最終更新: 2020年6月30日

イギリスはマンチェスター出身の4人組ポップ、ロックバンド、The 1975が最新作『Notes on a Conditional Form』をリリース!

攻撃性ありあまるポストパンクな「People」を始め、メンバーがCG世界に飛び込んだMVが話題の「The Birthday Party」、

Phoebe Bridgersも参加した「Jesus Christ 2005 God Bless America」などすでに話題を呼び、さらにスパソニ(サマソニ)でもヘッドライナーで来日する。

そのリリースを前に、現在発表されている楽曲についてはもちろん、それを踏まえてどのようなアルバムになるのか考察してみたい。

また、1975とは何者か?について知りたい方は、前回書いた記事をまず読んでから、この記事を読んで欲しい。

また、「If You’re Too Shy (Let Me Know)」と「guys」の歌詞和訳の記事もあるので、こちらも読んでいただき、『Notes on a Conditional Form』というアルバムの全体像をつかんで欲しい。(2020年5月31日追記)

“Music for Cars”とは

4枚目となるアルバム『Notes on a Conditional Form』のもともとのタイトル候補だった“Music for Cars”。

実はこの『Music for Cars』というタイトルはThe 1975の3枚目のEPと同じタイトルなのだ。

もともと『Music for Cars』というタイトルでサードアルバムを作っていたが、曲を作りすぎてしまったために2つのアルバムに分けることになった。

それがサードアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』と4枚目となるアルバム『Notes on a Conditional Form』である。

この2枚のアルバムが繋がりを表す時期を”Music for Cars Era”と呼んでいる。

『Notes on a Conditional Form』

仮定形に関する注釈
仮定形に関する注釈

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THE 1975
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『Notes on a Conditional Form』を日本語に訳すと、”仮定形に関する注釈”なのだが、”Music for Cars Era”といい、なんともThe 1975の不思議な世界に迷い込んだ感がある。

前作『A Brief Inquiry into Online Relationships』と対をなすアルバムで、曲を作りすぎて2枚に分けられたはずなのだがこのアルバムだけでなんと22曲も収録されているから驚きだ。

アルバム発売日

また、『Notes on a Conditional Form』のリリースは当初2/21の予定であったのだが、制作の遅れにより4/24へ変更となった。

そして今回、新型コロナウイルスによるパンデミックを理由に5/22へリリースの延期が決定した。

アルバム収録曲

『Notes on a Conditional Form』はスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリのスピーチをフィーチャーした「The 1975」からアルバムは幕をあけるが、現在発表されている他の5曲について触れてみたい。

The 1975 – The 1975

「People」


リリース:2019年8月22日

オープニング・ナンバー「The 1975」の最後の一行、”It is time to rebel.”(今こそ反逆の時だ。)に呼応するかのようなアグレッシブなポストパンク。

今までのポップなThe 1975のイメージを大きく覆し、ファンを選別するかのような楽曲で、フロントマンであるマシューの内側に存在するエモーショナルな部分が大爆発している。

見てはいけないと言われるとなぜか見たくなる感覚が「People」にはあり、何度も聞き返したくなる中毒性がある。

「Frail State of Mind」


リリース:2019年10月24日

「People」から一変、前作『A Brief Inquiry into Online Relationships』からの繋がりを感じるエレクトロな一曲。

“Frail State of Mind”とは”虚弱な精神状態”という意味で、社会的な不安について歌われており、MVではマシューが部屋に閉じこもっており歌詞の内容にリンクしている。

「Me & You Together Song」


リリース:2020年1月16日

“僕は彼女に何年も恋をしている。だけど決着をつけられそうにない。どんどん彼女のことが好きになっているんだ。一生をかけて。”という歌詞がストレートに響く、爽やかで甘酸っぱいラブソング。

90年代感満載の王道ギターポップ・ソングとなっているが、70~80年代ならまだしも直近の90年代の音楽をリバイバルすると失敗しがちに思えるがThe 1975はいとも簡単にその壁を超えて来る。

「The Birthday Party」


リリース:2020年2月19日

MVが発表され度肝を抜かれたのがこの曲「The Birthday Party」。

“Mindshower”と名付けられた施設でデジタル・デトックスを行うというテーマのMVで、CGで作られたメンバーがバーチャル世界の大自然の中でデトックスを行うというとても気味の悪い作品。

曲自体もとてもレイドバックしたスローナンバーで、MVのテーマ通り聴いていて現実世界の雑念がデトックスできる一曲。

「Jesus Christ 2005 God Bless America」


リリース:2020年4月3日

LAの女性SSW、Phoebe Bridgersが参加した一曲。

冒頭の歌詞、”I’m in love with Jesus Christ”(イエス・キリストに恋をしたんだ。)から始まるエモっぷりだが、完成度の高いカントリー・ポップなのでそこにPhoebe Bridgersが参加することに違和感はない。

「If You’re Too Shy (Let Me Know)」


リリース:2020年4月24日(2020年5月5日追加)

アルバム予想

The 1975
現在発表されている楽曲から、『Notes on a Conditional Form』は地球環境について始まり、人々、社会不安、デジタル・デトックス、そしてイエス・キリストと来る。

こちらが心配になるぐらいマシューの鬱結した感情や内に秘めた悩みが音楽と映像にむき出しに表現されているため、おそらく内容的にはかなりヘビーな内容の作品に仕上がるのではないだろうか。

