最終更新: 2022年9月1日

2022年9月に来日ツアーを行うことが決定しているタイのバンド、KIKI(キキ)。

海外で既に88rising radioで取り上げられており、本国タイでは最大規模の音楽フェスであるBig Mountain Music FestivalやMaho Rasop Festivalにも出演し、期待の高さが伺える。

タイと言えばKhruangbinが広めたタイファンクが思い浮かぶ中で、Daft PunkやPhoenixといったフレンチ・エレクトロから影響を受けたデビューアルバム『Metamorphisis: Final Stage』をリリースしたKIKIとは何者なのか?

インタビュー:KIKI インタビュアー:yabori 翻訳:H.M

KIKIとは

KIKI(キキ)
-KIKI(キキは)のメンバーであるボス(Boss)とノン(Non)はタイのバンド、Somkiatのギタリストだそうですね。そこにHelenaが加入し、3人で活動しているようですが、ヘレナ(Helena)はどのようにして参加するようになったのでしょうか。
Kiki:パンデミックの最中、ボスとノンや他の業種の方々がソーシャルディスタンスや隔離などにより殆どのイベントに参加できなかったころのことです。退屈しのぎにノンがボスを誘いました。初めて遊びがてら『My World』を作った時、二人とも歌についてはよくわからなかったので、ヘレナが参加することになりました。最初ヘレナは歌手というよりも作曲家を目指していたのですが、ボスとノンが、メッセージはそれを書いた人が一番うまく表現し伝えられる、と説得しました。この時KIKIが正式に結成されました。

-KIKIという名前の由来について教えてください。
最初は覚えやすくしたかったので、同じ文字を繰り返し、JUJUという名前をつけたのですが、日本にも同じ名前の有名なアーティストがいると知りました。昔名前が覚えづらいという理由で呼ばれていたヘレナのあだ名、KIKIを彼女が思い出し、みんな気に入ってそれがバンド名になりました。大文字のKIKIという字面も素敵ですよね。

-KIKIが所属しているParinam Musicには、Gym and SwimやFOLK9など、私たちが注目しているバンドがいます。どうしてこのレーベルに所属しようと思ったのでしょうか。
インディーバンドの私たちからすると、他に自分たちがマッチするようなレーベルがタイ国内では見つかりませんでした。Parinam Musicに既に所属しているアーティストを見て、私たちも所属しようと思いました。(レーベルオーナーの)プームの寛容さと理解は私たちのバンドととても調和していると思います。プームは制作において多くの自由を与えてくれるし、それは私たちが必要としていたものでもありました。Parinam Musicという新しい家を手に入れられたことはKIKIにとってとても幸せなことで、彼らのサポートには感謝してもしきれません。

-最近公開されたライブセッション動画はシンセサイザーが巧みに使われていて、音源よりも素晴らしかったです。KIKIのバンドメンバーは3人ですが、ライブは6人で演奏されていましたが、どうして6人編成で演奏するのでしょうか。
私たちが3人しかいないバンドというよりは完全なバンドとして見えるようにしたかったことがあります。KIKIの音楽は実際に楽器と演奏者を通じて演奏された方がより良く聞こえると私たちは思っています。最初PARIMのPrim(Key./Chorus)、Door PlantのTee(Dr.)、TelellamaのBook(Ba.)の三人がサポートメンバーとして参加し、最近Gym and SwimのMudmee(Key.)が新たにチームに加わりました。それぞれの楽器が実際に演奏されている時、バンドはより面白く、生命力と色彩に溢れたものになると感じています。KIKIの音楽を最高なものにするために僕らと同じく頑張ってくれているチームのみんなにはとても感謝しています。

タイの音楽シーン

タイ・バンコクの街並み
クレジット:pexels

-タイの音楽シーンについて伺いたいと思います。SpotifyのViral Hits Thailandではビルボードチャートに入る曲が中心にランクインしていますが、自国の音楽よりも海外の音楽のほうが流行しているのでしょうか。
タイではストリーミングサービスによって聴く音楽が異なっていると思います。メインメディアとしてSpotifyを使う多くの人はJooxやFungigiを使う人に比べてより海外の音楽を発見しているはずです。そのため海外の音楽の方がより主流に見えてしまうのだと思うのですが、個人的にはそうではないと思います。タイのローカルシーンも盛り上がっていて、彼らは良い音楽を作っています。海外の音楽が人気になったのも最近の出来事で、タイでのライブ・公演が頻繁になって以降のことです。そのため、タイでは既に市場に存在していた音楽に対してより寛容な傾向があります。様々な場所で生まれた多様な音楽は人々を繋げられるはずですし、そのことが現在のタイでのローカルと海外音楽の共栄によって証明されていることは喜ばしいです。

