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バンド初の全編インストアルバムにも関わらず、聴きやすい本作『La Di Da Di』は、BATTLESの本質部分であるストイックさとユーモアのバランスが取れたからこそ実現できた奇跡的なアルバムである。まるで彼らの人柄を音楽に落とし込んだような『La Di Da Di』について、このアルバムができた背景をイアン・ウィリアムスに聞いた。


アーティスト:イアン・ウィリアムス(Gt, Key) インタビュアー:yabori、 通訳:原口美穂 写真:Grant Cornett 2015

-こんにちは。今日はよろしくお願いします。後ろに聞こえるのはお子さんですか?
イアン・ウィリアムス:そう。娘で、この前1歳になったんだ。俺、パパになったんだよ(笑)。

-そうなんですね!おめでとうございます。
ありがとう(笑)。

-では、時間もないのでインタビューを始めさせてください。
オーケー。

-前作から今作をリリースするまでに4年間ありましたが、どのくらいの期間を使ってアルバムを制作していたのでしょうか。またどうして長い時間をかけて一枚のアルバムを作るのでしょうか。
制作のために3人集まったのを最初だとすると、約2年かな。でもその前に、俺は家のスタジオで作業していたし、マンハッタンにあるリハーサルスタジオに一人でいったりもしていた。そうやって、ループといったアルバムの基盤を作っていたんだ。まず3人がそれぞれ一人でアイディアを固める時間を長くとって、それをあとからお互いにシェアして意見交換をしていったね。そこから、全員がエキサイティングだと思うものをピックアップして作業を進めていった。その後3人集まってジャムをして、音楽の上にキャラ(特性)を乗せて行ったんだ。あとは、レイヤーを重ねていったり、そこからまたレイヤーをはがしたり。今回は少しだけ前よりもシンプルにしたかったし、ある意味、ほんの少しだけミニマルなレコードを作りたかったんだ。厚みのある音楽ではもちろんあるんだけど、今回は、与えられたスペース全てに音を詰め込もうとするのではなく、そのスペースを敢えて少し残しておくようにしたんだよ。それが新しかった部分だね。

-前作のリリース後、2年間のツアーの後にこのアルバムの制作に取り掛かったんですね?
そう。まずツアーを2年間やって、その間はソング・ライティングはほとんどしてなかった。その後家に帰って普通の生活に戻って、そこから制作に取り掛かったんだ。今年の1月か2月に作り終えたんだけど、レーベルにとっては12月がベストだったみたいだし、リスナーの皆も含め、いつも人を待たせちゃうんだよな(笑)。敢えてそうしてるんじゃなくて、活動の流れで自然とそうなってるだけなんだけど。

-何故それが毎回4年になってしまうんでしょうね(笑)。
自分たちにも全くわからない(笑)。毎回シチュエーションは違うんだ。今回は俺が親になったのもあるし、母親も亡くなったし、それぞれの私生活や活動が関係してきて偶然そうなってる。それに時間を取られると、自然とアルバムが完成するまでの時間がそれくらいになるんだ。

-父親になったことで、何か変化はありましたか?
やっぱり責任感を強く感じるようになった。だから、活動に対してより積極的になったと思うね。以前は、色々なことに対して”このままでいい”と思っていたけど、今は彼女によりよい世界を提供してあげたいという想いがある。だから、前よりも何かをトライするようになったね。

-音楽活動に影響はあるのでしょうか?
いや、音楽制作には全く影響してないと思う。娘が生まれたからといって、キャッチーなポップソングを書くようなことはしないよ(笑)。

-新作アルバムのタイトル『La Di Da Di』にはどのような意味があるのでしょうか。
この言葉には陽気でリラックスしたイメージがあって…何て言ったらいいかな…アルバムの中には緊張感のあるトラックもあるから、それとは逆であまり激しくないタイトルをつけたかった。裏の意味があるとか、そういうのじゃないいんだ。

