最終更新: 2020年12月6日
2017年6月7日(水)に新レーベル”Hamsterdam Records(ハムステルダムレコーズ)”からスプリットCD『split』をリリースするHelsinki Lambda clubとteto。
HIPHOPやクラブミュージックなどのシーンが盛り上がる中、我が道を行く2バンドはどのような思いでスプリットCDを制作したのか。各ボーカルの橋本と小池の対談を行った。
目次
Helsinki Lambda Club×teto対談
アーティスト:橋本薫(Helsinki Lambda Club)、小池貞利(teto) インタビュアー:まりりん
-Helsinki Lambda Clubとtetoが出会ったきっかけを教えてください。
橋本(Helsinki Lambda Club):好きなバンドやかっこいいバンドを定期的にメルマガのように送ってきてくれてる友達がいて、去年の5、6月くらいにtetoのsoundcloudが送られてきてたんです。売れそうだなって思うバンドは結構いるんだけど、ビビッと来つつ何か来そうって感じたのはtetoが久しぶりだったので、ライブを観に行って話しかけました。
小池(teto):実は2015年のVIVA LA ROCKでヘルシンキを観たことがあるんです。その時に自分はバンドもやってなかったし、音源もきちんと聴いたことがなかったので「良いバンドだな、人気だな」くらいにしか思ってなかった。その年の末から自分がバンドやる準備を始めて、改めて最近のバンドを聴くようになったときにヘルシンキの良さに気付いたんです。ワンマンライブも普通にお客さんとして行ってました。
-音源を聴いたときの印象と実際に会った時の印象はどうでしたか?
橋本:tetoはアートワークも音質も今っぽい感じでオシャレでありつつパンクでかっこいいなと思っていました。でもライブを観たら全然オシャレ方向じゃなくてガチのパンクで(笑)どっちも良い印象なんだけど先入観があった分、実物のパンクさに二度衝撃を受けました。
小池:ヘルシンキは、YouTubeで「Lost in the Supermarcket」を聴いたときにこのリフを入れちゃうのすごいなって思いました。あと歌詞がすごく良い。歌詞が良いバンドが好きなので、そこが合わさってビビッと来ましたね。
橋本:人間的にはちゃんとコミュニケーションとれるけどちょっと壁があるボーカルっていうのに同じものを感じました(笑)仲良くなったのは最近だけどね。
小池:バンドやってる同士だと年を重ねるごとにつれて友達って関係になるのが難しくなっていく気がするんですけど曲聴いた時点で絶対仲良くなれるなとは思いました。
-今回のスプリットはHelsinki Lambda Clubの自主レーベル第一弾としてリリースするのですよね。Helsinkiが自分のレーベルで最初に何をやるか考えてtetoとのスプリットを選んだということでしょうか。
橋本:自分たちのレーベルを立ち上げて何かやるなら一緒に頑張れるバンドと一緒にやりたいと思ったんです。tetoは僕らと同じようにシーンに括られていないので、ムーブメントの真ん中になりたいわけじゃないけど「俺らみたいなのもいるよ」っていうアクションを一緒に起こしてみたら面白いと思ったので声をかけました。僕らの今までの活動でずっとファーストばかり出していたので、今回もファーストスプリットシングルという最近あまり出回っていないフォーマットで出すのが僕ららしいかなと思ったんです。それにそれぞれのミニアルバム出すよりもスプリットのほうが一緒に何か起こそうっていう気持ちになります。客観的に見ても似ているようで似てないけどどっちも好きになれそうなバンドなので、スプリットで一緒に合わさったら良い聴こえ方するんじゃないかな。
小池:俺らは即決でしたね。キャリアが全くないバンドなのにヘルシンキがやりたいって言ってくれてるって聞いて、もともと好きなバンドからのお誘いだったのでお願いしました。俺はスプリットの音源を聴くのが結構好きで、うまい具合にかみ合うものもそうじゃないものもあるんですけど、今回すごくうまくいったんじゃないかと思います。最初はどうなるか不安しかなかったんですけど…はじめての流通盤がスプリットですからね(笑)