-上記に関連して、KIKIのようなインディー・ポップは自国ではどのような立ち位置にあるのでしょうか。
インディポップは今タイで勢いのあるジャンルだと思いますが、局所的なムーブメントでもあると思います。人々が寛容になってきていることや、タイでライブハウスが成長していること、コンサートが続いていること、これらのおかげでインディー・ポップバンドたちはより多くの場所で、以前より容易に彼らのスキルやパフォーマンスを見せることができるようになりました。ニッチなジャンルだからインディー・ポップはタイでより良い地位にいるとか、何かより劣るということはないと思います。適切な場所で適切な人といることがタイのインディポップシーンを興味深く、良質で有望な立ち位置にしていると思います。

-日本ではえんぷていやPictured Resortと共演することになりますが、タイでは日本の音楽が人気あるのでしょうか。
もちろんタイでは日本の音楽はとても人気だと思います。日本からの多くの影響がタイ社会にはあると思います。例えばタイの人々は日本食や日本の飲み物、ビールなどが大好きですし、日本文化を実践している人もいます。BNK48は既に非常に大きな衝撃をタイ社会に与えていますし、ガールグループとして今まで一番有名です。シティポップもタイのメジャーシーンにおいて成長しているジャンルです。タイの人々に日本の音楽と文化はとても愛されています。

-タイは英語よりもタイ語のほうが主流だと聞きました。ヘレナは英語で歌っていますが、どうしてタイ語ではなく、英語で歌っているのでしょうか。
ヘレナが歌詞を書く時に英語の方が楽ということがあります。私たちがより柔軟に扱える言語を使うことは確実に歌詞の豊かさに反映されています。ヘレナは一度タイ語で歌詞を書こうとしたことがあるのですが、結果は満足のいくものではありませんでした。なのでKIKIは英語で歌詞を書くことにしました。

Metamorphisis: Final Stage

KIKI(キキ)『Metamorphisis Final Stage』

-『Metamorphisis: Final Stage』の収録曲「Back In The Game」は途中で曲が途切れる形で終わるのがとても面白いと思いました。どうしてこの曲は途中で途切れる形で終わることにしたのでしょうか。
曲(「Back In The Game」)のエンディングは‘all you ever do is’(君が今までやってきたことは全部)の後の文章を言い切らずに終えたのは、私がおかれていた有害な人間関係が念頭にあります。彼または彼女が言っていたのは悪質で建設的じゃないことでした。私は、この状況は彼の行動や言葉からは変わらないということを描こうとして、このような曲の終わり方をしました。彼にはもう私を傷つける権利はないのです。

-『Metamorphisis: Final Stage』のアルバムカバーにはカマキリやカエルなどの生き物が出てきているのが印象的でした。どうしてこのようなアルバムカバーにしたのでしょうか。
JAHFLAMEというプーケット出身で私の高校の同級生だったアーティストに私たちはアルバムのデザインを一任しました。彼にアルバムのデモを聴いてもらい、私たちがどう見えるかを判断してもらいました。彼はカエルのアイデアをメタモルフォーゼというアルバムタイトルから思いつきました。カエルは多くの人が恐れるものでありつつも、生態系においては重要なものです。彼らはとてもカラフルで、簡単に食べられてしまうのですが、毒を持っています。

-アルバムタイトル『Metamorphisis: Final Stage』にはどういう意味があるのでしょうか。
KIKIは私たちにとって新しい始まりであり、とても大きな存在です。『Metamorphisis: Final Stage』というタイトルには私たちが小さな存在から成長して、世界を成体(Full Form)として捉えるようになったという意味が込められています。このタイトルは既に成体になっていたという意味を含んでいるかもしれませんが、私たちがずっと成長していることや、より大きくより良いものを作ることが表現できていると思います。このサイクルは私たちにとって終わらないものなので、どこかで始まりに戻って、成長をまた違う形でしないといけないといけませんでした。

