downy(ダウニー)が『第七作品集『無題』』を約3年半ぶりのリリースする。

バンド結成当初からギターを担当していた青木裕が亡くなってからのアルバムである。

元々彼らを知っていた者と知らなかった者とでは聴こえかたも意味合いも大きく変わる。

先行曲「砂上、燃ユ。残像」と「視界不良」を聴いてからでもいい。

いずれにせよ、驚嘆することになる。

downyとは

downy(ダウニー)
downyは2000年結成。5人編成のポストパンクバンドだ。

オリジナルメンバーは青木ロビン(Vo./Gt.)と青木裕(Gt.)、仲俣和宏(Ba.)、芳賀庄一郎(Dr.)、セバスチャン(VJ)。

その後『第二作品集『無題』』まで上記のメンバーで、それ以降は芳賀とセバスチャンが脱退し、秋山タカヒコ(Dr.)と石榴(VJ)がバンドに加入。

そして、2018年3月19日、急性骨髄性白血病により48歳で青木裕が逝去した。

2020年2月からは、SUNNOVA(Samlper/ Syn.)が正式メンバーとして迎えられた。

編成を見てもらえばわかる通りdownyにはVJが在籍する。

ステージ照明を用いずに、プロジェクタに映し出されたVJ映像と演奏をリンクさせたライブ表現を行う。

今となっては珍しくない演出だが、downyはそれの先駆者だ。

当初の彼らは、渦巻くようなギターの音像と歌唱とハミングの間をゆく不安定な歌声、そして叙情詩を編んだ歌詞。

それらを徐々に顕在化させていくようなポストロックバンドであった。

青木裕が遺したもの

第六作品集『無題』
が、『第三作品集『無題』』を機にその実態を変えていく。

プログレやトリップ・ホップなど多くの要素が混在し、より前衛的な手法を選択。音像もリズムパターンも複雑化。

前作『第六作品集『無題』』において、青木裕のギターは最早シンセなのかはたまた他の楽器のサンプリングなのか判別不能なところまできている。

自らが立ち上げたrhenium recordからの第1弾リリースとなる『第七作品集『無題』』にて、また彼らは大きく変ずることとなった。

青木裕が遺したギターを収録した今作は、いかにその音と向き合ったか。

SUNNOVA(Samlper/ Syn.)が加入した意味を堂々と示したアルバムであろう。

SUNNOVA加入

第七作品集『無題』
特にそれが感じられるのが1曲目に据えられた「コントラポスト」。

ピアノを使用したミニマルかつ厳粛な雰囲気で迎えられるはじまりから近未来を思わせる機械的な音像への展開はこれまでのdownyにはなかった選択だ。

ギターではなく、いきなりSUNNOVAが手がける音を全面打ち出してきたのには青木裕との決別を意味するものではないはずだ。

フィードバックノイズのうねりを基調に、アンビエントを挟みながら各パートの知恵と工夫が集結した「視界不良」や

鋼をバチバチに掻き毟ったように暴れるギターがリズム隊をせめぎあう「stand alone」など、

これまで自由でありながら調和を大切にしてきた各パートが今作では我を忘れたかのようにぶつかり合う。

歌詞に滲む苦悩

「adaptation」、訳すると“適応”意味するこの曲。

ここでもやはり各パート全身全霊をこめて、音を紡いでいくのだが、“My tongue twitching. So I call your name「呼吸困難。」”の一節を聴いて青木がいないバンドに“適応”していく前向きさと表明しながら、その困難さを唄っているのかもしれないと感じた。

全体を通して今作は、聴き違えるように野性味あふれたdownyを感じることでできる。

それは青木裕に応えようとしている必死さが生んだものであるだろう。

そして、新メンバーSUNNOVAが生みだす未知の音を足がかりに新たな可能性への模索を課した。

この2つの要素をかけ合わせた結果、芸術に昇華しようとする意志はなくなり各々が本能のままにお構いなしに音をぶつけ合っていった。

そうすることが彼らの最良の答えだったのだろう。

これでいい。捉えきれないのがdownyだ。清々しい。

アルバムリリース

7thアルバム『第七作品集『無題』』

第七作品集『無題』
第七作品集『無題』

posted with amazlet at 20.03.16
downy
rhenium records (2020-03-18)
売り上げランキング: 661