-収録曲はどのように決めたのでしょうか。お互いを意識しましたか。
橋本:大体うまくいくだろうってわかってたのであまり意識しなかったですね。スプリット自体のコンセプトはなくて、お互い情報交換もしませんでしたが、tetoは確実に全曲キラーチューンでぶち込んでくるだろうと予測していました。ここで僕らもキラーチューン的な曲を持ってきていたら、きっとめちゃくちゃお腹いっぱいなスプリットになってしまうので、肩の力を抜いてフラットな気分で聴けるものを作りたいと思ったんです。だから、今回とても良いバランスになったと思います(笑)曲順も迷ったんですけど、自分らのカラーがわかりやすいように先に僕らの3曲があってからtetoに繋げたほうが、待ってました感があって良いと思ったんですよね。僕らの新曲2曲は新機軸な感じだけど3曲目の「宵山ミラーボール」は昔からやっている曲なので、そこからtetoの流れは良かったと思います。
小池:交互にしていたらたぶん聴きづらかったよね。音圧の差とかもあるし。先にヘルシンキ、後にtetoってしたことでスッと聴けるし、tetoが終わってまたヘルシンキにも戻りやすくもある。曲順も並びもこれで良かったって思います。うちらの選曲はドラムが正式に入ったのがこれを録る前後だったんです。持ち曲も大してないし、自主製作のファーストEPを出したばっかりだったので、単純に曲がないのでとりあえずやれる曲を選んだだけなんですけど(笑)
-このスプリットを引っ提げての2マン2デイズライブはいかがでしたか。お互いのカバーをしていましたがそれに対しての感想が聞きたいです。
橋本:実は対バンは群馬で1回だけしかやったことなかったんですよね。小さい箱で濃く見せたくて2マン2デイズにしたんですが、両日満員で良かったです。僕らはカバーするときに大体ヘルシンキ風にアレンジしちゃうんだけど、tetoの曲はガチで熱量超えて行こうと思ってがっつり原曲をコピーしたうえで僕らなりの男気を足してみました。
小池:男気がよかったです(笑)僕らは簡単な曲しか演奏できないので「All My Loving」をカバーさせていただきました。自分たちのやりたいように好き放題やっちゃいましたね。
橋本:あの曲あんなに激しくアレンジできるんだってびっくりしたよ。
-対バンやカバーするなかでバンド同士ここは似ている、ここは違うと思うことはありましたか。
橋本:音楽的な部分で言えばメロディーとか影響受けたもの、人間性的な部分では賢いけれど絶対譲れないものがあるというかどこか不器用な部分を抱えている人だなっていうのは自分もそういうところがあるので演奏見るたびに共感します。違うところというか単純にうらやましいのは僕と貞ちゃん(小池)は同い年なんですけど、なんであんなに言いたいことがあり続けて、尚且つ毎回その言いたいっていう熱量でライブできるのかなっていうのは不思議だしうらやましい。これはずっとtetoに思い続けていることなんですけど、この2日間で改めて思いました。
小池:アウトプットの仕方が違うんですよね。俺らは4人が楽しいようにやっちゃって、まだ対お客さんにできないんです。ヘルシンキはお客さんを巻き込みながらも自分たちのやりたいことをやっていて、そのバランスがうまいんですよね。
橋本:対お客さんじゃない時って自分でやっててグッとくるよね。ヘルシンキになる前は、ほんとはお客さんに向けなきゃいけないんだろうけど、でも自分が気持ちいいように自分に向けて歌っていた。その時の雰囲気をちょっと感じるんです。上から目線とかじゃなくて、そこは失くさないで持っておいたほうがいいんだろうなって思います。
ルーツ
-バンドをやる上で影響を受けたルーツミュージックは被っているのでしょうか。
小池:あんまりそういう話したことないよね。たぶん被ってるんじゃないかなって感じです(笑)
橋本:実際どうなんですか?(笑)パンクは好きだよね?一番わかりやすい共通項はリバティーンズかな。同い年だから敢えて掘り下げなくても聴いてるでしょって感じだったな。MGMT好きって聞いて驚いたけど、でもまあ世代だもんね。
小池:たぶん共通してるんだろうなって。ヘルシンキみたいな曲はちゃんと音楽聴いている人じゃないと作れないし。
橋本:銀杏BOYZはやっぱり根底にあるの?わかりやすいからだと思うけどポスト銀杏って言われることはどうなの?
