最終更新: 2021年9月11日

次世代のUKロック界を代表するバンド、Blossoms(ブロッサムズ)。

グラストンベリーやレディングなど大型フェスへの出演で、今やフェスティバル・バンドの地位を確立した彼ら。

この記事では、新曲「Care For」を含むBlossomsのおすすめ15曲を厳選して紹介している。

今回初めて聴く方も既にファンの方も彼らの魅力を感じられる選曲となっているので、ぜひBlossomsの世界を味わっていただきたい。(2021年8月29日更新)

Blossomsとは

blossoms
Blossoms(ブロッサムズ)はイギリスのマンチェスター南部にあるストックポート出身のサイケ・ポップバンド。

メンバーはトム ・オグデン(Vo./Gt.)、チャーリー・ソルト(Ba.)、ジョシュ・デューハースト(Gt.)、ジョー・ドノバン(Dr.)、マイルス・ケロック(Key.)の5人組。

2013年に地元の友人同士で結成され、バンド名は地元ストックポートにあるパブの名前から取られた。

メンバー全員が端正なルックスで、テイストを合わせたファッションに身を包む。

キャッチーで爽やかなポップなサウンドでありながらサイケデリックと評価されることが多く、インディーズとメジャーの両シーンで活躍できる実力派バンドだ。

来日とアルバム

2015年来日時 撮影:Masahiro Arita
ここでこれまで彼らのリリースや来日公演を振り返っておきたい。

これまでの来日公演

Blossomsは2015年に日本限定の6曲入りミニアルバム『Extendeadly Played』がリリースし、その際来日公演を行った。

その翌年2016年にデビューアルバム『Blossoms』をリリース。同年にサマーソニックに出演し、[Alexandros] と共にツーマンライブも決行。

さらにThe Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)のオープニングアクトを務める。

2017年には東京、大阪で来日公演を成功させた。

続くセカンドアルバム『Cool Like You』が2018年に発売し、Noel Gallagher’s High Flying Birdsのオープニングアクトとしてツアーを回った。

最新アルバム『Foolish Loving Spaces』

Foolish Loving Spaces [Explicit] (Deluxe Edition)
そしてBlossomsの最新アルバム『Foolish Loving Spaces』が2020年の1月31日にリリースされた。

現在はビッグフェスのレディングやグラストンベリーにも出演するフェスバンドとしても世界的に認められている。

そんなBlossomsのオススメの15曲を選曲したので、今回初めて知った方もそうでない方もぜひとも彼らの魅力を掘り下げて欲しい!

Blossomsおすすめ15曲プレイリスト

Charlemagne

BLOSSOMS [12 inch Analog]
「Charlemagne」はデビューアルバム『Blossoms』のオープニングトラックでもあり、BBC Radio 1のトラック・オブ・ザ・デイやSpotifyのSpotlight on 2016リストに選出された一曲。

曲の頭から流れるキラキラしたシンセとは相対的にバンドにクールなイメージを印象づける、アルバムのスタートを飾るに相応しい楽曲だ。

Cut Me and I’ll Bleed

BLOSSOMS [12 inch Analog]
Blossomsは初期に全員ファッションを黒で統一していた時代があったのだが、その名残を感じられるエモーショナルな一曲。

“一歩間違えばダサい”メロディーというのはブリティッシュバンドあるあるのように感じるのだが、このイントロもまさにそう。

本気で格好を付けて演奏するからこそ成立し、この中毒性を生み出すのだろう。

Blown Rose

BLOSSOMS [12 inch Analog]
“由緒あるイギリスの豪邸はどうしてあんなに美しくそびえ立つのだろう”

というサビの歌詞とリンクしたかのようなブリティッシュ・フォークの香りとシンセポップが程よい加減でミックスされた一曲「Blown Rose」。

プロデューサーであるThe Coralのジェイムズ・スケリーがボーカルのトムにアコギをプレゼントし、弾いた途端この曲のアイディアが生まれこの曲が誕生したのだそう。

Getaway

BLOSSOMS [12 inch Analog]
「Getaway」はBlossomsの楽曲の中でも少し異質な空気感がある一曲で、それはイントロから漂うスペーシーな無重力感から始まる。

他の楽曲は基本的に地に足が付いているような重厚感を感じるのだが、この曲ではそれが無いのだ。

“無重力ながらに安定している”、という表現がこの曲の感覚に一番近い表現だと思う。

MVもSFチックで曲の世界観を上手く表現しているので合わせてチェックしてみて欲しい!

