どうしてバンドをやっているんだろう、何も怒りはないのにっていう想いを詰め込んだんですよ。

アーティスト: 西村竜哉(Vo,Gt)、富田貴之(Dr) インタビュアー:桃井 かおる子

-プププランドの名前の由来と結成のいきさつを教えて下さい。
西村:バンド名は、本来は星のカービーからなんですけど、「なんですか、カービーって?」っていつもとぼけてます(笑)。僕らの世代だったらみんな知ってるから、それがバンド名やったらおもろいなっていう。
富田:覚えやすいですし。

―プププランドのリスナーって、星のカービーを通ってない世代かなと思うけど(笑)、「スマブラで使ってね」みたいな(笑)。
西村:僕ら利益出るんですか(笑)。
一同:(笑)。

―結成秘話を教えてください。
西村:最初のメンバーが、僕とトミーさん(富田貴之)。
富田:大学の軽音楽部で一緒だったんですよ。
西村:ストロークスのコピーバンドをやってて、その時のバンド名が放射能。初めはギターがいて、ベースは女の子がいて4人でやってたんですよ。たまにオリジナルもやって、誘われたらライブに出てて、それが2011年くらい。初ライブがその年の12月くらいで。年が明けて、僕が前やってたバンドをイベントに誘ってくれてた東京のイベンターさんが居たんですけど、その方からタワレコ渋谷店だけで出すコンピに誘ってもらって。東京でもレコ発ライブすることになるんで、そうしたらギターが「俺はそこまで・・・」って感じになって。
富田:俺らもそれまでは本当に遊び感覚だったから。

―気持ちの準備がないまま話が進んでいくような感じですよね。
西村:そう。で、ちょっと前から知り合いだったあっくん(吉川淳人)がいて。あっくんは共通の友達もいて地元も近かったんですけど。その時はハンバートハンバートみたいな女の子と2人のデュオをしてたんです。活動休止したんで、入ってやって言ったらすぐ入ってくれて。
富田:ビックリしたよな。

―タイミングが合ったんですね。
西村:それが2012年の4月くらい。そこから1年くらいやって2013年の夏くらいになってベースが抜けることになって、サポートに入ってもらって。で、2014年1月にサポートが抜けて、田中さん(田中隆之介)が入って。今に至る。
富田:田中さんは他のバンドやってて、バンド仲間として知り合ってて。
西村:坊主やし、おもろいなと思って(笑)。

―ライブを見たんですが、田中さんとってもノリノリでした(笑)。
富田:口、ぱっかー開けて(笑)
西村:一番楽しそう(笑)

―みなさんとてもノリノリで。見てて楽しかったです。全員キャラが立ってますよね。
西村:最初、女の子が抜ける時ヤバいなって思って。なんだかんだ目立つ存在だったし。
富田:女の子って強いと思うんですよ、バンドに一人いると。
西村:まぁ大丈夫でした、坊主で。
富田:坊主でカバー(笑)。

―バンド名も楽曲の雰囲気も、男性4人の方がしっくりくると言うか。今の4人がとてもバランスが取れてるように感じます。
富田:田中さんに伝えときます(笑)。

―初の全国流通盤を出す時、作品名にバンド名をそのまま付ける人たちが多いと思います。なぜ今回バンド名を付けず、『BYE! BYE! BYE!』にしたのでしょうか?
西村:1stで『BYE! BYE! BYE!』っていうのは面白いなって思ってたんですよ。ストロークスがめっちゃ好きなんですけど、彼らの1stも『Is This It?』って、「これなのか?」っていうタイトルで。そういうのがカッコいいなって。じゃあ1枚目でバイバイって言っちゃおうかなと。

―前のライブで西村さんが「いろんな人といろんな出会いがあって、時間が経つとともに忘れていくけれど、どうしても忘れられない人や忘れられないシーンって必ずあるよね」って話されていましたが、そういう意味も込められていますか?
西村:そうですね。絶対忘れてしまう…ライブをした日の事も薄れていくし、お客さんはもっとそうだと思う。だけど、そう思えたこと、今日があったなって思えることが大事なんかなって思う。だからバイバイって悪いことじゃないっていうか。

