最終更新: 2014年1月3日

みんなで良いものを作ろうっていうのが、今までよりも強いからだと思います。次作るのは今まで最高のものじゃないと嫌だなと思ってたんで。それを突き詰めた結果ですかね。

アーティスト:イノクチタカヒロ(Vo.G ) 、三浦章宏( G.Cho ) 、伊藤コウスケ(B.Cho)、川越俊輔(Dr.Cho)  インタビュアー:yabori

-今回のアルバムを聴いた時にMO’SOME TONEBENDER(以下モーサム)の『SUPER NICE』を思い出しました。このアルバムは自分の中で音楽にのめり込んでいった入り口みたいなもので。きっと今回のアルバムを聴いてロックに夢中になる人もいるんじゃないかと思わせる偉大な作品だと思いました。今回のアルバムは特に自信作というか、ふっきれた感じもあって自信に満ち溢れている気がします。今作への手応えはいかがでしょうか。
イ:めちゃめちゃ良いのができたなって思いますね。
三浦章宏(以下ミ):今日来るときに聴いてたんですけど、改めて聴いてもかっこいいアルバムができたなっていう手応えがありました。

-「FADE AWAY」はルースターズのカバーですよね。アラバキでも好評だったと思うんですが、これが入っているってことは今回のアルバムはかなり気合が入っていますよね。
イ:そうですね、アラバキからの流れで「FADE AWAY」もやってみようかっていう。高校の時からみんなで演奏していた曲だったんで、自然とできたかなと。ルースターズの1st,2ndはほとんどの曲をカバーしていて。

-この曲はもうhotspringの曲というか、自分たちのものにしちゃってる感じがありますね。まさにイノクチさんが歌うべき歌というか。
イ:この曲は自分たちの基礎というか、お手本の一つみたいなものなんで。

-今回のアルバムは浅井さんからも褒められたそうですね。
イ:凄い良かったよって言ってくれて、頑張ったなって。
伊藤コウスケ(以下伊):周りの人もビックリしていました。エンジニアさんもあの浅井さんがって喜んでくれて。

-じゃあ今回のアルバムは格別なんじゃないですか。
伊:マネージャー含め、周りの人がみんな喜びましたね。

-今回のアルバムは音が凄く良いと思っていて、特にドラムの音がクリアに聴こえる気がします。レコーディングで何か工夫とかしたのでしょうか。
伊:エンジニアさんにお任せしましたね。
イ:ドラムの音を作るのは良いなと思っていて。クリープ・ハイプやKANA-BOONを手がけている采原 史明さんという方で忙しい人なんですけど、何とか合間を縫ってやってくれて。
ミ:今回のアルバムは曲調がけっこう幅広かったんで、エンジニアさんも一曲ごとにこだわってやってくれて。大変だったそうなんですけど、仕上がりは俺らも満足していますね。

-確かに、今回は一つ一つの曲に個性がありますよね。「BAD SUMMER FEELING」とかスカっぽいテイストの曲で面白いと思います。
イ:クラッシュがやってるようなフィーリングを出したくてやりましたね。ファンクとかも好きなんですよ。
伊:それこそルースターズの「Rosie」とかもそうじゃないですか。

-黒人音楽的な要素もアルバムに出てきてますよね。
伊:やりたいことはやっぱいあるんですけど、まとめるのが難しいんですよ。スカもそうだし16ビートもあんまりなかったし、「Baby Baby」とかも。やりたい事が形にできたかなっていう。
イ:昔は技術的にやりたくてもできなかったというか。自分らなりに今までなかったものを消化して、自分たちの音楽をできたかなっていう。

-やりたかったことに技術が追いついて来たという事ですよね。
イ:それまでは選択肢になかったというか、やってみてダメだねというような感じで終わっていて。それができるようになってきたのかなっていう。
伊:年々レコードやCDを買うじゃないですか。5年前はパンクのレコードしか持ってなかったけど、今はソウルやレゲエを聴いてみたり、聴くものが増えるにつれやりたい事も増えていきますね。今回は自然とできたかなっていう。

