最終更新: 2024年3月17日
イングランドのSSW、The Japanese House(ザ・ジャパニーズ・ハウス)ことアンバー・ベインが先日リリースした最新作『In the End It Always Does』。
今作には自身が所属するDirty HitのレーベルメイトであるThe 1975のマシュー・ヒーリーとジョージ・ダニエル、そしてBon Iverのジャスティン・ヴァーノンが参加したことに加えて、今作での大きなトピックといえば、プロデューサー兼エンジニアのクロエ・クレイマーとも一緒に『In the End It Always Does』を作りあげたことだ。
自身もクィアということもオープンしているThe Japanese Houseだが、女性やクィアと一緒に仕事をしたことがなかった自身にとってこの経験は大きなものだったという。
Dirty Hitといえば、リナ・サワヤマを筆頭にジェンダーに対する問題に声を上げ、改善に意欲的な印象だ。The 1975のマシューに関していえば、その他問題発言はあれど、ジェンダーバランスが不平等なフェスには出演しない意向を表明している。
タイムリーな話題では実際に先日のSUMMER SONIC 2023東京公演でもPale Wavesのヘザー・バロン・グレイシー(Gt./Vo.)はライヴ中にレインボーフラッグを身にまとい楽曲を演奏していたことも象徴的だ。
今回のインタビューでは生楽器を中心として演奏が有機的に機能した最新作『In the End It Always Does』のことはもちろんのこと、セクシュアリティについて、そしてDirty Hitとの関係など話を伺った。
来年2024年1月に来日公演も控えるThe Japanese Houseが理想とする“クィアの人々が安らぎを感じられる空間”とは?
目次
The Japanese Houseについて
アーティスト:アンバー・ベイン インタビュアー:滝田 優樹 通訳:原口美穂
-まずはBELONG Mediaでははじめてのインタビューとなりますので、あなた自身のことから教えてください。日本のメディアでの過去のインタビュー等もチェックしたのですが、今もイーストロンドンに住んでいるのですか?
アンバー・ベイン:いや、今はアメリカ。今のところはデトロイト。で、その後LAに引っ越したいと思ってる。LAにはずっと引っ越したいと思ってたんだけど、ツアー中だったり、色々忙しくてなかなかチャンスがなくて。でも今やっと時間ができたから、引っ越すことにしたんだ。
-インスタグラムではジャーマンシェパードやダックスフンドたちと過ごしている投稿などもありました。現在のあなたの暮らしについて教えてください。どのような環境で過ごしていますか?東京は現在暖かくなってきて、半袖で過ごす日もあります。
大きい方の犬は、ずっと父親と一緒に住んでる。でも小さい方の犬は、今も私と住んでるよ。飛行機で連れてきたんだけど、私の今のパートナーに懐いててすごく嬉しい。私、あんまり同じ場所に長くいるのが好きじゃないんだよね。だから今は、いろんな場所に行って楽しんでるところ。それが出来る仕事ですごくラッキーだなって思ってる。
The Japanese Houseの意味
-“The Japanese House”という名前は幼少期に訪れたケイト・ウィンスレットが所有していたコテージに由来しているそうですね。The Japanese Houseはあなたを中心としたプロジェクトではありますが、なぜこの名前にしたのですか? また、そのコテージがどのようなものであったのかも興味があります。私が5歳の時、イギリスのコーンウォールにあるコテージに行ったんだけど、当時から、私は自分の性別が理解できていたなかったんだよね。子供の頃は、自分の性別で本当に悩んでた。男の子でいたいなって気持ちもあったし、実験して自分のことをダニーって呼んでみたりもしてた。で、コテージに行った時に、隣に住んでいた女の子に出会ったんだ。その子が、私が初めて自分を男の子として自己紹介した相手だった。そして、5、6歳の子供だったからロマンスという言葉は強すぎるかもしれないけど、私たちは最高の友情で結ばれて、本当に素敵な時間を過ごしたんだ。でも、胸が張り裂けそうなくらい悲しかった。彼女に嘘をついたことに罪悪感を感じたし、ちゃんと正直に話すべきだったなって思って。そして、すごく美しい話だから、映画のトピックにもいいんじゃないかな、なんて考えてたんだよね。で、その映画のタイトルを私たちが滞在していたThe Japanese Houseにしたらいいんじゃないかってアイディアを持ってたんだ。だから、自分のアーティスト名を決めるときに、その名前を選んだ。映画にしたらクールだろうなって、ずっと考えていたアイディアだったから。私がハウスミュージックを作ってるからとか、私が日本人だからって思う人たちもたまにいるみたいだけど(笑)そうじゃなくて、由来はそのコテージ(笑)。
