角舘:僕らの世代からしてみれは、当時のニュー・ウェーブはオールド・ウェーブなんですよ。ニュー・ウェーブはポップであるべきだし、時代に応じて動き続けてて、それを代弁できるような形でバンドができたらと思ってました。

アーティスト:角舘健悟(Vo, Gt)  インタビュアー:yabori

-今年フジロックに出たそうですね。ライブはいかがでしたか?
角舘:楽しかったですよ。僕らの出番は3日目の深夜2時からだったんですけど、出番までに時間があるから風呂入って、テンション上げてライブやろうって感じでしたね。時間帯的に最終のバスも出てしまうくらい遅い時間だったんでホントにお客さん来るのかなって思いましたけど、自分たちの時はめちゃめちゃ人が来てくれてびっくりしました。わざわざ東京から自分たちの事だけを見に来てくれた人もいて、すごく楽しめましたね。だから何が何でも来年もまた行こうと思いました。他のライブはSt. VincentやArcade Fire、吉田ヨウヘイgroup、Suchmosを観ました。特に良かったのはThe Flaming Lipsの多幸感とSBTRKTのインテリ感がすごくて、かっこ良かったです。

-そうなんですね。それではYogee New Wavesの結成のきっかけについて教えてください。
去年の6月くらいに新宿の花園神社でベースの井上君と一緒にバンドやりたいねって話をしてて、その前に前身バンドで6人編成のファンクポップバンドをやってて、そのバンドが解散してそろそろ何かやりたいねって時期だったんですよ。サニー・デイ・サービスのようなまったり聴いてチル・アウトできるような音楽をやりたいって話をしていて同じ学校に通ってたネクラな後輩二人を入れて、「CLIMAX NIGHT」を録りましたね。今のメンバーは後輩の二人が抜けちゃって、ネアカ二人が入りました(笑)。

-短い間にメンバーが変わったんですね。
そうなんですよ。後輩の一人はストレスを貯め込んでしまうタイプで、抱えてたストレスが爆発したのかライブが始まる10分前に「僕・・・辞めるわ」って言い出したんで、「わかった、わかった。じゃあ今日は楽しくやろうよ」って言って、楽しく送り出しました(笑)。もう一人は自分のドラムには可能性がないから、キーボードをやりたいって言い出して。それで彼がキーボードになって、今のドラムを入れてアコースティックバンドみたいな事をやってたんですよ。一回だけライブをやって、その彼が全然やる気がない事に気付いて、やる気ないっしょって言ったら、「それ・・・言われたら辞めようと思ったました」って。めちゃくちゃなヤツでしたね(笑)。

-ひと癖ある人たちが集まっていたんですね(笑)。
そうですね、自分を持っているというか(笑)。僕はそういう不器用な人たちの方が好きなんですよ。でもひと癖ある二人だから難しかったと(笑)。今のメンバーはすごく良いですね。ポップで明るいんですよ。最初僕らはめちゃめちゃ暗いバンドだったんで、今の方が良い道に進んでるなって思います。

-ではそのYogee New Wavesというバンド名の由来について教えてください。
Yogeeって人の名前なんですけど、バンドの名前をつけようって話していた時にもし今、ヒッピーがいたらどんな感じなんだろうねって話してて、それがすごく盛り上がったんですよ。その話に出て来たのが、ヒッピー文化を引率したマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーという人で。超越瞑想というヨガをビートルズに教えた達人だったそうなんですよ。彼が今存在して、新しい波を動かすとしたらどうなるんだろうって話をしてたんですよね。音楽ジャンルのニュー・ウェーブとよく間違えられるんですけど、それは関係ないです。僕らの世代からしてみれは、当時のニュー・ウェーブはオールド・ウェーブなんですよ。ニュー・ウェーブはポップであるべきだし、時代に応じて動き続けてて、それを代弁できるような形でバンドができたらと思ってました。

-それって大きい意味でのポップミュージックって事ですよね。自分が思うポップミュージックってその時代の流行を捉えつつ、進化していく音楽だと思っているんですよね。
そうですね。J-popを批判する気持ちはないんですけど、今の時代だからこそできるのが、ポップ・ミュージックであり、ニュー・ウェーブなんだと思います。新しいJ-popの形を作っていきたいですね。