―今の話を聞いて、この1枚に出逢えてよかったって思ってもらえるようにという想いも込められているのかなって。
西村:そうですね、それはもちろん。

―今作は〈ブレーメンの音楽隊〉という物語のような雰囲気も感じました。どのようなイメージでこのアルバムを作られたのでしょうか?
西村:めっちゃいい例えをしてくれますね。音的には明るい雰囲気を目指して、裏では毎日の切なさとか焦燥感が込められてて。そういうアルバムになったらなって思ってました。表向きでは「俺らあほやで」っていうのを出して、本質は「さよならすることの寂しさとそれを超えての出会い」という部分。

―曲調は明るくても歌詞は結構失恋ソングですよね。プププランドのリスナーって、大学生くらいの年頃の子が多いかと思うんですが、そういうのも意識して歌詞を書かれますか?
西村:いや、そういうのは全くなかったです。同世代の子たちが共感してくれるんじゃないかなっていうのはうっすらあるかも。

―失恋ソングだけど寂しくないっていう印象もあります。映画で言うと、「ボーイズオンザラン」とか「色即ゼネレーション」のような、リアリティさよりもそういう物語に少し近い雰囲気を感じました。その辺りは好きだったりしますか?
西村:僕も好きですね。ファンタジーまで行かないけどリアル過ぎない、映画の中の様なシチュエーション、そういうのは歌詞の中で考えました。

―すごくがむしゃらですよね。ライブの印象と違って、音源の方はバンドサウンドを全面的に活かすのではなく、ストリングスを多用した構成になっています。音に丸みのある印象を受けたのですが、なぜこのような音作りをされたのでしょうか?
富田:前作(自主製作盤)に参加してくれた人がまた今回も参加してくれて。
西村:ストリングスが入ってるのは最後の曲だけですけど、なんでしょうね、なんか壮大な感じにしたかった。
富田:トランペット、クラリネット、オルガンと…。

―特にオルガン効いてるなって思いました。
西村:音源だから色んなこと出来るなって思ってやりました。
富田:音源でしかできないことをやりたいなっていうのもありましたね。

―誰か一人のアイデアじゃなくて、みんなで「ここにこの音あったらいいよね」っていうやり方でしょうか。
富田:そうですね、ストリングスのみんなも出来る人達なんで、その人達も提案してくれたりして。

―ストリングスの人達の提案もあって、そういうのも盛り込みながら膨らませていった感じでしょうか?
西村:そうですね。ライブやと興奮してガシガシ弾いちゃうんですけど。

―初めて今回みなさんの音源を聴かせて頂いたんですけど、そのライブの感じがそのままパッケージされるのかと思ってたので、意外に感じたんです。
西村:初めてCDを聴いてくれる人にとってはそうかもしれないですね、一回ライブ観たことがあるっていう人は意外に思うかもしれません。前のCDを聴いてくれた人にとってはその延長のように感じるかもしれないです。

―自主盤のジャケットも良いですよね。絵の勉強をされてたんですか?
西村:絵ではないんですけど、工業デザインのような。僕ら同じ学科だったんですけど。
富田:携帯電話とか車とかの形を考えるような学科で。

―ポップアートみたいな雰囲気ですよね。新譜の方もジャケットデザインをされたんですか?
西村:そうですね、これは目を引きたいと思って描きました。
富田:歌詞カードの文字とかも、友人にデザインしてもらってて。その中にもイラストがあるんです。

―そうなんですね、楽しみです!曲作りに関して、西村さんがメロディーとコード進行を作り、そこからメンバーで曲を広げるという作曲スタイルだそうですが、皆さんでセッションして作るのですか?
西村:曲のデータをメンバーに送って、各自のパートは考えてきて、そこから練習で合せてみて、修正して。
富田:セッションっていう訳ではないです。

―ロックバンドってセッションで作っていくイメージが強かったんですけど、パートごとに各自考えられるのも良いですね。富田さんは曲のデータが送られてきてから、どういう風にドラムパートを考えるんですか?
富田:弾き語りのバージョンだったり、シェイカーみたいな音がずっと鳴っていたり、割と平坦というか、音に波のない状態で送られて来るので、どこでどう波を付けるかっていうのを考えながらスタジオに向かいますね。
西村:ある程度パーツを考えてきて、あとはスタジオで合わせながら変えていったりもして、セッションに近いと言えば近いのかも。完全に全部考えてくるっていうわけでもないし、何回かスタジオに入るなかで出来上がっていきますね。アレンジは一番気持ちいい音を探しながらみんなでやってます。

