最終更新: 2025年5月11日
BELONG編集長のTomohiro Yabeです。
今回で元メジャーレーベル担当のまりりんと共にお届けしてきた連載“プロインディーのためのデジタル戦略”については、締めとなる。
これまでX(旧Twitter)、Instagram、TikTokと、各プラットフォームの特性と活用法を深掘りしてきたが、第5回となる今回は、いよいよ音楽活動の核となるプラットフォーム、Spotifyに焦点を当てる。
楽曲を制作し、それを世に送り出す。これはバンド活動の根幹である。
しかし、ただ配信するだけでは、無数の楽曲の中に埋もれてしまうのが現代の音楽シーンだ。
どうすれば一人でも多くのリスナーにあなたの音楽を届け、深く聴いてもらえるのか?
そして、それがどうプロインディーとしてのキャリア構築に繋がっていくのか?
今回も、まりりんのメジャーレーベルでの経験と、インディーシーンへの深い洞察を交えながら、プロインディーが知っておくべきSpotify戦略を徹底解説する。
さらに、今回は特別に結成3年でわずかライブ1回、アルバム4枚、約3000人の月間リスナーを持ち、海外にもファンを広げている注目のインディーバンドflip-flopsのdaijiroとmilanoへのインタビューから、彼らのリアルなSpotify戦略について紹介し、具体的なヒントを探る。
あなたの音楽を、より多くのリスナーに届けるために。Spotifyという広大な海を航海するための羅針盤となるような情報をお届けできれば幸いである。
また、今回はこの記事の無料部分について、AI音声のポッドキャストも作成したので、こちらも活用して欲しい。
AI音声とはいえ、日本語でほとんど違和感なく聞けるため、是非どんなものか一回は聞いてみて欲しい。
テキスト:Tomohiro Yabe 使用ツール:Gemini、Notebook LM 編集:Tomohiro Yabe
Spotifyとは何か?

もはや説明不要かもしれないが、Spotifyは世界最大級の音楽ストリーミングサービスである。
数千万曲以上の楽曲がラインナップされ、ユーザーは無料または有料プランで音楽を聴くことができる。
日本のユーザー数も年々増加しており、特に若い世代にとっては主要な音楽聴取手段の一つとなっている。
インディーバンドにとってSpotifyは、自分たちの楽曲を世界中のリスナーに届けることができる、非常に開かれたプラットフォームである。
CDショップにCDを置いてもらう、ライブハウスに出演するといった従来のリーチ方法に加え、地理的な制約なく、より多くの人々に音楽を届けるチャンスがここにある。
なぜプロインディーはSpotifyと真剣に向き合うべきなのか?

“とりあえず配信はしてるけど…”というバンドも多いかもしれない。しかし、プロを目指すのであれば、Spotifyとの向き合い方を一段階深める必要がある。
1. リーチ拡大の可能性 日本国内はもちろん、海外のリスナーにもあなたの音楽が届く可能性がある。良い楽曲は、アルゴリズムやプレイリストを通じて、思わぬ国や地域で発見されることも。
2. ファンとの繋がりと理解 Spotify for Artistsという無料ツールを使えば、どんな人が、いつ、どこで、どの曲を聴いてくれているのか、詳細なデータを把握できる。これはファンを理解し、今後の活動戦略を立てる上で非常に重要である。
3. 収益化への重要な一歩 再生回数に応じた収益分配は、インディーバンドにとって貴重な収入源となり得る。もちろん、すぐに大きな金額になるわけではないが、着実にファンを増やし、再生回数を伸ばすことで、活動資金の一助となる。
4. アーティストとしての信頼性とブランディング しっかりと整備されたSpotifyのアーティストページは、リスナーや業界関係者に対してプロフェッショナルな印象を与える。Canvas機能(再生画面で流れる短いループ動画)などを活用すれば、音楽だけでなく視覚的な世界観も伝えることができる。
まりりん:“メジャーレーベルでも、Spotifyのデータは非常に重視していましたね。どの曲がどの地域で聴かれているか、どんなプレイリストから流入があるかなどを細かく分析して、プロモーション戦略に活かしていました。インディーバンドにとっても、これらのデータを無料で使えるのは大きなアドバンテージだと思います。”
効果的なSpotify活用術 【基本編】

Spotifyを最大限に活用するための第一歩は、基本的な設定と機能を理解することである。
1.楽曲配信の準備 まず、自分たちの楽曲をSpotifyで配信する必要がある。
そのためには、TuneCore Japan、BIG UP!などのディストリビューター(楽曲配信代行サービス)を利用するのが一般的である。
各ディストリビューターによって手数料やサービス内容が異なるので、自分たちの活動スタイルに合ったものを選ぼう。
2.Spotify for Artistsへの登録と基本設定 楽曲がSpotifyで配信されたら、必ず“Spotify for Artists”に登録しよう。
これは、アーティストが自身の楽曲やリスナーに関するデータを確認したり、プロフィールを編集したりするための必須ツールである。
・ 登録方法 Spotify for Artistsのウェブサイトまたはアプリから、自分のアーティスト名を検索し、認証プロセス(通常はSNSアカウントとの連携など)を経て申請する。
・ プロフィール アーティスト写真、ヘッダー画像、バイオグラフィー(活動歴、バンド紹介など)を充実させよう。これらはリスナーが最初に目にする情報なので、バンドの個性が伝わるように工夫することが大切である。新曲リリースのタイミングで画像を更新するなど、常に最新の状態を保つことを心がけたい。
・ Canvas 再生画面の背景でループ再生される短い動画(3〜8秒)である。楽曲の世界観を視覚的に補強し、リスナーのエンゲージメントを高める効果が期待できる。MVの一部を切り取ったり、専用のループ動画を制作したりして設定しよう。
3.アナリティクスの見方(基本) Spotify for Artistsでは、“Audience(オーディエンス)”や“Music(ミュージック)”といったセクションで、
リスナーの年齢層、性別、国・地域、再生回数が多い楽曲、リスナーがあなたの曲をどこで見つけているか(プレイリスト、検索、他のアーティストのページなど)といったデータを確認できる。
これらのデータを定期的にチェックし、自分たちの音楽がどんな層に響いているのかを把握しよう。
まりりん:“プロフィール写真は、バンドのイメージを決定づける重要な要素です。アー写はもちろんですが、ライブ写真やオフショットなど、バンドの“らしさ”が出るものを選ぶと良いですね。バイオグラフィーも、ただ事実を並べるだけでなく、バンドのストーリーや音楽への想いを綴ることで、よりファンとの繋がりを深められます。”
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ここから先は有料記事となる。
Spotifyであなたの音楽をさらに多くの人に届けるための“応用編”として、公式プレイリスト掲載を狙う“Spotifyピッチ”の具体的な方法とコツ。
そして、特別インタビュー flip-flopsが明かす、アルゴリズムを味方につけ、国境を越えてリスナーを増やすリアルなSpotify戦略をお届けする。
この記事を単体で購入する場合はわずか200円。さらにお得な月額サブスクリプションはたったの500円で、これまでの連載記事を含むすべての記事をいつでも好きなだけ読んでもらえる。
サブスクは今なら3日間の無料お試し付き。この機会にぜひ続きを読んで、あなたのSpotify戦略を次のレベルへと引き上げて欲しい。
また、有料部分についても、AI音声のポッドキャストも作成したので、こちらも活用して欲しい。
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