-ということはYogee New Wavesの大きな目的って新しいJ-popを作るって事なんでしょうか。
そうですね。

-なるほど。僕らもその考えには凄く共感出来ますね。今BELONGで『YOUTHWAVE』って新しい企画をやっているんですよ。
見ました。HAPPYが載っていたやつですよね。おおっ!と思いました。最初は何言ってんだって思いましたけど、ちょっとづつ噛み砕く事によってなるほどってなりました。言葉の語感も若々しくて、気持ち良いですよね。若さゆえのみたいな感じがあって。

-ありがとうございます。彼らは古い音楽も新しい音楽も関係なく吸収して、自分たちの音楽を作ってるそうなんですよね。もしかしたらYogeeも考え方が似てるのかなと思って。
似てると思います。HAPPYのAlecと知り合って、俺らの世代で音楽業界変えようって言ってくれて。俺たちでやっちゃおうって思いましたね。彼らの悪ガキみたいなテンションも好きだし、失敗しても「ごめんなさい」で済む空気感じゃないですけど、それが原動力になって変えていこうって思えるんだろうなって。年老いた人には出来ない事だと思うし。

-その通りだと思います。色んなインタビューを読んだのですが、Yogeeの皆さんもまだ若いようですね。
今23歳ですね。大学を卒業したばかりで。

-若いですね!それではアルバムについて聞いていきたいんですが、タイトル『PARAISO』に込めた意味について教えてください。
Yogeeはシティ・ポップやandymoriの再来だとか言ってくれて、それはそれで嬉しいんですけど、僕らはシティ・ポップを作ろうと思ってやっていなくて。最初から自分たちのやりたかった事は海辺で酒を飲む感覚というか、現実逃避ってというのが自分たちのテーマの一つで。みんなそれを海だって言うんですけど、海に限った話じゃなくて空が開けた所が自分の見えている景色なんですよ。僕が見た景色や見たいと思う景色が一個のパッケージにされた時に、全て合わせて島なんだろうなって思うんですよね。ある訳ではないんですけど、理想郷みたいな感じです。そこは心地が良いんですけど、生々しい所もあって切ないきもちや腹が立つような気持も詰まってて。「Paradice」でも良かったんですけど、少し皮肉を入れたくて『PARAISO』にしました。

-そうなんですね。話の中で現実逃避って言葉が出て来ましたが、洋楽のチル・ウェイブってジャンルのアーティスト、特にWashed Outも現実逃避ってテーマで音楽を作っていましたが、彼らの考え方には共感しますか?
僕もWashed Out好きなんですよ。チル・ウェイブはその場で聴いて、気持ち良いって感じですね。

-共感はするけど、違和感を感じる所もありますか?
違和感を感じる事はないんですけど、Yogeeのやり方とは違うなって思いますね。とろけるサウンドや空気感を作るのは大事だと思うんですけど、僕はあくまでアルバムの中で展開しているストーリーだとか、ドラマを描きたくて。

-確かにチル・ウェイブって生々しさがないですよね。Yogeeは「Listen」の歌詞に出てくる“どぶにまみれた子どもの讃美歌を聞けよ”ってフレーズもあるし、リアリティがあると思うんですよね。
この曲は僕の大好きな友達に向けて歌った曲なんですよ。部屋にこもって作った曲を色んな人に聴いて欲しいなって曲で、バンドマンなんて良いもんじゃないと思うんですよ。僕らはドブにまみれてると思うんですよね。バンドマンというだけで馬鹿にされたり、嫌な事もあるけど、こうやって何人かが感動して喜んでくれてる人がいる訳だから。

-アルバムタイトルの『PARAISO』って細野春臣さんの『はらいそ』の影響もあるのでしょうか。
いや、特に意識はしてないですよ。でも細野さんやはっぴぃえんどの飄々としてる感じとか、ひねくれ方を持ったバンドが現代にいても良いとは思いますね。正直言うと、タイトルをつける時『はらいそ』の事は知ってたんで抵抗はありましたけど、自分たちが表現したいものがここにあるから『PARAISO』っていう不思議な呪文みたいな言葉がこのアルバムには合っているなと思いましたね。

