このインタビューを敢行したのは2014年10月。『In A Ghost World』のリリースツアーを7月に終え、ここらでひとやすみ…なんてことは到底なく、相変わらずツアー中と同じようなハイペースでライブを展開している、そんなタイミングだった。
Droogがすごい速度で成長をしていると感じてからずっと、そのヒミツを探りたいと思っていたのだが、それが実現したのが本紙。この成長過程を、一人でも多くの人に目撃してほしい。Droogの今を味わうためのヒントが詰まったインタビュー、荒金祐太朗編。

アーティスト:荒金祐太朗(Gt)  インタビュアー:Miyaco

―1人でインタビュー受けることって今まであった?
ギターマガジンで2、3回くらい。バンドの事を1人で話すのは初めてですね。

―そうなんだ。のびのびと話してもらえたらいいなと思うんだけど。Droogの成長ぶりが、最近特に興味深いんだけど、そういう声は祐太朗君の耳にも入ってる?
うん、前よりあるかな。最近は、自分でも「今日よかったな」って思うことが増えましたね。

―お客さんの反応はどう?
反応はめっちゃ感じる。それはライブをやってる最中に思いますね。喜んでくれるのがどんどん楽しくなってきて、今の感じになってると思います。

―個人的な印象だけど、最初にDroogの印象が変わったように感じたのは、『ぶっとびぱなし』リリース前に見た広島ナミキジャンクションでのライブ(2013.3.29)で。その時に何かしらの変化を感じて、その後のライブは見れるだけ見に行くようにしてたんだけど。曲調の変化も当然ライブには全面的に影響してると思うし、MCが増えたっていうわかりやすい変化もあったと思うけど、変わったのはきっとそれだけではないはずだなと思っていて。いつ頃からバンドがぐっと変わっていったか、自覚的なものはある?
音源の話で言うと、最初の『Droog』は18年間の集大成のようなすごく濃いミニアルバムになったと思うんです。その頃までは3、4ヶ月に1曲やっとできた!みたいな感じだったんですけど、その後デビューすることになって『Violence』、『LOVE SONGS』辺りは、半年で次をリリースしようってなったんです。だけど、それまでそんなペースで曲作りしてたから思うことがうまくできなくて悔しかった。その次の『End of teenage』を作る時には佐藤タイジさんにプロデュースに入ってもらって、ギタリストとしても曲作りの面でも開花させてもらった。その時タイジさんに「曲を作る人は、周りの奴らを置いて行くくらいどんどんやりたいことをやりまくって先を進んでいった方がいいよ」って言ってもらえて楽になって。それで「閃いたことはとりあえずやろう」って思うようになって、出来たのが『ぶっとびぱなし』なんです。

―じゃぁ、『ぶっとびぱなし』でちょっと吹っ切れた感じがあった?
吹っ切れたというか、やっと自分の出し方が分かった。だからタイジさんとやれたのが自分の中ではきっかけですね。閃くことは全部やろうと思って『ぶっとびぱなし』を作って…ライブが変わり始めたのはその『ぶっとびぱなし』のツアー(Droog やけっぱちTOUR 2013)からかな。

―何が変わり始めたんだろう?
『End of teenage』っていう納得できるアルバムが出来たけど、そのツアー(Droog GIG TOUR 2012 End of teenage)で「もっと伝わってもいいのにな」「もっと伝えたい」って思い始めたんですよね。それで、次のやけっぱちツアーの時に「もっとお客さんに伝わるにはどうしたらいいんだろう」って考えるようになって、試行錯誤して。結局、やけっぱちツアーが終わった時点でも「なんかダメやったな」って思ったんですけど。ライブで初めてDroogを観る人たちに俺らの想いを伝えるには、曲しかないと思うんです。だから、もっと歌にパワーのある曲をやりたいと思うようになって。やけっぱちツアーが終わって曲作り始める時にヒロキと「次は、2曲ずつくらいはお互い歌を持って来よう」って話したんです。それまでは、俺が曲のアイデアを持っていて、そこにヒロキがスタジオで歌を乗せるような作り方をしてて、それなりに勢いは収められたと思うけど、もっと歌に力のあるものが欲しかったんで挑戦してみようって話して。それをやってうまくいく確信があったわけじゃないけど、そこはもう精神論って言うか、そういう挑戦をしなきゃいけないタイミングだと思った。で、俺が持って行ったのが『BAND ON THE ROAD』。俺的にはあれが出来て、本格的に振り切れたというか壁が壊せた感じがあった。