-『Metamorphisis: Final Stage』をどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
私たちは今まで自分たちが誰に向けて曲を書いているかということをあまり考えたことがありませんでした。私たちはただ作ったものを観客に私たちが彼らの好みに合うか判断してもらおうというつもりでいました。音楽はみんなのものだと思っているので、特定の誰かに向けて作ってはいません。音楽に境界線は必要ない、というのが私たちの意見です。

KIKIのルーツ

-KIKIの音楽に影響を与えたアルバム3枚について教えてください。また1枚づつ、どのような部分に影響を受けたかについても教えてください。
ボス、ノン、ヘレンの間で共通して気に入っているのがこの3枚のアルバムです。このことは曲の作り、アレンジをしていく際に大きく意見が割れることがない理由でもあります。

Phoenix『Alphabetical』
Phoenix『Alphabetical』

好みであるフレンチポップ的に聴こえるPhoenixのコードの使い方を学ぼうとしたことがありました。

Parcels『Parcels』
Parcels『Parcels』

Parcelsからはストリングスの使い方について大きな影響を受けています。

Daft Punk『Random Access Memories』
Daft Punk『Random Access Memories』

Daft Punkはノンが一番好きなバンドです。ノンは曲のアレンジを担当しており、彼はDaft Punkが作り出す様々なシンセサイザーを用いてこのアルバムの中で提示されるダンスのグルーヴが大好きです。

-最後に私たちを始め、日本にもKIKIのファンがいます。彼らにメッセージを頂けますか?
応援してくれてありがとうございます。日本のような素晴らしい国に私たちのファンがいて、9月にはツアーができることは夢が叶う以上に幸せなことです。皆さんからの応援に支えられて私たちは自分の愛する活動が続けられています。もし出会ったら声をかけてくださいね!KIKIから最大の愛を込めて。

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KIKIアルバム作品

1stアルバム『Metamorphisis: Final Stage』 

KIKI(キキ)『Metamorphisis Final Stage』
発売日: 2022年5月19日(Mp3)、2022年7月13日(アナログ)
収録曲:
1. Beginning
2. Metamorphosis
3. Back in the game
4. Don’t forget me
5. Can you feel my love?
6. Inside my head
7. Without you
8. Next to you
9. Harder
10. I am
11. Other Side
フォーマット:Mp3、アナログ
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KIKIプロフィール

KIKI(キキ)

“バンコク市内で結成されたKIKIは、リードシンガー兼ソングライターHelenaのビターなR&Bボイスと、Boss、Nonのロックな鼓動のもと、様々なサウンドが混じり合うトリオである。ハートビートの中、迷路のような旅が始まる。アイスクリームの味のように、良いことも悪いことも常に行ったり来たりする。どんな味であっても、それは人生の感覚の一部なのだ。KIKIは、狂気の渦中にある悪役として、彼らの内臓をつかみ、無頓着に動いている私たちにはほとんど存在しない、正直な思いを語っている。これは、何か特別な形で表現されるために集められた貴重なものだ。KIKIは、あなたにあえて探りを入れているのです。”

引用元:KIKI(キキ)バンドプロフィール(facebook)

KIKI曲(Youtube)

  • KIKI(キキ) – My World
  • KIKI(キキ) – Blue
  • KIKI(キキ) – Metamorphosis (Official Lyric Video)

KIKI来日公演詳細

KIKI来日公演詳細

    2022年9月20日(火)@大阪・心斎橋CONPASS
    出演:KIKI / Pictured Resort

    2022年9月21日(水)@京都・UrBANGUILD
    出演:KIKI / Sawa Angstrom

    2022年9月22日(木)@愛知・名古屋KDJAPON
    出演:KIKI / えんぷてい

    2022年9月23日(金)~25日(日)@長野・松本
    りんご音楽祭

    2022年9月26日(月)@東京・青山月見ル君想フ
    出演:KIKI / SAMOEDO

ライター:yabori
yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

今まで執筆した記事はこちら
Twitter:@boriboriyabori

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