シンガポールから突如現れ、世界の注目を集める22歳の歌姫。悲しみに泣くように透き通る声で歌い上げ、聴くものの心を締め付ける。彼女の名はLinying(リンイン)。彼女の経歴はとてもドラマティック。Spotifyの担当者が楽曲を気に入り、UKのプレイリストで紹介された途端、リスナーが反応しUKで話題に。その後、SNSを通じて各国に知れ渡った。現在、ユニバーサルとグローバル契約を結び、ColdplayやDidoをイギリス市場へ進出させたNettwerk Music Groupとも契約を結んでいる。日本でも昨年のサマーソニックに出演を果たすなど、世界的な活躍を見せる。まさに時代の申し子と言えるサクセス・ストーリーを歩んでいる。

しかし、シンガポールと言われて思い出す音楽のイメージはあるだろうか?シンガポールはクラブで有名だが、J-PopやK-Popのような独自の音楽はないそうだ。多民族国家で聴く音楽が母国のものに左右されること、人口が少ないため市場が小さく、海外市場に出ていく人が多いことが背景にあるようだ。そのため、シンガポールで耳にする音楽は、ほとんど国外から輸入されるものらしい。

彼女自身も欧米の音楽に強く影響を受けているという。幼少期にはGreen Dayにはまり、11歳でドラムのスティックを握ったそう。また、自分の音楽はBon Iverに色濃く影響されているとも話している。実は、その才能がSpotifyで見つけ出される前には、ドイツのFelix JaehnやフランスのKRONOらハウス・EDM系の楽曲にボーカルとして参加してきた。こうして、ジャンルにこだわらず、様々な音楽を自由に吸収してきたことが、一聴しただけで人の心を捉える音楽を作り上げた要因かもしれない。そして、自国に独自の音楽がなかったからこそ、彼女は“その国の音楽”に縛られずに済んだのだろう。彼女には最初から国境などなく、彼女の音楽のルーツは世界の全ての音楽だったのだ。

彼女の歌声はどこまでも美しく、ピュアで聴くものを魅了する。柔らかで、表現豊かで、どこまでも広がっていくようだ。大きな海に広がる波紋のように、荘厳で静かなエレクトロニック。声とも楽器ともつかぬ幾重にも重なるコーラス。彼女の経験に基づく歌詞は悲哀を帯びていて、突き刺すように響く。22歳にしてこのレベルに到達できるのか、と驚きを隠せない。彼女はアジアという枠を超えてどこまで人々を魅了し続けるのだろう。いや、端から枠などなく、世界こそが彼女のホームなのだ。(木下トモ)

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BELONG Vol.20
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