ベンジー以上に、愛するものに対してこれほど真っ直ぐな人間はいるだろうか。

今の日本は作られた流行が音楽シーンを左右し、対応するために曖昧に変わってゆく魂ばかりが常に渋滞を起こしている。

何が愛か、何が自分かを忘れたふりをして。(テキスト:pikumin)

愛するものを愛し続けることを証明した新曲

BLANKEY JET CITY がデビューしてから30年近く経った現在もブレることのない浅井健一の音楽とスタイルは、今や“ベンジー”というジャンルを確立している。その真意は、今の自分が好きなモノや趣味嗜好に対して常に正直であり、忠実なところ。変化と言えば、もちろんある。しかしそれは誰かに仕組まれたことでもない。誰かのためでもなく、もちろん生き残るためでもない。過去に囚われず過去を切り捨てない上で成り立つ“愛するものを愛し続ける”こと。それを証明するのが、11月6日にリリースされる『Beautiful Death』である。

浅井健一のこれまで

国内のバンドシーンにおける礎的存在の一つであるBLANKEY JET CITYのギターボーカルであり、解散後はソロだけでなくSHERBETSやJUDEなど様々な形で活動を続けてきた浅井健一が2016年に始動させたプロジェクト・浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS。元NUMBER GIRLで現在はCrypt CityやART-SCHOOLなど多数のバンドで活躍を続ける中尾憲太郎をベースに、「すごいドラマーがいる」という噂をきっかけに浅井が声をかけたという小林瞳をドラムに起用。中尾独自の圧倒的威力と凶暴さを兼ね備えたベースはもちろん、小林のクールな見た目や丁寧な姿勢から想像が出来ないようなヘヴィかつパワフルなドラミングは浅井の音楽をより、豪快で気持ち良いドラマチックな音楽へと変貌させている。そんな彼らは昨年度にシングル『Messenger Boy』、今年2017年1月にアルバム『METEO』を発表。そして今回、三作目となるのは配信限定シングル『Beautiful Death』。10月には浅井が単身でパリに乗り込み撮影されたというMVが先行公開された。

ベンジーらしさ全開の音楽と歌詞

「ああ、ベンジーだなあ」こう思わずにはいられない『Beautiful Death』は素直なアプローチで魅せるファンキーミュージック。初期BLANKEY JET CITYを彷彿とさせるジャキジャキとしたライトサウンドから展開されるが、垣間見えるマイルドに甘く鳴るギターは今のベンジーならではの音だ。各パート重たい軸をしっかりと作り上げてバンド全体で加速させていくミドルトーンの安定感と共にハイトーンの疾走感も忘れない。エンジンをかけるのはアグレッシブなドラミング。グル―ヴィーなベースラインは動力を与えるようにパワーを注ぎ込み、舵を切るギターリフは道を切り開く。精力的にライブを行う等、浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSとしての音の結束力も非常に 高まっていて、音源を通して相乗効果で魅せる一体感を強く感じる。そしてこの曲はまさに人生という名の一本の道路を真っ直ぐ走る音楽。なんといっても「真っ直ぐ生きて綺麗に死ぬ。」から始まるサビの歌詞がナチュラルな話し言葉のようにフランクなのに、強い言葉と意思を持っているところが最高に痺れる。まるでバイクに乗っている時のような、振動と風を受けて心臓は揺らされているのに外側は無の感覚になる中で、たくさんのモノが流れていくのに神経が研ぎ澄まされて、必要なものだけ視界にはっきりと浮かび上がる光景。あらゆるものがある中から自分の愛するモノをしっかりと見つめて、選別して、拾い上げる人生。それを音楽として表現してきた浅井健一ならではの言葉と共にビートを刻む。「できたら途中でたくさん笑える場面があればいい。できたら途中でたくさん感動できたら尚更良いぜ」

MVで描かれた浅井健一の人生

彼の音楽は作品としてもブレがない。『Beautiful Death』は先日公開されたMVと曲も深くリンクしている。パリの街中をスケボーを巧みに乗りこなし疾走。画材屋で買い物をして絵を描き、レコードを漁る。そしてタコスを頬張る姿。どれも浅井の好きなモノであり、日常的な光景なのだと思えるほど自然な姿だ。MVを通してもこの曲に“愛するモノ”というテーマを強く感じる。MVの監督を務めた鯨井智行は「Fluctuat nec mergitur(たゆたえども、沈まず)」と書かれたパリ市の紋章にも注目したと言う。愛するモノを突き詰める様を切り取ったこのMVに映るのは、それを日常的に熟して当然のように携えて生きてきた浅井健一の人生そのものだ。

