あなたは韓国にどのようなイメージを持っているだろうか?「キムチがウマい」、「芸能が盛ん」など、海を挟んで隣同士だからこそ、たとえ行ったことがなくとも私たち日本人は韓国に対してこれらのイメージを容易に思い浮かべることができる。こうした様々なイメージが思いつく中、韓国がアジアでもトップレベルの英語教育プログラムを実行していることを日本人は意外と知らない。韓国は日本よりも先に早期英語教育に力を注いできた。幼い頃から英語に慣れ親しむことのできる環境が身近にあり、それにより海外に目を向ける力を自然と養うことができるのである。

2014年秋、一組の若手4人組バンドが韓国でデビューした。名前はHYUKOH(ヒョゴ)。“HYUKOH”という韓国語があるのではなく、フロントマンのオ・ヒョクの名前を逆読みにして名付けたようである。幼少期の頃から歌うことが好きで、シンガーソングライターとしての活動を始めた彼が、大学で知り合った音楽仲間と共に結成したのがHYUKOHである。 この名前を見て、何か気づくことはないだろうか?本国の活動の際、彼らはHYUKOH(혁오)と表記して活動している。英語表記がメインで、その隣にハングル語表記でバンド名が書かれているのだ。自分たちのバンド名をわざわざこのように表記しているのはなぜか?その答えが彼らの日本デビューアルバム 『23』にある。

このアルバムに収録されている各楽曲には、ロックはもちろんブルースやファンクなどの自分たちのルーツに当たる音楽だけでなく、中国のカンフー映画で流れているような音楽の要素も入れられ、アジア人ならではの解釈が加えられている。そうして作られたメロディーの上には、母国語である韓国語に英語と中国語を組み合わせた自由度の高い歌詞が重なり、彼らにしかなしえない解釈で独自のポップミュージックを鳴らしているのだ。母国語以外の言語をも駆使した歌詞を歌うスタイルは、70年代後半に大ヒット曲「モンキーマジック」がお茶の間で人気を博したゴダイゴを思い起こさせる。

ゴダイゴのフロントマンであるタケカワユキヒデもまた音楽界のエリート育ちであり、こうした点においてもHYUKOHと似たものを感じさせる。タケカワがそうであったように 、オ・ヒョクもまた幼い頃から国やジャンルなどを問わず様々な音楽に触れ、自然とその感性が世界に向けられていったと思われる。彼らの楽曲は、一つの曲の中で韓国語と英語、曲によっては中国語も加えられる。英語を身近に感じられる環境の中で育ち、世界を知ることでアジア人としての感性を深められたのではないか。つまり幼い頃から世界に目を向けてきたからこそ、自らのバンド名に英語表記を書き加えたのだろう。広い視野を持ってして彼らの楽曲は生み出される。おそらく、彼らの目指すところは本国や日本に留まらない。

これは余談だが、アルバムタイトルになっている“23”という数字はメンバー4人の年齢である。国によって読み方は違うが、数字は世界共通であり、誰しも知っているし読める文字である。韓国や日本、そしてアジアに留まらず、HYUKOHが世界を股にかけてその音楽を展開する日もそう遠くはないのかもしれない。(桃井 かおる子)

韓国のSuchmosと称され日本に輸入されたバンド、HYUKOH(ヒョゴ)。そう言われると当然、シティポップもしくはブラックミュージックの若手が韓国にもいたのかという見方をされると思うが、実のところ彼らはアメリカやイギリスにも通ずるオーセンティックなロックバンドであった。

デビューアルバム『23』に収録された「万里」のMVでは、広大な砂漠を疾走する古びたトラックの荷台で演奏する姿はU2を思わせるスケール感とルーツに根ざしたロックサウンドがある。しかしながら彼らの魅力はそれだけに留まらない。このMVはモンゴルで撮影されたものだそうで、果てしない砂漠に数多の馬が駆け抜ける様は、アジアの雄大さを今までにない形で提示したのではないか。今作では水墨画で描かれた「TOMBOY」のMVがあったり、日本の東京をもじった「Tokyo Inn」という曲もあり、アジア全体を俯瞰し、作品に落とし込む視野の広さがある。

ではどうしてHYUKOHは一介のバンドでありながら、ここまでの視野の広さを持っているのだろうか。調べてみるとフロントマンのオ・ヒョクは中国に住んでいた事があり、その後韓国でバンド活動をしているとインタビューで答えている。異国の地を自分の目で見た経験があるからこそ、アジアそのものへの理解も深まったのであろう。また彼らは欧米の音楽だけでなく、その歴史にも興味があるという。欧米の音楽からのさりげない参照点は、今作でいくつも見られるのだが、その中でも顕著なのが本誌表紙の写真で彼らが着ている衣装だろう。映画にもなったTalking Headsの伝説のライブ『Stop Making Sense』でデイビット・バーンが着ていたオーバーサイズのジャケットにそっくりではないか。冒頭で挙げたU2も“万里”という広大さを表現するために『The Joshua Tree』辺りの音楽や見せ方を参照した事は想像に難くない。

彼らの登場は私たちが長年抱いていた韓国=K-Popという先入観にピリオドを打つ事を意味する。韓国、いやアジアはロック不毛の地なのではなく、ここから素晴らしいバンドがいくつも出てくる兆しを読み取れる。いつの日かHYUKOHを始め、アジアのバンドがグラストンバリーやコーチェラ、そしてフジロックのステージで欧米のバンドと遜色のない演奏をしている姿を見る日が楽しみでならない。(yabori)

【Release】

『23』
Now On Sale

【Magazine】

BELONG Vol.20
発刊日:7月1日(日)発刊

【特集:YOUTHWAVE ASIA】
ボーダレスな音楽を志向する新世代特集“YOUTHWAVE”の番外編として、韓国のHYUKOHを筆頭にアジアの次世代アーティストを紹介。

表紙:HYUKOH
I Mean Us/The White Tulips
Lin Ying/MISO/Neon Bunny/OOHYO/Leah Dou

表紙:シャムキャッツ(3号連続企画第3弾 メンバー全員インタビュー)
DATS(2号連続掲載)/Cigarettes After Sex

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【募集】

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