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デビューアルバム『from JAPAN』から約1年、本日5曲入りEP『5曲』をリリースしたローファイポップバンドTempalay。様々な音色に彩られ、アメリカの都市名を冠した5曲の名曲。日本を飛び出しSXSWを含むアメリカツアーを行った彼らはどのような変化と成長を遂げたのだろうか。メンバーに話を聞いた。

【アーティスト】Tempalay:小原綾斗(Vo./Gt)、竹内祐也(Ba)、藤本夏樹(Dr) インタビュー:まりりん 撮影:Ko-ta Shouji

-なぜアルバムタイトルを『5曲』にしたのでしょうか。前作が『from JAPAN』で、今作の曲名がアメリカの都市名なのでアメリカ関連のタイトルにするかなと思いました。
小原:目を引くタイトルにしたくて。最初はリスナーに喧嘩を売るようなタイトルを考えていたんだけど全部良くないなってなって。『EP』とか『メジャー』ってタイトルはあるけど、曲数をタイトルにしたものはないと思ったので、『5曲』にしました。EPのなかでどれがメインの曲とかじゃなくて、自分たちのなかでは全部A面という気持ちなんです。EPはシングルと同じで1曲目しか聴かれないことが多いと思っていて、ちゃんと全曲聴いてもらえるように『5曲』にしました。

-曲名は昨年SXSWとアメリカツアーで行った都市ですよね。これはそれぞれの都市をイメージして作ったのでしょうか。
小原:「New York City」だけはアメリカ行く前からあったけど、他は行って着想得て作りました。「New York City」も完成したのはアメリカ行ってからだけど行く直前に曲のパーツができていたという感じで。日本に帰ってきて作ったのは「CHICAGO in the BED」だけで、それ以外はロスで1日だけ僕ひとりにさせてもらって作りました。自分らのアメリカ行った思い出作りみたいなのがしたくてアメリカにいる間1日1曲作るって目標でそれはライブ会場限定とかで自主制作で出すつもりで、最初はこういうEPというかたちになる予定ではなかったんです。

-それぞれの都市のどのような部分から影響や刺激を受けましたか。
小原:雰囲気。場所によって全然違う。温度も違うし空気も違うし日差しも違うし街並みも違うし人も違う。それは本当に肌で感じる感覚で、その中に僕らがいるっていう日常だから、そういうのが歌詞になっていたりします。印象に残っているのはサンフランシスコかな。いろんな意味で一番衝撃を受けた。ヘイトストリートっていうヒッピーの聖地というか発祥の地があって、グレイトフルデッドとかが出ていたフィルモアウエストっていうライブハウスがあって、本当にまだヒッピーがいるんですよ。道端でマリファナ吸ってたりして。街並みは坂道が多くて本当にきれいで、フルハウスの町なんですけど、坂の上に大きな公園があるんです。
竹内:おれはそこでバンドを辞めようと決意しました。
藤本:ひとりで坂上って行って町を見下ろして?(笑)
竹内:そう(笑)めっちゃ思い出に残ってる。
小原:サンフランシスコのライブ終わって次の日に帰る、辞めるって言い出して。
竹内:昼間に公園のベンチに座って考えて決めたんです。
小原:そういう意味でもサンフランシスコが一番記憶に残ってるな。とにかくすごくインスピレーションが湧く町で。帰りのバスのなかでグレイトフルデッドとジャニス・ジョップリンが流れてちょっと泣きそうになったり。だから「San Francisco」の歌詞のなかにも実話というか本当に見た景色とかを歌っています。

