伝統的にミュージシャンの坩堝であるが、昨年においてもYogee New WavesやThe Chimney Sweeperなど日本のインディーシーンを賑わしたバンドを輩出している早稲田大学。そんな早稲田から登場した今なお在学中の新星が、阿佐ヶ谷ロマンティクスである。2014年春に早稲田・中南米研究会で結成し、昨年はりんご音楽祭に出演するなど順調な活躍を見せている男女6人組。初音源となる本作に収められた7曲を聴くと、その出自に違わずリズムセクションにはロックステディやソウルの影響が感じられる。しかし彼らの持ち味はそれをあくまでフレーバーとして扱い、テクニカルなリバーブギターとあったかいメロディ、小谷美紗子にも似たまろやかな有坂朋恵(Vo.)の声が織りなす、とことんロマンティックなシティポップに仕上げているところだ。

「チョコレート」での“バレンタインって男の子から女の子にチョコあげる日でもいいのになぁ”という女子の思っちゃったんだからしょうがないという歌詞世界や、「Summer Song」で見せる有坂のゆるふわトーキングポップス。彼らの歌は全てがとるに足らない若者の生活を切り取る。それは日々高田馬場で練習し、終われば阿佐ヶ谷の飲み屋に流れ込む彼ら自身であり、また若き夢追い人の集まる中央線界隈の歌だ。そうなれば彼らの鳴らすミリタントビートにも駅に近づく電車の音を重ね合わせてしまう。かつて友部正人が阿佐ヶ谷の駅から“あぁ中央線よ空を飛んであの子の胸に突き刺され”と歌い、THE BOOMが“走り出せ中央線 夜を越え僕を乗せて”と歌った。彼らもこれらの名曲と同じく言葉に出来ない感情を中央線に、また阿佐ヶ谷の街に託している。

大学生というモラトリアム期間の終焉を控え、“今だけはキープジュブナイル”と音楽に熱意を込める、これ以上にノルタルジックな環境などあるだろか。彼らの向かう先を心から応援したくなるもどかしくも愛らしい作品だ。

【Writer】峯大貴(@mine_cism)

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