音楽的には環境活動に関する語りから始まり、ポストパンク、エレクトロ、清純ギター・ポップ、カントリーと大まかなジャンル分けをして羅列すると統一性に欠ける。

しかし、なぜだか全てがThe 1975という“アミューズメントパーク”にうまく収まっているのが不思議でたまらない。

この不統一性からアルバムの全体像を読み解くのは難解だが、どのようなジャンルでもThe 1975なのには変わりなく、リスナーを非日常空間へ誘い楽しませてくれるアルバムになるだろう。

アルバムリリース

4thアルバム『Notes on a Conditional Form』

仮定形に関する注釈
仮定形に関する注釈

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邦題:『仮定形に関する注釈』
収録曲:
01. The 1975
02. People
03. The End (Music For Cars)
04. Frail State of Mind
05. Streaming
06. The Birthday Party
07. Yeah I Know
08. Then Because She Goes
09. Jesus Christ 2005 God Bless America
10. Roadkill
11. Me & You Together Song
12. I Think There’s Something You Should Know
13. Nothing Revealed / Everything Denied
14. Tonight (I Wish I Was Your Boy)
15. Shiny Collarbone
16. If You’re Too Shy (Let Me Know)
17. Playing On My Mind
18. Having No Head
19. What Should I Say
20. Bagsy Not in Net
21. Don’t Worry
22. Guys

3rdアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』

A Brief Inquiry Into Online Relationships [Analog]
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邦題:『ネット上の人間関係についての簡単な調査』
収録曲:
01. The 1975
02. Give Yourself A Try
03. TOOTIMETOOTIMETOOTIME
04. How To Draw / Petrichor
05. Love It If We Made It
06. Be My Mistake
07. Sincerity Is Scary
08. I Like America & America Likes Me
09. The Man Who Married A Robot / Love Theme
10. Inside Your Mind
11. It’s Not Living (If It’s Not With You)
12. Surrounded By Heads And Bodies
13. Mine
14. I Couldn’t Be More In Love
15. I Always Wanna Die (Sometimes)

2ndアルバム『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It』

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邦題:『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』
収録曲:
01. The 1975
02. Love Me
03. UGH!
04. A Change Of Heart
05. She’s American
06. If I Believe You
07. Please Be
08. Naked
09. Lostmyhead
10. The Ballad Of Me And My Brain
11. Somebody Else
12. Loving Someone
13. I like it
14. when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it
15. The Sound
16. This Must Be My Dream
17. Paris

1stアルバム『The 1975』

THE 1975-デラックス・エディション
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収録曲:
01. The 1975
02. The City
03. M.O.N.E.Y.
04. Chocolate
05. Sex
06. Talk!
07. An Encounter
08. Heart Out
09. Settle Down
10. Robbers
11. Girls
12. 12
13. She Way Out
14. Menswear
15. Pressure
16. Is There Somebody Who Can Watch You

スパソニ詳細

SUPERSONIC
東京開催:
2020年9月19日(土)千葉県 ZOZOマリンスタジアム / 幕張シーサイドパーク
2020年9月20日(日)千葉県 ZOZOマリンスタジアム / 幕張シーサイドパーク
2020年9月21日(月・祝)千葉県 ZOZOマリンスタジアム / 幕張シーサイドパーク

大阪開催:
2020年9月19日(土)大阪府 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
2020年9月20日(日)大阪府 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
HP:https://supersonic2020.com/

プロフィール

The 1975

“英・マンチェスター出身のオルタナティヴ・ロック・バンド。読み方は、ザ・ナインティーン・セブンティファイヴ。メンバーは、同じ高校に通っていたマシュー・ヒーリー(vo.)率いる4人だ。一度聴いたら頭から離れない大ヒット・シングル「チョコレート」でイギリスにて大ブレイクを果たす。“The 1975“というユニークなバンド名は、とあるビートニックの小説(古本)の前の所有者が最後のページに書いたと推測される遺書から由来している。ミュージック・ビデオや自身のホームページ、ジャケット写真やアーティスト写真など、徹底しているその「モノクローム」の世界観はもちろん、ミューズやザ・ローリング・ストーンズのライヴのオープニング・アクトに抜擢され、セルフ・タイトルのデビュー・アルバム(2013年)が全英初登場1位を獲得。本国イギリス内で確固たる地位を確立した。その後リリースした2作目『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』(原題:I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it)(2016年)では”80’s“がキーワードとなり、“ネオン・ピンク”の世界が展開された。同作品は、全米・全英アルバム・チャート共に1位を堂々獲得。3作目『ネット上の人間関係についての簡単な調査』(原題:A Brief Inquiry into Online Relationships)(2018年)では、3作連続となる全英アルバム・チャートで1位を獲得。そしてまもなくリリースとなる4作目『仮定形に関する注釈』(原題: Notes On A Conditional Form)は、3rdアルバムとの2部構成のうちの“後編”にあたる立ち位置となっている。ロックシーンの中心的な存在となり、このSUPERSONICで遂にヘッドライナーまで上り詰めた彼らの最新ライヴは絶対に見逃せない。”

引用元:SUPERSONIC

ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)

兵庫県出身のサイケデリック・ロックバンド、Daisy JaineのVo./Gt.。アメリカ・ボストンに留学経験があり、BELONGでは翻訳を担当。サイケデリック、オルタナ、60s、ロカビリーやR&Bと幅広く聴きます。趣味はファッション、写真、映画観賞。
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Twitter:@rio_daisyjaine