クリブスにとって一番重要なのは、正直なサウンドであること。サウンドの裏で何かトリックを使ったり、隠したりはしないってことなんだ。ルールはそれだけ。

アーティスト:ゲイリー・ジャーマン ※オフィシャルインタビューより掲載

-こんにちは。お元気ですか?この電話はポートランドから?
ゲイリー:元気だよ。そう。今はポートランドにいるんだ。

-あなたがポートランドで、ライアンは今ニューヨークに住んでいるんですよね?
そうそう。ライアンは今もニューヨークにいるよ。

-ポートランド在住のあなたとNY在住のライアン、曲作りの中心を担っているおふたりは現在どのように意思疎通して曲を作っているんですか?
できるだけ会って曲を作るようにしてる。会って演奏して、一緒に曲を書くんだ。それが普段のやり方。でも、ロスはイギリスにいるし、最近はやっぱりそれが難しくなってきていて…前は一緒の家に住んでたから楽だったけど、今は何千マイルも離れたところにいるから、状況が違ってきてるんだ。だから今は、それぞれに曲を書いてアイディアを溜めてから集まるようにしてる。その分、他の二人がどんなアイディアを持ってくるかがすごく楽しみだし、こっちのアイディアを見せるのも楽しみなんだ。でも、やっぱり集まった時はかなり集中しないといけない。それぞれが違うアイディアを沢山持ってくるし、それを限られた時間でまとめないといけないからね。すっごく忙しい。フラストレーションも大きいし…でもそんなにハードだとは思わない。移動するのは苦ではないし、前一緒に住んでいた時は24時間ずっと一緒だったから、それぞれの毎日を過ごしながらたまに集中して曲作りをするっていうのはむしろ良い事だと思うんだ。一緒にいるときは受けている影響も同じだったけど、今ば3人がそれぞれに違うものから影響を受けているぶん、それがバンドを成長させてると思うから。

-ポートランドに住んでいる利点とは?
こっちに引っ越してくる前は、すごく気持ちが沈んでて…でもここに越してきて、そこから抜け出せたんだ。クリエイティヴになるためにはポートランドはすごく良い場所だと思う。ここに存在しているミュージシャン達のコミュニティはすごくアーティスティックだし、スティーヴン・マルクマス&ザ・チックスとか、クワージなんかは親友でもあるし、すごくインスパイアされるんだ。そういうミュージシャン達に囲まれていると、活動意欲が湧くんだよね。

【BELONG Magazine Vol.11はThe Cribsの記事を掲載】
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-英語のアクセントも変わりました(笑)?
最初に越してきた時は、俺が何言ってるのかわからない人も多かったみたいで(笑)、でも長く住んでるから、アメリカン・アクセントとまではいかないけど、使う言葉はアメリカ英語になってきた。アクセントも、もうヨークシャー・アクセントじゃなくて、普通のブリティッシュ・イングリッシュに変わってきてるし。

-『For All My Sisters』聴かせていただきました。近年のあなたたちの作品中でもとりわけポップなアルバム、1曲毎に磨き上げたソングライティングのアルバムという印象を受けましたが?
その通りだと思う。でもポップ・アルバムというわけではないんだ。コマーシャルな超ポップまでとはいかなくても、ポップの要素は常にあったしね。今までは、そのポップの要素をわざと壊している部分も確かにあった。今回はそれに比べてポップの要素が強くなっているんだ。でも、ポップ感のあるレコードってだけで、ポップ・アルバムではないけどね。

-では、そのポップ感のあるレコードという本作の方向性はどのようにして固まってきたんですか?
このバンドには、2つの側面があるんだ。ポップからの影響と、パンク・ロックからの影響。俺たちが作っているのはそのコンビネーションで、その中を色々他の要素を加えながら自由に行き来したサウンドを作ってる。で、今回は、Wichitaという長い間ずっといたレーベルを出てから初めてのレコードでもあったし、コンピレーションの『Payola』を出した後だったし、新しいスタートということで、まず自分たちの基盤となる側面を見せたらいいんじゃないか、ということになったんだ。

