最終更新: 2022年8月2日

Wet Leg(ウェット・レッグ)、皮肉とユーモアでUKロックに懐かしさと刺激をもたらす、リアン・ティーズデールとヘスター・チャンバースからなる女性二人組のバンドである。

名門ドミノ・レコードからデビューするやいなやイギー・ポップをはじめ、大御所や音楽メディアから絶賛され、果てはハリー・スタイルズに「Wet Dream」をカバーされるほどになった彼女たちの魅力とは?

メンバーのヘスター・チャンバースにインタビューを行い、悪趣味を貫く姿勢について聞いた。

また、デビューアルバム『Wet Leg』が全英一位を獲得した彼女たちはマーキュリープライズ2022にノミネートしており、2023年2月に待望の来日公演が決定。

早くも東京公演が完売し、追加公演が決定している。(2022年8月2日追記)

アーティスト:ヘスター・チャンバース(Gt./Vo.) インタビュー:yabori 通訳:原口美穂

Wet Legとは

Wet Leg(ウェット・レッグ)
-まずはWet Leg(ウェット・レッグ)結成のいきさつについて教えてください。
ヘスター・チャンバース:2018年の夏に、それぞれのソロ・プロジェクトで(リアン・ティーズデールと)何度か一緒にフェスで共演したんだけど、それが終わった時にすごく寂しくて、来年もまた絶対共演しようと話をしたの。でも、次の年までには二人とも何か違うことをやりたい状態になったから、それなら一緒に何か新しいことをしようという話になって、二人でバンド(Wet Leg)を始めた。そして2019年に4つくらいギグをやって、レコードを作り始めた、という流れ。

-リアンとヘスターは別のバンドに所属していたそうですね。
リアンはソロ・プロジェクトをやっていて、私はボーイフレンドのジョシュと一緒にバンドを組んでた。彼は今でもWet Legの助っ人なの。彼とのプロジェクトでは、もっとコンピューターを使ったヒップホップっぽい音楽を作っていたのよ。

-その時は男性メンバーに合わせることが多かったと聞きました。それはまた別のバンドなのでしょうか?
友達が5ピースのバンドをやっていて、リアンと私がそのバンドでバックボーカルを務めていたことがある。それは多分その時のことかな。その経験もすごく楽しくはあったんだけど、自分でも音楽を書きたいという気持ちが強くなっていったの。

-バンドによくある4人組ではなく、どうして二人でやろうと思ったのでしょうか。
もちろんバンドを始めたのは私とリアンだけど、それは私たちにとってはすごく昔に感じられる。正直、今はエリスとハリー、ジョシュがいるし、私たちにとっては彼らもバンドのメンバーなのよね。始めたのは二人で、時間をかけて広がった感じ。今は5人で一つのユニットという感覚が強いの。すごく良い状態にいると思う。

-なるほど。では、今は5人という感覚が強いと思いますが、結成当時二人だからこそ出来たことなどはありましたか?
うーん、どうかな。難しい質問ね。2ピースという形にメリットがあったかどうかはわからない。でも、あえて言うとするなら、少人数なぶんコントロールがしやすかったかな。あとは、二人とも女性とプロジェクトをやるというのがすごく楽しかった。特に私は、それまで女性とプロジェクトを手がけたことがなかったから。自分たちだけで何かを作れるんだって実感できたし、そのフィーリングをエンジョイしていたわ。

Wet Legというバンド名の意味

-Wet Legというバンド名は直訳すると“濡れた足”という意味になりますね(笑)。どうしてこのような名前になったのか由来を教えてください。
バンド名の候補を書いたリストはすっごく長かったんだけど、Wet Legはその一つだった。お茶目な感じの名前ばかりだったんだけど、その中でもWet Legが一番おふざけ感が強くて魅力的だったのよね(笑)。あまりシリアスな名前にはしたくなかったの。固定されたイメージがある言葉でもないし、あとは聞こえが良い面白い言葉だったから(笑)。

-二人とも“Wet”と“Leg”と書かれたネックレスを付けているとのことですが、どうして二人でネックレスを付けようと思ったのでしょうか。
私は”Leg”の方を付けてる。ネックレスは、私が作ったのよ。私、実はジュエリー職人でもあるの。