-歌詞の話が出ましたが、Tempalayの歌詞は日本語だけどどういう意味なんだろうと考えさせるものが多いですよね。『5曲』に限らずどのような時に思いついて書くのでしょうか。
小原:今回の『5曲』で変わったのが歌詞だと思っています。今まではリズムに当てはめて自分の主張っていうほどでもないけど思っていることとかを散りばめるっていう作業だったんですけど、今回歌詞書く意識が変わって、伝わる歌詞というか日本語であるというのを考えました。宇多田ヒカルの新作に影響されて。今回歌詞めちゃ頑張った。1回ドミコのヒカルくんに見せた。『soo coo?』の歌詞が今までと比べものにならないくらいめちゃかっこよかったから、今こういう歌詞書いてるんだけどどう?って。「歌詞は考えれば考えるほどいいよ」って言ってくれたから時間かけて集中して書きました。本当に頑張ったからちゃんと歌詞もみてほしい。
藤本:おれ歌詞ってあんまり興味ないんだけど今回のはめっちゃいいと思うよ。
小原:そう。歌詞って興味ない人が歌える歌詞がいいよね。ビートルズだってみんな歌えるけど歌詞の意味は知らないでしょ。

-宇多田ヒカルのどのようなところに影響されたのでしょうか。
小原:普通に日常的なことを言っているだけなのに、それがすごくはまってしまって、しかも深みを持つっていうのが言葉選びのセンスなんだなと思って。特に何を歌っているわけでもないんだけど、言葉選びのセンスで宇多田ヒカルの感じが出る。お母さんに向けた曲で”調子に乗ってた時期もあると思います”とかさ、卓越してんだよなぁ。

-『5曲』のなかで気に入ってる歌詞はありますか。
竹内:ぱっと思い浮かんだのは「San Francisco」の”勾配を登りきり見た”ってとこだな。
藤本:おれもそれ!(笑)
小原:それセグウェイで登って見た景色だわ(笑)
藤本:結構なスピードで登ったよな(笑)めちゃ快適だった。

-全員同じところを選ぶなんて、その坂Tempalayにとってとても思い出深い場所なんですね。
藤本:いや、祐也さんいなかったけどね?(笑)
竹内:俺はひとりで歩いて登った思い出(笑)

-アメリカでずっと一緒に生活するなかで、祐也さんが辞めると言い出したり、色々とあったしたと思うのですが、帰ってきてこのEPを出すまでにどのような変化がありましたか。
藤本:色々と言い合える関係にはなったと思います。『from JAPAN』の時よりよりかは。
竹内:受け身じゃなくなった。それぞれが責任感持つというか。
藤本:音楽的にとかじゃなくて、意見しようと思ったときに前よりもみんなの意見が通っているというか話し合ってる。前もみんなで作ってる気持ちはあったんだけど。今でも辞めるって言い出した人が悪いと思ってるから(笑)そうならないためにもね、言いたいことは言ってかないと。やりたいことは言ったほうがいいと思います。
小原:何も考えない状態でアメリカに行ったからそうなって、日本に帰ってきてメンバー探したりしたんだけど、色々なことをもう一回ゼロからはじめるのは無理やなと思って。祐也さん戻ってくるってなった時にそういう意識を持とうと思った。何もかも動いていない状態で、おれらが動いていると思っていたものがまだ何も動いていなかったことに気づけたというか。だからこそ今いい感じのモチベーションで動けていると思う。
藤本:・・・ん???
小原:めっちゃ簡単に言うと、これからはちゃんとやっていこうってなったってこと。そういうのを言葉で確かめあったりはしないから、そういう意味でもアメリカに行ってよかったなと思う。モチベーションの本気度合いとかやりたいことが統一されてない状態でヘラヘラしててこういうことになったから。誰かがいなくなってからやっと何がダメだったんかなって考えた。自分は音楽はやりたいだけでバンドに対してはすごく冷めてたから実はその時ね。そういう状況になってやっと考えた。みんな良い決断出すのに時間かかったと思う。各々考える時間があってまた一緒にやってるってことは、あれがあったから。いいきっかけになったと思う。

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-今回のレコーディングにRed bull Studios Tokyoを選んだのはなぜですか。
小原:坂本龍一とか一流のアーティストと同じところでレコーディングしたらどうなるのかなって思ったからです。最高峰のところでやってみたかった。思ったよりかっこいい機材多かったよね。アナログが多かった。時間なくて全然使えなかったけど。

