HAPPYが初めて自分たちで作ったミニアルバム『STONE FREE』は、彼らが自身の音楽を取り戻した瞬間をパッケージした作品となった。前作とは対照的に生演奏を主体とし、BPMを落としたのが功を奏し、本質的なルーツであるアメリカンロックが前面に出てきた。本作で飛躍的な成長を見せた彼らであったが、どうして人気絶頂だった時期にメジャーレーベルへ移籍せず、自分たちの音楽を追求しようと思ったのだろうか?

アーティスト:Alec(Gt&Vo)、Ric(Syn&Vo)、Chew(Gt&Syn)、Bob(Dr&Vo) インタビュアー:yabori

-(『STONE FREE』のジャケットを見ながら)機材いっぱいあるけど、これはどこのスタジオ?
Alec:僕の家でレコーディングしている時の写真なんですよ。

-家に機材こんなにあるんや。今作は全部自分たちでレコーディングしたってこと?
Alec:ドラムとベースとボーカルはスタジオで録ってたんですけど、それ以外は自分たちで録ったんですよ。ミックスは基本的にRicがやっていて、マスタリングはスタジオの方にお願いしましたね。

-どうしてそういう作り方をしようと?
Ric: バンドの状況が変わってこの5人で自分たちの音楽を突き詰めようと思って。今回はできる所まで理想と思える音楽を追求しました。

-実際にこういう作り方で作ってみてどうだった?
Ric:このやり方が自分たちには合っているなと思いました。時間がかかるのが難点でそこさえ何とかできたら。
Bob:何をやってもスムーズにいく事がなくて大変でしたね。初めはどうやったらCDができるんやろうって思ったくらいで。

-前作までのHAPPYはエレクトロポップというイメージが強かったけど、今作は生音中心になったのが印象的で。どうして音楽性を変えようと?
Chew:改めて自分たちのサウンドってどういうものかを考えた時にエレクトロポップよりも生音重視のサウンドが自分たちらしいなと思って。
Ric:単純に自分たちが生音主体で良いバンドだと思うから、必要以上にデジタルなサウンドに寄せる必要がないと思って。ただグッドなサウンドでグッドな音楽ができたら良いなって。元々僕らのルーツは生音重視のバンドばっかりなので、そこに戻るのが自分たちらしいんじゃないかと思ったんですよ。

-生音に回帰しようと思った具体的なきっかけはあった?
Alec:音響設備が十分整ってないライブハウスも回る機会があったんですけど、そういう場所だったらシンセ主体の曲よりもシンプルな曲の方が合うんじゃないかという話になって。例えばふらっと立ち寄った場所でPAがなくてもかっこよく演奏できる曲が欲しいと思って。
Chew:自分たちが鳴らしたい音楽はやっぱりギター主体の王道のロックなんだなと感じましたね。
Bob:最近の音楽シーンを見ていて自分たちが理想とするロックバンドはまだ出てきてないんで、自分たちの目指すポジションは空いているなと思っていて。今はシティポップの流れでどんどんおしゃれなバンドが出ていますけど、僕らはそういうバンドとは違うと思っていて。
Alec:僕らがエレクトロサウンドの音楽をやるとかっこつけて見える所もあったんですけど、そういうクールさは要らんなと思って。HAPPYはかっこつけてやるバンドじゃないと思うし、例えばThe 1975みたいなクールさは僕らにないから、そこを目指すべきじゃないなと思って。

-じゃあHAPPYの理想のバンドというのは?
Bob:The Rolling StonesやThe Beatlesのようにオーソドックスでナチュラルなカッコよさがあるバンドが理想ですね。グッドメロディーでルーツミュージックになっているような音楽が僕らに合っていると思います。
Ric:理想のバンド像というかこれからこういう方向性でいこうって決める事もあったんですけど、僕らは曲ごとにやりたい事が変わるんで方向性を一つになかなか決めれないんですよね。
Alec:特に今回のレコーディング中は他の音楽を聴いてなくて、本当にどうしていいか分からない時だけ聴くようにしたんですよ。今まで以上に自分たちの音楽に入り込んだっていう実感はあります。
Chew:自分たちが音楽を生み出しているっていう実感は初めて感じたかもしれないですね。
Alec:初めはBobがケータイのガレージバンドというアプリでドラムをiPhoneのマイクで録るんですけど、次にSyuがベースを録って、それをみんながAirDropを使ってそのデータをもらうんですよ。そこからみんなで音を重ねていって、レコーディングはこういう感じでいこうっていう所までできました。
Chew:僕らにとってはチャレンジだったんですけど、いざ使ってみるとめっちゃ便利でAirDropを使って3秒でデータが届くっていう(笑)。

-そういうやり方が合ってたんやね。
Alec:そうですね。 iPhoneのデモが完成した段階でレコーディングし始めて、最初はドラムとベースをスタジオで録って、それを家に持って帰ってギターやシンセを重ねて、もう一回スタジオで歌入れをして。そのデータを僕が家でミックスして、マスタリングはスタジオの方にお願いしましたね。