-そうなんですね!ジュエリー作りのプロジェクトもやっているんですか?
やってるけど、今は本当に少しだけ(笑)。やっぱり音楽と両方やるのは時間的に難しくて。

-ジュエリーの方は何がきっかけで、どれくらい活動をしているんですか?
私の父親がジュエリー職人で、子供の頃からジュエリー作りを父に習っていたの。そして、それがファミリー・ビジネスになった。作り始めたのは随分前で、いつだったかも覚えてないくらい(笑)。

-でも今は優先は音楽活動?
そうね。音楽活動だと色々な場所に行けるし、ギグをするのもすごく楽しいから。今はその流れに身を任せている感じ。

Wet Leg(アルバム)

-デビューアルバム『Wet Leg』はドミノレコードからリリースされるそうですね。ドミノレコードと言えば、Arctic MonkeysとFranz Ferdinandがいる一方で、Sorryなどの若手のバンドもいます。どうしてドミノと契約しようと思ったのでしょうか。
最初にドミノからオファーをもらった時は信じられなかった。私たちみたいな超新人でメンバーもたった二人なのにって。でも実際彼らに会ってみると皆すごくいい人たちで、心から私たちの音楽を気に入ってくれていた。だから、彼らと契約することがすごくしっくりきたのよね。他のドミノのアーティストたちも素晴らしいアーティストたちばかりだし、そんなドミノが私たちに興味を持ってくれたなんてすごく光栄だった。

-ドミノのどんなバンドが好きですか?
私とリアンが沢山聴いてきたのは、SuperorganismやSorryね。

-本作はダン・キャリーをプロデューサーに迎えて制作したそうですね。ダンが用意したレコーディング環境が気に入ったそうですが、どうしてダンと一緒にやろうと思ったのでしょうか。
私たちのA&R担当のジョーダンがプロデューサー探しを手伝ってくれて、ダンを候補に出してくれたの。ダンの名前が出た時はすごく興奮した。彼がこれまでに手がけてきたレコードが素晴らしい作品なのは知っていたから。特にFontains D.C.のアルバムは大好き。彼なら私たちと一緒に最高のサウンドを作ってくれるとわかっていたから、彼にお願いすることにしたの。彼は、人としてもすごく面白い人なのよ。

Wet Dream

Wet Leg「Wet Dream」MV
Wet Leg「Wet Dream」MVサムネイル

-「Wet Dream」のMVはロブスターのハサミを身に着けたり、「Too Late Now」のMVはバスローブで町中をゾンビのように歩き回ったりというとてもユニークな内容で面白かったです!資料ではリアンがホラー映画やカルト教団、パブテスト派の教義などの話も出てきていましたね(笑)。とても興味深いので、これらのアイデアがどのようにして出てきたのか教えてください!
その二つのビデオのコンセプトを考えたのはリアン。彼女が想像力を働かせて、「Chaise Longue」みたいなんだけどロブスターの衣装を着てるっていうアイディアを思いついたみたい。それで、リアンのリアンの友達であのロブスターの衣装を作って、「Chaise Longue」に続いて「Wet Dream」のビデオも故郷のワイト島で撮影したの。「Too Late Now」のコンセプトは、泡風呂を探し求める旅。あのビデオはこれまででプロダクション的に一番手がかかっていて、すごくエキサイティングだった。リアンは『ミッドサマー』っていうホラー映画が好きなの。すごく美しいんだけどダークでもある作品。あの映画はきっとインスピレーションになってるんじゃないかな。

あえて悪趣味な歌詞

-とても刺激的な歌詞だと思うのですが、どうして悪趣味なところをあえて出そうと思ったのでしょうか。
ある意味、それってリアルなんだと思う。SNSってフィルターや匿名で溢れてるけど、その世界に自分を奪われないようにしないと。もちろん、ファンタジーだったり想像の世界も好きよ。イメージでそういう世界を表現することも。でも私たちにとっては、現実の世界で起こることも重要で価値がある。Wet Legは、その両方の側面を持っているバンドなの。

-一方で歌詞からは悲しさが滲み出ているとも語っていましたね。この悲しみというのはどこからくるのでしょうか。
皆が感じるのと同じ悲しみ。生活していたら、悲しみを感じることは誰にでもあるわよね。人生って厳しいものでもあり、美しくもある。リアンが彼女のソロ・プロジェクトで作っていた音楽は、悲しみと美しさを兼ね備えたものだった。Wet Legはリアンのその要素を受け継いで、そこにユーモアを加えているの。あまりシリアスになりすぎないようにね。