Honeysweet

COOL LIKE YOU [12 inch Analog]
「Honeysweet」で聴くことのできるバンドの楽器隊によって刻まれるザクザクとしたビートはもはやエレクトロと勘違いするほど正確無比で疾走感がある。

そしてこのザクザク感×ビタースウィートなメロディーの組み合わせは他で聴いたことない組み合わせで、間違いなく最高の化学反応を起こしている。

There’s A Reason Why (I Never Returned Your Calls)

COOL LIKE YOU [12 inch Analog]
シンセとギターの第一音目からもうすでに鼓膜に気持ちいい「There’s A Reason Why (I Never Returned Your Calls)」は『Cool Like You』のオープニングナンバー。

歩幅をどんどん前に進めたくなるアップテンポなポップソングで、イントロとサビが同じメロディーなので誰でもすぐにサビで口ずさめるのもBlossomsの曲がキャッチーな理由の一つだろう。

ビートルズの「A Hard Day’s Night」にインスパイアされたというMVは東京で撮影され、メンバーがダンスを披露しており見所満載なのでそちらも合わせてチェックして欲しい!

I Can’t Stand It

COOL LIKE YOU [12 inch Analog]
Blossomsの書く楽曲にはいくつかのテイストがあるのだが、その内の一つが「I Can’t Stand It」のような、“少しダークだがダークになりきれない癖のあるポップなメロディーライン”だと思う。

これは「At Most a Kiss」や「Cut Me and I’ll Bleed」などに共通しているダーク感で、これがまたポップなバンドイメージを崩さない絶妙な距離感なのが良い。

How Long Will This Last?

COOL LIKE YOU [12 inch Analog]
「How Long Will This Last?」で一番気に入っているポイントがあるのだが、3回サビがあるうち最初の2つと最後のサビをぜひ聴き比べて欲しい。

とても小さなアレンジなのだが、最後のサビだけ高音のギターが伸び続けているのが分かると思う。

たった小さなこのアレンジだけで曲の”エンディング感”が生まれるのだ。このようなアーティスト目線の小さな配慮も楽しんで聴いてみて欲しい。

Your Girlfriend

Foolish Loving Spaces  [12 inch Analog]
「Your Girlfriend」は最新アルバム『Foolish Loving Spaces』より最初にシングルカットされた楽曲。

今までになかったようなグルーヴィーなベースライン、そしてスライドギターがBlossomsに新しい風を吹き込んでいる。

メロディーは今まで通りのド直球ポップということもあり、バランスをとりながらも作曲レベルが一段と上がった一曲だ。

The Keeper

Foolish Loving Spaces  [12 inch Analog]
「The Keeper」はゴスペルのコーラス隊が加わり、アルバムとしてもバンドとしてもさらに幅を広げた楽曲。

最初に聴いた時はピンと来なかったのが正直な感想なのだが、Blossomsに求めていた”王道のポップ感”とはまた違う”良質な音楽”というベクトルで聴くと「The Keeper」の良さがより分かると思う。

サードアルバムでは他にどのような新たな試みをするのか我々を楽しみにしてくれる一曲だ。

If You Think This Is Real Life

Foolish Loving Spaces  [12 inch Analog]
「If You Think This Is Real Life」はサードアルバム『Foolish Loving Spaces』の幕開けとなる一曲。

『Foolish Loving Spaces』に収録されているほとんどの楽曲に四つ打ちのリズムが採用されている。

「If You Think This Is Real Life」ではそのミニマルなドラムに加え、シンセのシーケンスフレーズ、そしてボンゴやカウベルといったパーカッションによる奥行きのある巧みなビート感覚が味わえる。

Like Gravity

Foolish Loving Spaces  [12 inch Analog]
ここで変わり種を一曲紹介したい。

「Like Gravity」はサードアルバム『Foolish Loving Spaces』のエンディング曲。

光の無い宇宙空間を彷徨っているかのようなスペーシーなサウンドスケープや無機質なドラムサウンドなど、毛色の異なるアプローチが堪能できる。

王道のポップ路線から一転し、ダークな色彩を帯びた一曲だ。

Lost – In Isolation

コロナ禍で生まれた、隔離セッションのカバー・シリーズ、“Blossoms In Isolation”。

その第一弾カバーとして発表されたのが、フランク・オーシャンの「Lost」である。

メンバー各自が自宅で演奏するのだが、段ボールのキックドラムにハサミのハイハットなど、DIY精神が詰まったアットホームなアレンジが楽しめる。

こちらのセッション映像も合わせてチェックしていただきたい。

Lost (Frank Ocean Cover) – Blossoms in Isolation

Christmas Eve (Soul Purpose)