父からの影響
-あなたは音楽家でもあった父から音楽を教わって育ったそうですね。お父さんはどのような音楽をやっていたのでしょうか?ギターを習い始めたのはお父さんの影響だったようですが、その経験が現在の音楽にどのように影響を与えたのかも教えてください。
彼はミュージシャンで、ギターがすごく上手いんだ。曲も書くしね。だから、家にはいつも楽器があって、私たちは楽器に囲まれていた。それで自然に音楽に興味を持つようになったんだけど、私が音楽に夢中になっていることを、父親はすごく喜んでくれていた。ギターに興味を持つようになったのも間違いなく父親の影響だし、彼の音楽に関する幅広い知識と、彼が紹介してくれた沢山のアーティストたちのことは今でも忘れられない。だからもちろん影響は絶対に受けているんだけど、それが今私が作る音楽にどのように影響しているかをピンポイントで言葉にするのは難しい。でも、彼からのインスピレーション、影響の全てが今の私を形成している一部であることは確かだね。
-お父さんがあなたの音楽制作に参加したことは?
私が10歳くらいの時に作ったレコードにはベースで参加してくれたよ(笑)。リリースはもちろんされてないけど(笑)。
Dirty Hitでの活動
-続いて、あなたがDirty Hitに所属するに至った経緯も教えてください。
学生時代に、友達がレーベルに所属している人と付き合い始めたんだよね。それで、私もレーベルの人たちと仲良くなった。その流れで、マッティ(The 1975のマシュー・ヒーリー)とも友達になったんだ。セレンディピティみたいな感じだった。私はまだ在学中で、マネージャーや弁護士とミーティングしたりしてたんだけど、そんな時にジェイミー(Dirty Hitのレーベルオーナーであるジェイミー・オボーン)とマット、そしてジョージ(The 1975のジョージ・ダニエル)に出会って、しかも当時Dirty Hitはすごく小さなレーベルだったからその雰囲気も大好きで、このレーベルがいいなって思ったんだよね。すごくクールだと思った。その決断をして本当に良かったと思う。サポートや自由を与えてくれるという点では、これ以上のレーベルはないと思うから。
-Dirty Hitには日本人のリナ・サワヤマも在籍しています。彼女とは交流はありますか?リナ・サワヤマは昨年日本の音楽フェスで、同性婚や性的マイノリティについて問題定義をして、日本でも話題になりました。現状、日本ではまだまだ同性婚や性的マイノリティの方々に対する理解であったり、法整備が足りないです。私自身もそういった問題に危機意識をもっていて、そういった問題を発信していきたいと思っています。差し支えなければ、それに対してあなたの立場や意見があれば教えてください。
残念なことに、彼女にはまだ会ったことがなくて。でも、彼女は本当にクールだと思う。2023年になっても、そういった問題で迫害される場所がまだまだ世界にあるなんて本当にクレイジーだと思う。前よりはもちろん受け入れられるようになったと思うけど、アメリカでさえそこまで進歩的ではないんだよね。だから、リナがそのことについて発言しているのは素晴らしいことだと思う。正直なところ、誰もがそういう問題について口を開くべきだと思うな。私は自分のセクシュアリティについてとてもオープンだし、アルバム全体が基本的にはゲイのアルバム。私に会いにきてくれるファンもゲイだしね。特に、私のショーにはゲイの人たちが沢山きてくれるし、私は音楽を作り、ライブをすることで、そういう人たちが受け入れられる場所を作りたいんだ。彼らにとって、そういう安心感を感じられる場所を提供したい。アメリカでもまだまだなんだよね。つい先週、今住んでいるところから2、3時間しか離れていないアメリカ中西部の人里離れた場所に行ったんだけど、着いた瞬間違和感を感じた。人前でパートナーの手を握るのがすごく怖かった。でも、クィア・フレンドリーな場所も前より沢山あるもの事実。以前より良くなっている部分もあることは確かなんだよね。少なくとも、そういうクィア・フレンドリーな空間にいることを選択することはできるから。