―最後に収録されている『BOYS IN THE BAND』はリバティーンズの同タイトル曲から引用したものですか?
西村:そうです。リバティーンズは大好きですね。

-4曲目の『ダンス・ダンス・ダンス』の中で、歌詞にリバティーンズが出てきますよね。今作を作る上で、この他にも影響を受けたバンドや作品はありますか?
西村:ストロークスも歌詞に出てきますね。いろんなものが広く好きですけど、特にその2バンドが好きだし、知名度もあるから歌詞にも出しやすいっていうのもあって。同世代で盛り上がるっていうのは、その2バンドのような気がします。

―プププランドのTwitterのアイコンは昭和のアイドルですけど、あれは誰の趣味ですか?
西村:岩崎良美さんですね、僕の趣味です。歌謡曲というか、アニメのタッチが好きで。

-そうなんですか。でも世代ではないですよね?
西村:再放送世代ですね、部活終わりに見てました。

―みんなが共通して好きなのは誰ですか?
富田:andymoriやおとぎ話とか、踊ってばかりの国ですね。洋楽だと…あるかな?あっくんがストロークスを聴くかな。

-先ほどの話でもストロークスが出て来ましたが、彼らのどういう部分が好きなのでしょうか?
西村:純粋に同じ男として、人前の立ち方がかっこいいなって。アルバート・ハモンドJr.のギターの高さとか。紙一重なところがいいですね。ダサくはないんですけど、ちょっとダサくない?っていうギリギリ感。敢えて出してるんかもしれんけど。

―プププランドを結成する前に、西村さんはストロークスのコピーバンドもされていたんですよね。その後、お父さんの影響で吉田拓郎や高田渡を聴くようになったそうですが、なぜご自身の音楽の方向性が洋楽ロックからフォークに移行したのでしょうか?きっかけなど具体的に教えて下さい。
西村:僕がボーカルってなった時に声がフォークになるんで、インディーポップだと僕の声じゃ違うだろうなって。ストロークスっぽい、無機質というか淡々とした中で、自分なりの歌ができたらまた違ったんでしょうけど。少し抜けてるような、完璧じゃなくて隙があるところも憧れますね。
富田:アルバムの中の2、3曲は、ストロークスっぽいドラムは意識したつもりです。その無機質な感じも含め。

―では今作を作るにあたって、このアルバム聴いてたなとか、このアルバム意識したなっていうのはありますか?
西村:リバティーンズのピート・ドハーティが今やってるベイビー・シャンブルズの3rdアルバム『Sequel to the Prequel』。あれはみんなで聴きました。
富田:雰囲気もこんな感じにしようって話したりしましたね。
西村:あとルミニアーズの『THE LUMINEERS』。めっちゃフォークロックなんですけど。あと、サニーデイサービス。これはみんな共通して好きですね。好きなアルバムはバラバラなんですけど、僕は『24時』っていうアルバムが好きです。
富田:僕は『MUGEN』が好きで。
西村:あとはスピッツもみんな好きかな。幼い時から聴いてたから。
富田:スピッツも好きなアルバムはみんなバラバラで、僕は割と最近のが好きなんですけど。
西村:スピッツも、作ってる時結構聴いていましたね。

―以前にインタビューで、「自分達をきっかけにフォークを聴く人が増えたら」というお話をされていました。ですが今作は、フォークの中にもパンクやポップの要素が含まれていて、100%フォークという内容とは違っていると思います。こうした作風にされたのはどうしてでしょうか?
西村:あまりフォークから外したっていう意識はないです。でも個人的にはメロディーとコードは自分のルーツを出して、それをバンドみんなでやろうかなって。
富田:自分達が楽しいと思うことをやっていったらこうなったっていう感じです。
西村:デモがフォークみたいな感じなんで、それにみんなでアレンジしていった感じですね。
富田:バンドサウンドにしたらこうなったっていう。