クリスマスに合わせてリリースされたシングル曲「Christmas Eve (Soul Purpose)」。

以前、ポール・マッカートニーの「Wonderful Christmastime」のカバーを発売したこともあり、クリスマスソングに思い入れのあるBlossoms。

トナカイを連想させる煌びやかな鈴の音色に、地元ストックポートの児童合唱団によるコーラスが合わさり、全世代を魅了するポップ・ソングに仕上がっている。

クリスマスシーズンだけでなく通年楽しめる、幸せの詰まった一曲だ。

Care For

Blossomsの最新曲「Care For」は、70年代を代表するABBAやThe Bee Geesを彷彿とさせるディスコポップ・ソング。

シンセではなく本物のストリングスならではの滑らかなロングトーン、そしてリズミカルなピアノに甘美なメロディーが折り重なり、上質なラブソングを演出している。

フロントマンであるトム・オグデンの結婚のタイミングも重なり、ラブソングとして大人の魅力を放った一曲。

王道のポップネス

Blossoms (Extended Edition)
ここまでBlossomsのおすすめ15曲を紹介したが、いかがだっただろうか。

サードアルバム『Foolish Loving Spaces』のリリース以降、シンプルなドラムビートを主軸に生み出される、“キャッチーなシンセポップ”を追求していることが分かる。

さらに5人によるバンドサウンドだけには留まらず、コーラス隊や多様なパーカッション、そして70年代のディスコミュージックへの回帰と、Blossomsの音楽に対する探究心はとどまる所を知らない。

まだまだ紹介しきれていない素晴らしい楽曲が眠っているので、興味を持った方はぜひ掘り下げて聴いてみて欲しい。

リリース

3rd アルバム『Foolish Loving Spaces』

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Blossoms 
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収録曲:
1. If You Think This Is Real Life
2. Your Girlfriend
3. The Keeper
4. My Swimming Brain
5. Sunday Was a Friend of Mine
6. Oh No (I Think I’m In Love)
7. Romance, Eh?
8. My Vacant Days
9. Falling for Someone
10. Like Gravity
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2nd アルバム『Cool Like You』

COOL LIKE YOU [12 inch Analog]
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収録曲:
1. There’s A Reason Why (I Never Returned Your Calls)
2. I Can’t Stand It
3. Cool Like You
4. Unfaithful
5. Stranger Still
6. How Long Will This Last?
7. Between The Eyes
8. I Just Imagined You
9. Giving Up The Ghost
10. Lying Again
11. Love Talk
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1st アルバム『Blossoms』

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収録曲:
1. Charlemagne
2. At Most a Kiss
3. Getaway
4. Honey Sweet
5. Onto Her Bed
6. Texia
7. Blown Rose
8. Smashed Pianos
9. Cut Me and I’ll Bleed
10. My Favourite Room
11. Blow
12. Deep Grass
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Blossomsプロフィール

blossoms

“トム・オグデン(Tom Ogden) (Vo)
ジョー・ドノヴァン(Joe Donovan) (Ds)
チャーリー・ソルト(Charlie Salt) (B)
ジョシュ・デューハースト(Josh Dewhurst) (G)
マイルス・ケロック(Myles Kellock) (Key)

2013年結成。イギリスのマンチェスター南部に位置するストックポート出身の5人組。
2015年、日本のみ6曲入ミニアルバム『Extendeadly Played』がリリースされ、来日公演も行った。イギリスではEPが3枚リリースされ、メディアに高く評価された。
2016年、新人アーティストの指標「BBC Sound of 2016」の4位に。6月ザ・ストーン・ローゼズのマンチェスター公演のサポート・アクト。8月デビュー・アルバム『ブロッサムズ』がリリース、全英アルバム・チャート初登場1位を獲得。サマーソニック2016出演。この年だけで世界25か国で150公演を行い45のフェスに出演した。ブリット・アワード「British Breakthrough Act」(イギリス・アーティスト対象の新人賞)とマーキュリー・プライズ(英国もしくはアイルランドで毎年最も優れたアルバムに対して贈られる賞)にノミネート。2017年1月来日公演(東京、大阪)。
2018年4月、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズのヨーロッパ・ツアーのサポート・アクト。4月27日、エレクトロに進化したサウンドとリアルな歌詞が評判のセカンド・アルバム『ク―ル・ライク・ユー』がリリース、全英TOP 5入り。
ザ・ストーン・ローゼズ、オアシス、アークティック・モンキーズなどに憧れて演奏と曲作りを始めたブロッサムズだが、今ではブロッサムズのライヴを見てバンドを始める若者も出てきている。バンドとしての経験と成長、音楽的なアイデアと共に前進していく彼らの姿は、新しい憧れの存在となっている。”

引用元:ユニバーサルミュージック

Blossomsインタビュー記事

Youtube

  • Blossoms – There’s A Reason Why (I Never Returned Your Calls)
  • Blossoms – The Keeper
  • Blossoms – Your Girlfriend

ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
Rio Miyamoto
BELONG Mediaのライター/翻訳。

高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。

13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。

関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。

2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。

2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。

普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。

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