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西村:僕の中では『BYE! BYE! BYE!』が吉田拓郎で、『いつでも夢を』は高田渡ってイメージなんですよ。『いつでも夢を』は聴き手に何の意味を持たせない感じを出したくて。まさに夢みたいに朝起きたら、“あれは何だったんだろう?”くらいの気持ちで聴いて欲しいですね。本当に意味のない事をして笑ってくれたら良いですね(笑)。

アーティスト:西村竜哉(Vo./Gt.)、吉川淳人(Gt.)、田中隆之介(Ba.)、富田貴之(Dr.) インタビュアー:桃井かおる子

-『いつでも夢を』というタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか。
田中:このミニアルバムは5曲入っているんですけど、それを漢字一文字で表したくて。そうしたらまず、“夢”が出てきて。「ミスタームーンライト」は夢見がちな女の子の曲だし、「うみ」も将来の不安や夢についての曲だし、それこそ「BABY」には、“君の夢を見るよ”って歌詞もあったんで。それならこのアルバムを漢字で表すと“夢”しかないなと。しかも僕の好きな漫画に『いつでも夢を』っていうものがあるんですよ。
西村:昔、“ヤングサンデー”で連載していたトレンディ―感のあるやつです。僕もアルバムを作った後にその漫画を読んだんですけど、確かにグサっとくる感じがあって。
吉川:そうやな。僕らのようなものづくりをする人にとっては共感する部分が多くて。主人公が才能のない漫画家なんですけど、大失恋したり、様々な失敗をしたりするんですけど、その度に「あ、これ漫画にできるんちゃうか」って創作する事を考えてしまうっていう。
西村:ジブリで言うと『風立ちぬ』に似てる部分がありますね。苦悩しながら生きていく感じというか、どの人も夢を見ているっていう。僕らの作品で言うとそれぞれの曲の主人が夢を見ている感じですね。
田中:夢って面白いと思うのが、“寝ている時に見ている夢”と“将来の夢”って2つ意味があるじゃないですか。アルバムのタイトルからしたら、聴いてくれる人がどっちの意味でもとれるなって思えるのが良かったなって。それでこういうタイトルになりました。

-アルバムに入っている5曲のうち、唯一「BABY」のみ新曲で、他の曲はレコーディングし直したと思うんですけど、どうしてこういう構成になったのでしょうか?
西村:会場限定音源としては出していたんですけど、全国流通はしていなかったんですよ。だからこのタイミングで出そうかなって。
吉川:これらの曲を全国流通盤で欲しいって言ってくれるお客さんがたくさんいたんで、もう一回録り直しましたね。

-5曲全てを今までの曲にしなかったのはどうしてですか?
田中:新曲を1曲入れる事で、今までライブ会場限定盤が入っている事で、楽しめるかなって。
西村:正直に言うと、曲がなかったというのもあるんですけど(笑)。

-なるほど。録り直したものはライブでも人気の曲だと思うんですけど、どうしてこの4曲を収録したんですか?
西村:この前リリースした『BYE! BYE! BYE!』は暗いイメージのアルバムだったんですよ。だから次は明るくいこうって事で。メンバーもアホな感じというか、楽しくやろうよって雰囲気になってましたし。
田中:2枚のアルバムをまとめて1枚にしても良かったんですけど、前のアルバム(『BYE! BYE! BYE!』)を出す前に、『いつでも夢を』を出す事が決まっていたんですよ。僕らからしたらこの2枚で1枚だと思ってて。『BYE! BYE! BYE!』は少し暗い印象があったかもしれないんですけど、『いつでも夢を』がある事で、またプププランドの見方が変わるかなって思うし、2枚で中和される感じですね。

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-今回レコーディングし直したという事で、会場限定の音源とはどの曲も違う印象を受けたんですけど、どういった流れでアレンジを加えていったのでしょうか。
吉川:前にレコーディングした時は、たなりゅーさん(田中隆之介)になる前のベースが弾いてくれていたんですけど、新たに入ってもらってからセッションしたり、曲をどうしようかって話合ったりした結果がこのアルバムなんですよね。