小池:根底にあるし全然いいよ。聴いてくれるなら好きなように言ってくれていい。
-tetoの紹介は銀杏BOYZとandymoriと書かれていることが多いですよね。Helsinkiも最初andymoriと言われてましたよね。
橋本:昔はね、andymoriって言われてたよね。その後どんどん逸れていって何も例えられなくなった(笑)
小池:それは良いことじゃん(笑)tetoとヘルシンキの共通しているところを見つけてもらえれば、どっちを聴いても楽しくなると思う。
-東京での2マン2デイズを経て7/15の大阪追加公演はどんな気持ちで臨みますか。
橋本:あれをそのまま大阪に持ち込むのか、そこから何かを変えていくのか、何とも言えないな。東京で僕らが起こそうとしている熱量を大阪にも見せつけられたらなと思います。
小池:この2マンって何回もするもんじゃないじゃない。何年後かに「なんであの日あの2マンライブ行かなかったんだろう」って思ってほしい。
-お互いの曲で一番好きな曲を教えてください。
小池:「シンセミア」ですね。あれはすごい。tetoにはないタイプだし俺は作れないから。ヘルシンキは楽曲が本当にいいんですよ。「シンセミア」が好きだけど一番は決められないかな。1曲1曲が良いのはもちろん、作品として聴く良さもあるから。アルバムの流れを意識して聴くとまたこれが素晴らしいんだよね。
橋本:俺本当はライブで「pain pain pain」をカバーしたかったんだよね。でも舌回らなくて。一番最初に衝撃を受けたのは「トリーバーチの靴」だったな。めっちゃ迷うからこのスプリットに限って言うなら「ルサンチマン」のメロディが大好物です。tetoはメロディも言葉も無敵なんですよ。非の打ちどころがない。考えちゃうとこのメロディは作れない、けど初期衝動だけじゃないんですよ。初期衝動だけで作ったなら単純にすごい良い曲作るなって思うけど、考えてこれが出てきたって思うとなんか怖い。薄気味悪い感じがする(笑)普通狙って作れないからさ。
小池:考えた曲もありますし、考えてない曲もありますよ。あんまり言うと手の内見せちゃうことになるから言わないけどね(笑)
-先程どこのシーンにも属してないけどここにいると主張したい2バンドと言っていましたが、今後はどこを目指していくのでしょうか。
小池:スプリット作って2マンして、今回いい感じに形になったので、それぞれ大きくなってもう1度やりたいですね。メジャーデビューとか武道館とか具体的な大きさはまだ想像できないな。でも小さいところで小さいことやっててもしょうがないからね。メインストリームには入って、そこでわかってくれる人がいるのが俺らみたいなバンドが報われる瞬間かなって思う。
橋本:僕は個人の夢なんだけど、文化レベルを上げたい。語弊があると思うんだけど、僕らの音楽に限った話じゃなく、ちゃんと自分の感覚で善し悪しを判断してほしいな。今は情報が多い分、情報の取捨選択が難しくて、影響力のある人が良いって言ったものに引きずられて「これは良いものだな」って思ってしまうことが多いと思うんです。でもそれで埋もれてしまっているものもたくさんあるので、自分の感覚を信じて好きなものを好きって言うことを、自分のバンド活動を通して根付かせていきたいと思います。エゴといえばエゴなんだけど、ロックに限らず文脈を知っていたほうが奥行きを楽しめるんじゃないかな。そういう楽しみ方もあるよっていうのを伝えていきたい。
-お互いにメッセージや言いたいことはありますか。
橋本:よくぞバンドをやってくれた!
