最終更新: 2025年5月26日

25年の歩みと未来

戸高賢史との共作と“ART-SCHOOLらしさ”

-桃井:深いところに潜っていくのは孤独な作業かと思います。木下さんは他の人と比べて孤独と向き合うことが多い方なのかな、という印象があるのですが。だからこそ、初期はご自身で作詞作曲されることが多かった中で、最近は戸高さんが作曲されたり、共作されたりすることが増えていますよね。戸高さんのアイディアが加わることで、ART-SCHOOLの楽曲にどういった変化が生まれたと思いますか?(@ssssleepeople):長らく戸高さんボーカルの曲がありませんでしたが、『luminous』で2曲歌われたり、ライブでも過去の曲を披露するなど、戸高さんの歌声を聴く機会が増え嬉しいです。何か心境の変化があったのでしょうか?いつか、ライブでLow heaven聴いてみたいです)
木下理樹: 彼は、よりART-SCHOOLをART-SCHOOLらしくすることをやっている気がしますね。“これはART-SCHOOLっぽくない”というようなことはやらないようにしているように、僕には見えます。例えば新曲を持っていっても“これはART-SCHOOLっぽくないね”と、彼なりの“ART-SCHOOLにこうあってほしい”というような像があって、それをやってくれていると思います。

-桃井:“ART-SCHOOLはこういうバンドだ”というのは、サポートメンバー含めた4人で共通認識としてあるものなんですか?“これはART-SCHOOLらしいね、らしくないね”というふうに、4人で楽曲を振り分けたりも?
木下理樹: 4人で振り分けるということはないですけどね。ART-SCHOOLっぽくない曲でも、曲が良かったらそんなにボツにはならないのかな、とは思いますけど。

-桃井:その“ART-SCHOOLっぽさ”を改めて言葉で表すと、どうなりますか?木下さんと、特に戸高さんが共通して思う“ART-SCHOOLっぽさ”とは?
木下理樹: うーん、どう説明すればいいのか・・・。難しいですね。例えば、The CureはずっとThe Cureっぽいものを出し続けてるじゃないですか。ART-SCHOOLっぽいというのは、ART-SCHOOLだからねという答えになっちゃうのかな。

-桃井:ART-SCHOOLはART-SCHOOLである、と。
木下理樹: いろんなことにチャレンジしてきてるんですよ。ニューウェーブのようなことをやってみたり、ゴリゴリのオルタナのような感じだったり。でも、結局全てがART-SCHOOLっぽいんですよね。

-桃井:いろいろなことにチャレンジされている印象は確かにありますが、もがいている、あがいている、そういうのが伝わるのがART-SCHOOLらしさなのかな、と今お話を聞いて思いました。
木下理樹: それはリスナーの判断に委ねたいですね。僕らが“僕らっぽいこと”を意識してやっても、僕らのコピーでしかないんで。僕個人としては、“これART-SCHOOLっぽいね”というようなテンションでは曲は作っていないです。結果的に“なんかART-SCHOOLっぽいね”となっちゃうだけで。

タイトル『1985』に込めた意味と届けたいリスナー像

-桃井:改めて、今回のタイトル『1985』ですが、これは1985年という意味で合っていますか?なぜこの年を選ばれたんですか?
木下理樹: そうですね。詩やメロを考えている時に、“1985”というフレーズが思い浮かびました。どういう訳か“1985”という言葉や歌詞が降りてきたんです。たまにメロと歌詞が同時に降りてくる瞬間があって。だから、なんでそうなったのかは、わからないですよね。

-桃井:ジャケット写真で、女性がスケートボードに乗っていますよね。ああいったスケートボードなどのカルチャーと関連付けて『1985』とつけられたのかな、とも思ったのですが。
木下理樹: ジャケットに関しては、ノスタルジックで、淡くて、でもポップでもあるような場所を探していて。ジャケットデザインをやっている木村さん、フォトグラファーの中野くんと一緒に探して、ああいうジャケットになりました。ノスタルジックで淡い、というイメージですね。スケートボードのカルチャーのことも少しはありますけど、基本的にはノスタルジーですね。

-桃井:今回の『1985』というアルバムを、どういった人に聴いてほしいですか?
木下理樹: たくさんの人に聴いてもらいたいです。今までART-SCHOOLを知らなかった人にも届いてほしいし。今はCDでリリースすることの意味も問われる時代ですし、本当にCDが売れない時代になっているので・・・。ART-SCHOOLが好きだった人にも、すごく好きな人にも聴いてほしい。

-桃井:先ほどおっしゃっていたように“生きづらさ”を感じている人に届いたら、というお気持ちはありますか?
木下理樹: そうですね。本当にこぼれ落ちていきそうな人、生きづらさを感じていて、なおかつその中でもこぼれ落ちていくような人たちの気持ちが、ART-SCHOOLの音楽を聴くことによって、少しだけでも楽になればいいなと思って作っています。聴いているその瞬間だけでも、気持ちが楽になる。そういう思いはずっとあるんで、そういう人たちにはもちろん聴いてほしいですね。