-ベルリンのバーにいた時、デイヴが最初に思いついたんですよね?
そう。

-あと、Slick Rick(スリック・リック)の曲のタイトルでもあるとか?
そうそう。そういう歴史的なポップ・カルチャーの要素も少し入ってる。コーラスに”La di da di, we like to party”(=ラ・ディ・ダ・ディ。俺たちはパーティーがしたい)っていう歌詞が歌われているクールでクラシックなラップ・ソングなんだけど、その良い意味での軽さがレコードのプレッシャーを緩めるような感じがしていいなと思ったんだ。

-今回のアルバムはWarpと契約して初めての全編インストゥルメンタルアルバムとなりましたが、どうして全編楽器だけで演奏しようと思ったのでしょうか。
そっちの方が楽だったんだよ。俺たちのほとんどの音楽が元々はインストだったし、他のバンドに比べて、俺たちはインストの部分を何よりも最初に考えるタイプのバンドなんだ。ボーカルを入れるとなると、それは必ず一番最後にくる。だから、全編楽器だけの音楽を作るというのは自分たちにとってすごく自然なことだし、プロセスの最後まで入ってこないボーカルは、必ず必要というわけではないんだよね。実は、最初のEPにもボーカルが入ってるんだけど、多分気づかないと思う。声が楽器の一部になっているから、ボーカルには聴こえにくいんだ。でも、ボーカルが入っていることを知ってもう一度EPを聴いてみると多分気づきやすいと思うよ。

-いつインスト・アルバムにしようと決めたのですか?作業の最初から?
いや、最初からではなかったね。音楽を作っていくうちに、ボーカルよりも楽器の音でやりたいことが沢山でてきて、インストの方が心地よくなっていったんだ。

-インストゥルメンタル・トラックを作ることの利点とは?
曲にスペースが出来ることかな。ボーカルの境界線に踏み入らないようにしなければと注意する必要がなくなる。そこはポジティヴな面だと思うね。

-少し質問はかぶりますが、前作の『Gloss Drop』は様々なボーカリストとコラボレーションを通じて、完成したアルバムですが、どうして今作は3人だけで制作しようと思ったのでしょうか。
このアルバムは、より少ないミュージシャン達のコンビネーションなんだ。物事が一度に起こりすぎていない、”スペース”を上手く使った作品。他を邪魔したり、何かに立ち入ることを意識せずに、その音そのものが持つ可能性を充分に活かした作品なんだよ。ボーカルを後から乗せることを考えなくてよかったから、今回はリズムとボーカルをバラバラに考えずに、ひとつのまとまりとして制作することが出来た。ボーカルを入れないことによって、リズムやメロディといったそれぞれのパートが、個々として存在するのではなく、一つのサウンドとしてまとまっているんだよ。

-『La Di Da Di』は全編インストゥルメンタルにも関わらず、とても聴きやすいアルバムに仕上がっていると思います。制作時に聴きやすくするために工夫した事があれば教えてください。
様々な種類のサウンドを色々試したね。サウンドの質感は俺たちにとってすごく大切だから、そこには時間をかけた。我慢強く、自分たちが納得のいく質感になるまで作業を続けていったんだ。それもあって、レコードが完成するまでに時間がかかるのさ(笑)。

-ドキュメンタリー映像『The Art of Repetition』を見ました。このインタビューの中で、ギターやキーボードの手癖をデジタルを使用して、なくす事で無限の可能性を生むとおっしゃってましたのが印象的でした。今作の制作中にテクノロジーを使用して、新たな発見した事があれば教えてください。
もちろん発見は沢山あった。このレコードでは実はギターを多様していて、そのギターがシンセサイザーのサウンドを導いていって、そこからどんどん2つが混ざっていって、どれがギターのサウンドで、どれがシンセサイザーのサウンドなのかがわからなくなるくらい一つになっていったんだ。そうやって新しい質感が出来て行くのは面白かったね。