-どうして自分たちの名前を冠した『Wet Leg』というアルバムタイトルにしたのでしょうか。
デビュー・アルバムをリリースするチャンスは一回きりだなと思って。タイトルは他にもいくつか候補があったんだけど、アルバムと十分につながっていると感じられるものがなかったの。だから、自分たちのバンド名をタイトルにするのが一番だと思ったのよね。これが”Wet Leg”の音楽だと皆にまず紹介するのがファースト・アルバムだし。

-『Wet Leg』のアルバムジャケットは二人が後ろ向きで秘密を共有しているように感じられ、とても印象的だと思いました。これにはどのような意味を込めているのでしょうか。
あの写真は、Willie J Healyのサポートとしてギグをやった時に撮られたもの。あの日は本当に楽しくて、いつも以上にテンションが高かったの。私たち、時々盛り上がりすぎちゃって何が起こってるのかわからなくなっちゃうくらいの時があって(笑)。あの日もそれくらいすごく楽しかった。その状況を捉えた一枚があの写真だったの。現像してみたらとてもいい感じだったから、あの写真を使うことにしたのよ。

-デビューアルバム『Wet Leg』をどんな人に聴いて欲しいと思いますか?
あらゆる人に聴いてほしいな。聴く人がアルバムから喜びをもらえたら嬉しいけど。リリースして、どんな人たちにこのアルバムが届くかなんて聞かれるまで考えたことってなかった(笑)。

-アルバム中でも特にここに注目して聴いてほしい、という部分はありますか?
既にリリースされている4曲もアルバムに収録されているんだけど、アルバムの中では一つではなく色々なムードが表現されているの。だから、アルバムを聴いてそのムードの旅を楽しんでほしいな。

-どんなシチュエーションで聴くのがオススメですか?
私はドライブしている時に聴くのが気に入ってる。もっと聴いていたいのに目的地に着いちゃいそうになる時もあるけど(笑)。でも、ダンのプロダクションがすごくいいからヘッドフォンでサウンドを意識ながら集中して聴くのもいいかもしれない。彼が一つの音の周りに作り出すサウンドの世界はすごく面白いから。例えば、ある曲ではスリンキー(バネの玩具)を付けたドラムを叩いているサウンドが入っているんだけど、それによってディレイっぽいサウンドを作ることができる。そんな感じで、このアルバムにはダンのサウンドへのこだわりも沢山詰まっているの。

-Wet Legはここ日本でもラジオ局でトップ10に入るほど人気を集めていて、お二人の来日を楽しみにしている日本のファンもたくさんいると思います。彼らにメッセージをお願いします。
私たちの音楽を聴いてくれて、そして私たちを応援してくれてありがとう!私たち二人とも、日本に行けることを心から願っている!いつか絶対に行けるといいな。

-来日したら行って見たい場所、やってみたいことはありますか?
フジロックが本当に素晴らしいフェスだと聞いているから、フジロックに出てみたい!

-以上です。回答いただきありがとうございました。コロナの関係でいつになるかはわかりませんが、日本でライブに来る日を楽しみにしています!
リアンは数年前に日本に行ったことがあるんだけど、私はまだ一度もないの。私も来日できる日をすごく楽しみにしてるね!

Wet Legアルバムリリース作品

1stアルバム『Wet Leg』

発売日: 2022/4/8
収録曲:
1. Being In Love
2. Chaise Longue
3. Angelica
4. I Don’t Wanna Go Out
5. Wet Dream
6. Convincing
7. Loving You
8. Ur Mum
9. Oh No
10. Piece Of Shit
11. Supermarket
12. Too Late Now
フォーマット:Mp3、CD、アナログ、カセット
Amazonで見る

Wet Legプロフィール

Wet Leg(ウェット・レッグ)
撮影:Hollie Fernando

“Wet Legは、リアン・ティーズデイルとヘスター・チャンバースによって結成された、イギリス・ワイト島出身のインディー・バンドである。リアンとヘスターはワイト島大学で初めて出会い、10年間の友情を経て2019年にWet Legの活動をスタートさせた。ドミノ・レコードと契約後、これまでに4枚のシングルをリリースしている。デビュー・シングル「Chaise Longue」は2021年6月15日にリリースされ、数百万のストリームを獲得したことでメディアの注目を集めた。セカンド・シングル「Wet Dream」は2021年9月28日にリリース。バンドは2021年12月から始まるUSツアーを予定している。 2021年10月30日、BBC2のLater... with Jools Hollandに出演。 Dominoから2022年4月8日にデビューアルバム『Wet Leg』をリリースする。”