―少し戻るけど、End of teenageツアーでの「もっと伝わっても良いのにな」っていう感覚は、どういう部分に感じていた?
それまでは30~40分の持ち時間でライブしとって、でもそのツアーはワンマンも1時間半くらいやることになったりして。そうやってライブの規模が大きくなっていくのに、それに見合った表現ができなくて、自分達に対して悔しさがあった。お客さんにもっとキャッチしてもらいたいって考え出した感じですね。

―その伝えたいっていう想いが『ぶっとびぱなし』を作る上での原動力にもなってた?
うん、そうですね。あとは、それまでは曲のアイデアを閃いても「これは俺らっぽくないからやめとこうかな」みたいな自分の固定概念とか自分に対するフラストレーションもあったけど、それをとっぱらって全部やろうって思えた。あと、タイミング的には上京した時期で、生活環境も変わって、制作期間はすごい過酷やったイメージがある。

-追い込まれてた?
追い込まれてた(笑)、家の壁がどんどん迫って来るような感じの中で作りよった(笑)。

―そうだったんだ(笑)。それがリリースされた後、やけっぱちツアーは振り返ってどうだった?
そのツアーは、「今日ヤバかったな!」みたいな、奇跡みたいなライブはあった気がする。毎回更新していこうって目標はあって。でも、毎回終わったら「今日はこれがダメやったね」っていう反省があって、次はこうしようって話して、次のライブに臨んで。そうやって毎回目標を決めて、やることも分かってるのにそれがクリアできなくて悔しかった思い出もあるんですよ。一番印象的だったのは、ファイナル(2013.7.20 @渋谷CHELSEA HOTEL)のライブが全然良くなくて、もうバンド辞めようかなって思うくらい腹が立った(笑)。

―それは自分に対して?
いや、バンドに対して…(笑)。要は、制作の時に思ってた気持ちがファイナルまでもたなかったってことだと思うんですよね。なんでそうなったかって考えて、曲に愛情や自分の気持ちがのっかってないとツアーを最後まで回りきれないんだなって思った。よく「ツアー30本、40本回るのって凄いですね」って言うけど、それは体力的な凄さだとずっと思ってたんです。だけど、そうじゃないんだなってやっと知った。曲に対する想いが強くないとツアーを何十本も回れないんだって分かって。それで、曲のパワーの強いものを作ろうってヒロキと話したのが、『In A Ghost World』を作る前です。だから、やけっぱちツアーを振り返ると、目標があったけどクリアできなかったっていう…悔しかったっていうのが全体の感想ですね。

―このツアーから祐太朗くんのコールアンドレスポンスがありました。それまでのDroogからは一歩踏み出した感じかなと思ったけど、どうだった?
それまでのライブは思いっきり曲をバーッとやるやり方だったけど、コールアンドレスポンスをやった方が、お客さんとの距離も近くなるんじゃないかなって思ってやりました。あのやり方が気に入ってたわけではないけど、何かやらんといけんなって思って。ただ、ライブで喋るようになって気持ちが変わりました。喋って気付いたけど、ステージに立つとありのままが出ちゃう。ちょっとでも心に綻びがあるとそれがライブに出てしまうって気付いて。例えば「今日あれをヒロキに聞こうって思ってて聞いてなかった」みたいな小っちゃい引っかかりでもそうなんですけど。だから、やろうと思ったことや言おうと思ったことはすぐやるようになったし、いろんなことを後回しにしなくなった。そうするようになってから毎日が楽になったし、毎日それを繰り返してたらだんだん良くなって行ってる感じがする。だから、そういう風に生きていこうって思ったっす。