-今までのTempalayで聴いたことのないおもしろい音が多く使われていて、音の広がりとか空間があると感じたのですが、音作りでこだわったところはありますか。
藤本:ドラムは今回TAMTAMの高橋アフィさんにテックをお願いして、シンバルは1 曲ごとに変えました。「New York City」は間奏の激しくなる部分だけセット全部変えてやったりしました。1日は全部ドラム録りだけに使って納得のいく音に仕上げました。セット変えた間奏、ライブでは気合いで強めに叩きます!(笑)
小原:ギターも乾いた音でちょっとロックな感じになってます。前は全部にリバーブかかってたので。
竹内:録るときからエフェクターで音を作ってミックスでいじらないようにしてるんです。マイクと本当のアナログのエフェクターで音作った感じ。エンジニアのしんちゃんと綾斗が話し合って、エフェクターもマイクもヴィンテージのものを使いました。
小原:今回ギターめっちゃかっこいい音になってます。よりオールドな音。
藤本:音数増えたけどうるさくないでしょ。音色が増えたっていうのはサポートのAmyがいてくれてシンセが使えるっていうのが大きい。シンセで遊んだりとか多かったな。コーラスもがっつり入ってるし。

-アメリカの都市名の曲で揃えたEPの中に「ZOMBIE-SONG feat. REATMO」が入っているのはSXSWに一緒に出場したREATMOとの思い出ということでしょうか。
小原:一応アメリカをモチーフにしたEPっていうのは僕らは謳ってないんですよ。裏設定ということにしようとしていて、曲名も「Austin Town」じゃなくて「Austin Power」だったりちょっと違っていたんです。最終的にほぼアメリカの都市名になっちゃったけど(笑)「ZOMBIE-SONG feat. REATMO」もサンタモニカを歌ってる曲なんです。歌詞はゾンビのことを歌った曲ってサンタモニカにいるときから決めてたんだけど。ゾンビのことを深く考えすぎてしまって、レコーディングのときにちょっと趣旨違うけどゾンビのことを歌ったっていうのを伝えたくてこの名前にしました。この主人公のゾンビはね、自分がゾンビってことに気付いてないの。それは無意識的に集まってできたシーンに名前がつくことによって意識的になり廃れていくっていうのとゾンビの抱いている感情がマッチするなと思って。ヒップホップが流行ったから、それをおれらが真似することによってアンチではないけど皮肉るって感覚。
藤本:ごめん、全然わかんねえや・・・
小原:流行ったヒップホップを真似して取り入れることによってヒップホップを廃らせていくってことだよ。そういう面白さがこの曲にはあります。バカっぽいパーティーソングにしたかったからスクラッチ音入れたくて、でも真似事だから口で音が出せるREATMOくんにお願いしました。
竹内:本物の音が入ってきちゃったらぼくらの中途半端ヒップホップとは違ってきちゃうからね。

-他の曲も違うタイトルだったのでのでしょうか。
小原:「New York City」と「San Francisco」は決まってたんやけど「CHICAGO in the BED」とかはどうしようかなーって思ってた。シカゴは体調崩してみんな布団のなかでうずくまってたから。荷物は空港に届かないし、全員風邪ひいてるし、ボロボロの状態で。本当にアメリカは裏テーマでしかなくて歌詞の内容はバラバラなんですよ。

-最近のTempalayはファッションブランドや雑誌などカルチャー系のイベントに呼ばれることが多いですが、カルチャーとミュージックの繋がりを意識しているのでしょうか。
小原:全くしていないです。Tempalayとしてそういう方向性でやっていこうみたいな話は一切したことないです。でもそういう人たちのアンチでもないから。周りがどんどんそうなっていくだけで僕らはおもしろそうやなーっていう感じだけですね。カルチャーどうこうでイベント選んだりはしないです。おもしろいと思うことを全部やりたいだけですね。