小池:スプリットを出せる2バンドって少ないんですよ。今回この作品になったのは奇跡なので、俺もヘルシンキと出会えてよかった。きっともうスプリットは出さない。これ以上のスプリットは作れない。これが最初で最後のスプリットです。
リリース
売り上げランキング: 85,935
発売日:2017年6月7日(水)
価格:¥1,600(税抜価格)
品番:HAMZ-001
JAN:4514306013627
仕様:初回生産限定、変形紙スリーブ仕様
レーベル:Hamsterdam Records / UK.PROJECT
収録曲:
Helsinki Lambda Club
01 King Of The White Chip
02 Boys Will Be Boys
03 宵山ミラーボール
teto
04 36.4
05 ルサンチマン
06 新しい風
プロフィール
Helsinki Lambda Club
“2013年夏、西千葉でバンド結成。
「PAVEMENTだとB面の曲が好き」と豪語するボーカル橋本を中心とした日本のロックバンド。無理やりカテゴライズするならば、ニューオルタナティブといったジャンルに分類される。
2014年12月、UK.PROJECTから2曲入りファースト8cmシングル「ヘルシンキラムダクラブのお通し」をリリース。
2015年3月、ファーストミニアルバム「olutta」をリリースし、FX2015、VIVA LA ROCK2015、MUSIC CITY TENJIN2015に出演。同年12月にシングル「TVHBD/メリールウ」をライブ会場と通販限定で、500枚を即完させる。
2016年6月、ファーストマキシシングル「友達にもどろう」をリリース。同年10月にファーストアルバム「ME to ME」をリリースし、全国8箇所で開催したリリースツアーは渋谷WWWで ファイナル公演をソールドアウトさせる。
2017年4月、佐久間公平(Gt)が脱退し、あらたに熊谷太起が加入。同年6月、UK.PROJECT内に新レーベルHamsterdam Recordsを設立し、第一弾としてtetoとのファーストスプリットCD(限定 盤)をリリースし、9月にはBAYCAMP2017に出演。
同年11月、Hamsterdam Recordsから第二弾として、ファースト7インチアナログ盤とUSBをセットにした『Time,Time,Time』をリリースし、即日完売店舗が続出。
同年12月、『Time,Time,Time』発売記念ライブをもち、アベヨウスケ(Dr.)が脱退。
2018年6月、ファースト配信シングル「PIZZASHAKE」をリリース。
さらには同年7月、結成5周年を迎えることを記念して、初のワンマンライブツアーを東京・大阪・福岡・名古屋の4公演で行い、大盛況で終了した。
8月にはついに初のセカンドとなる配信シングル「Jokebox」をリリースし、
12月にはセカンドミニアルバム「Tourist」をリリースした。
そして2019年5月、結成当初から切望していた海外公演を香港で果たし、
同年8月には北京・上海にてツアーを、9月には台湾にて開催された”SHOUT OUT FEST ’19”へ出演を果たした。”引用元:Helsinki Lambda Clubプロフィール(Helsinki Lambda Clubオフィシャルサイト)
teto
“2016年1月、ボーカルギターの小池貞利を中心に山崎陸(Gt)、佐藤健一郎(Ba)らとtetoを結成。
同年10月、自主音源となるファーストEP「Pain Pain Pain」を発売(現在廃盤)。
同年12月、福田裕介がドラマーとして正式加入し、現編成となる。
2017年8月、ファーストミニアルバム「dystopia」を発売。8月度のタワレコメンに選出される。
同年11月から<teto tour 2017「dystoipia」>を開催。
2018年3月、ファーストシングル「忘れた」を発売。
同年4月から全国9か所を廻る「teto <60分2,800円ツアー>」を開催。各公演、軒並みSOLD OUTとなる。
同年7月からバンド初のワンマンツアー「始発」を開催。全公演即日完売。
同年9月、ファーストアルバム「手」を発売。
全22公演のリリースツアーとなる、teto ツアー2018「結んで開いて」は、ファイナルの恵比寿LIQUIDROOMを含め、各地SOLD OUT公演が続出。
年末には「COUNTDOWN JAPAN 18/19」「RADIO CRAZY 2019」「GT2019」に出演。
2019年2月から、全国9か所を廻る「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2019」に出演。
ファイナルのマイナビBLITZ赤坂ではイベントのトリを務める。
同年4月、セカンドシングル「正義ごっこ」を発売。ワンマンツアーとなる「tetoツアー2019 正義売買 -seigi bye bye-」を開催。
2019年10月23日、ファーストアルバムと同じく15曲を収録したセカンドアルバム「超現実至上主義宣言」を発売。併せて47都道府県を周るteto 47都道府県ツアー 「日ノ出行脚」を開催。”
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