-なるほど。今作は3曲目の「Come With Me」が今までになくシンプルでかっこ良いと思ったんやけど、この曲はどのようにしてできたん?
Alec:この曲は合宿で作ったんですけど、ChewがT.Rexのようなコード進行のフレーズを持ってきて。その時はシンプルな曲が欲しかった時だったんで、これをベースに曲を作ろうって話してて。
Chew:できた曲の中間を埋めてくれるような曲に仕上がっていて。僕らの楽曲は生音重視のものとシンセが主体のSFっぽいサウンドの2つに分かれがちなんですけど、一枚を通しての統一感を出したいって言ってて。
Alec:その時は生音主体の曲を作っていこうっていうモードだったんですけど、ギター一本だけでもかっこいい曲をイメージしてできたのが「Come With Me」になりました。HAPPYらしいロックに仕上がったと思います。
Ric:結局はどっちもの要素があった方が良いって意見に落ち着いて。なので今作の曲順も前半が生音主体のサウンドで、後半はシンセ主体の曲順になりましたね。途中のインスト曲「CYM Interlude」は後半のスペイシーな世界観を深めようと思って収録する事にしました。
Bob:曲順には制作中に自然と決まってきましたね。

-前作まではBPM早めの曲が多かった印象があるけど、どうして今作はあえて落とそうと?
Alec:Bobがある時、「BPM早いんじゃない」って言い出して。その時、Bobは寝起きで自分たちは起きていたんで、最初は何を言ってるんやろって思っていたんですけど、いざ自分が寝起きで聴いてみたらBPM早いなと思って。リズム隊の二人は前からBPM遅めが良いって言っていたんですよ。特に今回のEPはSyuの意見が全面に出ていて。Syuはよく「パワーコードで隙間を埋めるようなやり方はロックバンドじゃない。ロックバンドはもっとギターをかっこよく使わなあかん。」って言ってて。それで試しにThe Rolling Stonesの「Sympathy for the Devil」を聴いてみようかっていう事になって。で、いざ聴いてみたら冒頭にギターが入ってなくて、ギターソロで初めて出てくるんですけど、それがかっこよくて。要は楽器の足す部分と引く部分が大事っていう。だからこのEPではアンサンブルの時点で楽器が絡み合う感じをどうやるかっていう部分を練りましたね。
Chew:3ピースだったら人数も少ないんでパワーコードを多用しても良いと思うんですけど、僕らは5人いるんで、その人が出す一音一音に意味がないとあかんと思って。

-一音一音の説得力を持たせようと思った訳やな。それではアルバムタイトルを『STONE FREE』にした由来は?
Alec:今作の制作時は僕らがやっと自由になれたタイミングで。タイトルは“石からの解放”っていう意味なんですけど、それが自分たちの状況にも当てはまると思っていて。
Ric:固まってる石から解放されてしがらみから解き放たれるっていう意味なんですよ。

-バンドの状況というのは?
Alec:本来であれば前作の『To The Next 』をリリースした後、メジャーレーベルに行く予定だったんですけど、このまま進むと僕らが思い描くビジョンにたどり着けないと思って。2年前に事務所を辞めて自分たちだけで作品を作る事にしたんですよ。

-タイトルがバンドの状況にも当てはまると。歌詞でも“ Free ”ってよく出てくるもんな(笑)。
Chew:俺ら自由好きやもんな(笑)。
Alec:レコーディング中にウッドストック(ウッドストック・フェスティバル)がテーマに掲げてた“Love & Peace”について考える事があって。テレビを見ていても今までよりも物騒な世の中になってきてるじゃないですか。僕の中で 「Stone Free」と時代の現状がマッチしてきて、自由って何なんだろうと思って。
Ric:レコーディングを中断してみんなで「平和って何なんやろう」って話し合いましたね(笑)。

-そうなんや(笑)。ウッドストックもベトナム戦争と関係あるもんな。結局その話し合いはどういう結論が出たん?
Alec:色んな意見が出てきて、自分たちも何が正解か分からなくなって。でも僕らは本当にグッドな音楽をやろうと決めて。それは平和の為にではなくて、聴いてくれた人みんながハッピーになれるような音楽を追求していくしかないっていう結論になりましたね。

-回り道したけど、バンド名のHAPPYにたどり着いたんやね。
Alec:そうなんですよ。そこでまたHAPPYに行きついたんですけど、戦争ってどうやったら止めれるんやろうって事まで考えましたね。
Ric:結局その辺で中学生がけんかしているのも規模の小さい戦争なんじゃないかっていう意見が出てきて、戦争はそれに関わる人数が違うだけで。結局は人の憎しみという感情がある限りは戦争はなくならないんじゃないかっていう話になって。

-そんなに深いところまで話したんや(笑)。
Chew:自由っていうのもそれと同じだと思うんですけど、自分が多幸感に溢れている時は自由やし、見方を変えると自由じゃないとも言えるし。だから自由とは何かっていう結論は出なかったんですけど、少なくとも自分たちの音楽を聴いている時は、そういうのを忘れるくらいのグッドミュージックを届けようというのが自分たちのやるべき事なんだと思います。

-まさしく。それでは最後に今作『STONE FREE』をどんな人に聴いて欲しいと思う?
Alec:色んな人に聴いて欲しいんですけど、ロックを聴かない人や楽器をやらない人、キッズにも聴いて欲しいですね。
Chew:今までのHAPPYってこういうバンドやんなって思っている人にも騙されたと思って聴いて欲しい。
Bob:確かに。前作からだいぶ変わったもんな。
Ric:HAPPYっていう名前だけ知ってる人にも聴いて欲しいですね。このEPで僕らはやっとスタートラインに立ったと思ったんで。

【Release】

『STONE FREE』
NOW ON SALE
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【Live】
■2017/8/28(MON) @東京・下北沢THREE
■2017/9/17(SUN) @名古屋・CLUB UPSET
■2017/9/23(SAT) @大阪・中崎町NOON
■2017/10/1(SUN) @大阪・なんばHatch

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