For Tracy Hyde

過ぎ去った青春を想起させる音楽

For Tracy Hydeの音楽はいつだってノスタルジーにする。

それはラブリーサマーちゃんが加入した当時からずっとで、彼女が脱退して新ヴォーカルとしてeurekaが加入しても、ドラマーのまーしーさんが脱退して草稿にかわってもずっと。

そして、今作からeurekaがギターを手にし、トリプルギター編成になり、さらにそのノスタルジーさは強度を増して襲いかかる。

夕方にやっている一昔前のドラマの再放送を観ている時に感じるあの切なさ。

誰もが経験をする青春時代を想起して遠い目になるあの感じだ。

トリプルギター編成が生んだ音の壁

2ndアルバム『he(r)art』から約2年ぶりのアルバムとなった『New Young City』は、1stフル・アルバムから引き続き50分越えの長尺で曲数もインストを含む16曲とボリューミーな内容となっている。

言うまでもなくトリプルギター編成になったことで音の厚みも増し、凶暴なまでに進化している。

これまで通り、シューゲイズ〜ドリーム・ポップ、ポスト・パンク、ニューウェイブ、ネオアコ、ネオ・サイケ・ポップなどのジャンルを回遊。

混沌を極めたギターノイズも、シンプルなクリーントーンも上手く使い分けた展開は多彩がゆえに長尺アルバムでも飽きは一切こない。

演奏面での拡張が功を奏したといえるだろう。

シューゲイザーとJ-Popの調和

そして、このワイドレンジ、ビルドアップがもたらしたのはJ-POP的な歌メロと90年代王道シューゲイザーサウンドとの完璧な調和。

いわば彼らがデビュー当時から各方面から注目され、バンドとしてのアイデンティティとなっていた音楽性が今作で完全に確立されたということである。

痛快なまでに可愛さに彩られたキャッチーなeurekaの歌謡がより表面化させるサウンドテクスチャー、それが今回の醍醐味であり、強度を増したノスタルジーの源なのだろう。

日本ならではのシューゲイザーサウンド

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやライド、スロウダイヴの御三家をはじめとする90年代シューゲイザーに憧憬し、独自の解釈で表現をしてきたバンドやアーティストは多く存在する。

しかし、これほどにも日本的な表現を確立できたバンドはいないのではないだろうか?

そういう意味では90年代シューゲイザーシーンに対するJ-POPからの遅れてきた回答と言っていいかもしれない。(滝田 優樹)

リリース情報

ニュー・ヤング・シティー
フォー・トレイシー・ハイド
Pヴァイン・レコード (2019-09-04)
売り上げランキング: 9,229

収録曲:
1. Opening Logo (Photo High Inc.)
2. 繋ぐ日の青
3. ハル、ヨル、メグル。
4. 麦の海に沈む果実
5. ラブイズブルー
6. ハッピーアイスクリーム
7. 君にして春を想う
8. Hope
9. Grow With Me
10. ライトリーク
11. 曖昧で美しい僕たちの王国
12. Girl’s Searchlight
13. Can Little Birds Remember?
14. 水と眠る
15. 櫻の園
16. Glow With Me

ライブ情報

For Tracy Hyde『New Young City』 Release Tour 『#FTHNYC』
9/18(水) Taipei・Revolver
9/20(金) Singapore・kult kafé
9/21(土) Manila・One Two Three Block
9/22(日) Jakarta・Rossi Musik
9/28(土) 山口・rise SHUNAN

■ 『#FTHNYC』ツアーファイナル
10/16(水) 東京・渋谷WWW
出演:For Tracy Hyde / warbear / APRIL BLUE(O.A.)
時間: 開場 18:00 開演 19:00
料金: 前売り 3000円 当日 3500円(※ドリンク代別)

チケット
e+にて発売中
https://eplus.jp/sf/detail/3042780001-P0030001

プロフィール


メンバー:eureka (Vo)、夏bot (Gt)、U-1 (Gt)、Mav (Ba)、草稿(Dr)による5ピース・バンド。2012年秋、夏botの宅録プロジェクトとしてU-1と共に活動開始。2014年、ラブリーサマーちゃん(Vo)が加入し、女性ボーカルの5ピース・バンドとして原形が出来る。2015年5月、ラブリーサマーちゃん脱退に伴い、新ボーカリストにeurekaが加入。2016年12月、1stアルバム『Film Bleu』にてP-VINEより全国デビュー。2017年にはSPACE SHOWER NEW FORCEに選出され、TOKYO CALLING出演も果たす。同年11月、2ndアルバム『he(r)art』をリリース。シネマティックで緻密な構成のコンセプト・アルバムとして高い評価を得る。2018年、前ドラマーのまーしーさん脱退に伴い草稿が加入。2019年よりeurekaがギターを手にし、トリプル・ギター編成に。

シューゲイズ/ドリーム・ポップを軸にしつつも60年代から現在までの様々な音楽を自由な発想で取り込み、中高生から〈Creation Records〉にリアルタイムで触れた40~50代まで、幅広いリスナーの日常に彩りを添える「21世紀のTeenage Symphony for God」を作り出す。また、国内のインディ・シーンで精力的に活動するのみならず、Hazel English (Australia/US)やThe Embassy (Sweden)のオープニング・アクトを務めたほか、Sobs (Singapore)、Cosmic Child (Singapore)、Thud (Hong Kong)の来日ツアーをオーガナイズするなど、海外シーンとの交流を深めつつある。

Music

■Girl’s Searchlight MV

■櫻の園 MV

■Can Little Birds Remember? MV

BELONGからのお知らせ

■BELONG最新号・バックナンバーのお知らせ

BELONG MediaではWebサイトでの情報発信以外に、音楽雑誌を1年に4回発刊しています。

【500部限定】Magazine Vol.26(特集:40人が選んだ100枚のアルバムジャケット)

発刊日:2019年4月21日(日)

掲載アーティスト:THE NOVEMBERS、yahyel、シャムキャッツ、PLASTICZOOMS、HAPPY、Lillies and Remainsなど

アーティストが語ることの少ないアルバムジャケットについて語ってもらった内容。18ページにわたり、合計100枚のカバーを掲載した永久保存版。

詳細はBELONG Web Storeにて