沼田壮平によるソロユニット、OLDE WORLDE(オールディ ワールディ)名義で3枚目の作品『The Blue Musk-Oxen』が、前作から2年半振りに生み出された。プロデューサーにはロサンゼルスのBrad Wood(スマッシング・パンプキンズ、トータス、シー・アンド・ケイクス、ピート・ヨーン、サニー・デイ・リアル・エステイトなどをプロデュース)を起用し、レコーディング&ミックスが行われたという。

NTTドコモのCMソングとして話題になったリードトラック曲「Thinking About You」を含む全12曲。このリードトラックを聴いて、おそらく「一体どこの外国人の歌声だろう」と思った人は少なく無いだろう。かくいう私も、「Mew(デンマーク出身の3人組オルタナティヴ・ロックバンド)のボーカルの人のソロ作品か?」などとちょっとありえない想像を膨らませるほど、日本人離れした歌声に聞き惚れた一人だ。

本作の主役はもちろん、その独特な柔らかさを持つ声。今作に入ったどの音よりも心を強く掴み、時にその声は重なりあうことで独特の空間を広げていく。

だが、その歌声に合わせるかのように、「Thinking About You」でのシンセサイザーやドラムのパッシブな打撃音、「No One’s Gonna Be」でのエレキを持ち出したアルぺジオ、「Good Boy」で炸裂するどこかシューゲイザーを遠景に見たギターサウンドに至るまで、隅々まで「音が丸い」。声と楽器が互いが支え合うように音世界を広がっていきながら、音そのものが放つアタック感やリズム感は弱さによって、本作にどことなく浮遊感のあるサウンドが充満している。ここ数年のアイドルブームなどの「トガッた音」ばかりが目立つ現況に対し、本作はまさにスッと差し出されたオルタナティブ・ミュージックのように見える。

【Writer】草野 虹(@grassrainbow)
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