ライブにて新曲として演奏され絶賛される→リリースを熱望されていたところで100円シングルとしてリリースが決まる、という、近年の寂しい話が少なくない音楽シーンの中でも珍しい盛り上がりを発売前から見せている、きのこ帝国の新曲「東京」。それこそ同名異曲の名曲がいくらでもあるこのタイトルでぶち込んできたのは——結論から言えば——、“あえて”の戦術などではなく、どこまでも今のきのこ帝国の“中央突破”的な勢いと充実が帰結した結果だということを感じさせられた。

いきなりサビのメロディで始まる曲展開。そのメロディの、これまで以上の力強さ・羽ばたき具合は、その他の歌の部分の“以前の鬱屈して湿ったきのこ帝国”的な雰囲気と好対照を成し、結果どっちのパートも印象的に響く。前作『ロンググッドバイ』にて大きく開かれた彼女らの雰囲気や気分でもって、『eureka』以前の佐藤個人に収束されたストーリーの新しい段階を華々しく解き放つその歌は、過去最大級にポップオリエンテッドな楽曲の中で自在に浮き沈む。

とりわけ素晴らしいのが後半、ブレイクして最後のサビから始まる展開。メンバーのコーラスと、音圧と、そしてタイトルコールを歌声をベンドさせて舞い上がらせる佐藤の歌が、この曲があくまで東京のことについての歌なのに、聴いててどこまででも行けそうな気持ちにさせてくれる。祝福感に満ちたアウトロの中で響いていく、いつになくキツい歪み方をしたファズギターは、このバンドが鳴らす事が出来た最高のファンファーレだろう。

どこまでも行けそうな雰囲気——この曲が来るべきアルバムの雰囲気を象徴した楽曲なのかどうかは、今の段階では分からないしまたこの一曲でアルバム全体の内容勝手に推察できるものでもないが、今はこの、景色が鮮やかに広がっていくような気分を頼りに、楽しみに待っていたいと思った。

【Writer】おかざきよしとも (@YstmOkzk)

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