_HIG0074
前回掲載したジャバ(JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB)を始め、注目のアーティストを次々と輩出するレーベル、OMAKE CLUBからプロデューサーにしてトラックメーカーのYOSAが新作『Orion』をリリースする。期待の新人ラッパーのSALUから韻シストのMCであるBASIまで参加し、幅広いレンジで洗練されたダンスミュージックを堪能できる。新しい音楽の夜明けはここから始まる!

インタビュー前半はこちら

アーティスト:YOSA インタビュアー:yabori 撮影:Takahiro Higuchi

-“夜明け前”がテーマという事は、以前にラッパーの方に言われたのでしょうか?
テーマはこちらから全員に投げましたね。厳密にいうと全部が夜明け前をテーマにしてるわけじゃなくて。始めの3曲までは前回の夕方っぽい雰囲気のままやっているんですよ。ずっと夕方のマジックアワーがすごい好きで、自称”夕方の天才”って言ってるんです(笑)。

-そういう歌詞ありましたね(笑)。
前作のイメージを引き続きやりつつ、今回はそこからさらに時間が経っていくっていう。前作から2年も経ったし、自分の置かれてる立場とかも少し変わってきたので。これからまた新しいステージに上がっていく過程にいるという意味で“夜明け前”っていうことです。

-じゃあジャバの曲「Navy」辺りから夜が明けていくイメージなんでしょうか?
明ける前、ですね。ジャバに対してもそう言いました。テーマは夜明け前だからと。

-そうなんですね。ラッパーの人にトラックを送られると思うんですけど、その人をイメージした曲を送っているのでしょうか。
できた曲に対して、これはこの人だな、という感じですね。前作と違うのは、僕が会ったことない人達にもお願いしてるんですよ。前回はデビューアルバムってこともあって、今まで自然に出会ってきた人達だけをフィーチャリングでお願いしたんです。でも今回は前作の『MAGIC HOUR』を名刺がわりに、こういうことやってきて元々すごく好きなんですってことを伝えて、参加してもらって。韻シストのBASIさんがまさにそうで、僕が中学生の時から好きだったんですよ。「運命」って曲は、僕がBASIさんに対して「続けていく美学」をテーマにラップしてくださいと言いました。

-そうなんですか!あの曲、めっちゃかっこよかったですよ。
引っ張り出してきた服のポケットからなぐり書きされた歌詞のメモを見つけて。それを読んみたら、今これが使えるかも。今これを見つけたのは、まさに運命としか言いようがないって歌詞なんですよ。当時のメモを今歌詞にできるっていう事は、当時からずっと音楽を続けてきたから、という最高に熱い内容ですね。

-すごくいい話ですね。
さすがですよね。前作はSHIGEO JDさんをフィーチャリングしたんですけど、彼はSteady & Co、元スケボーキングのSHIGEOさんなんですよ。彼も僕が中学校の頃からずっと好きだったからお願いして。今回も中学校から好きシリーズで、韻シストのBASIさんにお願いしたんですよね。バンド系で中学校から聴き始めて未だに追いかけてるのって、韻シストかASIAN KUNG-FU GENERATIONしかいないんですよ。

-マジっすか?僕も高校からアジカンはずっと聴いてましたよ。
アジカンは好き過ぎてよく分からないくらいなんですよね(笑)。

-YOSAさんがアジカンを好きというのは意外でした。でもなぜか納得してしまうんですよね。
アジカン独特の切なさが、まさに僕の中にあるそれとピッタリなんです。

-なるほど。
『崩壊アンプリファー』でデビューの時から聴いてて、未だに新譜も聴いてるし。その後も聴くジャンルが変われど、好きなものや好きなニュアンス、世界観は一貫してるんですよね。

-分かります。曲の雰囲気は変わっても核心は同じ所にありますよね。僕もトラックメーカーとしてYOSAさんにインタビューしたのが初めてですし、ジャバもヒップホップのアーティストとして初めて掲載したんですよ。でも両者に共通して話題になったのはアジカンが好きっていうことなんですよね。
そうですね。あいつらも好きですよね。だから「君の街まで」って曲も作ってるし。

