最終更新: 2024年3月31日

THE NOVEMBERSからThe Novembersへ。デビューEP『THE NOVEMBERS』から16年、彼らが見つけたロックバンドである意味と意義とは?

9枚目となるセルフタイトルアルバム『The Novembers』に凝縮された今、この瞬間にあるバンドの現在地とこれからについて、小林祐介が語る。

The Novembers インタビュー

The Novembers
アーティスト:小林祐介 インタビュアー:桃井 かおる子

前作からの変化と今作の制作プロセス

-前作から3年半という時間が経ちましたが、この間に小林さんはTHE SPELLBOUNDの活動を集中的に取り組まれ、メンバーの皆さんも個別の活動に時間を充てていた印象があります。今作の制作過程でメンバー個人の活動をどのように活かすことができたのでしょうか?また、今作のレコーディング以前にお互いにアイディアを伝え合うことや、連絡を取り合うことなどもありましたか?
小林祐介:メンバーそれぞれの成長やインプットが作品に活きていると思います。どのように、というと説明が難しいのですが。各自が作るフレーズやグルーブ、サウンドメイクなど全てに活かされていると思います。コスパやタイパなんて言葉をよく聞く昨今、ロックバンドを敢えてやることの意味や意義が詰まった作品にしたいと話したりしました。ただ、制作プロセスは至ってシンプルです。デモを作ってメンバーとああでもない、こうでもないとコミュニケーションをとり続けました。言葉でも音でも。

-(上記に関して)メンバーの皆さんが個々の活動の中で得たものを、今作の制作過程においてどのように持ち寄り、どのようにして活かしていったのでしょうか?
物作りには今の自分たちが自然と出てくるので、“どう活かすか”といったことはあまり意識しませんでした。それぞれの変化は互いに気付いたりしたかもしれませんが。

シングル曲「かなしみがかわいたら」の意味

-シングルでリリースされた「かなしみがかわいたら」は今作には収録されずにシングルでリリースされましたね。どうしてこの曲は今作には収録せずにシングルとしてリリースされたのでしょうか。
あの時、あのタイミングの僕たちに必要な曲でした。“別の作品”だからアルバムには収録しませんでしたが、この曲があったからアルバムを作れたと思っています。

9thアルバム『The Novembers』

tobirdとのコラボレーションとジャケットの印象

-厚塗りの絵の具の向こうから誰かがこちらを見ている印象的なデザインのジャケットとなっています。今作もtobirdさんがデザインされたものですが、このジャケットを見てどう思いましたか?
力強さ。発されるエネルギーを感じました。美しいと思いました。tobirdとThe Novembersは互いに感化しあって作品ごとに変化してきましたが、今作もその関係性を更新できたと思いました。

時間軸を意識した歌詞の背景

-今作の収録曲の歌詞は“今日”と“明日”、“時間”や“未来”といった時間軸を意味する言葉が頻繁に出てきます。時間を意識した内容の歌詞で表現された楽曲が多いように思うのですが、小林さん個人や音楽活動の中で以前(前作を基準にして)と時間の捉え方に何か変化があったのでしょうか?
歌詞に関しては特に意識していませんでした。今この瞬間をちゃんと生きたいし、感じたいと思っています。今日の僕たちの心一つで過去の思い出が辛いものにも美しいものにもなります。未来が今の僕らを作っているとも言えるわけです。心と身体が今ここにあることを大切にしたいです。

-今作は前半部分が勢い良くアップテンポで、後半にかけて曲調がスローテンポになっていきます。歌詞もなりふりかまわず今だけを見ている状況から、未来を意識して少しずつ視野が広がっているように感じるのですが、曲順も時間軸を意識しているのでしょうか?
時間軸を意識はしていませんが、音楽自体が持つストーリーやエネルギーの流れをそのまま曲順に活かしました。

人やものとのつながりを感じる歌詞の由来

-“たばねて”や“ほどけて”、“抱き合うように”など、以前より広い視点から人やものとのつながりを意識した楽曲も今作には多いように思うのですが、曲の中でこのような言葉を表現したいと思える出来事が小林さんの個人な体験もしくはバンドメンバーとの関わりの中で何かあったのでしょうか?
音楽やひらめきに導かれて自然と出てきた言葉なので、具体的な出来事や意図があったわけではないのですが、歌詞を眺めていて今の世界のことやバンドのこと、家族のこと、仲間のこと、ファンのこと、全てに当てはまる詞だと思いました。

