最終更新: 2020年11月16日
関西出身のガレージロックバンド、Mississippi Khaki Hair (ミシシッピ・カーキ・ヘアー)が、デビューアルバム『From Nightfall till Dawn』を11月11日にリリースする。
自身初の流通作品となる記念すべきアルバムには、初の試みとしてQUATTROの岩本岳士をプロデューサーに迎えている。
初物づくしの作品となった『From Nightfall till Dawn』だが、その内容はフレッシュさとはかけはなれ、円熟の域に達したものとなっている。
その内容を語る前にまずは彼らについて紹介したい。
目次
Mississippi Khaki Hairとは
2016 年、関西にて結成されたガレージロックバンドMississippi Khaki Hair (ミシシッピ・カーキ・ヘアー)。
結成当初まだ10代であったMississippi Khaki Hairだが、2019年に上京し、2020年春にTaito Kimura(Vo./Gt)、Ackey(Gt./cho)、Daiki Usui(Ba. /cho) 、Yudai Higuchi(Syn.)、BnZ Machida(Dr.)の5人編成となる。
国内ガレージロックバンドの雄として期待されるMississippi Khaki Hair は、2017 年に“出れんの!?サマソニ!?”SONIC MANIA 賞を受賞し、“SUMMER SONIC”へ出演。
2020年8月には次世代注目バンドが一同に会す“環七フィーバーズ”のVol.3にてNo Buses、Johnnivan、Gi Gi Giraffeとともに生配信ライブにも出演を果たした。
From Nightfall till Dawn
そんなMississippi Khaki Hair (ミシシッピ・カーキ・ヘアー)が、11月11日に自身初となる流通作品となるデビューアルバム『From Nightfall till Dawn』をリリースする。
Taito Kimura(Vo./Gt)が作詞作曲を担当し、バンド全体でアレンジを行うMississippi Khaki Hairであるが、今作はプロデューサーとして“環七フィーバーズ”にて共演経験のあるNo BusesとJohnnivanも手がけた、QUATTROの岩本岳士を迎えた。
ヒリヒリとした焦燥感を感じつつも、光彩を放つようなシンセサウンドによってあでやかに彩られたMississippi Khaki Hairの鳴らす音楽には、いわゆる2000年代ガレージロックリバイバル直系のギターサウンドが中心に据えられ、ポストパンクやニューウェイヴ、ゴシックロックなどのエッセンスが取り合わせられている。
それが今作『From Nightfall till Dawn』にて岩本岳士をプロデューサーに迎えたことにより、新たな化学変化をもたらしている。
全体的なトーンとしてギターとベースはローファイな音作りであるが、煌びやかなシンセの光りを散りばめて空間に彩りを加えている。
そして、その空間を形成する骨格の部分もビルドアップされ、縦横無尽な旋律を手なずけている印象だ。
「Slovenia」や「Hold On」といった収録曲では、The HorrorsやThe Killersさながら拡張されたアグレッシブなシンセサウンドが主導となり、ダンサブルに振れつつ、爽やかな開放感を呼びこむ。
そして、その拡張されたシンセに比例して「Moonshadow」や「You Made Me Realize」では、バンド本来の強みである重厚なギターサウンドは健在で、ベースやドラムの演奏面においてもタフさを増し、肉体的な躍動感も感じられる。
このようにシンセとバンドサウンドそれぞれのギャップ生みだし、対比させる手法は現行のインディーロックの意匠によるものである。Mississippi Khaki Hairはそれをデビューアルバムである『From Nightfall till Dawn』で、見事に構築してみせた。
また「Gravity」や「You Made Me Realize」では、ポストパンクの由来の快楽をむさぼるように混沌としたサウンドをお見舞いし、奔放な一面も覗かせる。
Mississippi Khaki Hairの思慮深さ
Mississippi Khaki Hairの思慮深さには目を見張るものがある。
『From Nightfall till Dawn』は、影響を受けてきた音楽の断片を端々から感じつつ、自らのフィルターを通して音を鳴らしている。
様々な手法もアプローチも出しつくされた現代がゆえ、画期的な作品であるわけではないが、音が届くその先を見据えた細部にまでこだわり抜かれたアルバムであることは間違いない。
過去のリファレンスと現代音楽との接続に果敢にチャレンジし、デビューアルバムでそれを成し遂げたMississippi Khaki Hairというバンドの個性が確立されるのはそう遠くはないはずだ。
そして、UK・US各所やダブリンに次ぐインディーロックのホットスポットとして、No Buses、TAWINGSなどのバンドとともにここに日本でもシーンを築き上げてくれるのではないかという期待も抱いてしまうほど、ときめく作品であることも付け加えておこう。
Mississippi Khaki Hair、堂々のデビューアルバムリリースである。
Mississippi Khaki Hair – 1st Full Album “From Nightfall till Dawn” Teaser Movie
1stアルバム『From Nightfall till Dawn』
発売日: 2020年11月11日
収録曲:
1.Hurts
2.Slovenia
3.Gravity
4.Rusty Sapphire
5.Chain of Flowers
6.Moonshadow
7.Phone Call
8.You Made Me Realize
9.Blood
10.Hold On
11.Live for Nothing
12.True Love
フォーマット:CD
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イベント
ストリーミングライブ
THE PURSUIT OF HAPPINESS
・日程:2020年12月1日(火)
・場所:下北沢BASEMENTBAR(TOKYO)
・出演:Mississippi Khaki Hair / No Buses / Tomato Ketchup Boys
・開演:19:30
・チケット:¥1,500
ワンマンライブ
1st full album “From Nightfall till Dawn” Release Party
・日程:2020年12月19日(土)
・場所:SOCORE FACTORY(大阪)
・出演:Mississippi Khaki Hair
・開場/開演:19:00/20:00
・チケット:¥2,500(前売り料金・ドリンク代別)
Mississippi Khaki Hair代表曲(Youtube)
- Mississippi Khaki Hair – Moonshadow
- Mississippi Khaki Hair – Phone Call
- Mississippi Khaki Hair – I Never Curse the Night
ライター:滝田優樹
1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
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Twitter:@takita_funky