収録曲:
01.コントラポスト
02.視界不良
03.36.2°
04.good news
05.角砂糖
06.ゼラニウム
07.砂上、燃ユ。残像
08.pianoid
09.鮮やぐ視点
10.adaptation
11.stand alone

6thアルバム『第六作品集『無題』』

第六作品集「無題」[Analog] 完全生産限定
downy
HMV record shop / felicity
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収録曲:
01. 凍る花
02. 檸檬
03. 海の静寂
04. 色彩は夜に降る
05. 親切な球体
06. 孤独旋回
07. 「 」
08. 乱反射
09. 翳す、雲

5thアルバム『第五作品集『無題』』

downy 第五作品集『無題』
downy
felicity (2013-11-20)
売り上げランキング: 126,053

収録曲:
01. 「 」
02. 赫灼セルロイド
03. 曦ヲ見ヨ!
04. 下弦の月
05. 時雨前
06. 黒
07. 春と修羅
08. 雨の犬
09. 燦
10. 或る夜
11. 椿

4thアルバム『第四作品集『無題』』

第四作品集『無題』再発
downy
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収録曲:
01.弌
02.△
03.underground
04.Fresh
05.漸
06.サンキュー来春
07.木蓮
08.「 」
09.暗闇と賛歌
10.逆光

3rdアルバム『第三作品集『無題』』

第三作品集『無題』再発
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収録曲:
01.鉄の風景
02.アナーキーダンス
03.抒情譜
04.形而上学
05.暁にて…
06.「 」
07.苒
08.月
09.酩酊フリーク
10.山茶花

2ndアルバム『第二作品集『無題』』

第ニ作品集『無題』再発
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収録曲:
01. 葵
02. 夜の淵
03. 黒い雨
04. 象牙の塔
05. 三月
06. 無空
07. 犬枯れる
08. 月が見ている

1stアルバム『第一作品集『無題』』

downy 第一作品集『無題』再発
downy
felicity (2014-07-23)
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収録曲:
01. 酩酊フリーク
02. 野ばなし
03. 昭和ジャズ
04. 左の種
05. 狂わない窓
06. アンテナ頭
07. 62回転
08. 麗日
09. 脱力紳士
10. 猿の手柄

ライブ情報

TOUR『雨曝しの月』
・2020年6月6日(土)@大阪・梅田Shangri-La
・2020年6月7日(日@愛知・名古屋CLUB UPSET
・2020年6月13日(土@東京・渋谷WWW X

downyプロフィール

downy(ダウニー)
2000年4月結成。メンバーに映像担当が在籍する、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。2004年に活動休止し、2013年に再始動。2014年にFUJIROCK FESTIVAL出演。2018年にギタリストの青木裕が逝去。2020年SUNNOVA(Samlper/Synth)の正式メンバーの加入を発表。青木ロビン(Vo/Gt)は、zezecoとしての活動に加え、映画音楽制作、ゲストボーカルとしての参加、THE NOVEMBERS等のアーティストへの楽曲提供、アレンジ、プロデュースも手掛ける。仲俣和宏(Ba)はfresh!、YakYakYakとしても活動している。秋山タカヒコ(Dr)はセッションミュージシャンとして長きに渡り活躍しながら、BUCK-TICK櫻井敦司率いるTHE MORTALやfresh!のメンバーとしても活動。また、ドラムイベント《DRUM Aドラム・アー》を主催し、セミナー等も積極的に行うなど、後進の育成にも力を入れている。石榴(VJ)はGLIM SPANKY 、JUNO REACTOR 、Shpongle、the HIATUS、ACID ANDROID、SHERBETS他、多数の公演映像演出を手掛け、国内外で活動している。そして2020年2月から正式メンバーとなった、SUNNOVA(Samlper/Synth)はDAOKO、泉まくらなどのトラックメイキングも担っている。
HP:http://downy-web.com/
Twitter:https://twitter.com/downy_official
Facebook:https://www.facebook.com/downyjapan/

Youtube

downy – 視界不良

downy – 砂上、燃ユ。残像

downy 第七作品集『無題』 trailer movie

downy – 春と修羅

downy – 凍る花

(2020年4月14日追加)

ライター:滝田優樹
滝田優樹
北海道苫小牧市出身のフリーライター。音楽メディアでの編集・営業を経て、現在はレコードショップで働きながら執筆活動中。猫と映画観賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
Twitter:@takita_funky

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