最終更新: 2025年6月10日

今回インタビューを行ったのはシンガポール出身の5人組ジャングル・ポップ/インディー・ポップバンド、Subsonic Eye(サブソニック・アイ)。

BELONG MediaではこれまでタイのFolk9やLesssugärへのインタビューをはじめとして、台湾のI Mean Usや韓国のSURLらを紹介したアジアン・インディー特集、

そしてここ数年の年末ベストソング記事などで活況のアジアバンドシーンの様子をお届けしてきていたが、実はシンガポールのバンドへのインタビューは今回がはじめてだ。

同じシンガポールにはインディー・ポップバンドのSobsがいたり、オルタナティブミュージックのフェスからK-POPやK-ヒップホップ、EDMアーティストが出演する多様な音楽フェスなど、音楽シーンとしてもシンガポールは賑やかな印象である。

そして言うまでもなく、そのシーンの中でもSubsonic Eyeはアジアを代表するインディー・ポップバンドとして呼び声も高い。

爽快でありながら物憂げさも演出しつつ、いわゆる胸打つ甘美なサウンドを鳴らし、自然や身の回りの環境を映し出し、賛美してきた。

5枚目のアルバムとなる『Singapore Dreaming』は、時にエモーショナルに時にメランコリックに流麗なメロディを奏で、彼らの視点から故郷であるシンガポールを描いた現段階の最高到達点だ。

そのためSubsonic Eyeのこれまでと『Singapore Dreaming』について知ることは、改めてシンガポールの現在音楽シーンや社会的な状況を知ることの両立することを意味するのではないだろか。

もちろん音楽の楽しみ方は人それぞれだ。だからこそ強要はしないが、このインタビュー読んでSubsonic Eyeの音楽に触れることはまた違った楽しみ方を知れることは伝えておきたい。

Subsonic Eyeとは何者か? シンガポールの音楽シーンを紐解く

アーティスト:ダニエル・ボーセス(Daniel Borces) インタビュアー:滝田優樹 翻訳・編集・校正:BELONG Media / A-indie編集部

バンド結成の経緯

-滝田優樹:私たちはアーティストのルーツや音楽がうまれた背景、そして影響を受けた音楽・文化・芸術を大切にしているメディアです。今回私たちとははじめてのインタビューなのでバンドの成り立ちから質問させてください。あなたたちはシンガポール出身の5人組バンドですよね? 改めてどのような経緯でバンドが結成されたのでしょうか。
ダニエル・ボーセス:高校生の頃から地元のライブハウスに通っていて、ずっと自分のバンドを組みたいと思っていたんだ。大学でワヒダに出会って、好きな音楽のジャンルが同じだって気づいてからは、一緒に曲作りを始めた。最終的には、ラインナップを完成させるためにあと数人メンバーが必要になって、残りのメンバー(ルーカス、ジャレッド、サム)とは共通の友人を通じてとか、オンラインで出会ったんだ。

メンバーの音楽的目覚め

-滝田優樹:メンバーそれぞれどのような幼少期を過ごしてどのように音楽と出会ったのでしょうか。
シンガポールで育って、みんなごく普通の子供時代を過ごしたよ。親がラジオをかけたり、MTVが流れていたりして、音楽に触れる機会はだいたいあったかな。でも、僕たちが若い頃に音楽に本気で興味を持つようになったのは、2000年代半ばから2010年代のポップパンクやエモ(Pierce The Veil、All Time Low、Fall Out Boyとか)がきっかけだったんだ。そこからみんな音楽にのめり込んでいって、そういう曲をどうやって演奏するのかとかを学び始めたって感じ。

シンガポールのインディーシーンの現在

-滝田優樹:私たちのメディアではタイのFolk9やLesssugärといったバンドのインタビューをはじめとしてアジアから世界で活躍するバンドを紹介してきました。ただ、シンガポール出身のバンドにインタビューするのははじめてです。なので現在のシンガポールの音楽事情や流行についてとても興味があるので、教えてもらえますか?
僕たちが10年前に活動を始めた頃は、ほとんどがもっとヘヴィな音楽だったんだけど、今はもっといろんなジャンルのライブが増えていると思うな。最近はシューゲイザーっぽいバンドとか、ミッドウェスト・エモのバンドが増えていて、いろんなジャンルが混ざった対バンも多いことに気づいてる。確かに、隣国のタイやインドネシアほどシーンが充実しているわけじゃないけど、正しい方向に向かっていると思うし、バンドを組むにはすごく良い時期だと思うんだ。ただ、中規模のライブハウスが足りないっていう問題は相変わらずあって、小さいアンダーグラウンドな場所か、大きくて高価な会場かのどっちかになっちゃうんだよね。

-滝田優樹:またシンガポールにはYuewen Music Festivalをはじめとする音楽フェスやK-POPやK-ヒップホップ、EDMアーティストが出演する多様な音楽フェスが多くある印象です。そんななかあなたたちのようなインディー・ポップバンドはシンガポールの音楽ファンたちにはどのように受け入れられているのでしょうか。
君が言ってたフェスティバルについては、僕たちはあんまりそっちの“シーン”にいないから、正直よく知らないんだ。でも、僕たちがいるシーンで言えば、いろんなオルタナティブミュージックのフェスやDIYのライブがあって、僕たちみたいなバンドにとっては十分チャンスがあると思うよ。大規模なフェスでも、小さなDIYのライブでも、同じコミュニティで同じ人たちが集まってくれるのはすごくクールなことだよね。本当に大きな家族みたいに感じるんだ。

海外での活動と繋がり

-滝田優樹:私たちが以前企画したDYGLという日本のバンドと、Beach Fossilsというアメリカのバンドの対談では、DYGLの秋山さんが日本では“海外での活動を広げるためのブッキングエージェント探しには苦労している”と語っていました。それはシンガポールにいるあなたたちも同じような状況なのでしょうか。
海外での活動についてだけど、インターネットのおかげで、地域のDIYオーガナイザーやバンドをやっている友達とたくさん繋がることができてラッキーだったよ。だから、シンガポール以外で演奏したいと思ったら、誰に連絡すればいいかいつも分かるんだ。Anniversary Groupのザック・シルヴァとも繋がることができて、彼には過去数回のアメリカツアーのブッキングを手伝ってもらったし、今はいくつかアジア圏のツアーも計画中なんだ。

Beach Fossils × DYGL 対談
撮影:まりりん
【独占対談】Beach Fossils × DYGLが語る、DIY精神とインディーのリアル“インディペンデントに生きるVol.2”

バンド名の由来


-滝田優樹:バンド名についても教えてください。なぜSubsonic Eyeという名前にしたのでしょうか?Subsonic Eyeというバンド名の意味についても教えてください。
ワヒダと僕でバンド名を探そうとWikipediaで色々見ていた時、なぜか「宇宙(Universe)」のページにたどり着いて、そこで「Subsonic」っていう言葉を見つけたんだ。でもそれはもう使われていたから、その時ちょうど僕がイルミナティの陰謀論に興味があったんで、「Eye」って言葉を付け加えたんだ。

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