-そうなんですね。そもそも田中さんはどのようにしてプププランドに入ったんですか?
田中:前のベースがライブ前の3日前にノロウイルスで胃腸炎になって、ライブをやるのは無理ってなったんですよ。その時、僕も神戸でバンドをやっていたんですけど、暇やったんで(笑)。せっかく誘ってくれたし、やってみようって。入ってみたら、みんなにも続けてくれって言われたし、僕もやりたかったんで。加入して最初は早くバンドに馴染みたかったんですよね。結果的にこうしてアルバムが作れて良かったなと。
吉川:そういう流れがあったんで僕らからしたら、レコーディングし直した作品というよりはどれも新曲みたいな気分で作りましたね。

-以前のインタビューではどう楽曲制作を進めていくかを聞いたんですけど、今日は4人揃っているので、改めて4人でどうやってプププランドの曲を作っていくかという過程を聞きたいと思います。それについて教えください。
吉川:たつや(西村竜哉)が持っているイメージを4人で、音に出すというのがメインですね。

-たつやくんが持ってきたアイデアを3人に対して、こういう風にして欲しいって言われると思うんですけど、具体的にどういう指示をしているんですか?
田中:こういうイメージって事でCDを持ってきて聴かせてくれたりだとか、僕らがこう言うのかなってCDを聴かせたりして、みんなでイメージを固めていっていますね。
富田:3人だけで曲を組み立ててみて、土台の部分を作り上げていく事もありますね。

-この4人でレコーディングしてみて難しいと感じる部分はありましたか?
田中:難しいと感じる部分はなかったんですけど、その時の気分で何が良いかって変わるから完璧な形ってないと思うんですよ。例えば一か月前に聴いていたものが今聴いたら、何か違うなって思う事ってあると思うんですよ。それって自分たちの曲も一緒なんですよね。バンドをやっている人って常に微調整をしているんだと思います。もちろんライブをやる時はこれがベストだって、演奏してるんですけど。練習の時はもっと良いものができないかなってずっと考えてますね。煮詰まった時はみんなでどういう音楽が良いかなって感じで、出し合う事もありますし。

-そうなんですね。みなさん、それぞれどういう音楽を聴いているんですか?
吉川:色々と聴くんですけど、僕がそうなったのはここ1年くらいの話ですね。もともと洋楽を聴いてなくて、日本のメジャーな音楽、特にくるりはよく聴いてましたね。昔はテレビで“日本レコード大賞”や“ミュージックステーション”をよく見てたんですよ。いわゆる“J-ポッパー”ってやつでしたね(笑)。中学生の時はよく姉ちゃんとモーニング娘の曲で踊ってました、ダイエットを兼ねて(笑)。

-私も中学の時に部活で煮詰まった時は踊ってました(笑)。
西村:何の部活やったんですか?

-箏曲部です。実は琴を弾いてたんですよ。
西村:マジっすか!?僕、「さくら」だったら弾けますよ(笑)。
一同:(笑)。

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-田中さんはどういったものを聴かれるんですか?
田中:僕はネオアコ(ネオ・アコースティック)やソフトロックが好きで、もともとは小沢健二やフリッパーズ・ギターとか、渋谷系が好きだったんですよ。そういう音楽って洋楽が元ネタになっているものが多くて。そこで僕のオタク心をくすぐられるっていう(笑)。どこから曲を引用していきているんだろうと思ったら、70、80年代の音楽に辿りついて。そういう音楽って音の作り方がとてもクリーンなんですよ。もともとは高校時代にミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)ばっかり聴いてて。そういう音楽ってギターの音を歪ませるから、そういうネオアコやソフトロックに出会った事が衝撃的で。だから大学時代は優しい音楽ばかり聴いてましたね。僕はイギリスのAztec Cameraってバンドが一番好きなんですけど、メロディーがすごく良いギターポップなんですよ。歌詞は分からないんですけど、音楽だけで儚さが感じられてすごく好きなバンドですね。