-EPのジャケットをシールで好きにデザインできるというのはとてもおもしろいと思いました。
藤本:今回のアー写を頼んだショウジさんの写真集の表紙をシールでデザインできるって聞いておもしろいなと思ったんです。ちょうどジャケットを考えていた時期だったから提案したら通りました。デザインをサリナに頼むのは決まっていたから「これだ!」と思って。
小原:おもしろいよね、そういう遊び心。

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-一昨年のHomeshakeに引き続き今回も自主企画にLAからJerry Paperを招くのですね。海外で活動しているアーティストとの対バンが多いですが自分たちもいずれ海外に行きたいと思いますか。
小原:とりあえず日本で売れたいです。って思ってきた。英語しゃべれるようになるまで(笑)たぶん僕らアメリカ行って活動するほどアメリカの知識ないんですよ。旅行感覚でしかしゃべれなくて。もっと深いところに音楽があるから音楽を追求するなら絶対アメリカのほうが合ってると思うけど、音楽で飯食っていくって考えたら現状日本のほうが食えると思うから。一番大事なのは音楽で飯食うことだから。まずは日本で売れる方法を考えないと。アメリカに対して憧れはあるけど活動ってなるともっと先になるのかな。これは聞いた話なんだけどアメリカには日本じゃなくてアジアのバンドとして見られているらしくて。今度僕ら中国行くんだけど、それもひとつのきっかけになると思った。アメリカでゼロかスタートさせることほど大変なことはないと思うから。海外に進出しないわけじゃなくていかに地に足をつけて活動するか。中国に行ったり海外のバンド日本に呼んだり、今はそういう活動をする時期かな。

-中国は向こうから呼ばれて行くんですよね。中国の音楽で興味のあるものはありますか。
藤本:バンド自体がいないって言ってた。反体制とか、政府に楯突いちゃいけないから。
小原:歌えないんだって。やる人がいないの。ライブハウスでバンドが演奏することがほとんどない。
藤本:やるとしても金持ちが趣味としてセッションしたりとか。おれたちも事前に歌詞全部見せてくれって言われた。
小原:日本のアーティストは結構行ってるみたい。まあ向こうにも出てこないだけでいるんだろうけどさ。呼んでくれたのが熱い人で、おれらのこと中国では知名度無いけどって言ってて(笑)「Tempalayは知名度は無いけど良いからオススメしたいんだ」って言ってくれる人もいる。でもさ、台湾とかめちゃくちゃ売れてるアーティストもいるんだろうけどさ、おれらが知ってるのって近い界隈で活動しているインディーバンドだけだよね。こんなに近くても国隔てるとそのくらい情報入ってこない。そう考えると世界でなんて誰も日本なんて見てないんだろうな。だっていまだに侍いるって思ってるんでしょ?
竹内:グラストンベリーのスカウトの人が今年日本には来なかったんだって。それって日本じゃなくてアジアとして見ているからであって、アジアで活躍しないとそういう大きなところには出られない。わざわざ島国にまで来ないから。だからひとつのステップとしてまずはアジアのTempalayになりたい。

【Release】
Tempalay『5曲』
価格:¥1,500 +税
品番:PCD-4549
発売日:2017.02.15
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<収録曲>
1. New York City
2. Austin Town
3. ZOMBIE-SONG feat. REATMO
4. CHICAGO in the BED
5. San Francisco

【Live】
ONE × BEAMS SHIZUOKA
2月26日(日) 静岡 BLUE NOTE 1988
w/ yahyel, ZOMBIE-CHANG

Unknown Mortal Orchestra 来日公演
2月27日(月) 渋谷DUO
w/ Unknown Mortal Orchestra

『5曲』リリースパーティー & Jerry Paper来日公演 2MAN SHOW
3月18日(土) 東京 渋谷WWW
w/ Jerry Paper(from LA)

『5曲』リリースパーティー
3月26日(日) 大阪 アメリカ村CLAPPER

中国ツアー
3月3日(金) 上海 育音堂
3月4日(土) 広州 SD Livehouse
3月5日(日) 深釧 B10 Live

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