となり、ブルックリンのレーベル キャプチャード・トラックスと契約を果たす。

デビュー翌年の2010年にリリースされたファーストアルバム『Gemini』は人気を博し、ピッチフォーク・メディアが掲げる同年のベストアルバムリストに選出され、たちまち注目を集めることとなった。

2013年にはサポートアクトにザ・ノーベンバーズを迎え、初来日公演を敢行。チケットはソールドアウトし、特別な一夜を刻んだ。

2016年にリリースされたサードアルバム『Life of Pause』から2年半経った今年の夏に、新譜『Indigo』がリリースされることとなった。

『INDIGO』

アリエル・ピンクやギャング・ギャング・ダンスなどの音楽制作に携わり、自身もバンド・ヴァイオレンスとして活動するホルヘ・エルブレヒトをプロデューサに起用した今作『INDIGO』は、ワイルド・ナッシングが綴る色褪せない80年代ポップへの憧憬なのだ。

基盤は正統派ポップミュージック。シンプルで鮮やかなリズム・セクションに、明確なメロディラインや繊細なコーラスワーク。

80年代ポップミュージックらしい耳あたりの良いキラーチューンが揃っている。

管楽器やキーボードを交え、盛大でドラマチックな楽曲が多い中、胸をぎゅっと締め付けられるような切なさも必ず漂わせている。

ザ・スミスやザ・キュアーの楽曲にも存在する爽やかで明るい曲調なのに、どこか切なくて哀愁が漂う独特の感覚。

それはこの時代のポップミュージックの魅力のひとつであり、彼は”欠かせないもの”として表現しているのだ。

M-1「Letting Go」から見せるフレッシュなバンド・サウンドとストレートなアプローチはワイルド・ナッシングらしさを象徴している。

みずみずしいギターサウンドに、儚げなジャックの歌声、軽やかなメロディ。透き通る音を集めたアンサンブルが、何にも囚われることなく駆け抜けていく。

身体がふわりと浮くようなドリーミーな音像と程よい疾走感に、ワイルド・ナッシングがドリームポップバンドと言われる要因が感じ取れるだろう。

ただ、彼がこだわるのは多様的なポップミュージックそのものにある。ポップミュージックこそ、ジャンルレスでありボーダーレスなのだと、そう証明するのが今作『Indigo』。

例えば、M-3「Partners In Motion」ではアリエル・ピンクを彷彿とさせるようなしっとりとしたベッドルームミュージックのような甘くまろどろむ世界を垣間見せ、M-6「Through Windows」では管楽器を大々的に取り入れた華やかな曲展開にムーディーなグルーヴを重ねたドラマチックな雰囲気は、ティーンエイジ・ファンクラブにも近しい。

ひとつの顔が、表情を変えていくように、アルバム後半にかけて曲のテイストが変わっていくのも楽しみのひとつだ。

どこか懐かしく感じる甘いメロディと、華やかなサウンドで描く純正ポップミュージックが集う『Indigo』。

ありあまるほどの、ポップミュージックへの憧憬を詰め込んだ今作は、輝きに満ちている。

自由で伸び伸びと響く音楽たちは、80年代ポップミュージックの変わらぬ良さを見せながら、 自らの美徳を貫く凛々しさを映している。

そして、リスナーの見ている世界をも輝かしいものへと変化させてくれる。

『Indigo』を聴くと、美しい景色が見たくなる。青い空、青い海、鮮やかな街並み、緑あふれる木々。 甘酸っぱくきらめく音と澄み渡るジャックの歌声は 、心を躍らせ、足取りを軽くさせる。どこまでも歩いていけそうなくらいに。

そんな根拠のないワクワクを与えてくれるポップミュージックの魔法を、今作が教えてくれるのだ。 (pikumin)

リリース


『INDIGO』
2018.8.31 ON SALE
品番:OTCD-6463
その他:世界同時発売、解説/歌詞/対訳付、日本盤ボーナス・トラックとして全曲のインストゥルメンタル・ヴァージョンを収録
発売元:ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ

【Magazine Vol.24 Digital ver.2.0】
ワイルド・ナッシング『INDIGO』のインタビューを掲載
形式:デジタル版(PDFダウンロード)
発刊日:8月25日(土)発刊予定
発売先:BELONG Web Store(http://belong.shopselect.net/)

YouTube