最終更新: 2025年5月6日

BELONG編集長のTomohiro Yabeです。

連載“プロインディー”のためのデジタル戦略”、第4回のテーマはTikTok。

“TikTokって若者向けのダンス動画ばかりでは?”、“自分たちの音楽とは違う気がする…”

と、どこか遠い世界の出来事のように感じているプロを目指すインディーバンドの皆さんも多いのではないだろうか。

実は最近まで筆者もそう思っていた。

短い動画が次々と流れていく独特の世界観、目まぐるしく変わるトレンド…。

正直、どう活用すればいいのか、掴みどころがないと感じるのも無理はない。

しかし、その拡散力と、未知のリスナーに音楽を“発見”させる力は、無視するには惜しい可能性を秘めている。

今回の記事では、TikTokというプラットフォームの本当の姿を理解し、プロインディーとして賢く、そして自分たちらしく付き合っていくための方法を考える。

元メジャーA&Rまりりんの実践的な視点、そしてTikTokで世界的バズを巻き起こしたcinnamonsの青山慎司への貴重なインタビューから見えてきたリアルな教訓を交えながら、皆さんのTikTok戦略を具体的に構築していく手伝いをする。

バズを夢見るだけでなく、着実にファンを増やし、バンドの未来に繋げるためのヒントがここにある。

TikTokとは何か? “発見”のプラットフォーム

クレジット:pexels

テキスト:Tomohiro Yabe 使用ツール:Claude、Gemini 編集:Tomohiro Yabe

TikTokは、短尺縦型動画プラットフォームであり、その心臓部には強力なレコメンドアルゴリズムが存在する。

ユーザーの興味関心をAIが学習し、“おすすめ”フィードに次々と関連動画を表示させる仕組みである。これにより、フォロワー数に関係なく、あなたの動画が多くの人の目に触れるチャンスがある。

そして、TikTokは音楽との親和性が極めて高いのが特徴である。動画のBGMとして楽曲が使われることで、その曲自体の認知度が飛躍的に高まる現象が日常的に起きている。

“TikTok発のヒット曲”が音楽チャートを席巻することも珍しくない。

インディーバンドにとって、TikTokは以下の点で重要な意味を持つ。

・新規ファン獲得の巨大な入口:あなたの音楽をまだ知らない層にリーチできる、最も効率的なプラットフォームの一つ。

・バイラル(口コミ)による拡散力:面白い動画やキャッチーな楽曲は、ユーザーの手によって瞬く間に広がっていく可能性がある。

・トレンドへの感度:時代の空気を掴み、若年層の興味関心を知るためのアンテナになる。

なぜプロインディーはTikTokと向き合うべきなのか?

クレジット:Claude

“でも、やっぱり自分たちの音楽には合わないんじゃ…”その気持ちはとてもよくわかる。

しかし、食わず嫌いはもったいないかもしれない。

プロインディーがTikTokと向き合うべき理由を、もう少し考えてみたい。

1. “待ち”の姿勢でもチャンスがある
他のSNSがある程度こちらからの発信や交流を必要とするのに対し、TikTokは優れた楽曲や動画であれば、アルゴリズムが勝手に広げてくれる可能性がある。もちろん、何もしなくていいわけではないが、他のプラットフォームとは異なるアプローチが可能である。

2. 楽曲の“一部分”がフックになる
必ずしも楽曲全体がTikTok向きである必要はない。サビのワンフレーズ、印象的なギターリフ、キャッチーなリズムなど、楽曲の“一部分”が切り取られてユーザーに刺されば、そこからフル尺の楽曲やバンド自体への興味に繋がる可能性がある。

3. ショート動画スキルの必要性
前回のYouTube編でも触れたが、今はショート動画の時代である。TikTokでショート動画の作り方や見せ方を学ぶことは、InstagramリールやYouTubeショートなど、他のプラットフォームでの発信力を高める上でも不可欠なスキルとなっている。

4. まりりんの視点:試行錯誤が前提の世界
メジャーシーンでもTikTok活用は手探り状態であり、絶対的な正解がないのが現状である。前回の記事で、まりりんは担当バンドでのTikTok活用についてこう語っていた。

(TikTokは)正直、何がどういうきっかけでバズるか予測不能な部分が大きいので、とにかく『数を打つ』ことを意識していました。

例えば、一つのMVから、ワンフレーズかツーフレーズくらいの短い動画を、20本くらい作って投稿したり。

この言葉からもわかるように、まずは試行錯誤してみること、量をこなしてみることが、TikTok攻略の第一歩なのかもしれない。

完璧を目指す前に、まずは一歩踏み出してみてはどうだろうか?

効果的なTikTok活用術:【基本編】とりあえず試してみる

クレジット:pexels

TikTokの世界に飛び込むための、最初のステップである。

1. プロフィール:他のSNS同様、プロフィールは重要である。
・ユーザー名・名前:バンド名で分かりやすく。
・写真:認識しやすいロゴやアー写を。
・自己紹介:バンドのジャンル、活動拠点、特徴を簡潔に。YouTubeや各種サブスクへのリンク(Linktree推奨)を忘れずに。

2. 動画投稿:まずはこの3パターンから! 何を投稿すればいいか迷ったら、まずは以下のパターンから試してみるのがおすすめである。

① 演奏動画(ライブ/スタジオ):
  ・ライブ映像の“キラーフレーズ”部分を切り抜き。
  ・スタジオでの練習風景(真剣な表情、楽しそうな雰囲気など)。
  ・メンバーの“弾いてみた”(楽曲の特にテクニカルな部分やキャッチーな部分)。

② MVや楽曲の紹介動画:
  ・MVの最も印象的なシーンを15秒〜30秒程度に編集(歌詞表示推奨)。
  ・静止画やジャケット写真に楽曲を乗せたリリックビデオ風動画。

③ オフショットや舞台裏の動画(※バンドのスタンスによる):
  ・メンバーの意外な一面や、バンドの和気あいあいとした雰囲気。
  ・ライブ後の楽屋風景など。

3. ハッシュタグ:“#バンド名”は必須!あとは? 動画を見つけてもらうための道しるべ。
・必須:#バンド名
・基本:#音楽ジャンル (例: #インディーロック)など
・動画内容:#ライブ映像, #MV, #弾いてみた, #オリジナル曲
・関連/トレンド:楽曲名など(動画内容と関連があれば)

最初は5個程度を目安に、関連性の高いものを選ぶのがよいだろう。

4. 投稿頻度:無理なく、でも“継続”を意識
毎日投稿が理想…とは言うが、インディーバンドには難しいだろう。

まずは週に1〜2本でもOK。大切なのは、細く長く続けること。

ネタがない時は、過去のライブ映像を違う角度で切り抜いてみるなど、工夫次第で投稿は続けられる。

ここから先は有料記事となる。

TikTokでバズは本当に狙えるのか? 狙うべきなのか?

そして、あの世界的ヒット「summertime」は、どのようにして生まれたのか?

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