-そうなんですね。今回アルバムのレコーディングはhmcの池田さんが担当しているようですね。彼が踊ってばかりの国やVeni Vidi Viciousを始め素晴らしいバンドと一緒にレコーディングをされていますよね。彼との作業はいかがでしたか?
自分の中で鳴ってる音があったんですけど、池田さんと一緒にやってそれを上回る音を引き出してもらいましたね。エンジニアって依頼されたものに対して淡々とレコーディングして、ミックスしてっていうイメージがあると思うんですけど、彼も良い意味で頑固なんで、言いあいの時間もすごく長かったんですよ。なので一緒に一つの作品を作ってるという感じがしましたね。

-かなりコミュニケーションを取ったという事ですか?
そうですね。レコーディング中とか、なんだこいつって思うくらいで(笑)。こっちが録るだけで良いって言ってら、そうしてくれるだろうし、自分たちが一緒に作りたいって言ったからこそ本気で向き合ってくれましたね。若い人が持ってないのが「技」で古い人が持ってないのが「勢い」だと思うから、そこが組み合わさったら間違いなく最高のものが出来るなって思いました。

-だから今回は素晴らしいアルバムができたんですね。手ごたえは感じますか?
感じてますね。嬉しいですよ、めちゃめちゃ。1st EPは完全に自主で作って思ったのが、自分の理想とする音にはすごく近いんですけど、やっぱり甘い部分もあって。みんなで作って出来上がったものの方が熱量の違いを感じますね。

-踊ってばかりの国やミツメに影響を受けているようですね。彼らに背中を押されたと言っていましたが、現在の東京のインディーポップシーンについてどう思いますか?
良い空気感しかないなって思いますね。昨日シャムキャッツの夏目くんと飲んでたんですけど、自分たちの先輩バンドよりは良かったって言ってて、僕らも上の世代よりは良いんだろうなって思いますね。でもみんなかっこつけてますね。みんなもっと自分の気持ちを言っても良いんじゃないかって思います。僕らは悟り世代なんて言われてますけど、少しひねくれた感じで言葉遊びをして踊れたら良いんじゃないかって。

-確かに東京のインディーロックシーンって一緒に何かやろうよって感じはしないですね。
そうですね。個々が花火を上げるよりもみんなで集まってどかーんって上げた方が轟くと思うし、その空気感を東京インディーが持ったらメジャーとインディーの境目がなくなって面白くなればよいのになって常に思っていますね。

-それでは音楽の聴き方について詳しく伺いたいのですが、普段どのように音楽を聴いていますか?
基本はiPodに入れて聴いてますけど、家ではアナログを聴きますね。最近渋谷のHMVに行って、恥ずかしげもなくベルベッツ(The Velvet Underground)のバナナアルバム(The Velvet Underground and Nico)を持ってたら、隣でやけのはらがアナログをディグってたんですよ。わー、やけのはらがいるって思って、バナナアルバムを持ってる俺の恥ずかしさときたら(笑)。音楽はBGMって感じで聴きますね。松田聖子やフィッシュマンズが好きなんですけど、彼らの歌詞を聴きとるだけで一日があっという間に終わってしまいますね。

-気になった音楽はどのように調べますか?
気になった音楽はYoutubeとSound Cloudを使いますね。それ以外にも自分たちの第五のメンバーでココナッツディスクの店員がいるんですけど、彼の家に行くと常に最先端の音が流れてて。彼がひたすらYoutubeのリストを作っていて、それで音楽を知る事も多いですね。

-踊ってばかりの国の下津くんはYoutube世代って言ってましたけど、Youtubeって昔からよく使ってました?
下津くんってYoutube世代なんですね、意外です。僕は中学一年くらいにパソコンをもらってYoutube見たり、ダウンロードもよくしましたね。Youtubeが生活の一部になり過ぎてあまり見た記憶がないくらいです。

-これからどういう活動をしていきたいですか?
マイペースにやっていきたいですね。肩の力が抜けた音楽をやりたいんで。俺らは音楽でしか食えないんだじゃなくて、マイペースにやっていきます。

『PARAISO』

【BELONG Magazine Vol.9にYogee New Wavesのインタビューを掲載】
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