-クリブス史上最もヘヴィなアルバムだった前作から逆の方向にいきたい、という意図もあったのかな?と思ったのですが。
『In the Belly of the Brazen Bull』は確かにヘヴィでもあるけど、同時にすごく開放感のある作品でもある。ただヘヴィなだけじゃなくて、沢山の種類の曲やセクションがあるし、バラエティのあるアルバムなんだ。あのアルバムを作っていた時はすごくクリエイティヴだったし、プロセスをすごくエンジョイすることが出来た。でも今回のレコードでは、沢山の種類の具材を使って凝った料理を作るより、シンプルでわかりやすい、素材の引き立つ料理を作りたかったんだ。クリブスのベーシックな要素が表に出てくるようなレコードを作りたかった。だから、色々な要素を詰め込むよりも、歌詞とメロディといった基本的な要素フォーカスを置いた作品を作りたかったんだ。

-なるほど。
スタジオに入る前からなるだけサウンドをシンプルにしようと心がけた。レコードのほとんどがライブ・レコーディングだし、期間は3週間。ライブかつ短い期間だったから、今回のレコードにはあまりエクストラの要素は入っていない。とにかく必要なものだけを残したんだ。それはすごく良かったと思ってる。レコーディング期間が短かった分、”瞬間”をサウンドに捉えることが出来たからね。短い期間だとわかっていたから、スタジオに入る前のリハーサルもバッチリで、曲のことも熟知していた。そのおかげで、今回はサウンドがすごくダイレクトになってる。その瞬間のエナジーをみごとに捉えたサウンドをレコーディングすることが出来たんだ。新作のプロデューサーはリック・オケイセックなんだけど、彼も良い仕事をしてくれた。彼は、一番ふさわしいテイクを使う事に凝っていたからね。ファースト・テイクを使うこともあったし、4、5テイクのものを使うこともあったけど、彼はとにかく一番エキサイティングなテイクを探そうとしていた。パーフェクトである必要はなくて、エキサイティングということが大切だったんだ。

-そのリック・オケイセックですが、彼にプロデュースをやってもらうことになったきっかけは?
リックは理想のプロデューサーの一人だったから、彼と仕事したいっていうのは、俺たちの中に常にあったアイディアだったんだ。彼には素晴らしいポップのセンスがある。彼が手掛けるのはただのポップ・ミュージックではなくて、色々な音楽の視点からみられたポップ・ミュージックだからね。俺たちが好きな音楽も、他の色々な変わった要素から出来ているポップ・ミュージック。だから彼は適任だったんだよ。

-彼は本作にどんなサウンドをもたらしてくれたと思いますか?
まずはさっきも言ったように、一番エキサイティングなものを探し出すてっていうところが良かった。あと良かったのは、彼がすごく熱意のある人で、バンドのことを熟知していたこと。すごく愛が感じられたし、彼の意見には心から納得することが出来たんだ。それくらい彼を信用出来て、尊敬していたということ。彼がそれがベストテイクだと言えば、素直にそれに同意することが出来た。それに、彼は俺のヴォーカルをすごく良くしてくれたと思う。いつもだと、俺はパッションが全てだったから、パーフェクトではなくても、とにかくスピード感があって自分が気持ちよく歌えればいいと思っていた。でもリックは、ここの歌詞はディープだからこういう風に歌ったほうがいいとか、俺のヴォーカルを大分改善してくれたんだ。俺はヴォーカルのトレーニングを受けたことがあるわけではないけど、彼のお陰で今までで一番のヴォーカルが録れたと思ってる。すごく協力的だったし、良い仕事をしてくれたね。

-ヴォーカルを改善するのは難しかったですか?
全然。彼は自分の意見をいいまくることは決してなくて、ミュージシャンの立場になって色々と考えてくれるプロデューサーだった。だから常に俺たちの背中を押してくれたし、すごくやりやすかったんだ。

-レコーディング自体は昨年秋にスタートしたそうですが、レコーディング自体の進め方、また、考え方は、たとえば前作と比べてどんな変化がありましたか?前作はデイヴ・フリッドマンとスティーヴ・アルビニとのセッションを2カ所で別に行ったそうですが。
このレコードはさっき話したように、すごく早く出来上がったんだ。前のアルバムは3つの違うスタジオを使ったし、全ての曲に沢山の種類のセクションがあったし、プロデューサーのデイヴ・フリッドマンが色んな音やキーボードを試したりっていう感じだった。前回はもっと革新的なレコードを作りたかったから、それが必要だったんだ。でも今回はシンプルだったからレコーディングはすごく早かった。ギターを重ねたりハーモニーを重ねたりはしたけど、レイヤーもあまりない。もっと瞬間的なレコーディングだったね。

