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本来はインディーとメジャーなバンドの中間があったと思うんですよ。そこが今なくなって2極化していってると思うんですけど、その中間に居続ける為に戦うしかないと思うんです。その真ん中の層というのは、文化的に凄く重要な部分で。そこを守りたかった。


インタビュー:木下理樹 インタビュアー:yabori

-今作のアートワークはとても素晴らしいですね。こだわった所について教えてください。
木下:最初のイメージは4AD感があって、薄いベールに包まれているジャケットにしたかったというのがありましたね。基本的にデザインをやってもらっているCentral67の木村さんはメジャーレーベルの時から一貫してやっているので、センスが似てるんですよね。フォトグラファーの中野くんも同じで。

-そうなんですね。では今回のジャケットはイメージ通りにいった感じですよね。
ジャケットは毎回洗練させていきたいなと思っていて。今回は今までで一番美しいものができたなと思っていますね。

-『YOU』は今までのアルバムの中でも一番色んなジャンルの音楽が詰まっているように思います。このメンバーならどんな音楽でもできるという信頼関係すら感じさせる内容だと思いますが、いかがでしょうか。
このメンバーになってツアーもやってみましたけど、今まで以上に信頼感は強くなっていると思いますね。もともと信頼しかないんですけど、中尾さん(中尾憲太郎)、勇さん(藤田勇)、サポートでもやってくれてる櫻井くん(櫻井雄一)、トディー(戸高賢史)とより話すようになって信頼感が深まりましたね。

-信頼関係と言えば、今回ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんとも一緒にやられていますよね。彼との音作りも素晴らしいなと思ったのですが、一緒にやってみていかがでしたか?
ゴッチはプロデュースをけっこうやっているから、やって欲しいってお願いしたら引き受けてくれて。せっかくやるなら一番好きな曲をやろうって言ったら、ゴッチが「革命家は夢を観る」をやりたいって言ってくれたんですよね。

-後藤さんのソロアルバムも聴かせて頂いたのですが、「革命家は夢を観る」と近い雰囲気の曲もいくつかありましたね。
リンクするものはあるかもしれないですね。先行曲も聴きましたよ。俺というよりもRoy(環ROY)がゴッチの刺激になったんじゃないのかなと思いましたね。

-そうなんですね。環ROYさんがラップをしていますが、どうして彼を起用しようと思ったのでしょうか。
トディーが彼のバックでやっているというのもあるし、Killing Boyのレコーディングの時に頼もうかなと思っていたんですけど、Art Schoolのスケジュールで全て埋まっちゃって。それでその話はなくなってしまったんですけど、彼がアートの音楽好きだからというのもあるし。ほとんど直感ですけどね。Royの新しいアルバムは素晴らしかったので、彼にお願いしましたね。

-「革命家は夢を観る」はアコースティック調の曲にラップが入っていて、とても新鮮に聴こえました。アートにとってラップを入れるのは初めてなんですよね。
そうですね。いいケミストリーが生まれましたよね。僕も嬉しかったです。

-後藤さんと一緒にレコーディングをされてどうでしたか?
人間力というか・・・。委ねられるんですよね、全然偉そうじゃないし。改めて本当に好きでやってくれているんだなって思いましたね。これは良い曲だからちゃんと売ろうよって言ってくれて。後押しをしてくれたというかね。ゴッチがエディットもしてくれてるんで楽しかったですよ。

-「革命家は夢を観る」はセルフプロデュースでしょうか。
セルフプロデュースというか、いつもやってくれているエンジニアの三好さんと一緒に作りましたね。立体的に音を作ってくれるんですよね。変にダイナミクスをかけるんじゃなくて、ナチュラルなコンプをかけてくれるし。とても信頼していますね。

-なるほど。今回サウンドは今までのどの作品よりも手作り感を感じたんですよね。
過剰なエフェクトをギターにかけてる場合もあるんですけど、今回のアルバムは余韻として残るものを作りたかったから。

-余韻として残るものでしょうか。
そう。飛び道具ではなくて余韻として残る感覚は意識しましたね。

-最終曲の「Hate Song」は『PARADISE LOST』期のようなサウンドですね。今までの音楽で培った経験全てを活かした作品だと聞いておりますが、今作への手ごたえはいかがでしょうか。
そうですね。曲作りに一年かけたんですよね。それでダメだったらいつ辞めてもいいって覚悟はありましたからね。じゃないと作れなかったというか。

-作曲に長い時間をかけられたんですね。
結果的にはそうなりましたけど、半年間くらいは訳が分からない状態になってしまって・・・。地獄のようでしたね・・・。

-何かあったのでしょうか。
今までのアートスクールと同じような事をやり続けていると思われるのが苦痛だったんで。一つ上に登りたいなと。そうなったら年齢的にもチャンスは今しかないんじゃないかなと思って。そこから曲出し会議が始まったんですよね。曲ができたものを持って行ってもほとんどボツにされるから、半年間延々とその繰り返しで。それを繰り返している内に何が良くて、何が悪いのかも自分が判断できない状態になってしまって。すごく痩せて病院にも運ばれましたしね・・・。