―「この作品を作れてよかった」と思える瞬間ってありますか。
富田:バスで家に帰ってる時に「ちょっと、いいやん」てなりました。「自分結構やるやん」っていう。
西村:発売されてから実感するんだと思います。今はまだ「終わったー」って感じなんで。でも、今みたいにこうやって意見もらえるとすごい嬉しいです。

―初の全国流通盤ということで、「こんな人に聴いてほしい」って考えはありますか?
西村:同世代ですね。アメリカンニューシネマっていう映画のジャンルなんですけど、アメリカで流行った『俺達に明日はない』や『イージー・ライダー』とか。若者の反抗を描いてて、すごいおもしろくて。こんな風に熱くなれるのが羨ましいなって、ずっと思ってたんです。僕らは自分の好きなアーティスト達と違ってフラストレーションがあんまりなくて、結構自由に音楽やってきてるし、自分がどこにフラストレーションを向けたらいいかがわからない。自分はそういう世代だなって、映画を観た時に思って。何に対して怒って良いのかわからないっていう、そういう事を思っている人も結構いるのかって思って。どうしてバンドをやっているんだろう、何も怒りはないのにっていう想いを詰め込んだんですよ。歌詞もそうだけど、やりきれない気持ちですね。自分が将来どうしたらいいか、明日はどうなるか分からないっていう焦燥感を詰め込んだんで、考えるところまでは行かなくても違和感を感じる人はいると思うんですよ。その映画の主人公と自分はなんでこんなに違うんやろうみたいな感覚、そういう人に「俺らがここにおるぞ」っていうのを知らせたい。だから同世代に一番聴いてもらいたい。

―西村さんの世代は悟り世代って言われていますよね。悟り世代っていう言葉は当たり障りなく生きていこうとする人達を指すみたいなのですが、そういう人達をどう思われますか。
西村:その気持ちはすごいわかりますね。偉そうには言えないですけど、もっと面白いこともあるのにって言いたい。言いたいけど、気持ちは分かります。でもそういう人にも聴いて欲しいですね。その気持ちが分かるって言うのも伝わるんじゃないかと思いますけど…。

―聴いてたら「俺達がいるよ」って言ってくれるような気がしました。
西村:そう汲み取ってくれたら嬉しいですけどね。それを自分達から口にするかどうかはわからんけど(笑)。「俺らについて来い」って言いたい気持ちと両方あるんですけどね。

―それがフラストレーションなんじゃないですか?
西村:なるほど!それをわざわざ言わんでも、ついて行きたいって思われるように成長したいです。

―具体的にどう成長していきたいですか。
西村:カッコいいって言われたいですね。若い女子大生もいるけど、すごいコアなファンもいたりして。聴いて、考えを巡らせられるような、考える時間をくれるようなバンドになりたいです。

―富田さんは、リズム隊として何かやりたいことはありますか。
富田:もっとずっしりしたいですね。メンバーが後ろ振りむいても動揺してないというか「後ろに俺がおるぞ」って。それができてると思うのは、スピッツの崎山さんなんですけど。

-東京界隈での活動もこれからより増えていくと思うのですが、今後の活動拠点を東京に移したいなどの考えは今現在ありますか?
西村:それは考えてないですね。東京は人も多いし面白いイベントも多いけど、今はまだ考える余裕はないですね。

―ライバルだと思っているバンドは居ますか?
西村:愛はズボーンっていうバンドは同世代で凄く仲良くて、一番対バンしているバンドがいて。ライバルでもあり仲間ですね。音楽もめっちゃかっこいいです。

―関西の音楽シーンって最近盛り上がってると思うんですけど、そういう実感はありますか?
西村:そうですね、確かにみんなかっこいい。盛り上がってるんやろうなって思います。
富田:いろんなバンドいますよね、フレデリックや少し前だと踊ってばかりの国とか。

―盛り上がりつつある関西のシーンの中で、自分達の役割は何か感じますか?
富田:この役割を担いたいっていうのはパッと思い浮かばないですけど、僕らにしかできないことをやりたいと思います。「あいつらしかおらんやろ」って言われたいというか。
西村:みんな役割は考えてないんじゃないかと思います。でも何か答えるとするなら、人間性も含めて、あいつらおもしろいって思われたいですね。それで入り口になりたいというか。関西シーンの入り口もそうだし、フォークソングへの入り口でも。

『BYE!BYE!BYE!』

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