-「銀行強盗」の歌詞は映画みたいな世界観があると思いますが、この歌詞はどこから来ているのでしょうか。
イ:「俺たちに明日はない」とかアメリカン・ニューシネマが好きなんで。高校の時にその辺の映画をたくさん見てましたね。それ以外ではたけし(北野武)映画とか。「アキレスと亀」は最高ですね。
伊:毎日のように映画を見ていた時期がありましたね。園子温や西川美和さんとかも好きで。「愛のむきだし」はめっちゃ面白いですね。

-映画以外でもストライプスがお気に入りって言ってましたね。
イ:最近の洋楽が面白いなと思っていて、パルマ・ヴァイオレッツも聴いていますね。今年は洋楽が面白かった。
伊:最近のはあまり聴いていなくて、今年買ったのはストロークスくらいですね。
カ:俺もストライプス聴きますね。
ミ:(イノクチが)やたら興奮してたんで(笑)。ヤバー、ヤベーって言ってて(笑)。聴いた方がいいっつーか、買いに行けみたいな(笑)。そこまで言うなら買ってみようかという事で、聴いたらやられましたね。むっちゃかっこいいです。日本のミュージシャンも彼らの事を絶賛していますよね。コメント見てもマーシー(真島昌利)のような大御所も書いていました。

-アルバムに話は戻りますが、「JUKE BOX」って曲の歌詞はモーサムの「We are Lucky Friends」みたいで面白いです。
イ:うん、そういう曲が作ってみたいなと思っていて。モーサムは高校の時に俺らの中で大流行しましたから。ロッキンルーラーが青春みたいなもので、ライブにも行きましたね。九州の大先輩ですよ。

-「ケンタッキージェントルマン」はサックスの音が入っていますね。これはどうして入れようと思ったのでしょう?
イ:最初から入れようと思っていなくて。急にマネージャーがサックス入れるからって言って、俺らが時々行くバーのマスターを連れてきて。サックスできる人なんで、演奏している横で音を入れてもらって、結果かっこ良くなってましたね。

-「BABY BABY」は“命がふたしかに揺れる”って表現が面白いと思います。
イ:この曲の歌詞はすぐにできましたね。
伊:これが今回のアルバムの中で一番最初にできた曲じゃないかな。
イ:そう。この曲は入れるか入れないか迷ったんですけど、録ってみたらめちゃめちゃ良くなったなっていう。
伊:難しいんですよ、演奏するのが(笑)。
イ:俺ら早い曲は得意だけど、遅いのを演奏するのが苦手で。丁寧に演奏出来なくて、レコーディング前に何度も練習しましたね。

-アルバムに広がりがでましたね。
イ:『VOID』はミニアルバムだったし、投げっぱなしで曲は2分半以内に終わるんだみたいな。それはあの時出来たし、今回は色々やってみようかなっていう。

-そうなんですね。「ゴールド」は今回のアルバムの中でも本当に素晴らしい曲だと思います。歌詞も「成人式なんか行かずに手首掻き切って死んでやる」って。
イ:子供が聴いて興奮するようなことを歌おうと思って。ロックのマーケティングの対象は中二(中学2年)ですから。今の中二ってロック聴いてないと思うんですけどね(笑)。ロックって大学生が聴いているってイメージで、イベントに出ても大学生が中心みたいで。

-中学生を刺激しないと面白くないですよね。
伊:その辺をずっと攻めてたんですけどね(笑)。
イ:俺らが大人になっちゃったんで、今は下の目線で歌ってるんですよね。今回の曲の歌詞を書くときに、自然とそう思ってきて。

-何か心境の変化があったんですか?
イ:みんなで良いものを作ろうっていうのが、今までよりも強いからだと思います。次作るのは今まで最高のものじゃないと嫌だなと思ってたんで。それを突き詰めた結果ですかね。
カ:前より良いものをというのは、毎回ですね。
イ:自分で勝手にハードルを上げているというか。気持ち良くないじゃないですか、置きにいった感じというのは。この辺で大丈夫だろうというのは、嫌だなと思っていて。
伊:あとは売れてくれれば(笑)。
一同:(笑)。
イ:セールスに結びつけば言う事はないですね、ホント売れてくれよって。『VOID』も手応え感じてたんだけど、イマイチだったからな。今回はホント売れてほしいなって。

『THREE MINUTES GOLD』

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