後藤正文(Gotch)、3枚目の7inchシングル。これまでの2枚のEP「LOST」、「The Long Goodbye」は東日本大震災後の時流に、ピンポイントで響くフットワークの軽い作品だった。今聴いてほしい曲として時代の徒花になることも厭わない、その時の空気を真空パックしたような2曲。<まるで僕らは初めから全てを失うために生まれたみたいだな(LOST)>などの辛辣な詞もTHE FUTURE TIMESなど社会への考えを深める活動で説得力を増し、震災の記憶と同じく、未だに風化せず胸を締め付ける。現在もSoundCloudで3月11日から1週間限定で「Route6」が公開されており、こちらも歌で記憶を繋ぎ止める試みの一つであろう。

それを踏まえての本楽曲であるがこちらはソロ名義での初アルバム『Can’t Be Forever Young』の先行シングルとあって意味合いは少し違う。昨年のNANO-MUGEN COMPILATIONにASIAN KUNG-FU GENERATION本体で収録されているBeckの「Loser」カバーの路線をさらに深めたようなアコギフレーズ、スライドギター、スクラッチ音で構成され、坦々としつつもグルーヴィ。タイトルの“不思議の国”とは矛盾に溢れる我が国日本を揶揄したものであろうが、歌詞では<出口なき闇をさすらえよワンダラー(旅人)><夢のような そんな話はないぜ/なびくなうつむくなヌルく集って輪になるな>とこんな世界の中でも弛まず生きろというGotch版「Life gose on」になっている。前2作が人の心に寄り添う感傷的なものだったところからしっかり未来を見据えるような、心構えとして次のフェーズに進んだような印象だ。THE FUTURE TIMESやレーベルonly in dreamsの活動は単なる一ミュージシャンの動きではなく、震災後の日本のロックの先導者として見られることも多い。本曲の力強さは極めて自分の活動と地続きのものであるし、その影響力を背負って立つ気概が見える。

【Writer】峯大貴(@mine_cism)