In the End It Always Does
-ここからはアルバム『In the End It Always Does』について、お聞きします。今作ではプロデューサー兼エンジニアのクロエ・クレイマーと一緒に仕事をして、”人生が変わった”経験だったと言っていましたね。そして「今までは女性やクィアと一緒に仕事をしたことがなかった。自分の立場や共有する経験を完全に理解してくれる人がいるのは嬉しいことです。また、私はどの曲でも “彼女”と歌っているので…それを理解してくれる人がいることは重要なことだった。」とも語っていました。こちらについて詳しく教えてください。具体的にどういったところで、あなたにとって重要な経験だったのでしょうか?
自分にとって、すごく実のある経験だと思った。部屋にもう一人クィアの人がいること、女子だけが同じ部屋にいたことは初めてだったんだ。同じ空間にいて一緒に何かを作っている人たちが、皆同じ視点でいることって大切だと思う。それを作っている全ての人がその作品に反映されるわけだし、クロエと仕事をして、それに気付かされたんだよね。出来上がったものを見てさらにそれを感じた。自分と同じ立場の人と一緒に仕事をするという状況が、いかにレアで重要かってことを実感したんだ。あの経験は目から鱗だったと思う。またクロエと一緒にプロデュースしたいと思ったし、他の女性アーティストたちのプロデュースもしたいと思えた経験だった。もちろん、男性と作業するのが良くないって意味ではないよ。ジョージは友達だし、一緒にいて居心地が悪いとか、そんなことは決してない。ジョージのことは大好きだけど、ただ、自分の立場を絶妙に理解してくれる人がいるっていうことの有り難さや大切さを今回感じた、ということ。制作の大きな部分を占めるのは、曲の内容を本当に理解し合うことだと思うから。クロエと作業している時は、空間内でその“理解”という部分をすごく感じたんだよね。
アルバイタイトルの意味
-“In the End It Always Does”というタイトルですが、なぜこのタイトルにしたのですか? アルバムジャケットも丸が描かれていて、その名をシンプルに表したものだとも感じたのですが。
そのタイトルは、「Sunshine Baby」の歌詞。そのフレーズの循環するような響きが好きだったのと、それがアルバムのテーマの多くに触れていると思って。全てが欲しいけど同時に何もいらない、とか、私ってそういう矛盾だったり、同じことを繰り返すことだったり、堂々巡りについて多く語っている気がするから。そのタイトルにポジティブなものとネガティブなもの両方が存在していることにも気づいて、その矛盾も気に入ったんだ。
アルバム制作について
-アルバムの制作自体は 2021年末からだそうですね。前作は2段階に分けて制作されて最初はウィスコンシンでBJと一緒にひたすら曲を作って、その後いろいろ実験しつつっていうフェーズを経て、作品を仕上げたとのことでしたね。今作はクロエ・クレイマー以外のプロデューサーだと、これまでの作品に引き続きThe 1975のマシュー・ヒーリーとジョージ・ダニエル、そしてBon Iverのジャスティン・ヴァーノンが参加していて気の知れたメンバーとの制作でしたが、どんなディスカッションのもと進められたのでしょうか? これまでの作品の違いや変化があれば教えてください。
ジャスティン・ヴァーノンは、同じスタジオで一緒に作業したわけじゃないんだ。でも他のみんなとは何ヶ月も一緒にスタジオにいたから色々話した。自分たちの頭の中にあったものを、文字通り全て外に出した感じ。今年友達とどんな会話をした?とかそんなことまで全て。私たちが一緒に作業するときはいつもそう。そこから何か出てきたりするんだよね。レコード制作において、会話って大きな部分を占めていると思う。作業のうち、6割は会話かもしれない。あと、マッティとジョージとはもう11年の付き合いだから、以前に比べてスタジオでの自分たちの役割をそれぞれが既に十分理解していると思う。それってすごく良いことだよね。それから、今回はファースト・アルバムの時よりすごく集中していたかも。今回は、ファーストアルバムよりも夢中になって全てを注ぎ込んだ気がする。自分の世界全体を曲にした感じかな。