25周年を迎えて思うこと

-桃井:私もART-SCHOOLの音楽を聴いていると、“こんなんでも生きてていいんだ”と思えます。最後に、25周年ということで伺いたいのですが、もしタイムマシンがあって25年前の自分に会えるとしたら、何を持って行って、どんな言葉をかけますか?(@QauRkw):25年前の自分へメッセージが送れるとしたらどんな言葉をかけてあげたいですか?また、25年前はどんな事が好きで、どんな生活を送っていましたか?)
木下理樹: 25年前ということは、僕が21歳か22歳ぐらいか。殴ってやりますよ。“調子に乗ってんじゃないよ!”と(笑)。

-桃井:(笑)。調子に乗ってたんですか?
木下理樹: いや、そんなに乗ってたわけではないと思うんですけど。頑張ってはいると思うけど、“もっとちゃんと気をつけなきゃダメだぞ”というようなことは言いたいですよね。

-桃井:何か渡せるものがあるとしたら、何を持っていきますか?
木下理樹: 渡せるものか・・・。殴りに行きたい気持ちの方が強いですけどね(笑)。金属バットは良くないか・・・。ああ、今やってる『luminous』や、今回のミニアルバムを持っていくかもしれないですね。“今こういうのをやってるよ”と。そしたら多分、“変わってないじゃん”と言われると思うんですよね。それがART-SCHOOLらしさなのかな、とは思ってますけど。

-桃井:すごくわかりやすいお話でした。リスナーさんからの質問で、以前のインタビューで“一番美しいと思うものは?”という質問に“美しいと思う心”と答えていたのが印象的だったそうです。最近、美しいと思ったものはありますか?(@Igor_Bilic):かつて何かのインタビューで、一番美しいと思うものはなんですか?という質問に「美しいと思う心」と答えていたのが印象に残っています。最近美しいと思ったものはありますか?)
木下理樹: ドラマや映画でもいいですかね?僕、『ガンニバル』というディズニープラスでやってるドラマが好きで見てるんですけど、その中のシーンやカット割りが美しいなと感じて、見てて楽しいですね。

-桃井:今回の25周年企画では、ファンの方から80通を超えるコメントが集まりました。この企画や今日のインタビューを振り返って、今どんなお気持ちですか?
木下理樹: 僕もその企画で、皆さんの好きな曲や出会った思い出を見てたんですけど、いろんな人の人生の中に(ART-SCHOOLが)いるんだなぁと思って嬉しかったですね。いろんな人の人生の中に、ちゃんとART-SCHOOLが生きているんだということを実感して、嬉しいなという気持ちになりました。

Art-School-25-souls2-min
ART-SCHOOL結成25周年特集“25 souls”後編:ファンから届いた80通のメッセージと思い出の43曲
-桃井:本当に、私たちの心にすごく寄り添って手を差し伸べてくださる音楽であることは間違いないです。アメリカのバンド、Sunflower Beanをご存知ですか?
木下理樹: 名前は聞いたことありますね。女性ボーカルのバンドですよね?いいなと思う曲、ありましたよ。多分一番再生されている曲だと思うんですけど、グランジっぽい感じの。

-桃井:実は、私たちが運営しているメディア“BELONG Media”のInstagramで、ART-SCHOOLの25周年をお祝いする投稿をした際に、Sunflower Beanがいいねをつけてくれて。彼らも結成10年を迎えるバンドで、インタビューでは“とにかく続けることが大事”と言っていました。そこで理樹さんに聞きたいのが25年間バンドを続けてこられた秘訣は何ですか?
木下理樹: それはメンバー、スタッフ、それからお客さんに支えられたということですね。それらのいろんな要因がなかったら、続けられなかったです。いろんな人の愛があったから続けてこれたと思います。そこには感謝しかないですね。

Sunflower Bean
クレジット:Anna Nazarova
『Mortal Primetime』が映す10年の軌跡—Sunflower Bean、3人揃っての貴重インタビュー

ART-SCHOOLアルバムリリース

ミニアルバム『1985』


発売日: 2025年5月28日
収録曲:
01. Trust Me
02. Heaven Kicked Me Out
03. 1985
04. Sad And Beautiful Things
05. We Are All Broken
06. Outsider
07. Dry Dreams (Still In Monochrome)
08. Forever And Again
Amazonで見る