―音楽以外の生活の小さな部分も含めて、自分自身が全てライブに表れてしまうって気付いたんだ。そのあと、さっき話してくれたような挑戦をしたシングル(『In A Ghost World』)をリリースして。そこからのツアー(Droog TOUR 2014 〜地獄めぐり〜)は振り返ってどうだった?
すごく良かったと思います。あのシングルも、曲としての点数はわからないけど、ツアーを回っていく中でいろんな人から「いい曲だね」って言ってもらえて。そういう作り方をしたから伝わったのかなと思えて、自信になりました。だから、これから進んでいく方向が見えたというか。

―迷いが消えた感じはある?
うん。

―あのツアーでやっていた、『Daddy Rolling Stone』という曲のカバーがすごくかっこよかった!祐太朗くんも歌ってたけど、あれは誰のアイデア?
あの曲は、俺が高校生くらいからずっとカバーしたくて、なんとなく今なら出来る気がして。いろんな人がカバーしてるけど、ジョニー・サンダースのヴァージョンは、2番を違う人が歌ってるんです。だから成り行きで「祐太朗歌ってみたら?」ってなった。

―めちゃくちゃハマってたよ。
高校生の時からやりたかったから、思いの強さが出ちゃった(笑)。

―それが良かったのかも(笑)。そのツアーが終わっても、ツアー中と変わらないペースでライブの予定が入ってるけど、今はまた、ツアーの時より変化してるなって思う?
最近は、全てのことに理由があるんだなって思った。曲もそうだし、今日ここでやるライブにも、「なんでやるのか」っていう理由が、一個一個に毎回欲しくて。

―今日ここでライブをする意味、ということ?
そう。最近はそれをちゃんと明確にしたいって思う。それをちゃんとクリアしたら自信になるし、そういう小さいことの積み重ねをする。そういうのを何も考えなくなると心に綻びができるというか、心が詰まった感じがして、それがステージに出るし、なんか全部が繋がってるなって思って。だから最近は自分の中でスッキリするように、もやもやしたまま生活しないって決めて。バンドだけじゃなく全ての事において。

―なるほど。それは祐太朗君自身の成長だよね。その個人的な変化や成長が、またバンドに影響をすることも大いにあるだろうね。祐太朗君の思ういいライブってどんなライブ?
自分の表現したこともできて、お客さんも喜んでくれる。自分が10投げたら、お客さんが10返してくれる時が良いライブ。

―それは演奏中のリアクションで感じるの?
そう。自分が3しか投げられない日もあって、それは自分に対して嫌だし、10投げても全然返ってこないのも悔しい。10投げて10返ってきた時が一番楽しいし嬉しいです。

―10投げて10返ってくる、その打率は最近は上がってる実感があるっていうこと?
打率が上がってる感じは、めっちゃある。

―どんなライブをしたいって思う?
ステージでやってる時はバンド単位の目線は少なくなるというか。だからギタリストとしてやりたいことができたと思えるライブ。だけどそれがバンドのパフォーマンスにも繋がると思う。

―今後はどんな曲ができそう?
『In A Ghost World』での曲の作り方に自信が付いたんで、そういうやり方で。表現としては視野の大きい、壮大な曲が作りたいですね、今は。『BAND ON THE ROAD』を作った時に失敗だったと思ったのは「泣きの曲作ろう」って思ったんですよ。泣ける曲ってどうしたら作れるんかなって考えたら、そういう体験から必然的に滲み出てくるものだろうし、作ろうとして作るものじゃなくて、出来るものだと思って。だから、普段からどんどん知らない所に飛び込んで行った方がいいなと思いました。経験したことが全部曲に出ると思うから。歳を重ねると大切なものとそうじゃないものがだんだん具体的になるけど、それでどんどん道筋が明確になっても挑戦はし続けたい。

―18歳から23歳くらいの年齢の時ってどんどん感性が変わっていく時期で。4人はそういう時期をとても濃く過ごしてきて、そんな経験もすごく身になってるんじゃないかなと思う。
環境とか出会う人にはすごく恵まれてる。ロックを知ったきっかけの先生とか、地元のバンドの先輩とか、ディレクターの人とか、佐藤タイジさんとか。そういうナビゲートしてくれる人にも要所要所で出会えてきたし、そういう部分もすごく恵まれてるなって思います。

