10周年を超えた今の勢いを、8ビートのラウドロック――すなわち、初期に近いサウンドでアップデートした作品だ。「Little Lennon」の疾走感あるイントロ、ゴッチの叫び。「Wonder Future」のスタッカートやメロディの上下をきかせた歌い方。どれも、『ファンクラブ』までの音でもって、現在のアジカンの歌い回しを構築しているようだ。前作『ランドマーク』ほどポリティカルでもなく、ただロックの衝動に身を寄せている。そして何よりも、今まで以上に声の表情が豊か。「Eternal Sunshine」の細かな感情表現には、涙腺が緩んでしまう。

しかし、あくまでも初期に「近い」サウンドあって、完全に初期のそれではないのは、彼らが歳を重ねたからだ。最近のアジカン、ゴッチの活動は一貫して「歳を重ねる」がキーワード。先述の10周年もそうだし、ゴッチのソロ作のタイトルは『Can’t Be Forever Young』。直訳すると「永遠に若くはいられない」という意味の中には、彼がある一定の頂点を迎えたことを自覚しているのがよくわかる。

アジカンは若いバンドにはなれないし、若いバンドの座を奪うのもまた違う。だから今、彼らが選んだ道は”若い人のお手本になること”。ゴッチは「フー・ファイターズやU2は作品ごとにアップデートしながら皆の期待にも応えてる」「そういうバンドをめざしたい」と語っており、この意思こそがフー・ファイターズのプライベートスタジオ「Studio 606」での制作の原動力だろう。ここでもう一度、彼らはお手本としてラウドロックを鳴らし始めたのだ。

“繋いでよ”なんて消極的に歌っていた彼らが、今では人々と音楽を積極的に繋ぎ合わせている。なんて感動的な物語なんだろう。アジカンはいつの時代も、ロックキッズの原動力であり、いくつになっても、我々のキッズな心を呼び戻してくれる。この作品はそれを証明している。

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【Writer】ŠŠŒ梶原綾乃(@tokyo_ballerina)

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