結成25周年記念トリビュートアルバム

発売日: 未定
収録曲:未定
※収録予定アーティストはニコニコ生放送にて放送
■放送概要
【番組名】【ART-SCHOOL】メンバー生出演!結成25周年振り返り&最新ミニアルバム「1985」リリース記念特番
【放送日時】2025年5月27日(火) 21:00~放送START
【視聴URL】https://live.nicovideo.jp/watch/lv347643288
【出演者】ART-SCHOOL木下 理樹、戸高 賢史/MC:遠藤幸一(DAIZAWA RECORDSマスター)

ART-SCHOOL写真展情報

ART-SCHOOL 25th Anniversary Photo Exhibition
Our wounds forever
Photography by HIROHISA NAKANO
2025年6月5日(木)〜6月15日(日)POOTLE(新代田FEVER内)
平日17:00〜23:00、土曜日12:00〜23:00、日曜日12:00〜22:00
(6月7日はトークイベント開催のため17:00〜23:00、最終日6月15日は18:00まで)
INFO:新代田FEVER(03-6304-7899)
写真展:入場無料

<トークイベント> ※チケット完売
「our wounds forever of ART-SCHOOL」
2025年6月7日(土)
1st:13:00〜14:00(12:40入場開始)
2nd:15:30〜16:30(15:10入場開始)
出演:木下理樹・クボケンジ(メレンゲ)・中野敬久
価格:2,000円+ドリンク代(600円)

ART-SCHOOLライブ情報


ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025 「1985」

7/05(土) 仙台LIVE HOUSE enn 2nd
open 17:00 / start 17:30
INFO:GIP(https://www.gip-web.co.jp/t/info

7/06(日) HEAVENʼS ROCKさいたま新都⼼VJ-3
open 17:00 / start 17:30
INFO:ディスクガレージ(https://info.diskgarage.com/

7/12(土) 岡山YEBISU YA PRO
open 17:00 / start 17:30
INFO:YUMEBANCHI(086-231-3531 / 平日12:00~17:00)

7/13(日) 京都磔磔
open 17:00 / start 17:30
INFO:GREENS(06-6882-1224 / 平日12:00~18:00)

9/07(日) LIQUIDROOM
open 17:00 / start 18:00
INFO:ディスクガレージ(https://info.diskgarage.com/

9/20(土) 名古屋CLUB QUATTRO
open 16:45 / start 17:30
INFO:JAILHOUSE(052-936-6041 / 平日11:00-15:00)

9/21(日) 梅田CLUB QUATTRO
open 16:45 / start 17:30
INFO:GREENS(06-6882-1224)

9/23(火祝) 福岡INSA
open 17:00 / start 17:30
INFO:BEA(092-712-4221 / 平日12:00~16:00)

10/4(土) 札幌SPiCE
open 17:00 / start 17:30
INFO:WESS(info@wess.co.jp ※メール対応)

前売り:¥5,500- (税込/ドリンク代別)
学割チケット:¥4,500- (税込/ドリンク代別) ※詳細はART-SCHOOL HPをご確認ください

チケット一般発売日:
5/31(土)10:00 ※7月開催の4公演
7/26(土)10:00 ※9~10月開催の5公演
チケットぴあ / ローソンチケット / イープラス

ART-SCHOOLプロフィール

“2000年ART-SCHOOL結成。
同年9月、1stアルバム『SONIC DEAD KIDS』をリリース。 この頃より全国区でのライブを展開するようになり、美しく純度の高いポップな曲調と轟音ギター、 そして木下のあどけなく危なげなボーカルで表現する独特の“うた”の世界観を多数のオーディエンスに印象づけ話題となる。何度かのメンバーチェンジや活動休止を乗り越え、2012年、現在の「第3期ART-SCHOOL」としての活動を開始。
2015年、所属事務所Sony Music Artistsの契約が満了すると共に活動休止。同年5月、木下理樹が音楽、ライブ制作、アートワークデザイン、フォトグラフ、アパレルなどクリエイティブで柔軟な発想を持った各ジャンルのスペシャリストが集結したチーム「Warszawa-Label」の設立を発表する。
2015年12月31日(木)COUNT DOWN JAPAN 15/16 ギャラクシーステージで復活ライブ、2015年2月13日(土)新木場スタジオコーストワンマン「Easter」にて本格的に活動再開した。2016年5月18日(水)に8th Album『Hello darkness, my dear friend』をリリースし、全国11箇所のツアーを開催。
2017年1月25日(水)B SIDES BEST『Cemetery Gates』をリリース。2017年7月26日(水)配信限定シングル『スカートの色は青』をリリース。
2018年3月7日(水)2年ぶりのオリジナルフルアルバム『In Colors』をリリースし、全国ツアーを開催。
2019年春、木下理樹の体調不良により療養期間に入る。
2022年7月13日(水)生命力溢れる4曲を収録した『Just Kids .ep』で遂に活動再開!”

引用元:ART-SCHOOL(アートスクール)バンドプロフィール(ART-SCHOOLオフィシャルサイト)

ライター:桃井 かおる子

スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。

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