-またこの作品ではループを多用していますが、どうしてループを活用するのでしょうか。
音楽をプレイしている時は人間っぽく聴こえるのに、それをマシンを通してリピートすると機械的に聴こえる。何故かわからないけど、そこが俺を魅了するんだ。人間が機械に変化していくような、そんな感じ。すごくシンプルだけど、面白いんだよね。98年くらいからずっとループを使っているけど、同じ事を繰り返すのではなく、なるだけそれをより面白いものにしようと、エイブルトン・ライブを使ったり、色々なことをやってきた。機械的になる部分が面白くはあるんだけど、機械的すぎないようにすることも意識しているんだ。

-今回のアルバム制作時のテーマに、“バトルスとは何か”というテーマがあったそうですね。アルバムを聴かせて頂いて、僕はあなた方が導き出した答えは3人の関係性を音に変換することではないかと思いました。実際にあなたの考える“バトルスとは何か”について教えてください。
いや、それはテーマではなかったと思う。このバンドも変化したから、今のバンドで何が出来るかってことを話したって意味じゃないかな。昨日誰かからYouTubeのビデオクリップが送られてきて、30年前くらいのドイツのテレビ番組で子供の歌が流れている映像だったんだけど、すっごくバカげた歌だったんだ。でも、なんかすごく共感できて(笑)。だから、そういうちょっとおかしな音楽が俺たちの音楽なんじゃないかな。バトルスには常にユーモアのセンスがあるし、人によっては俺たちをシリアスなバンドだと思っている人もいるみたいだけど、でも実際は結構ばかげた部分もあったりするんだ。もちろん活動には真剣に臨んでいるけど、ユーモアも沢山詰まっている。それがバトルスだと俺は思うね。

-『La Di Da Di』のアルバムジャケットはとても素晴らしいと思いました。並べられた果実とその下に配置されたフラットなグラフィックとの対比関係が、アナログとデジタルの対比を表現しているように感じました。実際のところ、このジャケットにはどのような意味があるのでしょうか。
あれはデイヴのアイディアで、全ては朝食の食材なんだけど、あれを全て一緒に食べることってないだろ?俺たちの音楽も同じで、普段では一緒にしないような音楽要素が沢山つまっている。出来上がった音楽は披露できても、それを作るプロセスはなかなか表現することが出来ない。あのジャケットは、それを表現しているんだ。

-今回のアルバムはどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
どうだろう。とにかくたくさんの種類の人に聴いて欲しい。そして、25年たっても、CDでもレコードでもYouTubeでもいいから、世代を超えて聴かれ続けていると嬉しいね。

-最後に来日公演を楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願します。
日本は大好き。日本の皆は、音楽を理解している知的なオーディエンスだと思う。日本で演奏するのはいつだって楽しみなんだ。待ちきれないよ。

-私たちの媒体『BELONG』には、“Roots Rock Media”というコンセプトがあるので、BATTLESのルーツに当たるアルバムについて3枚教えてください。
選ぶとすれば、やっぱプログレッシブ・ロックのレコードかな。ジェントル・ジャイアントの『ジェントル・ジャイアント』、フェラ・クティの…どれだっけ…名前が思い出せないな…アフリカ70’sなんとか?あとは…ごめん!もう行かなきゃ!

-わかりました。今日はありがとうございました!
ありがとう!本当にごめん!またね。

【Live】
BATTLES FALL TOUR 2015 JAPAN

・東京公演
2015年11月25日 (水)@六本木EX THEATER
OPEN 18:00 / START 19:00
アリーナ立見:前売¥6,500 ※1Drink代別途
スタンド指定席:前売¥7,000 ※1Drink代別途

・大阪公演
2015年11月26日 (木)@梅田AKASO
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥6,500 ※1Drink代別途

『La Di Da Di』 NOW ON SALE

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