最終更新: 2019年5月18日
The 1975 – The Sound(yabori)
The 1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)の新作『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』を聞かれただろうか?自分もつい最近聴いたのだが、インスト曲の多さに唖然とした。ポップソングが大半を占めるのかと思いきや、何故こんなにインストがあるのか・・・。まったく1975は一筋縄ではいかないバンドである。思えば彼らはバンドとしてのギリギリラインを攻めまくっていたアーティストだったのかもしれない。ロックバンドにも関わらず、メジャーアーティスト顔負けのポップな楽曲を演奏するだけでなく、俺らじゃなくても女の子でもこの曲を演奏できるよと言わんばかりな「Girls」のMVを公開するなど、バンドとメジャーアーティストとの境目を曖昧にした存在と言っても過言ではない。そういった彼らの美学はジャスティン・ビーバー「Sorry」の秀逸なカバーにこそ表れていると思う。そして今回の新曲「The Sound」は圧倒的だった。突き抜けたポップソングでありながら、さりげなくハウスミュージックに接近した手腕は見事と言う他ない。ロックバンドという固定概念を超えた楽曲を作った1975のサウンドの革新性はかつてのストロークスと比べても見劣りしないだろう。問題はアルバムを通して聴くとこの曲にいくまで長めのインスト曲をいくつか聴くことになるのだが、彼らのことだからそれにもきっと意味があるんだろう(多分)。
Hannah Lou Clark – It’s Your Love(木ノ下トモ)
小気味良いリズムに乗って聴こえてくる芯のある歌声。Hannah Lou Clark(ハナー・ルー・クラーク)の新曲「It’s Your Love」が、彼女のSoundCloudのページを開くと軽快に聴こえてきます。彼女を「Kids In Heart」で知った人は少し意外に感じるかも。私もそう。もっと繊細で壊れそうな歌を歌う人だと思っていました。でも、この新曲では、もっと力強い彼女を見ることができます。歪んだギターとメリハリのあるシンプルな音に、彼女の歌声が色を添えています。少しエレクトロがかった響きもあるけど、声や楽器を活かした曲になっていて自然に耳に入ってくる。歌唱力のある彼女だからこそ、ただ声で聴かせる歌じゃなく、楽曲と一緒に歌ってるって感じがすごくいい!まだまだ引き出しがありそうな彼女のこれからにも期待です。
いざゆかんとす! – すかたん(桃井 かおる子)
ちょっと待って、聞いてない!儀間君、金城君、あなた方いつの間にこんなこと始めたのよ!?いざゆかんとすって何なのよ!?岡崎 体育と友達だったなんて、そんなの知らなかったよ。いやホント、本人達に会って詳しいことを聞きたいですわ。日本語の歌詞がなぜか英語に聴こえてしまうという不思議なラップが女子中高生の間で話題になっている、奈良県在中のシンガーソングライター・岡崎 体育。そして、関西のバンドシーンの台風の目・愛はズボーンのフロントマンの儀間 健太と金城 昌秀。この3人からなる謎のヒップホップ集団が、いざゆかんとす!である。このグループ名といい、「すかたん」(何の略?)という曲名といい、彼らがやっていることはとにかく振り切れてダサい!それこそ今人気急上昇中のSuchmosとか、その界隈のアーティストと比較すると非常にダサく感じられてしまうのだが、私が彼らに対して感じているダサさには【懐かしい】という感情も含まれている。3人の雰囲気や「すかたん」の曲調は、“だよねェ~”で一世を風靡したEAST END×YURIの「DA・YO・NE」を思い出させる。“だよねェ~”からヒントを得たかどうかは分からないが、先日の愛はズボーンへのインタビューの際金城君が言っていた“一周回った”とは、もしかするとこのことも含まれていたのではないだろうか?愛はズボーンの音楽はどのジャンルにもあてはまらず、方向性がまるで見えない未知数なバンドだ。だからこそ、音楽性として交わることのないはずだった岡崎 体育と一緒にグループを結成することができたのかもしれない。両者共に今まで見せなかった一面をこんなカタチで表現してくるとは、誰が予想できただろう。明らかにダサいいざゆかんとす!、この先どんなおもしろいモノを出してくるのか楽しみだ!
HOT HOT SEX – Don’t Move(まりりん)
HOT HOT SEXというバンドを知っているだろうか。名古屋出身、6ピース。ダンサブルなエレクトロポップサウンドは「日本版CSS~HOT CHIP~CUT COPY」と呼ばれていた。彼らの久々の新曲は悪ガキのまま大人になったような初期衝動は影を潜め、クレバーなヒップホップのようなノリを感じる。HOT HOT SEXやORLAND、The New Houseなどのバンドは何年も前から国境を超えるような音楽を鳴らしていた。時代がやっと彼らに追いついた。若手が海外進出するのに合わせて先輩バンドもさらに活躍してほしい。キャッチーでグルーヴィー、そしてセクシー。目を見張るような派手さはないけれど、場数を踏んでいる大人の余裕がある。クールな音楽ってこういうことなんじゃないだろうか。
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