Sad To Breathe
-「Sad To Breathe」はレコードの中で最も古い曲のひとつだそうですね。生楽器やアコースティック楽器で構成し直したということで、アルバム全体のサウンドとしても大胆なストリング構成だったり、パーカッションであったり、生楽器を中心として機能している楽曲が印象的でした。おそらく「Sad To Breathe」のリアレンジが今作のアルバムの方向性を決めたのかを思ったのですが、いかがでしょうか? また「Sad To Breathe」を構成し直してアルバムに入れようと思った経緯があれば教えてください。
その曲はすごく古い曲で、イントロを完全に生演奏にしたんだ。ずっと前に書いた曲で、その時にそれを書き続けなかったってことは、何か理由があったからってことだよね?それなら、自分にまたその曲を書きたいと思わせるためには、その曲の何かを変える必要がある。だから変えたんだ。方向性を決めた可能性もあるけど、私自身、まだこのアルバムの方向性が何なのか理解できていないんだよね。このアルバムは、いい意味で色んなものが散らばっているから。よりエレクトロニックな要素を吸収しつつも、アコースティックな要素も取り入れている。あと、強弱もあるしね。静かな部分とラウドな部分があったり。
The Japanese House – Sad to Breathe (Official Live Video)
-その他、制作上でブレイクスルーになった曲はありましたか? もし、あれば理由も併せて教えてください。
「Sunshine Baby」かな。そこからボールが転がり始めたように感じる。私だけかもしれないけど、あの曲は胸が張り裂けそうになるんだ。そして、作っている時にすごく興奮したから。
The Japanese House – Sunshine Baby (Official Live Video)
コラボについて
-また、アルバムに参加するThe 1975は現在ワールドツアー中で、チャーリーXCXやMUNAは先日コーチェラでパフォーマンスをしていました。私自身、The 1975は日本公演を生で見て、チャーリーXCXやMUNAのコーチェラは配信で見ました。あなたも彼女たちのパフォーマンスは見ましたか?私自身、そのパフォーマンスを見てからあなたのアルバムを聞いてみると、それらのアーティストの現在のモードとリンクしているなと感激しました。多くのアーティストがアルバムに参加したことでさまざまなグルーヴが生まれることがメリットだと思います。特に印象的な楽曲であったり、制作する上で刺激を受けたことがあれば教えてください。また、あなた自身が彼女たちとコラボしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
彼女たちとは長い付き合いだから。同世代だしね。私たちの音楽は、似ているようで似ていないと思う。もちろんメロディ的にはちょっと方向が似ているかもしれないけど、自分たちをコピーしようとは思ってないよ。もちろん、彼女たちからは刺激を受けているし、気の合うすごく良い友達。だからこそ、特にMUNAとはお互いに音楽を送りあったりして、インスピレーションを共有してるんだ。私がやっていることを理解してくれているし、彼女は本当に素晴らしい。彼女が思いつく歌詞やメロディのアイディアを合わせると、それが完璧なスコア・ソングになるんだよね。MUNAは本当に素晴らしいソングライターであり、そしてプロデューサーだと思う
歌詞について
-今作の歌詞についても教えてください。歌詞を収録曲の順番で読んでみると、まるで小説のようで、アルバム全体を通してストーリーが順立てされているように感じました。どの曲でも “彼女 “と歌っているとのことではありますが、その彼女との関係性やそれを取り巻く環境など、起承転結がしっかりとしていますよね。いただいた資料だと、イギリスのケント州マーゲイトに引っ越した時や、三人婚の関係、それらの関係が徐々に解消していく様子が反映されているとありました。 “In the End It Always Does”というタイトルなので、詞におけるストーリー性についても意識的に制作されたのかなと思ったのですがいかがでしょうか?
