最終更新: 2021年9月10日
日本・京都発のインストバンド、BARM(バーム)。ポストロックをベースにジャンルレスな音楽を切り拓く二人のデビューミニアルバム『BARM』は、どのようにして生まれたのか?
そして、インストバンドにこだわる理由とは?その出発点に迫る。
アーティスト:鞠絵(Gt.)、masahiro(Ba.) インタビュアー:桃井 かおる子
目次
BARMとは
-メンバーの自己紹介をお願いします。また、BARM結成のいきさつについて教えて下さい。
鞠絵:ギターの鞠絵です。このバンドを組む前は、個人名義で5年ほど活動していました。
masahiro:masahiroです。BARMでベースを弾いています。
鞠絵:今回のアルバム一曲目「SUez」は小説『明智小五郎初期短編集』の広告にBGMとして使われていますが、その本の出版をしているざび〜さんという方がZINEも発行されており、そちらの企画でお声かけ頂いたのが結成のきっかけです。当初は私へのオファーだったのですが、masahiroに声をかけバンドとして企画に参加させて頂き、そこから活動がスタートしました。
-BARMはギターの鞠絵さんとベースのmasahiroさんからなるインストバンドですが、 その音楽はギターやベース以外にもドラムやピアノなどの音も含まれています。ギターとベース以外の楽器もこのお二人で分担して演奏されているのですか?必要に応じてサポートメンバーが加わることもあるのでしょうか?
鞠絵:今回のアルバムも二人の演奏と打ち込みで作ったもので、基本的には二人で制作していくつもりです。ですが、今後のライブ活動の中で必要と感じた際には、二人というメンバー構成に拘らずサポートメンバーを加えることも考えています。
インストにこだわる理由
-BARMの音楽は全てインストですが、なぜ歌のない音楽を演奏しようと思ったのですか?インスト曲を演奏する(歌わない)ことのメリットとデメリットについてどのようなことをお考えでしょうか?
鞠絵:歌モノを作るのも好きなのですが、声質などに好みが分かれると思うので、歌がない方がそういう点で以前より多くの人に聴いてもらえているような感覚があります。デメリットは、歌詞がない分メッセージを込めにくい、伝わりにくいことです。ただ、その分音楽だけで自由に色んなことを感じてもらえることができると思うので、今回アルバムを作ってみてインストの良さをとても感じています。
-インストバンドということで、普段からお二人が聴いてる音楽もジャズやクラシックといった歌のないジャンルのものが多いのでしょうか?例えばアルバムの一曲目の「SUez」のようにギターの弾き方が琴の半音上げを思わせるところがあったりと邦楽(日本の伝統音楽)などを聴くこともあるのでしょうか?
masahiro:私は自宅ではインスト、外では歌ものを聴くことが多いです。日本の伝統音楽を積極的に聴くことはありませんが、影響を受けた音楽にそういった要素が入っているのかもしれません。
鞠絵:歌モノもインストも大体同じぐらい聴きますし、ジャンルも様々です。ただ日本の伝統音楽はあまり触れたことがないかもしれません…。フュージョンのギタリストが好きなので、半音は多用してしまうのですが、そこに色んな要素を感じて頂けて嬉しいです。
-メンバーが二人であることの難しさ、かえって二人だからこそできることを教えて下さい。今後、メンバーを追加することなどもあるのでしょうか?
鞠絵:難しさはあまり感じていません。二人だけのバンド演奏というものに既に制限があるので、むしろバンドサウンドというものに囚われずに自由に作れる点がメリットだと思っています。メンバーの追加に関しては特に決めていないのですが、作りたい音楽を作るのが一番なので、制作の上で必要であれば検討すると思います。
-インストバンドを結成して一年経つか経たないかということで、バンドとしてまさにこれからという時期だと思うのですが、今後はどのように活動を展開していきたいですか?また、映像に併せた音楽といったところに興味はありますか?
masahiro:まだまだ作ってみたい曲調、ジャンルの音楽が沢山あるので、自分達の音楽の幅を広げながら今まで通り制作をメインに活動していけたらと思っています。インストは映像など他の作品と併せる事でより強く表現できるものがあると思うので、そういった機会があればとても光栄だと思います。
ミニアルバム『BARM』
-ミニアルバムについて伺います。今作は江戸川乱歩の『明智小五郎初期短編集』の音声テキストのBGM曲が収録されているなど、オリジナル作品でありながらサウンドトラックの役割りも担っていると思います。なぜ音声テキストのBGMを作ることになったのでしょうか?
鞠絵:ご依頼を頂いたのですが、小説の雰囲気、また挿絵なども拝見し、それらの世界観と私達の作風が近いと思ったので喜んでお受けしました。出来上がった宣伝動画を見て、想像以上にマッチしていてびっくりしました。
-4曲の「irot」は収録曲の中でもゆったりとした曲調で、夕暮れの空が思い浮かびました。この曲はどのようなアプローチで作られのでしょうか?
鞠絵:この曲はmasahiroのベースリフから作った曲です。それがとても格好良かったので、絶対良い曲になるという確信があり、そこからは目的地を決めずに思いつくまま展開させていきました。ただ、自由に作りすぎて完成まで様々なパターンを作りました…。最終的に上手くまとまって良かったです。
-3曲目以降のタイトルが「inu」や「usi」といった動物を思わせるものなのですが、「inu」や「usi」、「gyo」のこれらは何を意味しているのでしょうか?神の使いなど、何かテーマがあるのでしょうか?
鞠絵:それぞれの曲からイメージした漢字やアルファベットなどの文字列を、英語表記にしたり並べ替えたりしてタイトルを作っています。
-あらためて作品タイトルの『BARM』はどのような意味が込められているのでしょうか?
鞠絵:BARMの音楽性が固まり、私達のプロフィールのようなアルバムになったと思うのでアーティスト名と同じタイトルにしました。
-今作を特にどのような人聴いて欲しいと思いますか?
masahiro:芸術を愛する方に聴いていただければ嬉しいです。
1st mini album “BARM”
リリース作品
1stミニアルバム『BARM』
発売日: 2021/7/31
収録曲:
1.SUez
2.BACH
3.inu
4.irot
5.usi
6.gyo
フォーマット:Mp3
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ライター:桃井 かおる子
スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。
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