-なるほど。みなさんが共通してルーツだと言えるバンドはいますか?
吉川:おとぎ話はみんな好きですね。でも4人共通してのルーツとなると難しいですね・・・。

-ではそれぞれオススメの曲がある時はどういう風にメンバー間で共有しているんですか?
田中:アプリの“Line”を通じて、こういう音楽あったよってよく言ってますね。この前、たつやからMac DeMarcoが良いって教えてくれて、ライブ動画を見たら良かったって思えることもあったり。
吉川:曲を作っているたつやの聴いている音楽に僕らが寄り添ってる感じですね。

-先ほどの話で吉川さんは“J-ポッパー”って言われてましたけど、どういういきさつがあって、洋楽を聴くようになったんですか?
吉川:最初に洋楽を聴き出したのはたつやの影響が大きいですね。The Velvet UndergroundやBEASTIE BOYSや、The La’s、Blur等のいわゆる名盤って言われているCDを借りましたね。

-何か聴こうと思ったきっかけがあったんですか?
吉川:1年前におとぎ話と対バンした時に、この人たちは次元が違うなって思ったんです。何が違うかっていったら、メンバー間で共有している音楽の多さが違うと思って。洋楽だけでなく、シャ乱QなんかのJ-popも良いよって楽屋で話してて。今までは自分の好きなものばかりを聴いてたんですけど、そこでもっと音楽を聴かないとって思って、たつやから30~40枚くらいCDを借りたんですよ。それまでは洋楽の良さって聴いてなかったんで分からなかったんですけど、リズムやギターのフレーズがとにかく多彩で。拍をまたいで一つのフレーズにする事なんかも多いし、洋楽にしか出せない音ってあるんだなと思って。そこから自分もタワレコで試聴して、良かったらCDを買うようになったし、中古の名盤を聴くようにもなりましたし。今は洋楽・邦楽や年代を問わずに音楽を聴いていますね。その時に聴いていた音楽がプププランドに反映されています。

-なるほど、それが洋楽への扉になったんですね。それでは『いつでも夢を』を作っていた時はどういう音楽を聴いていたんですか?
田中:「BABY」を作っている時は、Teenage FanclubやWilcoを聴いていましたね。
西村:このアルバムを作っていた時は、90年代のオルタナティブのギターロックをよく聴いていて。さっき挙がったようなバンドとR.E.M.やNirvanaも聴きましたね。R.E.M.を聴いた時はこれがくるりのルーツなんだと思う部分が多くて、聴くのがどんどん面白くなってきたんですよ。最近といってもちょっと前だけど、YuckやGirlsが好きですね。「BABY」のドラムの音がモコっとした感じはGirlsに近いかな。

-YuckやGirlsも聴かれるんですね!Girlsと言えば、今はフロントマンだったクリストファー・オウエンスがソロでやっていますよね。
富田:最近、突然リリースした『Chrissybaby Forever』はGirlsの1stアルバムっぽい感じですね。
西村:もともと「ミスタームーンライト」はもっとテンポの遅いバージョンで、クリストファーのソロになった1stアルバム(『Lysandre』)があるんですけど、その「Lysandre」って曲のテンポを早くしてアレンジしたんですよ。コード進行に影響を受けてて。

-なるほど。せっかくなのでこの5曲のルーツになった曲をそれぞれ教えてもらえませんか?
西村:「ミスタームーンライト」は海外のフォーク・カントリーと日本のフォークとを足してやってみたいなと思って。それで作ってみたら自分が聴いた事ないような感じの曲ができて、他にやっているような人がいないような感じのものができて面白いなって思いました。カントリーが同じリズムで、軽くみんなで歌える感じを出せて良かったなと。「テニスを教えて」は圧倒的な意味のなさが欲しかったんですよ(笑)。そういうバンドになりたくて。高田渡って日本のフォークシンガーがいるんですけど、その人も本当に意味のない事を歌ってて。例えば「値上げ」って曲があるんですけど、その曲の主人公はお店の店主なんですけど、値上げをするかどうか悩んでいる事を歌っていたり、「アイスクリーム」って曲なんかは30秒で終わるんですけど、早く食べないと溶けちゃうよって歌ってたり(笑)。吉田拓郎は暗くて現実的な曲が多いんですけど、考えさせられる曲で。僕の中では『BYE! BYE! BYE!』が吉田拓郎で、『いつでも夢を』は高田渡ってイメージなんですよ。このアルバムは聴き手に何の意味を持たせない感じを出したくて。まさに夢みたいに朝起きたら、“あれは何だったんだろう?”くらいの気持ちで聴いて欲しいですね。本当に意味のない事をして笑ってくれたら良いですね(笑)。