-そのレコーディングにおいて何か決めたルールはありましたか?
今回特別に何かっていうのはない。バンドでいつも決めているのは、ライブでレコーディングするということ。基本的にクリブスにとって一番重要なのは、正直なサウンドであること。サウンドの裏で何かトリックを使ったり、隠したりはしないってことなんだ。ルールはそれだけ。

-本作の曲作りは何時頃、どのようなきっかけで始まったのか教えてください。
コンピレーションの『Payola』を2013年の始めに出して…その時期は、Wichitaとの契約も切れる時だったし、この先どうなるのかが見えていない時だった。契約が定まってなかったから、スタジオに入ってレコーディングも出来なかったし、何も行動出来なかったんだ。だから、休暇をとるしかなかった。だから2013年の夏は休暇をとって、そのあと少しそれぞれに曲を書き初めて、クリスマス休みがあって…で、2014年にはクルーズでのバンドセッションに参加して…あれは2月だったかな?そのあと全員ポートランドに集まって、俺の家の地下でデモを作り始めたんだ。で、イギリスのスタジオでリックと一緒に作業を始めた。だから、曲を作ってたのは2013年と2014年の間だな。

-曲作りの上で、今までにはないスタイル、新しく試してみたことがあったとしたら?
やっぱりポップ・ミュージックをここまで前面に出すってことだと思う。作っている間は、子供の頃を思い出してた。当時はそういう音楽を沢山聴いていたからね。ダサいとわかっていながら聴いてしまう音楽とか。デモを書いている時も、多分そういったポップ・ミュージックが影響してたんだじゃないかと思う。そういった音楽をリプレイスメンツみたいなパンク・ロックと混ぜ合わせて曲を書いたんだ。

-たとえば本作にあなたが新たにもたらしたサウンドのエッセンスがあるとしたらそれは?逆に「これはライアンのアイディアだった」と言えるようなものがあるとしたら?
いや、それはあまりない。パンク・ロックもポップも元々クリブスにある要素だし、これは俺のアイディアだった、これはライアンのアイディアだった、っていうのは得にないね。二人の役割はイコールだった。

-先ほども話題に出ましたが、昨年デビューから10年の節目を迎えたザ・クリブスですが、デビュー以来ずっと在籍していたウィチタから新たにSony REDへと移りましたよね。どうなんでしょう、10年の節目を意識した部分もあるんでしょうか。『For All My Sisters』は次の10年の出発点の作品とも言える訳ですが。
いや、ただ契約が切れただけ。その後どうするか考えてなかったから、他のレーベルに移るか、Wchitaに残るか悩んでたんだ。でも、Wichitaと話していくなかで、もう契約を結ばない流れになっていって…正直悲しかった。そんなことが起こるとは思ってなかったし。彼らは家族みたいな存在だからがっかりさせたくもなかったし、2013年はなかなか次に進めなかったんだ。俺たちにとって難しい時期だった。1年も活動が出来ないって、すごくフラストレーションだったよ。でも今は、自分たちが置かれている状況でハッピーだし、出来上がったレコードにも満足してる。早く日本にも行きたいね。日本は世界で一番好きな場所だから。

-UKロック・バンドで10年キャリアを積み重ねることができるバンドは本当に稀ですよね。それが出来ている秘訣とは?インディ・ロック冬の時代とも呼ぶべき今、そういう状況の中でクリブスはどういう存在でありたいと考えていますか?
何がインディだとか、何がメインストリームだとか、何がトレンドだとか、ムーヴメントとか、そういうのを全く気にしてないからさ。インディとメインストリームの違いもわからないし(笑)。トレンドにとらわれてしまうと、かならずガタがくる。でも俺たちは、そんなの関係なく活動してる。それでいいんだ。何かにとらわれないからこそ、色々な人たちがそれを理解して付いてきてくれてるんじゃないかな。俺が好きなバンド、ラモーンズやリプレイスメンツ、ソニック・ユースも、自分たちを好きで来てくれる人たちのことだけを考えて演奏していた。だからこそ皆がずっと彼らについていったんだ。自分たちもそういうバンドで居続けられたらいいね。

-ありがとうございました!
ありがとう。また日本に行って皆に会えるのを楽しみにしているよ。

『For All My Sisters』

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イベントフライヤー(640)

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