私は直感で仕事をしているようなところがあるから、あまりトラックリストをじっくり考えるような注意力はないんだ。最初に頭に浮かんで、“これだ!”と思ったものに従って、誰かがそれを嫌がらない限りはすぐにそれをそのまま選ぶ感じ。作詞でも、作曲でも、トラックリストでも、その決め方が一番純粋な表現方法だと思うから。
SPOT DOGの歌詞について
-1曲目の「SPOT DOG」の歌詞“I think I know you best”や「BOYHOOD」のMVでベットで乗馬する2人を眺めているように、今作はあなた自身のこれまでの人生を見つめ直して、肯定している作品だと思いました。そうであったとしたら、今作を完成させたことであなた自身の生活やマインドで何か変化であったり、影響はありましたか?
色々変化はあったよ。音楽を作ることがまた好きになったし、人に囲まれていることの大切さにも気づいた。何かにインスパイアされることなく作品を作り続けることはできないことも。インスピレーションの井戸を枯らしてしまっては、素晴らしい作品を生み出すことはできない。脳に栄養を与え続けなければならないし、音楽を作るだけじゃなくて、何か他のことをしたり、何かを考えたり、何かを読んだりしないといけないんだなって。そのためには、人と出会い、自分の世界を広げていくことが重要なことに気づいた。そうじゃないと、ただ自分の狭い世界みたいなものを作り続けるだけで、価値のあるものは出来ないと思う。人として成長しなければ、同じレコードを何度も何度も作ることになっちゃうよね。自分を更新するように努力し続けること。今回のアルバム制作では、その重要さに気づいたんだ。
The Japanese House – Spot Dog
The Japanese Houseのルーツ
-日本盤ボーナス・トラックにはABBAのカバーで「Super Troupe」も収録されていますね。『Good at Falling』を制作中に聞いていたとのことで、その延長で収録に至ったのかと思いますが、今作を制作中にはどんな楽曲を聞いていましたか? 参考となった楽曲があれば教えてください。
私は、ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、ケルト系の音楽をよく聴くんだよね。インスト系の音楽は沢山聴く。あとはジョニ・ミッチェルも聴いてた。ブルー・ナイルも。これはアルバムを聴いたら確かにって思うかも。他にも沢山あったけど、今は思い出せなないな。何がどんな風に影響したかは、私にもわからない。今回ものアルバムにも自然と反映されているかもしれないし、もしかしたら次のアルバムにその影響が出てくるかもね。
ABBA – Super Trouper
-それではThe Japanese Houseの音楽に影響を与えたアルバム3枚について教えてください。また1枚づつ、どのような部分に影響を受けたかやエピソードについても教えてください。
まず、1枚目はFleetwood Macの『Tusk』。どこに影響を受けているかを明確に説明するのは難しいけど、あの作品の中に惹かれる何かがあることは確か。ドラムのリズムとか、ハーモニーとか。メジャー・キーでありながら、不協和音みたいなものもあるところも魅力だと思う。私、暗さと希望が同時に存在しているものに感動するんだよね。
2枚目のアルバムは、MGMTの『Oracular Spectacular』。あのアルバムを聴いて初めて、エレクトロニック・ミュージックを作りたいと思ったから。それまでは、ギター音楽やバンド音楽に夢中だったんだ。でも、あのアルバムを聴いてから新しくエレクトロニックな要素も取り入れるようになって、本当に興奮したし、すごくクールだと思った。エレクトロニック・ミュージックを聴き始めたのもその頃。自分もその一部になりたいなって思ったんだよね。
そして3枚目は、The Beatlesのアルバムかな。どのアルバムも好きだけど、初めて買ったアルバムは『The Beatles 1』。とにかくThe Beatlesはすごくかっこいい。私の音楽についての学びは、The Beatlesを聴いたことから始まった。だから、私の音楽の立ち位置は、The Beatlesによって形作られたと言っても過言じゃないと思う。
The Japanese Houseからのメッセージ
-『In the End It Always Does』をどのような人に聞いてほしいですか?もしくはどのようなシチュエーションで聞いてほしいですか?歌詞やサウンド面で特に注目して欲しいポイントがあれば教えてください。
