冷牟田敬の話だ(筆者よりも年上の方だけど、リスペクトを込めて敬称なしで続けたい)。今年のはじめに活動終了した昆虫キッズのリードギタリスト兼キーボーディストとしてかの破天荒でロマンチックなサウンドを支え、また豊田道倫&『m t v』BANDのギターも務め、こちらも豊田の色々とブルージーな楽曲に鮮烈なイメージを添えるプレイを披露している。そんな彼が、三月に二枚のアルバムをリリースした。ちなみに、この後も豊田バンドの新曲リリースがあり、さらに昆虫キッズのライブ盤のリリースを控えており、ちょっとしたお祭り状態である。その上で、この二枚は今の彼のポテンシャルや嗜好が強力に反映された、絶大な力作となっている。

まず、彼のソロ名義でリリースされた『noise myself』。これがほぼ全編をシューゲイザーフィーリングで貫き通した、見事なギターアルバムになっている。所属の各バンドのライブで時折強烈にシューゲイズなサウンドを弾き倒してきた彼のプレイヤビリディーが、彼の中の最果てのイメージと結びつき、幾重にも重ねられたギターのレイヤーがリズムマシンの硬質なビートに乗り、時に壮絶で破滅的な、時に甘美で幻想的なサウンドスケープを作り出している。特に、時折聞こえてくる、エレクトロニカっぽく聞こえもするギターのノイジーな反復フレーズに、彼独自の美意識の眩しさが強く感じられる。 曲によって挿入される彼自身の歌も、そのサウンドスケープの抑揚の一部として半ば溶けたような響き方をしている。

そして、彼が昆虫キッズと並行してずっと続けてきていたバンド・Paradiseの『Double dream is breaking up the door.』だ。Paradiseは、それこそ彼岸の狭間を彷徨うようなボーカリスト・宮腰呼詩の、地獄そのものを呼び寄せるようなボーカルを軸としたロックバンドだが、オリジナルメンバーである3人のみで録音された今作は(事情により一番ポップな曲を書くメンバーだった関口萌の露出がかなり限定的なこともあり)、異形の作曲家チームとしての宮腰=冷牟田ダッグによるソングライティングの威力がソリッドに表出している。キリキリと展開される鋭角的なサウンドに呼詩氏の這い回り撒き散らすような歌の組み合わせは、彼らの異常さが現れながらも、意外とポップで歯切れ良い面も今作は併せ持つ。

残念なことに、Paradiseについては5月13日のレコ発ライブをもって解散することが決定しており、今回のアルバムが最後の作品となってしまうようだ。しかし、ソロ、バンドのこの2作、それに昆虫キッズや豊田道倫バンドの活動を眺めてみて、明らかに今の冷牟田敬はすこぶる絶好調の状態にある。日本のオルタナティブ界隈ギタリストの、これからもっと世に知られるべきニューヒーロー(などと言ったらご本人は困った顔をするかもだが)として、彼の活動にはこれからより敬意をもって注視していきたい。

【Writer】おかざきよしとも (@YstmOkzk)

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