―ロックンロールバンドっていうのは、バンド自体が転がって行く様が面白いわけだけど、個人的にはDroogにそれをリアルタイムで見せてもらっている気がしてて。制作、リリース、ツアー、また制作っていうサイクルを淡々と繰り返すということではなく、最近は特に、主体的かつ能動的にバンドを前に前に転がしているような印象があるんだけど、そういう自覚はある?
最初の頃は分かんないから勘で全部やって、良いと思った方をチョイスしてて。でも最近は、理由を考えて選んだものに対して結果があって。曲作りにしてもライブにしても、いろんなことが具体的になってる。昔は「今日はライブ良かったなぁ」って言っても何が良いのか考えなかったし、「ライブ悪かったなぁ」って言っても、何が悪いか分からんけん「気合が足りんかったよね」みたいなアホの会話をしとったけど(笑)、最近は具体的に「あそこがあぁだったけん悪かったよね」とか、どんどん具体的にするようになっていって。だから転がってる自覚もちゃんとある。

―なるほど。最近の変化のヒントになるキーワードがたくさん出てきた気がします。ちょっとライトな質問を。4人で遊んだりもする?
休みの日に集まって、っていうのは最近ないかも。でもそれは、バンドでほぼ毎日一緒にいるから。ツアーの空き時間は遊んでるようなもんですけどね。この前はライブ終わって夜中に旅館に着いたら受付の人が居なくて、空いてる部屋に入って。大浴場があったから「入りに行こうや」って4人で行ったんですけど、お湯がもうめっちゃ冷たいんすよ(笑)。でも「ギリギリ入れるぞ!」って言って。あれ面白かったな(笑)。

―仲良しだね(笑)。4人を兄弟構成に例えるとどうなると思う?
4兄弟?んー、まぁ、拓斗は絶対弟やなー。俺一人っ子やけん兄弟とかわからんな……でもまぁ拓斗は弟やな。

―そこは確定なんだね(笑)。
そういうのに例えるなら、ヒロキは熟年夫婦みたいな。結婚30年目です、みたいな。右田は、手に負えんペット、というか言うこときかん犬みたいな(笑)

-夫婦っていうのはすごい納得(笑)。じゃぁ、Droogってどんなバンド?
どんなバンドなんやろうなー。すげぇ極端なバンドやと思うし、紙一重なバンドやとも思うし。「ヒロキ、ほんとロックスターなんやないかな!」って思う時もあるし、「こいつただのボンクラなんやないかな?」って思う時もある(笑)。超天才にも見えるし、超バカにも見える、その紙一重感。それはバンド始めた最初から思ってますね。

―それは今もそういう印象?
今は、その…バカなんやないかな、の回数の方がちょっと多いかもしれん(笑)。でも、バンドマジックが解り易く出るバンドだと思うんですよね。俺らみたいなやつらが起こす奇跡みたいなのがすごい感動すると思います、そういうのが実際起きた瞬間は。Droogってすごい大きいステージも想像できるし、ずっとアングラでやってるのも想像できる。なんやろ、コンプレックスなんかな。

―コンプレックスっていうのは面白いワードだね。でも、大きい所でやりたい気持ちは当然あるでしょ?
やりたいっすね。

―だからそれがイメージ出来てるのはとても重要だと思うけど。
なんか、その大きいところでやった時に似合う様な、壮大な表現の曲っていうのが次のテーマで。大きい所でやるために作るんじゃないけど、でも曲のイメージとしてはそういうテーマで、派手な表現がしたいっす。

―どんなバンドになりたいって思う?
ライブに限らず、10投げたら10返ってくるような、お客さんとそういう関係でいたいですね。いい意味で対等で、それなりの距離があって。見てくれる人が無我夢中になって、いろんなことどうでもいいやって思ってくれるようなライブをしたい。そういうバンドになりたいっすね。

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