-その曲、まさにYOSAさんがリミックスしてたじゃないですか。
ジャバの原曲がすごく好きだったんですよ。あの曲はすごくアゲアゲで、皆が好きになる曲じゃないですか。ライブでも超盛り上がるし。だからリミックスするのはプレッシャーだったんですけど、おしゃれな雰囲気にして逃げた感じです(笑)。

-本当ですか?原曲よりも断然良いですよ。
嬉しいです。でも、あのリミックス好きですって言ってもらえる事が多いんですよ。ジャバは、まだまだスキルもこれからなんですけど、そこに良さがあったりもして。これから先のポテンシャルはすごく感じるんですよね。ヒップホップクルーとしてはなかなかバンドと繋がって対バンする機会ってないんですけど、それを実現できてる訳だし。あれは東京でも珍しいんですよ。

-そうなんですか。やっぱりバンドとヒップホップのシーンって分断されてるんですね。
完全に分断されてますね。僕もジャバに期待しているのはそこなんですよ。

-なるほど。ではジャバの曲に話を戻すと、BAOBABさんが歌ってたのが新鮮だったんですけど、あれはYOSAさんが指示したものだったんですか?
はい、BAOBABさんの歌が欲しくて。自分の曲で4人分ラップが入るのは少し長く感じるので、今回の曲ではラップはしないで歌に徹してくださいってことをはじめに伝えました。最高にイケボなフックを歌ってくれましたね。

-やっぱり、そうだったんですね。曲に合うようにギターフレーズ出したりとかは?
もちろんそうです。あれは後からですね。まずはデモトラックとテーマだけを与えて、ラップしてもらって。ジャバの曲には一番手をかけたんですよね。OMAKE CLUBのオーナーのTSUBAMEさんとディレクションをしながらレコーディングして、それに合わせてギターソロを加えたり、アレンジや構成を変えたりして。

-そこまでやり取りをしたのは今回、ジャバだけですか?
そうですね。ただ他の方とも、ラップやヴォーカルをもらった後、ここをこう変えてほしいというやり取りはしました。自分ではラップや歌をやらないんで、そういう所でプロデューサーとしてディレクションできないと僕がアルバムを作る意味がないので。ただのトラック提供にならないように、自分の音の世界観にはまる人にラップしてもらうっていう。

-そういう意味でのプロデューサーってことですよね。
そうですね。

-今回のアルバムのアートワークはすごく印象的なんですけど、これにはどういう意味があるんですか?
安田昂弘さんっていうグラフィックデザイナーで、レーベルメイトのTOKYO HEALTH CLUBの「CITY GIRL」って曲のMVも撮ってたりもしてて。その方に今回のアルバムにまつわる作品のすべてのアートディレクションをお願いしています。アルバムの音とテーマを伝えて、それを安田さんなりに表現してくれたものですね。

-MVも作られてる方なんですね。
今回のリード曲の一つである「夜明け前 feat. ZOMBIE-CHANG & SALU」のMVの監督もしてもらいました。

-YOSAさんは、自分がどう見られるかであったり、どの曲を前に出すべきかってバランスも意識していますか?
そこはすごく考えますね。やっぱりそこを考えないと、プロデューサーって言ってるからには。基本的に自分のルーツになってるものは、アンダーグラウンドのディスコやハウスのシーンなんですよ。そういうシーンで活動してて思うのが、内省的で他のジャンルとのミックスを拒むところがあるんだなって。だから自分がラッパーやシンガーをフィーチャリングすることでちょっとした刺激というか、そこまでやっていいんだって幅を広げたいという気持ちがあるんですよね。だからハマればバンドだろうがラッパーだろうがいいじゃんっていう気持ちでやっています。

-どこかが出会っていたとしたら、ロックバンドのボーカルが今回の作品に参加した可能性もあったってことですか?
もちろんありますし、次回はそれをやってみたいですね。

-それは面白そうですね。YOSAさんにはそういうのやってほしいんですよね。
むしろ僕はそういうのをやりたかったんですよ。渋谷にSOUND MUSEUM VISIONってクラブがあるんですけど、そこで「MODERN DISCO」ってパーティをやってるんですよ。そこでは基本的に四つ打ちハウスやディスコをメインにしてるんですけど、そこでバンドを呼ぶ事も考えてて。前回は1周年のアニバーサリーでは、FKJっていう、自分でギター、ベース、ピアノ、トランペットを生でその場で弾いて、一人でライブする人がいるんですけど、その人をフランスから呼んでやってみたんですよね。

