最終更新: 2020年12月6日

Luby Sparks(ルビー・スパークス)が約1年ぶりのニュー・シングル「Somewhere」のMVを公開した。

Luby Sparksはコクトー・ツインズやビーチ・ハウス直系の耽美なドリーム・ポップ,シューゲイザーを聴かせるロックバンド。

「Somewhere」

完璧な布陣で制作した新曲

Luby Sparks
「Somewhere」のミックスには、 1stアルバムから引き続きヤックのマックス・ブルームが務め、

マスタリングはビーチ・フォッシルズやスフィアン・スティーブンスなども手掛けるNYのエンジニア、ジョッシュ・ボナティが担当。

そして、ギターのサウンドメイキングをプロデュースしたのはコクトー・ツインズのギタリスト、タテミツヲである。

まさに上記のバンド達から影響を受け、踏襲しながら、今の音楽感覚で音を鳴らしてきたLuby Sparksにとってこのプロダクションは完璧な布陣である。

それゆえバンドとしての自我、オリジナリティが浮き彫りなLuby Sparks流のドリーム・ポップ・ソングが出来上がった。

ヴォーカルが聴きどころ

Somewhere
前作『(I’m)Lost in Sadness』で特徴的だったシューゲイズ・ギターは後退し、ニューウェイヴ志向の煌びやかなシンセ・ポップと甘美なギター・メロディは聴き手に恍惚感を与える。

美学を探求しつづけたLuby Sparksの一つの到達点ともいえる、優雅で洗練されたポップ・サウンドである。

しかし、今作で特筆すべきはErika Murphyのヴォーカルだ。キュートでシンフォニックな歌声もそれを支えるNatsuki Katoのヴォーカルも今回は影をひそめる。

その代わりに力強く官能的な歌唱で、曲そのものに高揚感を与える。これまでの作品ではサウンドの上に添えられていた歌声も、ここでは完全に主役。

ドリーム・ポップ=ウィスパーという固定概念を覆す、挑戦的ともいえる強気なヴォーカルに今のバンドの勢いを感じた。

新たなアイデンティティーを獲得し、独自の美学を提唱した彼らのニュー・シングル「Somewhere」は間違いなくバンド史上最高傑作の出来栄え。

マニック・シープやザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートとの共演や海外フェスへの出演から、

すでにブレイクが期待される新鋭として注目を集める彼らだが、この1曲がその状況を加速させるのは間違いないだろう。

「Birthday」

The Sugarcubesのカバー

Luby Sparks_Birthday
昨年9月にリリースされたデジタルシングル「Somewhere」は、ドリーム・ポップの構造を解体。

ニューウェイヴ要素を取り入れた煌びやかなメロディに、ヴォーカルのErikaが凛然とした歌声を乗せた、新境地開拓な1曲となった。

それから間もなく4カ月後に発表された新曲はThe Sugarcubes「Birthday」をカバーしたものである。

実はこちら昨年10月に行われたイギリスのロックバンドYuckとのツーマンライブの会場にてカセットテープでリリースされた楽曲。

The Sugarcubesといえば、アイスランド出身の世界的な歌姫ビョークが在籍していたことでも知られるパンク、ニュー・ウェーヴバンドである。

Erikaがビョークへ挑む

Birthday
前作のモードから伺うに今回のカバー楽曲は、ヴォーカルErikaがビョークへ挑んだ作品だと言えよう。

艶のある声色は躍動感を感じるまでに、伸びやかに遠くへと響かせる。

時に華やかに、時に野生的に、わびさびを感じさせる歌声は覚醒の予兆を感じさせる。

原曲と色合いを変え、全体的に星降るようにキランキランに鳴らされたギターが前面に押し出されたサウンドワークも歌声に負けずたくましい。

しかし、それでも何かが足りない。

良く言えば、今回はこれぞLuby Sparksという華やかなドリームポップナンバー。言い方を変えると、想定の範囲内であったということ。

彼らに求めるのは、遊び心と自由な発想だ。そして、何にも形容されることのない異質さ。

カバーだからこそこれまで選択してこなかった音や方法、表現で鳴らしたことのない音を鳴らしてみて欲しかった。

The Sugarcubesもといビョークでそうであるように魂を解放させた時に、今まで以上に必ず真価を発揮する。

そう、確信しているからこそ敢えて今回はまだ足りない。彼らはこんなもんじゃない。

リリース

Birthday
Birthday

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ミックス:Max Bloom(Yuck)
マスタリング:Josh Bonati
デジタル配信のみ。
※北米/南米/ヨーロッパ/オーストラリア地域は、カリフォルニアのBurger Recordsから同時発
収録曲:
1.Birthday

Somewhere (Robin Guthrie Remix)
Somewhere (Robin Guthrie Remix)

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収録曲:
1.Somewhere – Robin Guthrie Remix

Somewhere
Somewhere

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収録曲:
1.Somewhere

(I'm) Lost in Sadness
(I’m) Lost in Sadness

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収録曲:
1. Perfect
2. Cherry Red Dress
3. (I’m) Lost in Sadness
4. Look on Down from The Bridge

プロフィール

“Natsuki (bavo) Erika (vo) Sunao (gt) Tamio (gt) Shin (dr)。
2016年3月結成。2017年7月には「Indietracks Festival 2017」(UK|Derbyshire)に日本のバンドとして唯一出演。2018年1月、Max Bloom (Yuck)と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2018年11月、4曲入りのEP「(I’m) Lost in Sadness」をリリースしている。2019年1月には、Say Sue Me(韓国)を招き、初の自主企画ライブ「Thursday I don’t care about you」を成功させ、10月15日にはjan and naomiをゲストにしたTAWINGSと共同企画「Dreamtopia」をWWWで、10月25日には、Yuck(UK)を来日させ、自主企画第二弾「Yuck X Luby Sparks 2019」をLOOPで開催。これまでにThe Vaccines(UK)、The Pains of Being Pure at Heart(US)、TOPS(CA)、NOTHING(US)など、海外アーティストの来日公演のフロント・アクトも数多く務めている。”

引用元:SPACE SHOWER NETWORKS INC.

Youtubde

Luby Sparks 「Birthday」 (Official Music Video)

Luby Sparks「Somewhere」

Luby Sparks「Somewhere (Robin Guthrie Remix)」Lyric Video

ライター:滝田優樹

北海道苫小牧市出身のフリーライター。音楽メディアでの編集・営業を経て、現在はレコードショップで働きながら執筆活動中。猫と映画観賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。

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