-そうだったんですね・・・。半年間悩まれたそうですが、その後に転機があったのでしょうか。
名前も顔も素性も知らない人にどうコミュニケーションをすれば良いのか考えたんですよね。どんな人かも分からないのに、握手をしようと思うと逃げられるじゃないですか。それと同じような感じなんですよね。例えば渋谷の交差点で歩いていて足を止めてくれるのって、98%は流行ってる音楽ですよね。もしかしたら残りの2%は本当に良い曲を作った時に振り向いてくれるんじゃないのかなって事を考えて。そっちの方がより多くの人に届くし、それしかないなって思ったんですよね。僕は魂を売るつもりはなかったんで、消費されたくなかったんですよね。僕にはほんとそれしかなかった。

-残りの2%に届けばという事ですよね。
その可能性があるならそこに賭けるって意味でアルバムタイトルも『YOU』にしたし、YOUってすごく定義の広い言葉じゃないですか。本当に1人の人にも分かってもらえないんだったら、みんな分かってもらえないに違いないと思って。そういう考え方に行き着いた時にボツになった曲を聴き直して、これは間違ってないと思って。

-その考え方に行き着いた後に「革命家は夢を観る」が出来たのでしょうか。
そうですね。メロディーのラインはあったんですけど、歌詞は後にできましたね。「YOU」も同じくメロディーのラインはありましたけど、タイトルはまだ決まってなかったんですよね。

-そういう体験をしたら『YOU』というタイトルは必然的なものだったんですね。
そうですね。ジャケットも繭というか、ベールがかかっているのも他人なんですよね。自我っていうのを度外視したらただの動物なんだなって事まで考えましたね。

-凄い悩まれたんですね・・・。
今までで一番最悪でしたね・・・。

-だからなのかもしれませんが、今回のアルバムは今まで以上に優しさを感じたんですよね。
それはリスナーがどう感じ取ってくれても良いんですけど、自分たちが無防備になった時に若い子たちを繭の中にいるようにしてあげたかったんですよね。今の若い子たちってすごくもろい気がしてて。優しさが残るっていうのはそれもちゃんと意識して作ったからなのかもしれないですね。

-アートスクールって音作りに凄いこだわりがあると思うのですが、今回はどういう所をこだわったのでしょうか。
閉じたものにしないってことですね。でもJ-POPやJ-ROCKみたいなフォーマットにしないってことを意識しましたね。僕らもその中に含まれるんだと思うんですけど、立体的な音像にしたくて。

-立体的な音像といえば『PARADISE LOST』のサウンドが思い浮かびますね。トニー・ドゥーガンの音作りは本当に素晴らしいですよね。
彼はモグワイのメンバーみたいなものですからね。めちゃくちゃ耳良いし。

-音も立体的ですよね。木下さんが思われる邦楽と洋楽の音の違いとは何でしょうか。
例えばドイツだとテクノとか電子音楽が中心だから中音域を強調していますよね。これがアメリカだと車に乗って音楽を聴く人が多いから、中域が豊かに聴こえるように作っているんだと思いますね。日本は耳に引っ掛かれば良いって考えで作っているものが多いから、派手に聴こえるようにしちゃうんですよね。ぱっと聴きでは耳には残りますけど、後で聴き返そうとは思わないですよね。

-そうですね。アートスクールの場合だと聴く度に発見がありますよね。やはり違いはエンジニアの技術なのでしょうか。
Killing Boyの場合だとクラムボンを手掛けている星野さんという方がエンジニアなんですけど、コンプをかけようとして、止めて下さいって言ったら凄い喜んでましたね。要はクライアントがそういう風に要求されるんですよ。そういうのに慣れていくと派手には聴こえるだけど、どうしても平面的になっていくんで。日本はそういうのが多いんですよね。元々僕は親父がアナログが好きというのもあって、アナログを聴いて育ってきたというのもあると思うんですけど。サウンドが変わり始めたのって2000年代くらいだったと思うんですけど、音楽業界も縮小していってるじゃないですか。何年も前から音楽業界はどうなるんだって言われ続けていたんですけどね。本来はインディーとメジャーなバンドの中間があったと思うんですよ。そこが今なくなって2極化していってると思うんですけど、その中間に居続ける為に戦うしかないと思うんですよ。その真ん中の層というのは、文化的に凄く重要な部分で。そこを守りたかったというのがありますね。

『YOU』

【BELONG Magazine Vol.7はArt Scool表紙とインタビュー・ルーツを掲載】
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