-即興で弾いて曲を作ってってことですか?
そうです。弾いたものをループさせて、自分で歌うっていう。だからジャンルがないっていうか。その時の動員が1000人を超えたんですよ。お客さんも普段から僕らのパーティにきてくれる人はもちろん、ヒップホップの人もいたし、バンドが好きそうな人まで、とにかくあらゆる人が来てくれて、とても理想的な内容でした。だからそういうものをもっとパーティでも自分の作品でも表現していきたいなっていう。一緒にパーティをやってるTAARも元々バンドをやっていたというのもあって、本当にジャンルに対して隔たりがないんですよね。クラブイベントをやってる以上は、基本的に踊れることがキーにはなるんですけど、それがDJかバンドかというのは関係なくて。

-そうなんですね。これからシーンが重なりあっていく場所になっていくんじゃないですか。
それを目指してますね。やっぱり僕らの世代がやらないといけないなと思っていて。特にクラブシーンって高年齢化が進んでいるんですよ。EDMは若い人達がいっぱいいると思うんですけど。特に東京で、週末にいわゆる大箱って言われる場所でやってる人達は、テクノやハウスの人達なんですよ。上の世代の人にはもちろん多大なリスペクトがありますが、そことただ同じことを僕らがやっても敵わない部分があるし、文化としても面白くならないと思ってるんですよ。だから僕らの世代だからこそできることをやっていきたいですね。

-MODERN DISCOのインタビューも読んだんですけど、まさかそういう風になっているとは思わなかったです。今は僕が知らない人達ばっかり出てるけど、BELONGに掲載しているバンドが出るようなイベントになったら面白くなりそうですね。
そうなんですよ。出演している人を知らないから、来ない、というかよく分からないんだと思います。でも知ってるアーティストが出てて、そのパーティが面白いよっていう周りからの情報があれば来たいなって思う人は増えると思うんですよね。とっかかりが大事だと思うんですけど、そのアーティストが僕ら自身も好きなものであれば、どんなジャンルからでも呼びたいなと思ってます。

-なるほど。それではアルバムの話に戻るのですが、曲を作られてると思んですけど、今回自分で演奏されたものを加工されたりしてるんですか?それともサンプリングからですか?
それは半々ですね。自分で演奏する部分もあるんですけど、ギターに関しては、Spiritzetoneというめちゃくちゃ上手い人を見つけたので、そこは全部こうやって弾いてくれっていうのをディレクションだけしてお願いしましたね。キーボードの部分はMop of HeadのGeorgeくんに弾いてもらったりとか。サンプリングだけじゃなくて生演奏もしてるんですけど、サンプリングでしか出せない質感もあって。そういうのも大切にしてますね。

-では生演奏とサンプリングの半々なんですね。それではアルバムタイトル『Orion』に込められた意味について教えてください。
先ほど言ったように、夜明け前というのがテーマということで、人生の分岐点という意味もあります。僕は27歳なんですけど、今まで一緒にDJをやってきた人達が就職して、ちゃんとした方向に行く人がいて、逆にまだしがみついている自分もいたり、色んな意味で今が別れ道という風に感じてて。どちらの人に対しても新しいステージの幕開けというか、夜明け前なのかなって。僕らも僕らでやってる音楽の夜明け前で、彼らにとっては自分のエゴよりも家族だったり、子供だったり、大切なものを見つけたのかなっていう。そういう方向に行く夜明け前というのもテーマにあるんですよ。だから「Navy」ってジャバの曲で、NOLOVが“今もスニーカー 腰履きでキャップ 革靴スーツにビジネスバッグ”っていうバースがあるんですけど、それはまさにそういう意味の夜明け前について歌ってて。あと僕は宇都宮出身なんですけど、宇都宮にあるオリオン通りっていう商店街からとってるんですよね。地元ってことに関して、最近色々と考えるようになって。やっぱり地元にいる人達がこの年齢になると、好きな事から離れるという意味での夜明け前を迎える人達が増えていて。だから夜明け前に見える星座のオリオンとオリオン通りのオリオンっていう2つの意味がありますね。

