最終更新: 2020年6月7日
10. THE GOLDEN WET FINGERS – CHAOS SURVIVE INVADER
チバさんとイマイさんとたっさんと、こんな厳つい3人の男が集まればなかなかの渋い作品になるのではと思う人もいるだろうが、真逆だ。かっこいいことはカッコイイのだが、ケースからCDを取り出すなりたっさんがう〇こ座りしていたり、チバさんがやたらと「こんにゃく!」と連呼していたり、最初から最後までとにかく笑いっぱなし!アルバムを聴いて爆笑するなんて、こんな経験は初めてだ!この笑いのセンスは、ある意味ビートたけしに匹敵する(笑)。
9. Sunflower Bean – Human Ceremony
いわゆるドリームポップ的な音楽を鳴らしているバンドがいる中で、それにパンクの要素をぶち込んだバンドは彼らが初めてなのではないだろうか?新人ならではの粗削り感がその音からもちろん感じられるのだが、その粗削りな感じが曲の中で程良く効いている。要は、下手ウマなのである。だが下手くそなりに堂々としているから、演奏している時のその姿は妙に様になる。これからに期待できることを予感させる作品だ。
8. Daughter – Not To Disappear
洋邦問わず映画好きのミュージシャンは大勢いると思うが、映画と音楽が切っても切り離せない関係にあることをこの作品は証明している。先行曲のMVを『ニック・ケイヴ / 2,000デイズ・オン・アース』の監督イアン&ジェーンが手掛けるなど、音楽が持つ映像的側面を全面に押し出し、その結果作品の持つ世界観がより鮮明に伝わってくる。リスナーの想像力をより駆り立てる、ある意味で挑戦的なアプローチで作られた作品だ。
7. yahyel – Flesh and Blood
KINGと同様、今年CDデビューした日本人バンドの中でもその才能はずば抜けている。彼らの音源を初めて耳にした時、まさか日本人だなんて思わなかった。歌詞が英語であるということはもちろんだが、その歌声もサウンドも日本人のものだなんて到底想像もつかない。ここまで洋楽的なアプローチの音作りができるバンド、もしかしたら後にも先にも現れないのではないだろうか?そう思わせてしまうくらい、この作品には破壊力がある。
6. KING – WE ARE KING
今年も様々な新人の洋楽アーティストの音源を聴いてきたが、正直KINGはずば抜けていた。日本での知名度はまだまだだが、彼女達は今までのR&Bシンガーとは一線を画している。確かにR&Bなのだが、そこにファミコンのようなピコピコ音が入り混じっていて、今まで聴いたことのないような音を作り出しているのだ!こんな変な音楽をしていれば、あのプリンスのハートを射止めてしまうのも納得である。
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— BELONG Media (@BELONG_Media) January 2, 2016
5. きのこ帝国 – 愛のゆくえ
きのこ帝国がこんな作品を作るなんて、誰が想像しただろう。かつての陰のあるポストロックを鳴らしていた彼らの姿はそこには微塵も感じられない、ポップで柔らかく繊細な曲がこの作品には詰まっている。タイトルと同様に様々な“愛”を表現しており、こんなにもストイックに“愛”というテーマを突き詰めた作品は他にないだろう。そう思わせる何かがこの作品には宿っている。出会えてよかった、そう思える作品だ。
4. Primal Scream – Chaosmosis
その場の勢いであったり、ノリで作ったとしか思えない作品。だからいいのだ。ファンもご存じ、プライマルはなかなかのおバカバンドである。だから変に小難しいことをしようとすれば、結果そのアルバムはかなり残念な内容になってしまう。だからこそ、彼らは勢いで作品を作るべきバンドなのである。何てったって今作は、10曲入りにも関わらずラストまでわずか30分少々。プライマルは小バカにできるくらいがちょうどいい。
3. Red Hot Chili Peppers – The Getaway
レッチリと言えば盛りたがりのその性分ゆえ、どのアルバムも曲数が多いことで有名である。その結果から、大概のファンが自分の好きな曲ばかりをリピートして聴いてしまうという、言わば”捨て曲”なるものがどの作品にも付き纏ってしまっていたのが今までのレッチリだった。しかし今作は全曲主役級の、どの曲を取ってもクライマックス!彼らがそんじょそこらのオッサンバンドでないということを証明する作品になっている。
2. 岡村靖幸 – 幸福
この作品を一言で表すと、まさにタイトルにある“幸福”がピッタリと当てはまる。岡村ちゃん自身薬物汚染による二度の逮捕を経験しており、そういった苦労も重なったからか、他のどのアーティストよりも音楽を鳴らせるということの喜びが一味も二味も違うのだろう。それがひしひしと伝わって、聴いているこちらまで楽しくなってくる。親友である会田 誠が手掛けたジャケットのイラストも幸福感いっぱいで、これまたうれしい。
1. 宇多田ヒカル – Fantôme
文句なしのダントツ1位!としか言いようがない。言葉の持つ美しさを引き出すため、音へのアプローチやさじ加減が絶妙で、どの曲に関しても曲自体に宿されている力が最大限に活かされている。さらにはラッパーのKOHHと共演していたりと、今の時代の音楽の流れをしっかりと汲んだ内容になっていて、宇多田 ヒカルなくしては日本の音楽シーンは語れないという事実を再認識させられる。歌手活動復帰第一作目とは思えない作品である。
◆総括
これが桃井的年間ベスト10です。 こうして見てみると、洋邦半々の男女比率も半々。何かしらがどう しても偏っていた過去の私の年間ベスト。そんな私が初めてこんなにバランスのいいランキングを作ることができました!音楽の内容 的な所で見てもなかなかのバランス。さっきから自画自賛して申し 訳ないのですが、狙ってこうなった結果ではないので、どうしても 自分を褒めたくて仕方ありません!
【Writer】桃井かおる子
【2016年の人気記事ベスト20】 “洋楽・邦楽というボーダーラインのない新世代の台頭” https://t.co/oxbNNRvo1b pic.twitter.com/2AQr97su9D
— BELONG Media (@BELONG_Media) January 2, 2017