「27CLUB」のMVを見てわかるとおり、NAHAVANDの曲はヒップホップとロックンロールを行き来する。27CLUBはジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン、ブライアン・ジョーンズ、カート・コバーンなど27歳で他界したロックスターを指す。この曲のリリックは「悪魔に魂を売る」という内容で、ロックの話では古典のプロットであり、それを表現する手段として、対岸の文化にあるヒップホップのトラックとフロウを用いている。また一方でギターはソリッドなカッティングでロックンロールを奏でる。フロウとギター・リフとトラックの三つ巴が、それぞれの立ち位置から1つの曲を構成し、交互作用で新鮮さを生み出している。シンプルな曲なのに情報量がやたら多い。1度聴いただけでは飲みこめない。そして、このたび全国流通盤としてリリースされる『TWO OF STRONGEST(最強のふたり)』には全編にわたりそのジャンルの往来による魅力が極まってる。

アルバムに収録されてる8曲のリリックの内容はバラエティに富んでる。自己紹介、姿勢、エピソード、宣言文、愚痴、真剣な話、笑い話、打ち明け話、たまにこっちに聞いてきたり・・・。彼らの今(正確には2014年だが)が赤裸々に、あるいは淡々と綴られ、まるで日記を読んでるかのような錯覚に陥ってしまう。このアルバムは彼らの本心が記録された盤であり、聴いてる時間は、イコール彼らとのコミュニケーションの時間だと言っていい。初めて聞いた時は妙な感覚で驚いたが、それだけアルバムとしてのコンセプトがまとまっているのだ。「あのことって何て言ってたんだっけ?」って聞き返したり。そうすると曲と曲がいろんな視点で繋がってるなーとか思ったり。

“コードより公道が好きなバンド”は”口開きゃはいおつかれ~”で”業界のコネ”にあやかる、”効率悪過ぎてだりー”人たちだ。”イチぬけた”つもりが、その人たちのイベントを受けてしまい、”13時に入り”の連絡が来たりする(それぞれの曲はアルバムを聴いてください)。バンドマン(特に7バンドくらい出るイベントに出演するローカルバンドマン)でないとピンとこないかもしれないが、13時入りでは出演はおそらく21時くらいだ。つまり出番までの8時間を近辺で過ごさなければならない。興味ない対バンのライブを盛り上げる?楽屋やフロアで気が合わないヤツとおしゃべりする?”コードより公道が好きなバンド”は「はいよろこんで!」とそうする。なぜか?ライブハウス、イベンターに気に入られれば、有名バンドと共演でき、安く自主企画ができて、サーキットイベントに推薦してもらえると信じてるからだ。そのために彼らは優等生になり、ハコを盛り上げ、自主企画し、自費でツアーし、顔が広い友人を増やし、それをシーンと名付け、集客を埋め、1個1個階段を上がる。

しかし10年くらい続けて、階段なんか上がってないバンドがポンとレーベルに拾われたり、フジロックに出演するのを横目で見続け、ある日「本質的にどうにもなってない」と気づく。でも今さら「才能がない」と辞めるわけにいかず、「バンドって楽しいよね!」とローカルバンドを続ける。もしくは当初の目標を「楽しかったからいいよね!」とすり替え、卒業すると同時に解散する大学生バンド。大阪に存在する1000以上のバンドのうち980くらいがそれに当てはまるか、あるいは予備軍だ。最強のふたりは、この”効率悪りー”ゲームを抜けた。じゃあ彼らはどうやってバンドをやっていくか?どんな音楽を続けるか?どんな仲間を見つけるか?”その答えが今見つかった”と「27CLUB」で打ち明けてる。”答え”はこのアルバムの中にある。

【Writer】ŠŠŒTJ(@indierockrepo)
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