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『9 Dimensions』のアルバム資料をもらった時の事だ。“宇宙の始まりは9次元で、今自分たちが生活している3次元のみ突然膨張した”という。これは一体何の話なのか?大学の授業で配られるレジュメのような資料を前に、オカルト雑誌のMU的な世界観のアルバムになるのかな・・・と思ったのも束の間、アルバムを聴くと丁寧な演奏で前作には見られなかったポップネスを追及する彼らの音楽があった。ラフなイメージのあるバンドだったが、ここからさらに飛躍していく事だろう。メンバー全員に今作のコンセプトとどうしても気になる宇宙の話について聞いた。

アーティスト:Shinji(Vo./Gt./Syn.)、Inui(Vo./Gt.)、Hiroto(Syn./Gt.)、Shissy(Ba./Syn.)、Shun(Dr.) インタビュアー:まりりん 撮影:MASAHIRO ARITA

-アルバムを作るに当たり5人の考える音楽の在り方、イメージを話し合うところから始まったそうですね。
Shinji:アルバム作るってなると必然的に話し合うことになりますよね。
Inui:ライブでやってた曲をアルバムに入れるんじゃなくて、全部新曲だから。曲作りの意識を共有するってことで、コンセプトも明快にしたかったんです。

-その結論が『9 Dimensions』 というコンセプトアルバムということですね。9面性というのはどのような流れで出てきたのでしょうか。
Shinji:まずかっこいいものは2面性がある。何かしら相反する2つの要素があるって話になって。不良だけどエレガントというような。1~9までの数字があって1と2、3と4、5と6、7と8を相反するものを置くとちょうど真ん中に来るのが9なんですよ。9が1番バランスのいい数字だねっていう。それよりも前に宇宙のはじまりは9次元だったっていう話があって。ビックバンよりも前はもともと9次元だったけど、たまたま3次元だけ伸びちゃってこの世界ができてて。残りの6次元は小さくて見えてないだけっていう説もある。アルバムのコンセプトが宇宙で、そこからかっこいいものって何だろうと考えて数字としてのバランスから9っていう数字をフューチャーして考えた結果『9 Dimensions』っていう名前がいいんじゃないかってね。

『9 Dimensions』説明図

『9 Dimensions』説明図

-でも曲数は10曲なんですよね。
Shinji:それはちょっと考えがあって。
Inui:最初は9曲にしようとしてた。
Shinji:1曲目がイントロダクションでインストなんですけど、それは要するにアルバムのプロローグ的なもので本編は歌入りの9曲。実質9曲とプロローグっていう。
Hiroto:数字で言うと0っていう。
Shinji:それだ!はじまりってイメージです。0であり、宇宙のはじまり。

-それぞれが対になる10曲がありますが、曲同士が1と2、3と4というように相反するように作られているのですか。
Shinji:曲同士じゃなくて、対極的な要素を1曲の中に入れてたりします。
Inui:例えばアナログとデジタルとか。

-相反するものという意味ではYOUR ROMANCE自体がそうなのかなと思いました。初めて見たときにフロントマン2人いて、インテリで理論的なInuiさんとワイルドで直感的なShinjiさんがいるというイメージだったので(笑)。
Inui:なるほどね(笑)。
Shinji:確かにツインボーカルで俺とInuiくんのキャラクターが違うっていうのはこのバンドの魅力だと思う。
Inui:キャラクターはみんな違うけどね。5人全員が相反してるっていう(笑)。

-このアルバムは曲ごとに映画や詩などのイメージがあるようですが、常々映画や小説、詩からインスピレーションを受けているのでしょうか。
Inui:普段から映画をよく見ているし、生活している中から自然と影響される事もありますし。今回影響を受けているものは自分たちが鑑賞して良いなと思って心に残っていたものが、この曲のイメージっていう風に当てはまっていって。最初からこの映画みたいな曲を作ろうとは思っていなくて、作っていく中で近いなってものを挙げていったものです。
Shinji:アルバム全体のストーリーとして、地球から始まって色々なことがあって、また地球に帰ってくるっていう裏テーマがあるんです。「Back to Earth」という曲は他の曲へのアンサーソングっていう作り方をしているんですよ。他の9曲を最後にまとめるような、曲作りの時からそういう作り方をしていたので。この曲の参考作品は他の9曲っていう感じです。