-地元の方はね、特に。お子さんいる方もいらっしゃるでしょうし。
斉藤和義さんって栃木県出身なんですけど、僕が中学生の時に「オリオン通り」っていう限定シングルを宇都宮限定で出したんですよ。それがすごく印象的で。僕は斉藤和義さんがめっちゃ好きなんですごく尊敬してるし、地元も一緒だし。目指せダンスミュージック界の斉藤和義ってことで、その曲をサンプリングして、オリオンってことにしてます(笑)。結局、僕はそういう音楽が好きなんですよね。

-だから僕もYOSAさんの音楽が好きになったのかなと思います。
それはすごく嬉しいです。そういうルーツの部分で繋がってて、普段は聴かない音楽でも好きになってくれるのはやりがいありますね。

-今、海外ですごく人気のあるThe 1975っていうロックバンドがいるんですけど、ロックバンドの割にはポップな曲が多くて、最新作ではハウスがベースにある曲を作っているんですけど、トラックメーカーとして、ダンスミュージックの波が来てるなって感じる瞬間はありますか?
ダンスミュージックってものが、ここ数年で一気に増えたのはEDMの爆発的なブームというのがあると思ってて。そのEDMの人達が一昨年、3代目J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I」で日本レコード大賞を獲ったのが印象的だし、ダンスミュージックが市民権を得てきたのかなと思って。それはすごい僕にとっても嬉しい事で。最近流行ってるバンドも四つ打ちをやってますよね。流行るっていう事はライブで聴いてて単純に楽しいんだと思うんですよ。やっぱりビートを打ってるものって、生で聴くとスピーカーから聴くのとは違う良さがあるはずなので、そういうのに気づき始めてる人が多いんじゃないかなと思って。それと、そこまでジャンルで聴いてないんじゃないですかね。バンドが四つ打ちをやっていたら、聴く側はバンドの音楽だと思って聴いてるし。DJがかけてたら、バンドの音楽でもクラブミュージックに聴こえてるのかも知れないし。

-なるほど。結局、ジャンルというよりもバンドが好きかDJが好きなのかだけの違いって事ですかね?
そういうことだと思います。その偏見が強いと思うんで、僕はそれをMODERN DISCOで壊していきたいんですよ。

-なるほど。それではYOSAさんから見て、バンドシーンに思うことがあれば教えてください。
バンドシーンにはリスペクトしかないです。音楽を続けていくことって、大変じゃないですか。僕らがやってるような音楽は、例えば仕事帰りや休日に一人で完結することもできる。でもバンドはメンバー間での曲作りから、ライブをするにも関わる人がめちゃくちゃ多いじゃないですか。人間関係だけでなく、曲作りに対する苦悩や色んなものを抱えながらも続けてらっしゃる方々はすごいと思うし、音楽愛がそうさせるんだなって思いますね。

-それではこれが最後の質問になるんですけど、今回のアルバムはどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
ダンスミュージックやラップを聴かない人に聴いて欲しいですね。僕が今いるディスコやハウスのシーンの人達やラップが好きな人に聴いてもらって、良いって言ってもらうのもすごく嬉しいんですけど、それこそバンドの音楽をずっと聴いてきた人達が僕のアルバムを聴いて、こっちの音楽もいいかもって思ってもらえたら最高に嬉しいですね。

インタビュー前半はこちら

『Orion』
Now On Sale

【Live】
5/13 @CONTACT
5/18日 @渋谷WWW
出演:YOUR ROMANCE/PAELLAS/JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB/YOSA/呂布
5/21 @WOMB
5/28 @SOUND MUSEUM VISION
6/17 @SOUND MUSEUM VISION

◆関連記事◆
【interview】ジャニーズ、三代目、ジャバくらいのラフな感じで聴いて欲しい。Jabba Da Hutt Football Club(#YOUTHWAVE)
【interview前半】Suchmosが語る、デビューアルバム『THE BAY』“ラフに遊んでいる友達ってとこから、Suchmosは始まった感じですね”
【interview前編】肩パンして喜び合う 自称“旧世代バンド”、Never Young Beach(#YOUTHWAVE)

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中