引用元:Wet Leg(ウェット・レッグ)バンドプロフィール(Wikipedia)

Wet Legの評価

“2022年最もアツいバンド
- The Guardian

今最もエキサイティングなバンドの一つ
- Sunday Times Style

2022年最も楽しい新人バンド
- The Times

危険なほどの中毒性
- The Face

2021年のインディ・ロックの啓示となったウェット・レッグ
- The Observer

彼女らは、そのサウンドと美学がすでに完成しているように見える新しいバンドの一つであり、今後まったく予想できないようなエキサイティングなことが起こるのは間違いない。
- The New York Times

その評判通り、彼女たちは素晴らしい楽曲を持っている。
- Evening Standard

新しい息吹を吹き込むバンド
- The Independent

2021年最も注目されるブレイクバンドのひとつ
- DIY Class of 2022

溢れる魅力
- Stereogum

このバズりは本物
- Stylist

2022年最も期待集めるデビュー
- Metro

2022年は彼女たちの年になる
- Clash

この星で最もエキサイティングな新人バンド
- Dork Hype List 2022

バカバカしいほど楽しくて、とんでもないほど中毒性が高い
- NME”

引用元:Wet Leg(ウェット・レッグ)の評価(Beatink)

Wet Leg:マーキュリープライズにノミネート

2022 Mercury Prize
Wet Leg(ウェット・レッグ)がマーキュリープライズ2022にノミネートした。

昨年はArlo Parks『Collapsed in Sunbeams』が受賞しており、これまでにWolf Aliceやalt-J、ジェームス・ブレイクなどが受賞している。

マーキュリープライズの授賞式とライブパフォーマンスは9月8日(木)に行われる予定である。(2022年8月2日追記)

Wet Leg代表曲(Youtube)

  • Wet Leg(ウェット・レッグ) - Chaise Longue (Official Video)
  • Wet Leg(ウェット・レッグ) - Wet Dream (Official Video)
  • Wet Leg(ウェット・レッグ) - Too Late Now (Official Video)

Wet Dreamをハリー・スタイルズがカバー

Wet Legの代表曲である「Wet Dream」をハリー・スタイルズがカバーした。

Wet Legはハリー・スタイルズのツアーのオープニングアクトとして出演することが決定している。

ハリー・スタイルズ(Harry Styles) – Wet Dream (Wet Leg cover) in the Live Lounge

Wet Legライブ動画

  • Wet Leg - Chaise Longue (Glastonbury 2022)
  • Wet Leg: Tiny Desk (Home) Concert
  • Wet Leg - Too Late Now (Sound Of 2022)

Wet Leg来日公演詳細

Wet Leg(ウェット・レッグ)来日東京追加公演
Wet Leg(ウェット・レッグ)の来日が2023年2月に東京、名古屋、大阪の3都市で決定した。チケットの一般販売は5月21日から開始している。

2月15日の東京公演は早くも完売し、2月12日(日)に東京追加公演が決定した。追加公演の一般販売は7月2日を予定している。(2022年6月26日追記)

  • 東京追加公演
  • 2023年2月12日(日)東京・渋谷Spotify O-EAST

  • 名古屋公演
  • 2023年2月13日(月)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO

  • 大阪公演
  • 2023年2月14日(火)大阪・梅田 CLUB QUATTRO

  • 東京公演
  • 2023年2月15日(水)東京・渋谷Spotify O-EAST

    開場・開演:18:00 / 19:00
    チケット料金:6,000円(税込)※別途1ドリンク代、オールスタンディング
    チケット購入先:
    e+
    ZAIKO
    ローチケ
    チケットぴあ

    Wet Leg関連記事

    Wet Leg(ウェット・レッグ)の関連記事について、BELONGではこれまでにSuperorganism、Sorry、ダンキャリーが手掛けたsquidとDry Cleaning、メンバーのリアン・ティーズデールがお気に入りだというDream Wifeを取り上げている。

    Superorganismレビュー

    Sorryインタビュー

    squidインタビュー

    Dry Cleaningインタビュー

    Dream Wifeインタビュー

    ライター:yabori
    yabori
    BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

    これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

    過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

    それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

    現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

    今まで執筆した記事はこちら
    Twitter:@boriboriyabori

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