-曲ごとに様々なテーマがあるけれど、どれもYOUR ROMANCEの音だなと分かるサウンドになっていると思いました。コンセプトを再現するのに工夫したところや苦労したところはありますか。
Hiroto:ミニアルバムの時と曲の作り方は変わってないと思うんですよ。曲作りの工程も2人がデモを持ってきて、みんなでアレンジしていって。前作と決定的に違うのは僕がハードシンセを主に使っているので、手弾きでちゃんと弾いてて。前回はソフトシンセだったんで、そこが決定的に違うところですね。
Shinji:高いシンセ買ってるしね(笑)。ライブで味わってください(笑)。
Hiroto:値段相応の音がしてる(笑)。
Inui:全体的にフィジカルな演奏してるんですよね。前作とは楽器の弾き方が違う。
Shinji:それは大きいな。ギターも弦のピッキングの仕方や弾く強さとか、改めてプレイヤーとして変化や抑揚をつけるってところをこだわった。
Inui:フィジカルかつプリミティブな部分に重心を置いて作っていきましたね。例えばギターだったら、ギターで弾いてるリフだって分かるようなフレーズのものが多い。前回の『BUSINESS』は弾き方について意識してなかったんですよね。
Shinji:単純に演奏が上手になったっていうのもある(笑)。
Inui:コンセプトとのリンクという部分でそれぞれの音に意味を込めているんですよ。あんまり説明はしたくないんですけど。でも全体的に曲自体がテーマだったり、『9 Dimensions』っていう宇宙をテーマにしてという事を思い起こしやすい音にはなっていると思います。
Shun:色んな音を持ってきてて。ギターも何本か持ってきて、それぞれの良い音を使っているし、パーカッションもループフレーズは使わないで「ここはこういうニュアンスで」っていう風にやっていった。
Shinji:宇宙は無限にいろんな要素があって。要するにスペーシーなロックバンドって今までもいたけど、それってSFっぽいサウンドだったと思うんですよ。俺らに関してはこのアルバムは極力スペーシーな音は使ってなくて。俺らの空想した宇宙や、宇宙って言っても有機的な要素と無機的な要素があって、雑多に色んなものが散らばっているように見えていて。曲ごとに使ってる音は明確に違う。1曲ごとにそのコンセプトに違いを付けたことが宇宙の多様性を表現していると思う。
Inui:有機的で冷たいというよりかは温かいほうの宇宙。

-宇宙といっても人工衛星ではなくその星に生息している生命体みたいなイメージでしょうか。
Shinji:そう。宇宙の具体的な部分を表現してる。俺らの想像した宇宙。
Shissy:捉え方は色々あると思うけど、前作よりは落ち着いたイメージになったと思います。さっきも言ってたけど、丁寧に演奏する事にすごくこだわった。今回のレコーディングで俺は悔しい思いをしてて。自分のピッキングに荒い癖があったから、すごく練習して綺麗に弾けるように直して。
Shinji:プレイに粗さがあるとそれがコンセプトの邪魔になるというか不要な要素で。丁寧に弾くことがコンセプトに合わせるのにベストな方法だったんですよ。
Inui:そっちの方が有機的だと思う。人間が弾いてる感じっていうのがね。パーカッションも機械でグリットで並べてというのではなくて、人が叩いたグルーヴこそ宇宙の有機的な部分を表現できると思う。そこに手弾きだけどシンセサイザーみたいなモダンなものが入ることによって、未知なんだけども自分たちと同じ構成でできてる生命体の存在を感じるっていう。そういう音の重ね方をする事で僕らの考える宇宙っていうものに近い要素を持った曲ができる。今作を通じて僕らの考える宇宙が表現できたと思う。今までのElectric Light Orchestraのアルバムを参考にしたんですけど、ELOも宇宙っぽいところがあるけどもっとSF的で。そういうものとの違いは有機的で温かみのある、近く感じる存在としての宇宙って考えた。未知だけど遠くない宇宙というか。

『9 Dimensions』
2016年4月13日発売
NIW118

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