-そうだったんですね。この曲については触れようかどうかためらっていたんですが、この際なので聞きますが、「テニスを教えて」はどういういきさつでできた曲なんですか?
富田:これは一番初めに作った曲で、たつやが軽音部の部室でふざけていた時にできたんですよ。たまたま部室にテニスのラケットがあって、それが元になって想像が膨らんでいったっていう(笑)。
吉川:これはバンド結成当時のキラーチューンでしたね(笑)。その時はベースが女の子だったし(笑)。
西村:この曲をやったらフロアにいるがみんな笑顔になるっていう(笑)。この曲の次の「BABY」はNirvanaやTeenage Fanclubなんかのオルタナギターロックがルーツにあって、不器用さを出したかったんですよね。この曲のミックスの時にTeenage Fanclubのこんな感じのギターの音が良いってアルバムの曲を聴いてもらいましたね。「おっぱい」も「テニスを教えて」と同じで、全く意味のない曲ですね(笑)。
吉川:聴く人がどうでも受け取れるっていうのが面白いと思っていて。
西村:最後の「うみ」は自分の中で一番好きな曲で、この曲のルーツもギターロックですね。この辺りになると、みんなもミックスがこなれてきて(笑)。エンジニアの人とも偶然、趣味が合う事もあったし。

-なるほど。それでは最後に『BYE! BYE! BYE!』と『いつでも夢を』はどういう人に聴いて欲しいと思いますか?
富田:何に悩んでるか分からない人に聴いて欲しいですね。自分もそうなんですけど、無意味に焦っている人に聴いてもらって、何かしら感じとってもらって、そこから何か行動に移してもらえたら良いなと思います。
吉川:僕はおじいちゃんやおばあちゃんや3歳くらいの子供にも聴いて欲しいですね(笑)。本当はみんなに聴いて欲しいんですけど、アルバムの感想はさっき挙げたような人たちに教えて欲しいですね、一番素直な意見を言ってくれそうなんで(笑)。おじいちゃんからしたら、このアルバムを聴いて“あ、何か思い出すなぁ”って思ってくれたら嬉しいし、子供からしたら“これからの人生、何か楽しそうやな”って思ってくれたら嬉しいですね(笑)。
西村:僕は何も考えていないような素直な人に聴いて欲しいですね。
吉川:そういう人らが何かを考えて、意見を言ってるような感じも面白いかもしれないですね。普段、ボケーっとしているような人が「テニスを教えて」って曲、めっちゃ深い意味があんねんでって言ってるのを聴いてみたい(笑)。
田中:僕はざっくり言うと若い人に聴いて欲しいんですけど、さっき挙がったような素直な人にも聴いて欲しいし、音楽好きにも聴いて欲しいんですよね。

-インタビューの冒頭で出てきた、『いつでも夢を』の漫画の主人公に聴いて欲しいと思いますか?
田中:もちろんそういう人に聴いてもらいたいし、なんなら一緒に飲みたいくらいですね(笑)。

『いつでも夢を』

『BYE!BYE!BYE!』

【Event】
2015.0719sun@大阪名村造船所跡地PARTITA
愛はズボーン/プププランド/THE BOSSS/ドミコ/DAISY LOO/DENIMS
クリトリック・リス/夜行性のドビュッシーズ/神頼みレコード/guestDJ onion night!

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