浅井健一が30年間貫いてきたもの

世の中で「かっこつけている」と思われる人は行動に中身が伴っていないからだ。かっこいいと思うモノ、何を愛しているか。それを貫く人は全てが真実となる。浅井はそれを約30年、貫いてきた。そのソウルは今、THE NOVEMBERSをはじめとした己と向き合いながらひとつずつ自分たちを投影させた音楽を作っているバンドやアーティストに受け継がれているだろう。しかし、そうでないものが大半を占めている。「この社会に染まらないで」「沈みに行く船に乗っちゃダメだ」と訴える浅井の言葉にうろたえてほしい。 どうして染まってしまうのか。どうしたら染まらずにいられるのか。答えは思ったよりも随分簡単なことだ。それを浅井は音楽を通して「自分が好きなものやらなきゃ面白くないよ。それにこれ、かっこいいでしょ。」と言うように歌う。好きなモノ、愛への追求。それこそが美しく死ぬ道である。(pikumin)

リリース情報

Sugar
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浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS
アリオラジャパン (2018-02-14)
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収録曲:
1. Vinegar
2. Beautiful Death
3. Ginger Shaker
4. ハノイの彫刻
5. どっかいっちゃった
6. Watching TV~English Lesson~
7. Turkey
8. Fried Tomato
9. New Pirates
10. 水滴
11. すぐそば

METALLIC MERCEDES(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)
浅井 健一
アリオラジャパン (2019-05-29)
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《初回生産限定盤(CD+DVD)》BVCL 964~965 価格:2,200円(税抜)/ 2,376円(税込)
<CD収録曲>(初回生産限定盤・通常盤 共通)
01. METALLIC MERCEDES
02. INDY ANN
03. Freedom

<DVD収録曲>
「浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS Sugar Days Tour 2018 Final at Shinkiba STUDIO COAST」
01. Watching TV ~English Lesson~
02. Vinegar
03. どっかいっちゃった
04. OLD PUNX VIDEO
05. パイナップルサンド
06. スケルトン
07. ヘッドライトのわくのとれかたがいかしてる車
08. すぐそば
09. Turkey
10. Beautiful Death
11. SKUNK
12. Fried Tomato
13. DERRINGER

プロフィール

1964年生まれ。愛知県出身。1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム「Red Guitar and the Truth」でメジャーデビューを飾る。数々の名作を残し、2000年7月に惜しまれつつ解散。その後、SHERBETSやJUDEなどさまざまな形でバンド活動を続け、2006年7月にソロ名義では初となるシングル「危険すぎる」、同年9月に初ソロアルバム「Johnny Hell」を発表した。繊細なタッチで描かれる絵画も高く評価されており、絵本や画集などを発表している。2016年8月に新たなソロプロジェクト、浅井健一& THE INTERCHANGE KILLSを始動。メンバーは浅井健一、再結成も記憶に新しいNUMBER GIRLや、Crypt Cityでも活動中の中尾憲太郎(Ba)と、カナダやアメリカなどで活動してきた小林瞳(Dr)で、同年10月にシングル「Messenger Boy」、2017年1月にアルバム「METEO」を発表した。その後、3度のツアーを経て、2018年2月に同バンドの2枚目のアルバム「Sugar」をリリースし、3月からは全国ツアーも開催。2019年2月には浅井健一ソロ名義で約5年振りの新曲の配信リリース、5月にはシングルリリースと浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSとして東名阪QUATTRO TOUR の開催も決定。

Beautiful Death MV

■浅井健一掲載号のお知らせ

BELONG MediaではWebサイトでの情報発信以外に、音楽雑誌を1年に4回発刊しています。

Vol.22 表紙:浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSインタビュー
シンプルなロックンロールこそ、最上の劇薬。新ユニット、浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSで、ベンジーはなぜ原点回帰できたのか。

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