あんまりそういうことは考えないんだ。私の場合、レコードを作っている時は自分のために作っているような感じで。自分の欲望が詰まったレコードを人々にどう消費して欲しいかってところまでは私にはコントロールできないから、それを考えることはないんだよね。どこで聴いても、何を感じても、アルバムを楽しんでくれたらそれでいい。歌詞は、やっぱり歌詞を読むだけではダメで、歌詞と音楽をセットで体験して欲しいかな。一緒じゃないと意味がわからないかもしれないから。
-日本にもあなたのファンはたくさんいます。最後に、その人たちに向けて、メッセージをください。
1月に日本でライブをやるから、沢山の人に来てもらえたらすごく嬉しい。日本は大好きで、日本に行くのは2回目なんだ。そしてライブで、クィアの人々が安らぎを感じられる空間を提供できますように。
-ありがとうございました。
こちらこそありがとう。またね。
※記事初出時に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
The Japanese Houseアルバムリリース
2ndアルバム『In the End It Always Does』
発売日:2023年6月30日(金)
収録曲:
1.Spot Dog
2.Touching Yourself
3.Sad to Breathe
4.Over There
5.Morning Pages
6.Boyhood
7.Indexical reminder of a morning well spent
8.Friends
9.Sunshine Baby
10.Baby goes again
11.You always get what you want
12.One for sorrow, two for Joni Jones
13.Super Trouper (ABBAのカヴァー / 日本盤ボーナス・トラック)
※日本盤にはボーナス・トラック1曲、解説、歌詞対訳付
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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1stアルバム『Good at Falling 』
発売日: 2019年3月1日
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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The Japanese House来日公演詳細
The Japanese House(ザ・ジャパニーズ・ハウス)が2023年1月に東京と大阪の2都市で来日公演を行うことが決定した。
チケットの一般販売もすでに開始している。
2023年1月15日(月)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
2023年1月17日(水)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
2023年1月18日(木)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
開場・開演:18:00 / 19:00
チケット料金:6,500円(税込)※別途1ドリンク代、オールスタンディング
お問い合わせ:
【東京公演】クリエイティブマン03-3499-6669
【大阪公演】梅田クラブクアトロ06-6311-8111
制作・招聘:クリエイティブマン
公演の詳細は下記のサイトに掲載している。
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The Japanese Houseバンドプロフィール
“ザ・ジャパニーズ・ハウスことイギリス出身のシンガーソングライター、アンバー・べイン。The 1975やリナ・サワヤマ、ビーバドゥービー等が所属するUK気鋭レーベル、Dirty Hitと契約し、2015年にEP「Pools to Bathe In」を発表。その後も「Clean」 (2015)、「Swim Against the Tide」(2016)、「Saw You in a Dream」(2017)と次々とEPを発表。活躍が期待される新人アーティストを選出するBBCの名物企画にノミネートされ一気に注目を集めた。2019年にデビュー・アルバム『Good at Falling』をリリースし待望の初日本ツアー(東京、大阪)を行った。2020年にはEP『Chewing Cotton Wool」をリリース。長い沈黙を破り、2023年3月に新シングル「Boyhood」をリリースし、6月には2ndアルバム『In the End It Always Does』をリリースする。”
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