Rideのアンディ・ベル(Andy Bell)が、キャリア初のソロ・アルバム『The View From Halfway Down』を10月7日に日本先行でリリースする。

これまでミュージシャンとして様々なバンドで活動を展開してきたアンディ・ベルだが、1988年にRideを結成して以来、ソロとして作品を発表するのは意外にも今作が初となる。

このタイミングでソロ・アルバムをリリースした理由とは。

アンディ・ベルとは

アンディ・ベル(Andy Bell)
アンディ・ベル(Andy Bell)は、イギリスを代表するシューゲイザー・バンド、Rideのギター/ヴォーカルとして1990年にデビュー。

My Bloody Valentine、Slowdive、Pale Saints、Lushらと共に、UKシューゲイザー・シーンを彩った。

Rideは4枚のアルバムをリリースしたが、1996年に一度解散。アンディはHurricane #1を結成し2枚のアルバムをリリースするも、短命に終わる。

その後、Oasisにベーシストとして加入。Oasis解散後はリアム・ギャラガー率いるBeady Eyeにギタリストとして加入し活躍した。

2014年、Rideが再結成。2017年に待望の復活作『Weather Diaries』、2019年に『This Is Not a Safe Place』をリリースした。

また、バンドと並行してアンビエント/エレクトロのプロジェクト、GLOK名義でリミックスなども行っている。

『The View From Halfway Down』が持つ意味

1988年にRideを結成して以来、実に32年ものキャリアを経て初のソロ・アルバムとなった『The View From Halfway Down』。

4年という長い制作期間の中でアンディ・ベルは全8曲を自ら書き上げ、ほぼ全てのパートを演奏。アルバムにはOasis時代からの盟友であるゲム・アーチャーも参加している。

マスタリングは、Slowdive、Deerhunter、Jay Som、Alex Gなどの最新作や、2019年にリリースされた坂本龍一『B-2 Unit』のリマスター盤のリマスタリングを行った気鋭のエンジニア、Heba Kadryが担当。

アンディ・ベルをソロ・アルバムに向かわせたものは何なのか。そして、『The View From Halfway Down』はどのような作品となったのか。

デヴィッド・ボウイの死とパンデミック

David Bowie
『The View From Halfway Down』は、2016年のデヴィッド・ボウイの死に触発されて制作がスタートしたという。

ゲム・アーチャーのスタジオでいくつか曲を作り上げたものの、Rideの活動が本格化。ソロ活動からは一旦離れることになった。

2020年になり、世界はパンデミックに襲われる。アンディ・ベルはロンドンの自宅でロックダウンを経験する中で、その静けさから自身の生活をはっきりと見つめることができたという。

その研ぎ澄まされた感覚が、アルバムを完成へと導くことになった。

50歳という節目

2020年8月11日、アンディ・ベルは50歳の誕生日を迎えた。アルバムのタイトルにもなっている”Halfway Down(=半ば、途中)”は、まさに”50”という数字とリンクする。

アンディにとって50歳は人生の半ばであり、その節目の景色を刻んだものとして、アルバムを『The View From Halfway Down(=途中からの眺め)』と名付けた。

そして、まるで自身の音楽人生を総括していくかのような作品に仕上がっていったのだ。

至極のリスニング体験

『The View From Halfway Down』は、詩やコーラスよりも、サウンドに重点を置いたものとなっている。

本作の具体的な影響源としては、Stone Roses、Spacemen 3、The Beatles、The Byrds、Stereolab、Neu!、Can、The Kinks、The La’s、The Who、Tame Impalaなど多岐に渡る。

アンディ・ベルの原体験的なものから、同世代やそして現行のアーティストに至るまで、ソロ作品らしく自身の音楽観を色濃く反映させていることが窺える。

近年のRideとも呼応するサイケ・ポップ「Love Comes In Waves」、爪弾かれるアコースティック・ギターが涼風を運ぶ「Cherry Cola」、エレクトロニカ的趣向のループするフレーズが心地良い「Indica」「Hate Haze On Weyland Road」-。

エレクトロニックなサウンド・アプローチを中心とした、風通しの良い音像。どこまでも青く瑞々しい、至極のリスニング体験が得られるはずだ。

アンディ・ベルの衰えない創造意欲

RIDE
RIDE

“シューゲイザー・バンドのメンバーのソロ・アルバム”という先入観で聴くと、おそらく面食らうことになるだろう。

その分、一人のミュージシャンとしての(あるいはそれ以前に一人の人間としての)根幹の部分が浮き彫りとなっている。

アンディ・ベルの『The View From Halfway Down』は決して派手さはなく軽やかなアルバムだが、フレッシュな感触が長いキャリアを経た今でも色あせずに表出されていることにはつくづく驚かされる。

ミュージシャンとして、32年ものキャリアを歩んできたアンディ・ベル。その創造意欲は衰えることなく、むしろこのタイミングで開花していることを目の当たりにすると、どうしたってワクワクしてしまう。

どれだけ歳を重ねても、青く澄んだ心を持っていたいものだ。『The View From Halfway Down』は、その素晴らしさを教えてくれるものだろう。

リリース

1stアルバム『The View From Halfway Down』

発売日: 2020年10月7日
フォーマット:CD
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プロフィール

アンディ・ベル(Andy Bell)

“アンディ・ピラン・ベル(Andrew Piran Bell, 1970年8月11日 – )はイギリスのウェールズ出身のミュージシャン。ロックバンド、ライドのギタリストであり、元オアシスのベーシスト。リアム・ギャラガーによる新バンド、ビーディ・アイではギタリストに転身。2014年にビーディ・アイが解散するとライドの再結成に参加し、現在は元の場所で活動している。”

引用元:アンディ・ベル(Andy Bell)プロフィール(Wikipedia)

アンディ・ベル代表曲(Youtube)

  • Andy Bell – Love Comes In Waves
  • Andy Bell – Clouds of Saint Marie (Soho House acoustic session)
  • Andy Bell – I Was Alone

ライター:おすしたべいこ/Taku Tsushima
おすしたべいこ
1992年生まれ、札幌出身。都内のレコードショップで働きながらブロガー/ライターとして活動しています。

現在、シューゲイザー専門メディア『Sleep like a pillow』などを運営中。ホラー映画ばかり観ている古生物オタクです。

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