美しいものとそうでないものとの差についての考え

-(上記に関して)小林さんが以前に「美しいものとそうでないものとの差がこれからは広がっていくんだと思う。」と言われた言葉が私の中に深く残っていて、良くも悪くも何かと何かを分けてしまうことのようにも思えるのですが、こうした思いは今でも変わりませんか?もしも変わってきているとしたら、何か具体的なきっかけなどがあったのでしょうか?
変わりません。ただ、“美しいもの” と “美しいというコンテンツ” は全く別のものですが、世間の需要はコンテンツに集約されつつある気がしています。何でもかんでもコンテンツやサービスとして消費されるだけのコミュニケーションの虚しさや貧しさについてよく考えます。

明るい曲調の理由と心境の変化

-以前までのThe Novembersの楽曲はリスナーに対して思考や判断を促すよう、緊迫感のある曲が多かったように思うのですが、今作は開放感のある明るい曲が多く収録されているように思います。これには何か心境の変化があったのでしょうか?
明るいという感想をいくつかいただいているのですが、自分たちとしては実はそこまで自覚していませんでした。制作自体にはとても勢いがあったと思います。

セルフタイトルのアルバムをもう一度作った理由

-デビューEP以来のセルフタイトルとなりますが、なぜセルフタイトルのアルバムをもう一度作ろうと思ったのですか?また、EPは『THE NOVEMBERS』、今作は『The Novembers』と表記を変えた理由についても教えてください。(タイトルを先に決めて作ったのか、作っている間に決めたのか、教えてください。)
今自分たちが何を世の中に発したいかというと、特定のテーマやメッセージではなく“The Novembers”というバンドそのものです。だから作品名をバンド名にしました。自分たちは今ここにいるんだということです。バンド名の表記に関してはご想像にお任せします(笑)

デビューEPと今作の違いと共通点

-デビューEP『THE NOVEMBERS』と今作『The Novembers』とで、バンドの中で大きく変わったこと(自分と仲間のつながりや表現に関して)、バンドとリスナーとのつながりの中で大きく変わったことを教えてください。
ファンや仲間のみんなに対する感謝や愛がどんどん大きくなっています。ツアーではアルバムを直接ファンに手渡しましたが、全員とハグしたいくらいの気持ちでした。ずっと誠実でいたいと思ったし、この絆を大切にしたいです。
変わらないことは、この4人でいるということです。

-2007年にセルフタイトルのEPを出した時、自分たちがもう一度同タイトルのアルバムを出すことを想像したことはありましたか?また、デビュー当時に思い描いていたバンド像に、今どのくらい近づいてきたと思いますか?
全く想像していませんでした。デビュー当時の理想像はもう飛び越えています。今の僕らはもっとすごいところに理想像を抱えているので、前進あるのみ。ですね。

バンド名に込めた意味と誇り

-セルフタイトルのアルバムを二度作るということは、少なからず自分たちのバンド名に意味や誇りを持っていると思います。以前のインタビューでバンド名は字面で決めたと言っていましたが、今では字面以外にも特別な意味などを感じることはありますか?また、(つまらない質問かもしれませんが)自分たちの名前は好きですか?
もちろん、特別だし大切な名前です。好きとか嫌いではなく、これが自分たちの名前だからしょうがないという気持ちもあります(笑)

アルバムを聴いてほしい人たち

-最後になりますがアルバム『The Novembers』をどんな人に聴いてほしい(心に触れてほしい)と思いますか?
過去未来現在の、全ての人です。時空を超えて届けたい人たちや魂があります。

The Novembersアルバムリリース

9thアルバム『The Novembers』


発売日: 2023年12月6日
収録曲:
1.BOY
2.Seaside
3.誰も知らない
4.かたちあるもの、ぼくらをたばねて
5.November
6.GAME
7.James Dean
8.Cashmere
9.Morning Sun
10.抱き合うように
フォーマット:Mp3、CD
Amazonで見る

The Novembersライブ情報

  • FEVER Presents 「UЯA The Novembers」
  • 2023/12/26(Tue)@新代田LIVE HOUSE FEVER
    OPEN / START 19:00 / 19:30
    前売り ¥5500 学生 ¥2500 (共にドリンク代別)
    チケットはこちら

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The Novembersバンドプロフィール

The Novembers

“2005年結成のオルタナティブロックバンド。
2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、現在まで精力的にリリース・活動を重ね「FUJI ROCK FESTIVAL」 をはじめとする様々な国内フェスティバルに出演。”

引用元:The Novembers(ザ・ノーベンバーズ)バンドプロフィール(オフィシャルサイト)

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  • インタビュー
  • 対談
  • レビュー
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ライター:桃井 かおる子

スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。

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